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Symptoms · Published

倦怠感

Malaise

別名
倦怠全身倦怠感疲労
臓器系
全身
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 S-50:筋力低下の内科的原因と鑑別診断内科学 H-01:貧血患者の診断アプローチ
関連疾患
1型糖尿病2型糖尿病COVID-19罹患後症状Dressler症候群アセトアミノフェン(パラセタモール)中毒アナプラズマ症アルコール性肝疾患アルシン(ヒ化水素)ガス中毒インフルエンザカルチノイド心疾患サルコイドーシスシーハン症候群シェーグレン症候群ジフテリアスポーツにおける相対的エネルギー不足セリアック病パーキンソン病バベシア症ヘモクロマトーシスホジキンリンパ腫ポリオポリオ後症候群マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎)メトヘモグロビン血症ライム病ランバート・イートン筋無力症候群リウマチ性多発筋痛症リンパ管炎リンパ形質細胞性リンパ腫レジオネラ症悪液質悪性中皮腫胃炎一酸化炭素中毒下垂体機能低下症化膿性関節炎(敗血症性関節炎)拡張型心筋症寒冷凝集素症感染性心内膜炎肝細胞癌器質化肺炎飢餓性ケトーシス急性・慢性尿細管間質性腎炎急性リンパ性白血病急性冠症候群急性高山病急性骨髄性白血病急性心膜炎急性腎盂腎炎・腎膿瘍急性虫垂炎急性放射線症候群巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)巨赤芽球性貧血狂犬病筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群結核結節性紅斑結節性多発動脈炎血管異形成血清病血栓性血小板減少性紫斑病血栓性微小血管症原発性カルニチン欠損症原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎原発性副甲状腺機能亢進症原発性副腎不全抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)拘束型心筋症甲状腺機能低下症高安動脈炎骨髄異形成症候群骨髄炎骨髄癆性貧血骨肉腫・ユーイング肉腫再生不良性貧血市中肺炎自己免疫性肝炎重症筋無力症徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)心房細動新型コロナウイルス感染症身体症状症・変換症・病気不安症腎性貧血正常血糖ケトアシドーシス脊椎椎体炎・椎間板炎線維筋痛症前立腺炎全身性エリテマトーデス多発性硬化症大腿骨頸部・転子部骨折大腸癌丹毒・蜂窩織炎胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)男性性腺機能低下症腸チフス鉄芽球性貧血鉄欠乏性貧血伝染性単核球症糖尿病性ケトアシドーシス・高血糖高浸透圧症候群動揺病特発性肺線維症尿崩症妊娠悪阻妊娠高血圧腎症・子癇・HELLP症候群妊娠性膿疱性乾癬肺癌肺高血圧症肺静脈閉塞性疾患反応性関節炎非アルコール性脂肪肝疾患副腎白質ジストロフィー閉塞性睡眠時無呼吸慢性血栓塞栓性肺高血圧症慢性骨髄性白血病慢性骨髄単球性白血病慢性再発性多発性骨髄炎慢性疾患に伴う貧血慢性心不全慢性腎臓病慢性副鼻腔炎門脈肺高血圧症野兎病薬剤誘発性ループス有毛細胞白血病有毛細胞白血病バリアント溶血性尿毒症症候群流行性耳下腺炎塹壕熱膵癌
起因薬
(フォス)アプレピタントアバプリチニブアパルタミドアベルマブアレクチニブイサツキシマブエトラナコゲン デザパルボベクエロツズマブエンコラフェニブエンザルタミドエンホルツマブ ベドチンオシロドロスタットカバジタキセルゲムシタビンコール酸シプロテロン酢酸エステルジロートンスチムリマブセリプロロールソラフェニブダラツムマブダリドレキサントタルラタマブダロルタミドテモゾロミドトラメチニブトレメリムマブビニメチニブベキサロテンペグインターフェロン アルファペグセタコプランモキセツモマブ パスドトクスラメルテオンリバビリンリプレチニブレラトリマブロムスチン遺伝子組換えADAMTS13製剤抱水クロラール
スコア
NYHA心機能分類

🧠 全体像:倦怠感は最も非特異的な訴えの一つで、そのままでは鑑別が広がりすぎる。最初にやるのは原因を挙げることではなく、言葉をほどくこと——患者の言う「だるい」が、な筋力低下なのか、眠気なのか、なのか、意欲の低下なのかを分ける。ここを分けないまま検査を並べても収束しない。分けたうえで、経過(急性か慢性か)と随伴する他覚所見の有無で絞る。他覚所見を伴わない慢性倦怠感は、の除外と同時に、うつ・睡眠障害・薬剤という頻度の高い原因を最初から視野に入れる。

まず言葉をほどく

⭐ 「だるい」という訴えは、医学的に異なる複数の現象を指す。この区別が鑑別の起点になる。

患者の訴え 医学的な現象 確認の仕方
力が入らない な筋力低下 。左右差・分布を見る
すぐ疲れる 反復動作での増悪。を示唆
眠い 傾眠・睡眠障害 睡眠時間、いびき、日中の居眠り
動くと息が切れる 心肺の評価へ
やる気が出ない ・抑うつ 興味の消失、、睡眠・食欲
体がだるい(全身) 感 上記のいずれでもないことを確認

⚠️ 倦怠感と筋力低下を混同しない。 な筋力低下があれば、局在診断(・・・筋)へ進む別の鑑別体系に入る。倦怠感の鑑別で時間を使うべきではない。

💡 「反復すると悪化し、休むと回復する」は(重症筋無力症)の特徴で、単なる倦怠感とは区別される。夕方に増悪するやを伴えば強く疑う。

見逃してはいけない倦怠感

⚠️ 倦怠感が唯一の訴えでも、緊急性のある病態が隠れていることがある。

病態 拾い方
副腎不全 倦怠感+食欲低下+低血圧+低Na血症。ステロイド中止歴。は致死的
高Ca血症 倦怠感+意識変容+多尿+便秘。悪性腫瘍の存在
重症貧血・ 蒼白、頻脈、。やの有無
心不全 、浮腫、を伴う
敗血症・重症感染 高齢者では発熱せず倦怠感と意識変容だけのことがある
悪性腫瘍 体重減少、、リンパ節腫脹、貧血を伴う
甲状腺機能低下症 寒がり、便秘、徐脈、、体重増加

⭐ 高齢者の「なんとなく元気がない」は重症感染のことがある。 発熱がなくても、意識・食欲・活動性の変化を重く見る。

経過で分ける

flowchart TD
    A["倦怠感の訴え"] --> B["訴えの内容をほどく"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='objective'>客観的</span>な筋力低下があるか"}
    C -->|"あり"| D["筋力低下の局在診断へ"]
    C -->|"なし"| E{"経過はどうか"}
    E -->|"急性(数日〜数週)"| F["感染・薬剤・代謝・出血<br>副腎不全・電解質異常"]
    E -->|"慢性(数か月〜)"| G["随伴する他覚所見があるか"]
    G -->|"あり"| H["その所見に沿った検索<br>貧血・悪性腫瘍・内分泌・臓器不全"]
    G -->|"なし"| I["睡眠障害・うつ・薬剤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Lifestyle'>生活習慣</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='organic disease (as opposed to functional)'>器質疾患</span>の基本検索と並行"]

急性の倦怠感は原因が特定しやすい。問題は慢性で他覚所見に乏しい場合で、ここでは頻度の高い原因を最初から候補に入れることが遠回りを避ける鍵になる。

慢性倦怠感でよくある原因 見落とされやすい理由
睡眠障害(睡眠時無呼吸を含む) 患者が症状として申告しない
うつ病・ 身体症状として表現される
薬剤(β遮断薬、抗ヒスタミン薬、など) 開始時期との関連を尋ねないと出てこない
アルコール 申告が過少になりやすい
貧血・鉄欠乏 軽度では所見が乏しい
甲状腺機能低下症 症状が非特異的

薬剤の有害事象としての倦怠感

⭐ 添付文書で倦怠感を探すときは、「どの語で集計されているか」を先に見る。 に用いるの米国添付文書では、CARDINAL試験(24例)の副作用表(15%以上を採録)で fatigue が8例(33%)と最多の全身症状だが、この行には注記があり、asthenia()・malaise(倦怠感)・mental fatigue(精神的疲労)が1つの用語にまとめられている1。💡 患者の「だるい」を医学的な現象へほどく作業は、添付文書の側でも逆向きに行われている——集計の段階で複数の訴えが1語へ束ねられるので、表の数字は「その語で報告された頻度」ではなく「束ねた後の頻度」である。

⚠️ 同じ薬でも、の4.8の副作用一覧と日本の電子添文「11.2 その他の副作用」には倦怠感・疲労・のいずれも挙がらない23。⚠️ どの文書も理由を述べていないので、「日本人では起きにくい」と補わない。 書けるのは「米国の添付文書の表にはこの頻度で載り、・日本の一覧には載らない」までである。

基本の検索

他覚所見に乏しい慢性倦怠感では、網羅的な検査より焦点を絞った基本検査+丁寧な病歴が効率的である。血算、電解質、腎肝機能、血糖、、またはといった基本項目に、病歴で示唆された項目を足す。

⚠️ 網羅的なは偽陽性を生み、本来の原因から注意を逸らす。「異常が出るまで検査を増やす」戦略は、慢性倦怠感では特に有害になりやすい。

⚠️ 一方で、体重減少・発熱・・リンパ節腫脹・貧血といったな異常を伴う倦怠感は、と決めない。の検索を優先する。

まとめ

  • 倦怠感の評価は、訴えを筋力低下・・眠気・呼吸困難・に分けるところから始める。
  • な筋力低下があれば、局在診断という別の鑑別体系へ移る。
  • 急性の倦怠感では、副腎不全・高Ca血症・重症貧血・敗血症を除外する。
  • 高齢者の「なんとなく元気がない」は重症感染のことがあり、発熱がなくても重く見る。
  • 慢性で他覚所見に乏しければ、睡眠障害・うつ・薬剤・アルコールを最初から候補に入れる。
  • な異常(体重減少・発熱・貧血など)を伴う倦怠感をと決めない。
  • ⚠️ 薬剤の副作用として倦怠感を調べるときは、添付文書が倦怠感・・精神的疲労を1語に束ねていることがある(の米国添付文書の fatigue 33%がその例)1。表の数字は束ねた後の頻度で、・日本の一覧には同じ事象が挙がらないこともある23。

出典

  1. 1.ENJAYMO (sutimlimab-jome) injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed。Labeler は Recordati Rare Diseases, Inc.)・2024)openFDAで同一SPL(set_id 0a25363a-…、printed の改訂表示は逐語で "Revised: 11/2024")の 6 ADVERSE REACTIONS 全文を取得して確認した。CARDINAL試験(N=24)の表4(表題は "Adverse Reactions (≥15%) in Patients Receiving ENJAYMO in the CARDINAL Study")の GENERAL DISORDERS の行に Fatigue 8 (33%) があり、同じ行に逐語で "Fatigue includes asthenia, malaise, mental fatigue" という統合用語の注記が付く。散文の "The most common adverse reactions (≥25%) reported in the CARDINAL study" の10項目にも fatigue が入る。閲覧 2026-09-16
  2. 2.Enjaymo 50 mg/mL solution for infusion — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency(EPAR product information。販売承認取得者 Recordati Rare Diseases)・2025)EPAR製品情報(Annex I)のPDF全文を取得して確認した。4.8の表2(CADENZA・CARDINAL試験の副作用一覧)の General disorders の行は common 欄の pyrexia・feeling cold・infusion related reactions だけで、fatigue・asthenia・malaise はいずれも表に無い。PDF全体で asthenia と malaise は0件、fatigue が出るのは有効性評価のFACIT-Fatigueスケールと、患者向けリーフレットが本剤の効能を説明する一文だけである。⚠️ year の根拠は EMA 製品ページの Last updated(English (EN) の EPAR - Product Information が 2025-08-01)である。PDF本体の「10. DATE OF REVISION OF THE TEXT」は見出しだけで日付が印字されておらず、PDF の作成日は 2025-07-10 である。閲覧 2026-09-16
  3. 3.エジャイモ点滴静注1.1g 電子添文(医薬品医療機器総合機構(製造販売元:レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社)・2025)2025年6月改訂(第6版)の電子添文の全文(HTML)を取得して確認した。「11.2 その他の副作用」の表は血管障害・全身及び投与局所・胃腸障害・感染症・筋骨格・呼吸器・神経系障害の7行で、全身及び投与局所の行に入るのは10%以上の「注入に伴う反応」だけである。「倦怠」「疲労」の語は全文で0件である。閲覧 2026-09-16