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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 疾患

反応性関節炎

Reactive arthritis

別名
Reiter症候群ライター症候群reactive arthritisReA
臓器系
免疫・膠原病運動器
科目
Internal MedicineMedical Microbiology
トピック
内科学 R-05:血清反応陰性脊椎関節炎内科学 S-48:血清反応陰性脊椎関節炎微生物学 2/36:クラミジア・トラコマチスとクラミジアによる呼吸器感染症
鑑別疾患
ウイルス性関節炎化膿性関節炎(敗血症性関節炎)乾癬性関節炎
治療薬
ナプロキセンインドメタシンスルファサラジントファシチニブ
原因微生物
Chlamydia trachomatis D–KCampylobacter jejuniSalmonella enterica志賀赤痢菌Yersinia enterocolitica
症状
下痢腫脹急性前部ぶどう膜炎倦怠感
検査値
HLA-B27C反応性蛋白(CRP)赤沈リウマトイド因子
画像所見
仙腸関節炎

🧠 全体像は、消化管または尿路性器の感染から1〜6週後に生じる無菌性の関節炎である。関節そのものに病原体はいない——は別の場所にあり、そこで惹起された免疫反応が関節・眼・皮膚粘膜へ波及する「感染の巻き添え」という発想が病態の核心である。かつて関節炎・尿道炎・炎の3徴をReiter症候群と呼んだが、この3徴が揃うのは一部の患者に限られる上に、の由来となったHans Reiterがナチス政権下で非人道的な人体実験に関与した人物であったことから、現在この呼称は推奨されず「」に統一されている1

病態

Chlamydia trachomatis(尿路性器感染)、あるいはSalmonella属・Shigella属・Campylobacter属・Yersinia属(下痢を来す腸管感染)などの感染後、HLA-B27陽性者を中心に感受性が高まる。や滑膜からしばしば病原体の抗原・核酸が検出される一方、生きた病原体そのものが関節から分離されることは稀であり、感染そのものよりも病原体成分に対する持続的な免疫応答(自己免疫的なを含む)が関節・付着部・眼・皮膚粘膜の炎症を引き起こすと考えられている。

flowchart TD
    A["消化管感染(Salmonella・Shigella・Campylobacter・Yersinia)<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Chlamydia trachomatis'>尿路性器感染</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='locus of infection'>感染巣</span>は治癒しても病原体抗原・核酸が<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='joint fluid'>関節液</span>・滑膜に持続"]
    B --> C["HLA-B27陽性者を中心に<br>病原体成分への持続的な免疫応答"]
    C --> D["下肢優位の非対称性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mono-/oligoarthritis'>少関節炎</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enthesitis'>付着部炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dactylitis'>指趾炎</span>"]
    C --> F["眼・皮膚粘膜病変"]
    D --> G["大多数は6〜12か月で自然軽快"]
    D --> H["15〜30%が慢性の脊椎<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arthropathy'>関節症</span>へ進行"]

💡 関節炎そのものは無菌性であるという点が、この疾患のを決める最大のになる——がすでに消退していれば、状に対して抗菌薬を追加投与しても改善しない。

疫学

若年〜中年成人に多い。誘因はと腸管感染(Salmonella属・Shigella属・Campylobacter属・Yersinia属)の大きく2系統に分かれ、どちらが先行したかはでしか分からないことが多い。HLA-B27陽性は発症の感受性を有意に高める因子として知られるが1、他のと同様に「陽性なら発症する/陰性なら除外できる」検査ではない点に注意する。

臨床像

関節症状

感染から1〜6週後、下肢優位の非対称性(単関節〜数関節)が急性に始まる。膝・が好発部位である。と同様に付着部・など)、全体が腫脹する(「」の腫れ)を伴うことが多く、)を来すこともある。

関節外病変

かつてのReiter症候群という3徴(関節炎・尿道炎・炎)が揃うのは一部の患者に限られ、多くは1〜2要素にとどまる。炎が最多だが、を来すこともある。皮膚粘膜病変としては、手掌・足底に膿疱・角化性局面を生じる、亀頭に環状の浅い潰瘍を生じる環状が特徴的である。⭐ 発熱・などの全身症状を伴うことがある。

診断

を確定する単独の検査はなく、歴(1〜6週前の下痢・尿路性器症状)と関節炎のパターン、関節外所見を総合して臨床診断する。血液検査ではは陰性(血清反応陰性)で、CRPESRは上昇することが多い。HLA-B27陽性は感受性を裏づける所見だが、必須でも診断的でもない。

⚠️ 急性のでは、結果を待たずにまずを除外する。 は数時間〜数日で関節破壊に至りうる急性期の最重要鑑別であり、・培養を優先する。も非対称性の下肢優位という臨床像を共有するため、乾癬の既往・皮疹の有無を確認する。

特徴
発症 1〜6週後、急性 急性(数時間〜数日で進行) 〜急性、乾癬に先行・後発とも
炎症性だが培養陰性 培養陽性、白血球 炎症性だが培養陰性
手掛かり 下痢・尿道炎などの 発熱・強い局所熱感、免疫不全・人工関節などの危険因子 乾癬の既往・家族歴、爪病変
対応の 通常は ・培養を待たせない 通常は

治療

NSAIDs(など)が急性期の状に対する第一選択である。NSAIDs不応例には(2 g/日)が最も評価されている第二選択のDMARDで、より速やかに寛解を導く1用の副腎皮質ステロイドも症状緩和に用いられる。NSAIDs・に反応しない難治例ではなどの分子標的薬・生物学的製剤が試みられることがあるが、この難治例に対する生物学的製剤の使用は現時点でエビデンスが十分に確立していない2

⚠️ がすでに消退した後に生じた関節炎に対して、抗菌薬を漫然と継続投与しない——関節炎そのものは無菌性であり、感染がすでに治癒していれば抗菌薬の追加は状を改善しない。

⚠️ 過敏症・で注意を要し、開始前後に血算・肝機能をモニタリングする。妊娠を希望する男性では精子数減少の可逆的な副作用も説明する。

経過・予後

大半の患者は6〜12か月以内に自然軽快するが、15〜30%は慢性の脊椎へ進行し、を繰り返すこともある1。慢性化例ではなど他のと同様に長期の疾患管理が必要になる。

まとめ

  • は消化管・尿路性器感染から1〜6週後に生じる無菌性関節炎で、下肢優位の非対称性を特徴とする。
  • かつてのReiter症候群(関節炎・尿道炎・炎の3徴)という呼称は、3徴が揃う患者が一部にとどまることと、由来のHans Reiterの人権侵害への関与という倫理的問題から現在は用いられない。
  • 診断は歴と臨床像の総合判断によるが、急性ではまずを除外することが最優先である。
  • 治療はNSAIDsを第一選択とし、不応例にはを追加する。生物学的製剤は難治例で試みられるがエビデンスは限定的である。
  • 大半は6〜12か月で自然軽快するが、15〜30%は慢性の脊椎へ進行しうる。

出典

  1. 1.Reactive Arthritis(StatPearls Publishing(NCBI Bookshelf)・2026)反応性関節炎は消化管・尿路性器感染から1〜6週後に生じる無菌性関節炎であり、旧称Reiter症候群は臨床像の一部しか捉えない上にHans Reiterの人権侵害への関与という倫理的問題から現在は用いられないこと、原因菌はChlamydia trachomatis・Salmonella属・Shigella属・Yersinia属・Campylobacter属が代表的でHLA-B27が感受性を高めること、NSAIDsが急性期の第一選択でありサラゾスルファピリジン(2 g/日)が不応例の第一選択DMARDで生物学的製剤は難治例に用いられること、大半は6〜12か月で回復するが15〜30%が慢性の脊椎関節症へ進行することを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Treatment of reactive arthritis with biological agents: a review(Bioscience Reports・2020)反応性関節炎は自然軽快することが多いが、NSAIDs・糖質コルチコイド・免疫抑制薬に反応不良な難治例が存在すること、この難治例に対する生物学的製剤の使用は現時点でエビデンスが不十分であることを確認した。閲覧 2026-08-10