疾患ノート一覧へ

Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

急性骨髄性白血病

Acute myeloid leukemia

別名
AML
臓器系
血液腫瘍
科目
Internal MedicinePathologyPediatrics
トピック
内科学 H-28:急性骨髄性白血病内科学 S-37:急性白血病病理学 C/9:急性骨髄性白血病/リンパ形質細胞性リンパ腫小児科 3-01:白血病
上位概念
白血病
鑑別疾患
急性リンパ性白血病再生不良性貧血不明熱
合併症
血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)
続発疾患
播種性血管内凝固敗血症Sweet症候群好中球性エクリン汗腺炎
関連疾患
全身性肥満細胞症白血病の皮膚浸潤
治療薬
シタラビンダウノルビシンイダルビシンミドスタウリンイボシデニブエナシデニブグラスデギブゲムツズマブオゾガマイシンCPX-351トレチノインベネトクラクスヒドロキシ尿素アロプリノールラスブリケースデキサメタゾンフィルグラスチム6-チオグアニンギルテリチニブ
原因薬剤
シクロホスファミドドキソルビシンエトポシドメルファランオラパリブロミプロスチム
原因微生物
Aspergillus fumigatusPseudomonas aeruginosa
症状
意識障害関節痛倦怠感呼吸困難腫脹出血出血傾向蒼白点状出血頭痛動悸発熱皮疹二次原発悪性腫瘍歯肉増生
検査値
フィブリノゲン血算血小板数絶対好中球数尿酸白血球数
スコア
FAB分類
組織像
急性骨髄性白血病(MGG染色)急性骨髄性白血病(MPO染色)
下位分類
急性前骨髄球性白血病
原因となる疾患
Fanconi貧血ダウン症候群(21トリソミー)骨髄異形成症候群縦隔原発胚細胞腫瘍真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症先天性角化異常症慢性骨髄性白血病慢性骨髄単球性白血病
適応薬
CPX-351(ダウノルビシン・シタラビン リポソーム配合剤)アザシチジンイダルビシンイボシデニブエナシデニブギルテリチニブグラスデギブゲムツズマブオゾガマイシンビンデシンベネトクラクスミドスタウリン

🧠 全体像:()は、が特定の分化段階でクローン性に増殖を止め()、芽球が骨髄・末梢血を占拠して正常造血を圧迫するである。現在の診断・治療は形態だけに頼らず、第5版分類の、ELN2022、を軸に組み立てる。臨床の入口では「・(特に)・」という3つの急性期救急を、診断確定を待たずに並行してスクリーニングすることが最優先である。

病態

正常な造血幹・前駆細胞に、転写因子・・などをコードする遺伝子の変異やが段階的に蓄積し、①特定の分化段階での()と②自己・の亢進が組み合わさることで白血病性芽球が生じる。芽球は骨髄を占拠して正常な赤芽球・・前駆細胞を物理的・機能的に抑制し、血球減少(貧血・血小板減少・好中球減少)を引き起こす。末梢血や組織(歯肉、皮膚など)への浸潤も生じる。

  • de novo AML:先行疾患なく発症する。
  • ()や(MPN)からの二次性:予後不良群に分類されることが多い。
  • 治療関連(t-):先行する・・放射線治療歴を有し、予後不良群に分類される。
flowchart TD
    A["造血幹・前駆細胞に遺伝子変異が段階的に蓄積"] --> B["特定分化段階での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maturation arrest'>成熟停止</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='differentiation block'>分化ブロック</span>)"]
    B --> C["自己<span class='jp-term jp-term-diagram' title='replication competence'>複製能</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proliferation'>増殖能</span>の亢進"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myeloblasts'>骨髄芽球</span>が骨髄・末梢血で増殖"]
    D --> E["正常造血の圧迫"]
    E --> F["貧血・好中球減少・血小板減少"]
    D --> G["末梢血中の芽球増多"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukostasis'>白血球うっ滞</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='increased blood viscosity'>血液粘稠度上昇</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microvascular obstruction'>微小血管閉塞</span>)"]
    D --> I["顆粒球顆粒からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue factor'>組織因子</span>放出(特に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute promyelocytic leukemia'>APL</span>)"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated intravascular coagulation, DIC'>播種性血管内凝固</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated intravascular coagulation'>DIC</span>)"]
    D --> K["急速な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell turnover'>細胞回転</span>・治療開始後の細胞崩壊"]
    K --> L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor lysis syndrome, TLS'>腫瘍崩壊症候群</span>"]

💡 では末梢血のが必ずしも増加するとは限らず、正常または低値でも発症しうる。血球減少があるのにだけ正常/低値だからといってを除外してはならない。

⚠️ ()は::RARA融合遺伝子を有するの一亜型で、腫瘍顆粒球の顆粒に含まれる・などがを強く活性化し、重篤なを高頻度に合併する。を疑った時点で遺伝学的確定を待たずに治療を開始する数少ないである(詳細は「治療」節)。

臨床像

機序 症状・所見
貧血 倦怠感、、、蒼白
好中球減少・機能不全 発熱、反復・重症感染、、
血小板減少・ 点状出血、紫斑、・、重篤な臓器出血(特に)
呼吸不全、頭痛、意識障害、、神経
浸潤 、皮膚浸潤()、骨・関節痛、まれに中枢神経浸潤
代謝 (高K血症、高P血症、低Ca血症、、)

⭐ 発熱・・貧血症状のいずれかで受診した患者に末梢血芽球や原因不明の血球減少を認めたら、感染()・・・の4つを同時にスクリーニングする。これらは互いに独立した機序で起こりうる、初診時からの並行対応が必要な急性期病態である。

診断

検査の組み立て

評価 内容
血算・ 芽球の有無、、血球減少パターン、
・生検 芽球比率、形態(3〜5個の核小体・繊細なクロマチン・を持つ芽球)、骨髄細胞密度
と異常(CD34・CD13・CD33・・MPO陽性など。ではCD14・CD64、分化ではCD41・CD61・CD42bが陽性となる)
・ 反復性転座(t(15;17)、t(8;21)、inv(16)など)
分子検査(迅速パネル) NPM1、FLT3-ITD/TKD、CEBPA、IDH1/2、TP53など
凝固・生化学 評価(フィブリノゲン、/、)、腫瘍崩壊評価(K、P、Ca、尿酸、腎機能)、

診断の基準はに骨髄または末梢血の芽球20%以上とされてきたが、第5版分類(2022年)ではを規定する(::RARA、RUNX1::RUNX1T1、CBFB::MYH11など)を有する場合、20%未満の芽球でも診断できる(BCR::ABL1融合やCEBPA変異など一部の亜型は従来通り20%基準を維持)。この点で(ICC)は多くの遺伝子異常に10%閾値を採用しており両者は完全には一致しないため、実務では所属施設・が準拠する分類体系を確認する。

💡 では「」——未熟な芽球とが両方多数みられ、その間の分化段階(・骨髄球など)がほとんど存在しない像——がを示唆する古典的所見である。など慢性期のでは、逆に未熟〜成熟の全分化段階が連続してみられる点と対比すると理解しやすい。

歴史的FAB分類(形態による分類)

現在の診断は遺伝学的分類が主体だが、形態の理解と過去文献の解釈にはが有用。

型 歴史的名称
M0 最
M1
M2 分化型
M3 ()
M4 急性骨髄単球性白血病
M5 急性単球性白血病
M6 急性
M7

ELN2022遺伝学的リスク層別化

寛解後治療(かか)の判断に直結する。

リスク群 代表的な遺伝学的所見
予後良好 t(8;21) RUNX1::RUNX1T1、inv(16)/t(16;16) CBFB::MYH11、(FLT3-ITD陰性)、CEBPA bZIPドメインin-frame変異
予後中間 +FLT3-ITD陽性(アリル比を問わず)、NPM1野生型+FLT3-ITD陽性(予後不良所見を伴わない場合)、t(9;11) MLLT3::KMT2A、遺伝学的所見が予後良好・不良のいずれにも該当しない例
予後不良 TP53変異、、核型、単独の−5/del(5q)・−7・−17/abn(17p)、t(6;9) DEK::NUP214、t(9;22) BCR::ABL1、inv(3)/t(3;3) GATA2,MECOM(EVI1)再構成、(t(9;11)以外)、二次型(骨髄異形成関連)変異を伴う例、でも予後不良核型を合併する例

💡 ELN2022では、があってもFLT3-ITDを合併する場合は予後中間群に、二次型(骨髄異形成関連)変異が加わる場合は予後不良群に格上げされる。「=一律予後良好」ではなく、他の分子異常との組み合わせで再評価する。

flowchart TD
    A["発熱・出血・貧血+末梢血芽球を疑う"] --> B["血算・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral smear'>末梢血塗抹</span>、凝固、電解質・尿酸を同時提出"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute promyelocytic leukemia'>APL</span>を示唆する所見(異型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='promyelocyte'>前骨髄球</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated intravascular coagulation'>DIC</span>)"}
    C -->|"はい"| D["遺伝学的確認を待たず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='all-trans retinoic acid'>ATRA</span>開始+血小板・フィブリノゲン補充"]
    C -->|"いいえ"| E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukostasis'>白血球うっ滞</span>・腫瘍崩壊・重症感染の徴候"}
    E -->|"はい"| F["緊急支持療法(細胞減量・補液・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='electrolyte correction'>電解質補正</span>)"]
    E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow aspiration'>骨髄穿刺</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>・染色体・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid molecular test'>迅速分子検査</span>"]
    D --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive multifocal leukoencephalopathy'>PML</span>::RARAを緊急確認し治療を最適化"]
    F --> G
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='World Health Organization'>WHO</span>分類・ELN2022リスクを確定"]
    I --> J["治療適格性・分子標的の有無に応じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatment strategy'>治療方針</span>を決定"]

治療

診断直後の3大救急への対応

病態 初期対応
(目安: 概ね10万/μL以上、または症状を伴う高値) などによる速やかな細胞減量、重症例ではを検討。⚠️ はをさらに上げうるため、症候性貧血でない限り急性期は慎重にする
(高K・高P・低Ca・、AKI) 十分な輸液と頻回の電解質モニタリング、または高リスク例(10万/μL以上など)では。⚠️ は欠損症で溶血・を起こしうるため禁忌相当であり、リスクのある患者背景では投与前に活性を確認し、欠損例は+輸液・に切り替える
(で特に高頻度) の管理に準じ、血小板・・フィブリノゲン製剤を積極的に補充しながら原疾患治療(なら)を直ちに開始する
培養採取後、遅滞なくを持つを開始する(敗血症に準じた迅速な初期対応)

APLは独立した緊急病態として扱う

(::RARA陽性)は最も治癒率の高い亜型である一方、診断確定前の早期死亡(主にによる出血死)を防ぐことが最重要課題である。

  • 異型+を示唆する所見があれば、遺伝学的確認(::RARA)を待たずに(、)を開始する(ELN 2019 推奨1.5、Ib–A)1。
  • ・を少なくとも1日1回測定し、フィブリノゲンを100〜150 mg/dL超、を30,000〜50,000/μL超、を1.5未満に保つよう、フィブリノゲン/・血小板・を積極的に補充する(推奨1.6、IIb–B)1。
  • (中心静脈カテーテル留置・・気管支鏡など)は寛解導入前および導入中は避け(推奨1.9、IV–C)、はを誘発する危険があるため避ける(推奨1.11、III–B)1。
  • Sanz risk score(診断時のと)が3群に分けるのに対し、ELN 2019 が治療を振り分ける単位はだけの2群である。低〜(=非高リスク。10,000/μL以下)では+(ATO)を化学療法なしで用いるのが第一選択で、ATOが禁忌または経済的に用いられない場合の第2の選択肢として+化学療法が挙げられている(推奨2.2、Ib–A)1。
  • ⚠️ 高リスク(10,000/μLを超える)のは一本化されていない。 推奨2.3(Ib–A)は「2つの妥当な選択肢がある」として、①+ATOに一定量の化学療法を加えるか、②従来の+化学療法かを並べ、無作為化試験でいずれのも示されていないことを理由に挙げる1。「高リスクなら+ATOに化学療法を足す」と一本に覚えると、この分岐が消える。なお、発症時の高白血球に対する細胞減量は導入の骨格ごとに薬が変わる(推奨1.10、IV–C)——+化学療法ならまたは(単独または併用)、+ATOなら12 mg/m²または6〜9 mg/m²である。
  • (発熱、体重増加、浮腫、胸水・、呼吸不全)を疑ったら、最も早い臨床的疑いの時点で10 mgの1日2回静注を直ちに開始する(推奨1.13、IIa–B)。⚠️ ・ATOの一時中断が適応となるのは重症のの場合だけであり(推奨1.14、IIa–B)、軽快したらステロイドを中止してATO/を再開する1。

⚠️ での過度な出血死を避けるための輸血閾値(血小板・フィブリノゲン)は、他の亜型よりも高めに設定される点に注意する。通常ので許容される血小板閾値をそのまま当てはめない。

非APL AMLの治療原則

だけで強力療法()の適否を決めない。全身状態、認知・身体機能、併存症、臓器機能、患者本人の希望を総合して治療強度を選択する。

⚠️ 「強力療法に適格か否か」というは、現在の枠組みでは出発点にすぎない。 ELNの評価に関する2025年の勧告は、とは強力化学療法への適格性という一般的なではなく、利用可能な複数の治療のうち特定の治療への適格性を反映すべきものだと述べている(原文の逐語は出典の claim に記録した)2。は年齢・全身状態・併存症・身体機能の包括的評価と定義され(推奨1、LoE I・GoR A)、異なるの水準が異なる治療強度に対応するため、患者は「特定の治療戦略に対して適格」と判断されるべきだとされる(推奨2、LoE IV・GoR A)。💡 低強度治療の選択肢が増えたことが背景で、fit・unfit・frailの3区分を超えた水準を認める必要があるとパネルは述べている。治療決定は患者側()と疾患側(遺伝学的所見)の特徴、および患者の希望に基づかせる(推奨10、LoE I・GoR A)。下の表の「適格/」は、この粒度で読み替える。

⭐ 適格性は移植と一対一に対応しない。 強力化学療法に適格であることはの適格を意味せず(推奨3、IV–B)、逆に強力治療にでも、非強力治療でに至った後のの適格は否定されない(推奨4、IV–B)2。⚠️ 積極的治療にな患者でも、支持療法のみとする前に標的の対象となりうる変異を検査する(推奨11、IV–C)。治癒が望めない場合でも、症状緩和を目的とした抗白血病治療は考慮してよい(推奨5、IV–C)。

状況 治療の方向性
強力療法に適格 +(いわゆる「7+3」)を基盤とする寛解導入。FLT3変異陽性ならなどのを寛解導入・に併用し3、CD33陽性ならをに併用する4。治療関連/骨髄異形成関連では遊離型の・ではなく、両薬をに封入した合剤CPX-351を用いる5
強力療法に(高齢・併存症など) (・)+を基盤に、併存症・分子所見を考慮して強度を調整
寛解後 ELN2022リスクとMRDに基づき、(高用量など)またはを選択。予後不良群・MRD陽性例ではを優先的に検討
標的異常あり FLT3変異には、IDH1/2変異には阻害薬を治療時期に応じて使用
再発・難治 再評価した分子異常に基づく、標的薬、、を検討

全体に一律の長期維持療法を行うわけではなく、病型・治療強度・・MRDに応じて選択する。は一般的な標準治療ではなく、再発リスクの高い適格例ではを優先する。高齢・強力療法例でも+が常に適するとは限らず、変異プロファイル、骨髄抑制、感染リスク、薬物相互作用を踏まえて個別に調整する。

💡 好中球減少期の支持療法としてなどの製剤が用いられることがあるが、治療において一律必須というわけではなく、プロトコルと(好中球減少の重症度・感染リスク)に応じて判断する。では、緑膿菌などのグラム陰性桿菌(Pseudomonas aeruginosa)や、長期・重度の好中球減少では(Aspergillus fumigatus)を含む真菌感染も念頭に置く。

まとめ

  • はのとによる急性で、末梢血球数が低値でも起こりうる。
  • 診断は第5版分類に基づき形態・・染色体・分子遺伝学を統合し、があれば芽球20%未満でも診断される病型がある。
  • 診断直後には・(特に)・・の4つの急性期病態を並行してスクリーニングする。
  • を疑ったら遺伝学的確認を待たずにを開始し、血小板・フィブリノゲンを積極的に補充してを支持する。は最も早い臨床的疑いの時点でを開始し、⚠️ ・ATOの一時中断は重症例に限る1。
  • ⚠️ の非高リスク(10,000/μL以下)は+ATOが第一選択だが、高リスク(同10,000/μL超)は「+ATO+一定量の化学療法」と「従来の+化学療法」の2つが妥当な選択肢で、どちらのも無作為化試験では示されていない(推奨2.3、Ib–A)1。
  • 非 の治療は治療適格性・ELN2022遺伝学的リスク・MRDに基づいて寛解導入・・を組み立て、のみで強力療法の可否を決めない。適格性は「強力療法に耐えられるか」のではなく、特定の治療への適格性として評価する(ELN 2025、推奨2、LoE IV・GoR A)。強力化学療法の適格との適格は一致しない2。

出典

  1. 1.Management of acute promyelocytic leukemia: updated recommendations from an expert panel of the European LeukemiaNet(European LeukemiaNet / Blood(Sanz MA, et al.)・2019)PMC6509567 の全文(Table 1・Table 2 を含む)を取得して確認した。推奨1.5(Ib–A)はAPLを疑った時点でATRAを直ちに開始するとし、推奨1.6(IIb–B)は疑った時点からフィブリノゲン/クリオプレシピテート・血小板・新鮮凍結血漿を輸注してフィブリノゲンを100〜150 mg/dL超、血小板数を30×10⁹/L〜50×10⁹/L超、INRを1.5未満に保つことを求める。推奨1.9(IV–C)は中心静脈カテーテル留置・腰椎穿刺・気管支鏡などの侵襲的処置を寛解導入前および導入中は避けるとし、推奨1.11(III–B)は白血球アフェレーシスを致死的出血を誘発する危険のため避けるとする。⚠️ ELN が治療を振り分けるのは Sanz risk score の3群ではなく、白血球数1万/μL以下(非高リスク)と1万/μL超(高リスク)の2群である。推奨2.2(Ib–A)は非高リスクでATRA+三酸化二ヒ素(ATO)を化学療法なしで用い、ATOが禁忌または経済的に用いられない場合の第2の選択肢としてATRA+アントラサイクリン系化学療法を挙げる。⚠️ 推奨2.3(Ib–A)は高リスクについて逐語で「there are 2 valid options, either ATRA + ATO with a certain amount of chemotherapy or conventional ATRA + anthracycline–based chemotherapy」と述べ、本文も「neither has yet been shown to be superior in randomized studies」として一本化していない。推奨1.10(IV–C)は発症時の高白血球に対する細胞減量を骨格ごとに分け、ATRA+化学療法ではイダルビシンまたはダウノルビシン(単独またはシタラビン併用)、ATRA+ATOではイダルビシン12 mg/m²またはゲムツズマブオゾガマイシン6〜9 mg/m²とする。推奨1.13(IIa–B)は分化症候群の初発が疑われた最も早い時点でデキサメタゾン10 mgの1日2回静注を直ちに開始し軽快後にステロイドを中止してATO/ATRAを再開すること、⚠️ 推奨1.14(IIa–B)は分化療法(ATRAまたはATO)の一時中断が重症の分化症候群の場合にのみ適応となることを述べる。閲覧 2026-09-16
  2. 2.Fitness assessment in acute myeloid leukemia: recommendations from an expert panel on behalf of the European LeukemiaNet(European LeukemiaNet / Blood Advances・2025)PMC12083920 の全文(推奨表 Table 1〜3 を含む)を取得して確認した。抄録は逐語で「fitness should reflect eligibility for a specific treatment among the several available, rather than a generic binary classification of eligibility for intensive chemotherapy」と述べ、強力化学療法の適否という一般的な二分法を退ける。推奨1(LoE I・GoR A、合意96%)はフィットネスを年齢・全身状態・併存症・身体機能の包括的評価と定義し、推奨2(LoE IV・GoR A、合意92%)は逐語で「Different fitness levels correspond to different treatment intensities. Accordingly, patients should be considered "fit for" a specific treatment strategy」である。パネル勧告は「fit」「unfit」「frail」という従来の区分を超えた水準を認める必要性を述べる。推奨3(IV–B)は強力化学療法の適格が同種移植の適格を意味しないこと、推奨4(IV–B)は強力治療に不適格でも非強力治療で完全寛解に至った後の同種移植の適格は否定されないこと、推奨5(IV–C)は治癒が望めなくても症状緩和のために抗白血病治療を考慮すべきこと、推奨10(LoE I・GoR A、合意100%)は治療決定を患者側(フィットネス)と疾患側(遺伝学的所見)の特徴および患者の希望に基づかせること、推奨11(IV–C)は積極的治療に不適格な患者でも支持療法単独とする前に標的単剤療法の対象となりうる変異を検査すべきことを述べる。本文は強力治療としてシタラビン+アントラサイクリン(7+3)とCPX-351を、低強度治療として低メチル化薬、低メチル化薬+ベネトクラクス、低用量シタラビン(単独またはグラスデギブ併用)、イボシデニブ/エナシデニブ、ゲムツズマブオゾガマイシン単剤、ギルテリチニブ単剤を挙げる。⚠️ 合意(同意70%以上)に達しなかったのは推奨12と推奨21の2項目であり、本ノートはそのどちらも用いていない。閲覧 2026-09-16
  3. 3.RYDAPT (midostaurin) capsules — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2023)FLT3変異陽性の新規診断AML患者で、標準的なシタラビン・ダウノルビシン寛解導入とシタラビン地固め療法にミドスタウリンを併用する適応を確認した。閲覧 2026-08-03
  4. 4.MYLOTARG (gemtuzumab ozogamicin) — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2021)CD33陽性の新規診断AML成人・小児患者への適応(併用療法・単剤療法の両方が承認されている)を確認した。閲覧 2026-08-03
  5. 5.VYXEOS (daunorubicin and cytarabine) liposome for injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2026)リポソーム化ダウノルビシン・シタラビン合剤(CPX-351)が新規診断の治療関連AML(t-AML)またはAML with myelodysplasia-related changes(AML-MRC)に適応を持つことを確認した。閲覧 2026-08-03