内科学

内科学 · S-48

血清反応陰性脊椎関節炎

Seronegative Spondyloarthritis

前提:病態
自己免疫性関節疾患:関節リウマチと強直性脊椎炎
前提:正常
HLAタイピング
疾患
乾癬性関節炎強直性脊椎炎体軸性脊椎関節炎腸骨骨硬化症反応性関節炎
症状
角膜後面沈着物急性前部ぶどう膜炎前房蓄膿膿漏性角化症
検査値
HLA-B27リウマトイド因子
画像所見
仙腸関節炎竹様脊椎
スコア
ASAS分類基準

🧠 全体像:は、、、、、関連、ぶどう膜炎・乾癬・などを共有するである。「seronegative」はRF陰性傾向を示す呼称で、自己抗体が陰性なら確定という意味ではない。

疾患群

疾患 中心となる所見
体軸性(axSpA) ・脊椎病変。X線基準を満たせばX線画像陽性axSpA=、満たさなければX線基準を満たさないaxSpA()
乾癬、、、末梢/軸性関節炎
腸管・後の
関連関節炎 Crohn病/に伴う末梢または軸性病変

は緩徐発症し、運動で改善、安静で改善せず、・を伴う。との対比が重要である。

⚠️ 「40歳未満」と「45歳未満」を混同しない。 ASASの基準(2009年)の年齢項目は「40歳未満での発症」で、緩徐発症・運動で改善・安静では改善しない・と合わせた5項目のうち4項目以上で感度77.0%・特異度91.7%となる1。一方「45歳未満での発症」は、体軸性のに入るための(3か月以上持続する+45歳未満発症)の側の数字である2。

💡 「」はaxSpAという枠組みの一部になった。 ASAS分類ではX線のという敷居を外し、やで早期に拾える体軸性を定義した。その結果、X線基準を満たすもの(=従来の)と満たさないが同じ疾患連続体の両端として並ぶ2。治療推奨もX線基準を満たすか否かで分けていない3。

体軸性SpA

臨床・画像

  • 、痛、脊椎可動性低下
  • などの、、
  • 、乾癬、
  • X線:、、進行例の
  • :のが明確に存在することが活動性の定義であり、X線より早期に描出できる。ASAS ワーキンググループは2016年改訂でもこの定義本体を変えず、病変数やスライス数という量的要件は課していない4。出産後・運動負荷・変性でもは出るため、非特異的変化に注意する

陽性は診断を支持するが、陽性だけで診断できず、陰性でも除外できない。ASAS分類は研究分類で、は3か月以上持続し45歳未満で発症した、(画像アーム)は+特徴1つ以上、基準群(臨床アーム)は陽性+特徴2つ以上を用いる。全体で感度82.9%・特異度84.4%、単独では感度66.2%・特異度97.3%である2。

💡 の解釈は集団の保有率に依存する。 日本の一般人口の保有率は約0.3%で、米国の約6%や中国の2〜8%より大幅に低い5。保有率が低い集団では陽性の重みが増す一方、自体も少ない。

修正Schober検査、胸郭拡張、後頭壁距離などで可動性を追跡する。元資料の「L5から10 cm上を測り、増加<4 cm」という単純化より、標準化した修正Schober法を用いる。

治療

flowchart TD
    A["活動性axSpA"] --> B["教育・禁煙・定期運動/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physiotherapy'>理学療法</span>"]
    B --> C["十分量<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonsteroidal anti-inflammatory drug'>NSAID</span>を試行"]
    C --> D{"活動性が持続"}
    D -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumour necrosis factor'>TNF</span>阻害薬/IL-17阻害薬/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase'>JAK</span>阻害薬"]
    E --> F["ぶどう膜炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory bowel disease'>IBD</span>・乾癬と安全性で選択"]
    D -->|"いいえ"| G["運動と定期評価を継続"]

は純粋な軸性病変には有効でなく、はで検討する。導入の条件は、ASDAS 2.1以上の高い疾患活動性が続き、 2剤以上に不応で、上昇または/X線での炎症所見という所見があることである。この条件で阻害薬・IL-17阻害薬・阻害薬を考慮し、現在の実践では阻害薬かIL-17阻害薬から始める(両者の優劣は付けられていない)。反復ぶどう膜炎やではモノクローナルを優先し、乾癬合併ではIL-17阻害薬を優先する。活動性ではIL-17阻害薬を避ける3。

乾癬性関節炎

末梢少数/、DIP優位、、軸性病変など多様である。、、/、X線の関節近傍やが手掛かりとなる。関節炎が皮膚乾癬に先行することがあり、は「必ず」存在するわけではない。

CASPARは確立した炎症性の関節・脊椎・付着部病変を前提条件とし、現在の乾癬(2点)、乾癬の既往、乾癬の家族歴、、RF陰性、、傍関節新生骨(各1点)を加点して≥3で分類する6。現在乾癬があるときだけ2点で、既往・家族歴とは重複して数えない。

治療は罹患領域(、、、、皮膚、爪)ごとに選ぶ。・局所注射、にはメトトレキサート等、目標未達なら、IL-17、IL-23経路、などのを乾癬・・ぶどう膜炎・感染リスクと合わせて選択する7。

反応性関節炎・IBD関連関節炎

はChlamydia trachomatisまたは*、*、Campylobacter、Yersiniaなどの1〜4週後に、下肢優位の非対称性、、、結膜炎/ぶどう膜炎、尿道炎、を来す。誘因感染を検査・治療するが、が消退した後の関節炎に抗菌薬を漫然と続けない。

関連ではと体軸性を分け、腸管と同時に治療計画を立てる。は腸炎を悪化させ得るため慎重に用い、両者に有効なモノクローナルなどを選ぶ。

まとめ

  • は、、、、ぶどう膜炎・乾癬・を一つのパターンとして捉える。
  • と分類基準は診断補助であり、単独で確定・除外しない。
  • 治療薬は軸性/末梢、皮膚、眼、腸管の領域を横断して選ぶ。

出典

  1. 1.New criteria for inflammatory back pain in patients with chronic back pain: a real patient exercise by experts from the Assessment of SpondyloArthritis international Society (ASAS)(Assessment of SpondyloArthritis international Society (ASAS)・2009)炎症性腰痛を機械的腰痛と区別するASASの5基準が「40歳未満での発症・緩徐発症・運動で改善・安静では改善しない・夜間痛(起床で軽快)」であり、4項目以上を満たすと専門家判断を基準に感度77.0%・特異度91.7%(検証コホートでは感度79.6%・特異度72.4%)で成立することを確認した閲覧 2026-08-25
  2. 2.The development of Assessment of SpondyloArthritis international Society classification criteria for axial spondyloarthritis (part II): validation and final selection(Assessment of SpondyloArthritis international Society (ASAS)・2009)体軸性脊椎関節炎のASAS分類基準の参入条件を、3か月以上持続し45歳未満で発症した腰背部痛と定めたこと、画像基準群(画像上の仙腸関節炎+SpA特徴1項目以上)とHLA-B27基準群(HLA-B27陽性+SpA特徴2項目以上)の二経路構造であること、全体の感度82.9%・特異度84.4%、画像基準群単独では感度66.2%・特異度97.3%であることを確認した。閲覧 2026-08-25
  3. 3.ASAS-EULAR recommendations for the management of axial spondyloarthritis: 2022 update(ASAS / EULAR・2022)全文(ポルトガル NOVA大学リポジトリ run.unl.pt の誌上版PDF、Ann Rheum Dis 2023;82:19–34)で確認した。NSAIDsは良好な反応があれば連続投与を優先すること。推奨9は、ASDAS 2.1以上・NSAIDs 2剤以上の不応・CRP上昇または仙腸関節のMRI炎症またはX線仙腸関節炎のいずれか、を満たす患者でTNF阻害薬・IL-17阻害薬・JAK阻害薬を考慮し、現在の実践ではTNF阻害薬かIL-17阻害薬から始めるとする(頭部比較試験が無く有効性で優先順位は付けにくいとし、JAK阻害薬では65歳超・喫煙などの危険因子を考慮する)。推奨10は反復ぶどう膜炎・活動性炎症性腸疾患ではTNFモノクローナル抗体、明らかな乾癬ではIL-17阻害薬を優先しうるとする。これらの推奨はX線基準を満たすか否かによらず体軸性脊椎関節炎全体に共通する閲覧 2026-09-24
  4. 4.Defining active sacroiliitis on MRI for classification of axial spondyloarthritis: update by the ASAS MRI working group(ASAS / OMERACT MRI working group・2016)軟骨下骨における骨髄浮腫の明確な存在が活動性仙腸関節炎を決定づける所見であるという定義が2016年改訂でも維持され、定義本体は変えずに適用の手引きと画像例を追加して明確化されたこと(病変数・スライス数という量的要件は定義本体に含まれない)を確認した。閲覧 2026-08-25
  5. 5.強直性脊椎炎(指定難病271)(難病情報センター・2025)日本における一般人口のHLA-B27保有率は約0.3%であり、米国(約6%)や中国(2〜8%)より低く、これが日本での強直性脊椎炎患者数の少なさに関連することを確認した閲覧 2026-08-25
  6. 6.Classification criteria for psoriatic arthritis: development of new criteria from a large international study(Arthritis & Rheumatism(CASPAR study group, Taylor et al.)・2006)CASPAR基準が「確立した炎症性の関節・脊椎・付着部病変」を前提条件とし、現在の乾癬(2点)、乾癬の既往、乾癬の家族歴、乾癬性爪変化、RF陰性、指趾炎、X線の傍関節新生骨(いずれも1点)から合計3点以上で乾癬性関節炎に分類することを確認した。588例の乾癬性関節炎と536例の対照(関節リウマチ384例・強直性脊椎炎72例など)から導出された閲覧 2026-08-25
  7. 7.EULAR recommendations for the management of psoriatic arthritis with pharmacological therapies: 2023 update(EULAR・2024)乾癬性関節炎の治療を末梢関節炎・体軸病変・付着部炎・指趾炎・皮膚・爪という病変ドメインごとに選び、csDMARD・bDMARD・JAK阻害薬の順序と併存症別の選択を定めていることを確認した閲覧 2026-08-25