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Drug Atlas · B33 Antineoplastics / 抗腫瘍薬 · 必修

CPX-351(ダウノルビシン・シタラビン リポソーム配合剤)

CPX-351

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
ビキセオス
商品名(EU)
Vyxeos
科目
Pharmacology
トピック
B33: Drugs used in cancer treatment III (Topoisomerase inhibitors. Inhibitors of mitotic spindle)
承認適応
急性骨髄性白血病
副作用
出血皮疹呼吸困難
監視検査値
血小板数心筋トロポニン

🧠 全体像:CPX-351は、という「7+3」レジメンの中核2剤をあらかじめ決まったモル比(1:5)でに封入した合剤である。単に2剤を混ぜただけではなく、この比率を保ったまま腫瘍細胞に送達することでを狙うが主題であり、のノートで扱った「治療関連AML・骨髄異形成関連AMLでは通常の7+3の代わりに使う」という位置づけの詳細版にあたる。⚠️ 通常の遊離型注射剤とは用量の換算方法がまったく異なり、取り違えは重大な過量・過少投与につながる——この取り違え防止そのものが本剤唯一のになっている。

薬効群の中での位置づけ

同じでも「化」の目的が薬ごとに異なる点を対比すると理解しやすい。

薬剤 化の狙い 主な適応
血中滞留を延ばし心毒性を軽減、に転換 卵巣癌・Kaposi肉腫・など固形腫瘍系
CPX-351 2剤を固定モル比(1:5)で骨髄・白血病細胞へ届けを狙う 治療関連AML・骨髄異形成関連変化を伴うAML

CPX-351を理解する軸は「心毒性の軽減」ではなく「比の維持」にある。 が心毒性軽減を主目的とするのに対し、CPX-351はが最大化されるとされるモル比を保ったまま白血病細胞に送達することが設計の中心にある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='daunorubicin'>ダウノルビシン</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytarabine'>シタラビン</span>を<br>モル比1:5で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liposome'>リポソーム</span>に封入"] --> B["血漿中では99%超が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liposome'>リポソーム</span>に<br>封入されたまま循環(半減期を延長)"]
    B --> C["骨髄・白血病細胞に選択的に取り込まれる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liposome'>リポソーム</span>内から両薬が<br>一定の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synergy'>相乗</span>比を保ったまま細胞内へ放出"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='daunorubicin'>ダウノルビシン</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='DNA intercalation'>DNAインターカレーション</span>+<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='topoisomerase II'>トポイソメラーゼII</span>阻害"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytarabine'>シタラビン</span>:DNAポリメラーゼ阻害による<br>DNA合成阻害"]
    E --> G["白血病細胞のアポトーシス"]
    F --> G

💡 遊離型の「7+3」では、体内動態が異なる2剤が別々に全身へ分布し、腫瘍細胞に到達する比率は保証されない。 CPX-351はという「同じ容器」に封入することで、2剤が常に一定の比率で腫瘍細胞に届く点が遊離型併用との本質的な違いである。

薬物動態

項目 値・特徴
半減期 約31.5時間1
半減期 約40.4時間1
血漿中の存在形態 99%超がに封入されたまま循環する1

⭐ 遊離型のに比べ半減期が大幅に延長しており、これが投与日程(day 1・3・5のみで足りる)と用量換算の違いの両方の根拠になる。

適応

新規診断の治療関連(t-AML)または骨髄異形成関連変化を伴うAML(AML-MRC)を持つ成人・小児(1歳以上)が対象1。60〜75歳の高リスク・二次性AML患者を対象としたで、標準的な「7+3」に比べ中央値を有意に延長したことが承認の根拠となった(9.56か月 対 5.95か月、0.69)2

AML寛解導入の修飾は「7+3を置き換える」型と「7+3にする」型に分かれる。 CPX-351は治療関連AML・骨髄異形成関連AMLで7+3そのものを置き換えるのに対し、ミドス(FLT3変異陽性)やゲムツズマブオゾガマイシン(CD33陽性)は7+3にする併用薬である。どのがどちらの型の修飾を呼ぶかで整理すると混同しにくい。

用法・用量

⚠️ 通常製剤との1:1換算は誤り。 用量はの合剤としてmg/m²で規定される固有の値であり、遊離型製剤の用量をそのまま置き換えてはならない。

治療段階 用法
(1サイクル目) 44 mg/m²+100 mg/m²を90分かけて、day 1・3・5
(2サイクル目が必要な場合) 同用量をday 1・3
29 mg/m²+65 mg/m²を90分かけて、day 1・3

実際の用量・サイクル数は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌または製剤成分への重篤な過敏反応の既往1
  • ⚠️ :他の含有製剤・含有製剤との取り違えによる投与過誤。 本剤は遊離型の注射剤・注射剤、およびクエン酸注射剤・注射剤とは用量推奨が異なるため、調製・投与の前に薬剤名と用量を必ず確認する1
  • ⚠️ 骨髄抑制からの回復遅延。 白血病細胞が消失した状態でも42日を超えて血小板5万/μL未満が持続する遷延性血小板減少が28%に生じうる1
  • 心毒性(非)が20%(Grade3以上9%)にみられ、と同様にのモニタリングが重要1

副作用

頻度 内容
高頻度 出血性事象(70%、Grade3以上10%)、(68%)、皮疹(54%、Grade3以上5%)1
注意 心毒性・非(20%、Grade3以上9%)、肺炎(26%、Grade3以上20%)、呼吸困難1
重篤・まれ 遷延性血小板減少(42日超、28%)、重篤・出血

まとめ

  • CPX-351は、をモル比1:5で固定してに封入した合剤で、が最大化される比率を保ったまま白血病細胞へ届けることを狙う。
  • 半減期は遊離型より大幅に延長し(約31.5時間、約40.4時間)、投与はday 1・3・5(導入)/day 1・3()で足りる。
  • 新規診断の治療関連AML・骨髄異形成関連変化を伴うAMLが適応で、標準「7+3」に比べを有意に延長したことがで示されている。
  • は「他の含有製剤と用量推奨が異なる」という取り違え防止そのもので、調製・投与前の薬剤名と用量の確認が必須。
  • 出血・・皮疹が高頻度で、遷延性血小板減少(42日超)・心毒性にも注意する。

出典

  1. 1.VYXEOS (daunorubicin and cytarabine) liposome for injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2026)適応(新規診断の治療関連AMLまたは骨髄異形成関連変化を伴うAMLの成人・小児)、用法・用量(導入療法1サイクル目はダウノルビシン44 mg/m²+シタラビン100 mg/m²をday1・3・5、2サイクル目が必要な場合はday1・3、地固め療法はダウノルビシン29 mg/m²+シタラビン65 mg/m²をday1・3、いずれもモル比1:5で90分点滴)、枠組み警告(通常の遊離型ダウノルビシン注射剤・シタラビン注射剤・ダウノルビシンクエン酸リポソーム注射剤・シタラビンリポソーム注射剤とは用量推奨が異なるため、調製・投与前に薬剤名と用量を確認して投与過誤を避けること)、薬物動態(ダウノルビシン半減期31.5時間・シタラビン半減期40.4時間、血漿中の99%超がリポソーム内に封入されたまま循環)、有害事象の頻度(出血性事象70%・発熱性好中球減少症68%・皮疹54%・心毒性20%・肺炎26%、42日を超える遷延性血小板減少28%)を確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.CPX-351 (Cytarabine and Daunorubicin) Liposome for Injection Versus Conventional Cytarabine Plus Daunorubicin in Older Patients With Newly Diagnosed Secondary Acute Myeloid Leukemia(Journal of Clinical Oncology・2018)60〜75歳の新規診断高リスク/二次性AML患者309例を対象とした無作為化第III相試験で、CPX-351群が標準的な「7+3」(遊離型ダウノルビシン+シタラビン)群に比べ全生存期間中央値を有意に延長したこと(9.56か月 対 5.95か月、ハザード比0.69、95% CI 0.52-0.90、片側P=0.003)、寛解率も有意に高かったこと(47.7% 対 33.3%、P=0.016)を確認した。閲覧 2026-08-10