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Symptoms · Published

出血

Bleeding

臓器系
全身
科目
Internal MedicineIntensive Therapy and Anesthesiology
トピック
内科学 H-07:凝固・止血系の検査麻酔科学 B-09:致死的凝固異常とDIC
関連疾患
ANCA関連血管炎Buschke-Löwenstein腫瘍Fanconi貧血IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)Kasabach-Merritt現象MYH9関連疾患カルチノイド症候群・神経内分泌腫瘍(ゾリンジャー・エリソン症候群、インスリノーマを含む)クッシング症候群クラミジア性器感染症グランツマン血小板無力症ジフテリアネフリティック症候群フォン・ヴィレブランド病ベーチェット病ベルナール・スリエ症候群悪性黒色腫異所性妊娠異常子宮出血(機能性子宮出血)胃炎胃癌横紋筋肉腫化膿性肉芽腫外陰癌乾燥性前鼻炎肝細胞癌急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病急性放射線症候群急性膵炎憩室症・憩室炎結節性多発動脈炎血小板型フォン・ヴィレブランド病血栓性血小板減少性紫斑病血友病A・B抗糸球体基底膜病(グッドパスチャー症候群)骨髄異形成症候群再生不良性貧血子宮体癌子宮破裂子宮頸癌自然流産小児虐待・非事故性外傷消化管出血(上部・下部)消化性潰瘍上咽頭癌常位胎盤早期剥離常染色体優性多発性嚢胞腎食道癌心房細動真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症前置胎盤全身性エリテマトーデス大腸癌大動脈解離中枢神経系腫瘍(成人・小児)腸チフス腸間膜虚血(急性・慢性、虚血性大腸炎を含む)頭頸部癌脳内出血(非外傷性)敗血症泌尿生殖器外傷皮膚癌皮膚有棘細胞癌百日咳分娩後出血免疫性血小板減少症有毛細胞白血病卵巣癌淋菌感染症疣贅癌肛門管癌
起因薬
CPX-351(ダウノルビシン・シタラビン リポソーム配合剤)アキシチニブアピキサバンアルガトロバンアルテプラーゼアンチトロンビン濃縮製剤イブルチニブウロキナーゼエドキサバンエノキサパリンカプラシズマブカボザンチニブカルフィルゾミブカングレロルクロピドグレルゲムツズマブオゾガマイシンコラゲナーゼ・クロストリジウム・ヒストリチカムセフォペラゾンセフメタゾールセルペルカチニブソラフェニブダビガトランエテキシラートダルテパリンチカグレロルチボザニブテネクテプラーゼトレプロスチニルナドロパリンナルソプリマブニンテダニブパゾパニブビバリルジンフォンダパリヌクスプラスグレルプラルセチニブベバシズマブヘパリンラムシルマブリバロキサバンルキソリチニブレゴラフェニブレテプラーゼレンバチニブワルファリン遺伝子組換えトロンボモジュリン魚油ベース脂肪乳剤

🧠 全体像:出血を見たら2つの軸で切る。1つは量と速度——循環が保てているかで、緊急性はここで決まる。もう1つは止血のどの段階が壊れているか——(血小板と)か(凝固因子)かで、これは出血部位と外傷後の経過という病歴だけでかなり絞れる。皮膚・粘膜の点状出血なら、関節・筋肉の深部出血なら、という対応は検査の前に立つ仮説になる。

止血はどう成立するか

flowchart TD
    A["血管損傷"] --> B["血管収縮と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='von Willebrand factor'>VWF</span>露出"]
    B --> C["血小板の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adhesion'>粘着</span>・活性化・凝集"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary hemostatic plug'>一次止血栓</span>"]
    A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue factor'>組織因子</span>を起点とする<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coagulation reaction'>凝固反応</span>"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='factor Xa'>第Xa因子</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thrombin generation'>トロンビン産生</span>"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrin formation'>フィブリン形成</span>"]
    G --> H["安定した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secondary hemostatic plug'>二次止血栓</span>"]
    D --> H
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plasmin'>プラスミン</span>による線溶"]

は血小板が傷口を塞ぐ段階、はフィブリンで固める段階である。片方だけが壊れても出血するが、出方が違う。

💡 古典的な・カスケードは検査(・)の理解には有用だが、の凝固はによる開始→トロンビン増幅→血小板表面での進展として起こる。検査上の分類との実際は同じではない。

一次止血異常と二次止血異常を分ける

⭐ この表は病歴とだけで使える。検査を出す前に仮説を立てられる。

所見 異常
出血部位 皮膚、鼻、歯肉、月経、消化管 関節、筋肉、後腹膜、深部組織
外傷後の経過 直後から持続する いったん止まってから再出血する
皮膚所見 点状出血、紫斑 大きな
主な原因 血小板減少・機能異常、 血友病、、肝疾患、抗凝固薬

💡 「いったん止まってから再出血する」が異常の特徴である。血小板は正常に働くので初期止血はできるが、フィブリンで固められないため血栓が崩れる。後や手術後、翌日になって出血するパターンはここを疑う。

見逃してはいけない出血

⚠️ 出血量の推定は視覚的にあてにならない。バイタルとで判断する。

病態 拾い方 初期対応
頻脈、、末梢、意識変容。若年者は血圧が最後まで保たれる 輸液・輸血と止血源の同定を同時並行で
消化管出血 、、。循環不安定を伴えば緊急 の準備。抗凝固薬の確認
突然の頭痛、意識変容、神経脱落 画像を急ぐ。抗凝固薬の中和
外表に出ないため見えない。と貧血の進行 画像で確認。外見上の出血がなくても疑う
。出血と血栓が併存 原因(敗血症、産科異常、悪性腫瘍)の制御
抗凝固薬・内服中 で判明する。軽微な外傷でも重篤化 薬剤に応じた中和・の判断

⚠️ 外表に出ない出血が最も危険である。 後腹膜、胸腔、腹腔、骨折周囲は、外から見えないまま循環血液量を失う。原因不明の頻脈と貧血の進行があれば、見えない出血を探す。

⭐ 若年者では代償が効き、が下がるのは失血がかなり進んでからである。血圧正常を安心材料にせず、頻脈・脈圧・末梢の所見で早期に拾う。

血栓溶解薬による出血

⚠️ では、出血そのものが最も高頻度の副作用である。 組換えt-PAのについて、英国のは・急性肺塞栓症・の3適応をまとめた副作用表で、とそれ以外の出血をすべて含む出血全体をvery common(10分の1以上)に置き、消化管出血・泌尿生殖器出血・咽頭出血・・注射部位出血をcommon(100分の1以上10分の1未満)、・・耳出血をuncommon(1,000分の1以上100分の1未満)、眼出血・心膜出血・をrare(10,000分の1以上1,000分の1未満)としている1。米国のも、最も高頻度に起こる副作用は出血(5%超)であると述べる2。

⭐ は、頻度区分そのものが適応で変わる。 同じ副作用表で、(・・・の・頭蓋内血腫・を含む一群として扱われる)は、の治療における主要な副作用としてvery commonの欄に置かれるのに対し、・急性肺塞栓症の治療ではcommonに落ちる1。国内の電子添文も重大な副作用の筆頭に重篤な出血を挙げ、を虚血性急性期の使用で2.5%・の使用で0.4%、消化管出血を0.7%・0.6%、とをいずれも0.1%未満と、適応ごとに分けて示している(出血性は虚血性急性期で14.4%と別項で挙がる)3。

⚠️ 頻度と重大さは別の軸である。 国内の電子添文で「その他の副作用」の1%以上に置かれるのは、血尿・・皮下出血・カテーテルからの出血といったである3。に目にするのはこちらだが、英国のは副作用の節を「脳卒中(を含む)その他の重篤な出血を来した患者で、死亡および永続的な障害が報告されている」という一文で結んでいる1。軽微な出血が多いことを、重篤な出血が少ないことの裏づけに使わない。

評価の進め方

flowchart TD
    A["出血の訴え・所見"] --> B{"循環は保たれているか"}
    B -->|"不安定"| C["蘇生と止血源の同定を同時に"]
    B -->|"安定"| D["出血部位はどこか"]
    D --> E["皮膚・粘膜中心<br>点状出血・紫斑"]
    D --> F["関節・筋肉・深部<br>大きな血腫"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary hemostasis'>一次止血</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet count'>血小板数</span>・機能<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='von Willebrand factor (vWF)'>von Willebrand因子</span>"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='secondary hemostasis'>二次止血</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prothrombin time'>PT</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activated partial thromboplastin time'>APTT</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixing test'>混合試験</span>・因子活性"]
    G --> I["薬剤歴・肝腎機能・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic disease'>全身疾患</span>を必ず併せて確認"]
    H --> I

で必ず確認する項目は決まっている。抗凝固薬・・の内服、出血の家族歴、や手術での出血歴、月経量、肝疾患・腎疾患、アルコール、である。

⚠️ 家族歴と過去の手術での止血状況は、検査より鋭いことがある。「過去に大きな手術を問題なく受けた」は先天性の重篤な凝固異常を相当に否定するが、や後天性の異常は否定しない。

検査を読むときの注意

⚠️ には見えない範囲がある。

  • ・が正常でも出血する:、、、は、これらの検査では捕まらない。
  • 延長が必ずしも出血を意味しない:ではが延長するが、むしろ血栓に傾く。
  • 採血手技で結果が変わる:との比率、採血の難渋、ヘパリン混入はを狂わせる。
  • 血小板減少はまず偽性を除外する:依存性の凝集ではを伴わない。

まとめ

  • 出血の評価軸は「量と速度(循環が保てているか)」と「止血のどの段階か」の2つ。
  • 皮膚・粘膜の点状出血は、関節・筋肉の深部出血は異常を示唆する。
  • いったん止血してから再出血するのは異常の特徴である。
  • 外表に出ない出血(後腹膜、胸腔、腹腔、骨折周囲)が最も危険で、頻脈と貧血の進行で疑う。
  • 若年者は血圧が最後まで保たれる。血圧正常を安心材料にしない。
  • ・が正常でも出血する病態があり、スクリーニング陰性はを否定しない。
  • ()では出血が最も高頻度の副作用で、の頻度区分はの治療でvery common、・肺塞栓症の治療でcommonと適応によって変わる。

出典

  1. 1.Actilyse 50 mg powder and solvent for solution for injection and infusion — Summary of Product Characteristics (SmPC)(Boehringer Ingelheim Limited(electronic medicines compendium, UK。10. Date of revision of the text は 04/2026)・2026)全文を取得して確認した。4.8の副作用表は急性心筋梗塞・急性広範型肺塞栓症・急性虚血性脳卒中の3適応をまとめて示し、頻度区分を very common(1/10以上)・common(1/100以上1/10未満)・uncommon(1/1,000以上1/100未満)・rare(1/10,000以上1/1,000未満)と定義している。出血の欄は very common に「急性虚血性脳卒中の治療では脳内出血が主要な副作用である」と「本表の出血をすべて含む全出血(頭蓋内出血・頭蓋外出血の両方)」を置き、common に「急性心筋梗塞および急性広範型肺塞栓症の治療における脳内出血」「咽頭出血」「消化管出血」「斑状出血」「泌尿生殖器出血」「注射部位出血」、uncommon に「肺出血」「鼻出血」「耳出血」、rare に「眼出血」「心膜出血」「後腹膜出血」を置く。節の冒頭は逐語で "The most frequent adverse reaction associated with Actilyse is bleeding in different forms resulting in a fall in haematocrit and/or haemoglobin values."、末尾は逐語で "Death and permanent disability are reported in patients who have experienced stroke (including intracranial bleeding) and other serious bleeding episodes." である。閲覧 2026-09-17
  2. 2.ACTIVASE (alteplase) for injection, for intravenous use — Prescribing Information(Genentech, Inc.(DailyMed, 米国。Highlights 末尾に印刷された改訂表示は Revised: 9/2022)・2022)全文を取得して確認した。Highlights の ADVERSE REACTIONS が逐語で "The most frequently occurring adverse reaction ( > 5%) is bleeding." と述べ、5.1 Bleeding が "Activase can cause significant, sometimes fatal, internal or external bleeding, especially at arterial and venous puncture sites." と書いていることを確認した。閲覧 2026-09-17
  3. 3.アクチバシン注600万/アクチバシン注1200万/アクチバシン注2400万 電子添文(協和キリン株式会社(PMDA 電子添文。作成又は改訂年月は2024年5月改訂・第2版)・2024)全文を取得して確認した。11.1重大な副作用の筆頭が重篤な出血で、脳出血(2.5%:脳、0.4%:心)、消化管出血(0.7%:脳、0.6%:心)、肺出血(0.1%未満:脳・心)、後腹膜出血(0.1%未満:脳・心)と適応別の頻度を並べ、出血の増大に伴い出血性ショックに至ることがあると注意している(注記により「脳」は虚血性脳血管障害急性期使用時、「心」は急性心筋梗塞使用時の頻度)。出血性脳梗塞(14.4%:脳)は別項で挙がる。11.2その他の副作用では出血傾向(血尿、歯肉出血、皮下出血、カテーテル穿刺部位からの出血等)が1%以上の欄に置かれている。閲覧 2026-09-17