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ASAS分類基準

ASAS classification criteria

臓器系
免疫・膠原病運動器
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 S-48:血清反応陰性脊椎関節炎内科学 R-05:血清反応陰性脊椎関節炎
構成:症状
急性前部ぶどう膜炎炎症性腰痛
構成:検査値
HLA-B27C反応性蛋白(CRP)
構成:画像所見
仙腸関節炎
適用疾患
強直性脊椎炎体軸性脊椎関節炎

🧠 全体像は、を含むを、X線変化が出るより前の段階から研究・向けに均質な患者群として捉えるための分類基準であり、日常診療の確定診断そのものではない。構造は点数の合計ではなく、のどちらかの経路を満たすかという二値の枠組みである。さらに、同じ「」という名称で、体軸性用と末梢性用という別個の基準が並存する点にも注意が要る。

目的と適用場面

内容
目的 臨床研究・治験のするための分類基準。診断そのものを行うツールではない
対象 3か月以上持続する腰かつ発症年齢45歳未満の患者(
使う場面 研究登録の適格性判定、を含めた疾患概念の整理。日常診療での確定診断には依然として単純X線所見を核とする)が使われる
評価しないもの 疾患活動性・重症度。と同様、分類基準をと混同しない

3か月以上持続する腰かつ発症年齢45歳未満であり、これを満たさない患者にはそもそも適用しない1。このを満たさない場合や、日常診療で確定診断を下す場合には、依然として単純X線所見を核とする)を用いる——両基準の使い分けの詳細はの分類・節に譲る。

構成要素と配点

を満たした患者は、次の2経路のいずれかを満たせばに分類される。

経路 要件
画像上の(X線でを満たす、またはMRIで2)+SpA特徴1項目以上
HLA-B27陽性+SpA特徴2項目以上

SpA特徴は次の11項目である。

SpA特徴 備考
の臨床像(、運動で軽快)
関節炎 現在または既往の
(踵) など踵部の
ぶどう膜炎 の既往を含む
指または趾全体のびまん性腫脹
乾癬 乾癬の現在または既往
Crohn病/ Crohn病の現在または既往
NSAIDsへの良好な反応 24〜48時間以内に腰が消失または著明に軽快する
SpAの家族歴 に体軸性SpA・・ぶどう膜炎・・IBDのいずれか
HLA-B27 HLA-B27陽性
(CRP)が他の原因なく上昇

⚠️ HLA-B27は「」であると同時に「SpA特徴の1項目」でもある。 ではHLA-B27陽性をSpA特徴の1つとして数えてよいが、ではHLA-B27陽性がすでにそのものであるため、特徴として二重に数えてはならない——で満たすべき「SpA特徴2項目以上」は、HLA-B27を除いた残り10項目から数える。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='entry criterion'>参入条件</span>:3か月以上持続する腰<span class='jp-term jp-term-diagram' title='back pain'>背部痛</span><br>かつ発症45歳未満"] --> B{"画像上の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Sacroiliitis'>仙腸関節炎</span>があるか<br>(X線基準またはMRI定義)"}
    B -->|"あり"| C{"SpA特徴1項目以上を追加で満たすか"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='imaging arm'>画像基準群</span>を満たす"]
    C -->|"いいえ"| E{"HLA-B27陽性か"}
    B -->|"なし"| E
    E -->|"陽性"| F{"HLA-B27を除くSpA特徴2項目以上を満たすか"}
    F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HLA-B27 arm'>HLA-B27基準群</span>を満たす"]
    F -->|"いいえ"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='axial spondyloarthritis'>体軸性脊椎関節炎</span>に分類しない"]
    E -->|"陰性"| H

末梢性脊椎関節炎のASAS基準(2011)

体軸性とは別に、末梢病変(関節炎・)を入口とする(2011年)が存在する。同じ「」という名称で、体軸性用と末梢性用という別個の基準が並存する点に注意する(がDVT用とPE用で・別の点数系を持つのと同じ構造である)。

区分 要件
関節炎・のいずれか1つ以上3
経路A 乾癬、、HLA-B27、ぶどう膜炎、画像上ののうち1項目以上
経路B 関節炎、の既往、SpAの家族歴のうち2項目以上(このうちで使った所見以外の項目を数える)

(関節炎・のいずれか)を満たしたうえで、経路Aまたは経路Bのいずれかを満たせばに分類される。感度77.8%・特異度82.9%と報告されている3

解釈とカットオフ

点数の合計を閾値と比較するものではなく、複数の経路のいずれかを満たすかどうかという二値の判定である1

💡 の分類基準で2つの経路を設けているのは、感度と特異度のに対応するためである。単独では感度66.2%・特異度97.3%と高い特異度を持つが、画像陰性の早期例を取りこぼす。を加えることで全体の感度は82.9%まで上がる一方、特異度は84.4%まで下がる1画像所見が乏しい早期例を拾うためにが存在する、と理解すると設計意図がつかみやすい。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 分類基準でありではない。 個々の患者の確定診断は、臨床像・画像・検査を統合した総合判断、または日常診療で使われる)で行う。

⚠️ 画像単独で判定しない。 健常者や機械的でもMRIでを認めることがあり、画像所見だけをと同一視しない(詳細はの「紛らわしいもの」節)。

⚠️ HLA-B27の解釈は集団によって変わる。 保有率が民族・地域で大きく異なるため、同じ「陽性」でもは集団ごとに変わる(詳細はHLA-B27)。

⚠️ を含む点が、との最大の違いである。 X線陰性でもMRI所見またはで分類できる設計であり、この点を混同するとを導入した意義そのものを見失う。

まとめ

  • は研究・向けの分類基準であり、日常診療の確定診断はまたは臨床的総合判断で行う。
  • (3か月以上持続する腰かつ発症45歳未満)を満たした患者に、(画像上の+SpA特徴1項目以上)または(HLA-B27陽性+SpA特徴2項目以上)のいずれかを適用する二値の判定である。
  • HLA-B27はでは特徴の1つだが、ではであり特徴として二重に数えない。
  • には体軸性とは別のASAS基準(2011年)があり、関節炎・とする。
  • 単独は高特異度、を加えると感度が上がる代わりに特異度が下がるというで設計されている。

出典

  1. 1.The development of Assessment of SpondyloArthritis international Society classification criteria for axial spondyloarthritis (part II): validation and final selection(Assessment of SpondyloArthritis international Society (ASAS)・2009)体軸性脊椎関節炎のASAS分類基準の参入条件を、3か月以上持続し45歳未満で発症した腰背部痛と定めたこと、画像基準群(画像上の仙腸関節炎+SpA特徴1項目以上)とHLA-B27基準群(HLA-B27陽性+SpA特徴2項目以上)の二経路構造であること、全体の感度82.9%・特異度84.4%、画像基準群単独では感度66.2%・特異度97.3%であることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Defining active sacroiliitis on MRI for classification of axial spondyloarthritis: update by the ASAS MRI working group(ASAS / OMERACT MRI working group・2016)2016年のASAS MRIワーキンググループによる改訂で、軟骨下骨における骨髄浮腫の明確な存在が活動性仙腸関節炎を決定づける所見であるという点が維持され、定義そのものは変えずに適用のための手引きと画像例を追加して明確化されたことを確認した(病変数・スライス数という量的要件は2016年版の定義本体には含まれない)。閲覧 2026-08-04
  3. 3.The Assessment of SpondyloArthritis International Society classification criteria for peripheral spondyloarthritis and for spondyloarthritis in general(Assessment of SpondyloArthritis International Society (ASAS)・2011)末梢性脊椎関節炎のASAS分類基準が、関節炎・付着部炎・指趾炎のいずれかを参入条件とし、(A)乾癬・炎症性腸疾患・先行感染・HLA-B27・ぶどう膜炎・画像上の仙腸関節炎のうち1項目以上、または(B)関節炎・付着部炎・指趾炎・炎症性腰痛の既往・SpAの家族歴のうち2項目以上のいずれかを満たすものと定めたこと、感度77.8%・特異度82.9%であることを確認した。閲覧 2026-08-04