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Drug Atlas · B33 Antineoplastics / 抗腫瘍薬

ダウノルビシン

daunorubicin

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
ダウノマイシン
科目
Pharmacology
トピック
B33: Drugs used in cancer treatment III (Topoisomerase inhibitors. Inhibitors of mitotic spindle)
禁忌疾患
慢性心不全
監視検査値
絶対好中球数心筋トロポニン
対象疾患
急性骨髄性白血病
原因となる疾患
拡張型心筋症慢性心不全薬剤の血管外漏出

🧠 全体像と同じ三重機序(阻害+産生)を持つだが、適応が白血病の寛解導入にほぼ限られる点で棲み分けている。歴史的にはの最初期の薬で、「7+3」というの寛解導入レジメンの中核を担う。

ドキソルビシンとの違い

項目
機序 同じ(+Topo II阻害+ 同じ
主な適応 ・リンパ腫・肉腫・白血病と広汎 AML・ALLの寛解導入にほぼ限定
代表レジメン ABVD()、CHOP、AC 「7+3」、AML寛解導入)
心毒性 量依存性 同様に量依存性

「白血病寄りの」と覚えると位置づけが早い。 にはあまり使われず、AML/ALLの寛解導入という一点で存在感を持つ。

適応・用法

「7+3」レジメンを day 1〜3、を day 1〜7で持続静注)が代表的な使い方。の寛解導入にも用いられる。代表的な用量は1回60〜90 mg/m²を day 1〜3で静注する。実際の用量・レジメンは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

現在の「7+3」はに応じて薬剤を追加する土台になっている。 単独の骨格レジメンとして使われる場面は減っており、患者背景に応じて次のように組み替える。

患者背景 「7+3」への追加・置き換え
FLT3変異陽性AML ミドス(FLT3阻害薬)を寛解導入・に併用する(単剤としての適応ではない)1
CD33陽性AML ゲムツズマブオゾガマイシン(抗CD33)をに併用する2
治療関連AML・骨髄異形成関連変化を伴うAML(t-AML/AML-MRC) 遊離型のではなく、両薬をに封入した合剤CPX-351を用いる。用量換算が通常の注射剤と異なる点に注意する3

禁忌・注意・副作用

  • 禁忌・重度の心機能低下(心毒性が増悪するため)
  • ⚠️ 心毒性はと同じ依存性。 成人では総が概ね400〜550 mg/m²を超えると心筋症のが明らかに増加する4。白血病治療では他のへの曝露歴(過去の投与など)も通算して評価する
  • ⚠️ 国によって上限の単位基盤が異なる。 米国添付文書は当り400〜550 mg/m²で示すのに対し、日本の添付文書(製剤におけるの限界量規定)は塩の限界量を体重当り25 mg/kgと、ではなく体重を基準に示す。単位を取り違えて換算すると量評価を誤るため、参照する添付文書の単位を必ず確認する5
  • ⚠️ (鉄剤)の適応はには確立していない。 FDA添付文書上の適応は「投与量300 mg/m²以上に達した転移性乳癌患者での継続時」に限定され、・AMLへの言及はない6のノートも参照)
  • 高頻度:骨髄抑制(寛解導入ではに強力な骨髄抑制を起こす)、脱毛、悪心・嘔吐、(無害)
  • 重篤・まれ:・心不全(量依存性)、による)、(白血病細胞数が多い場合)

まとめ

  • と同じ三重機序を持つ。適応がAML/ALLの寛解導入にほぼ限定される点で差別化される。
  • 「7+3」レジメン()がAML寛解導入の骨格だが、現在はFLT3変異陽性ならミドス、CD33陽性ならゲムツズマブオゾガマイシンを併用し、治療関連・骨髄異形成関連AMLでは化合剤CPX-351に置き換えるなど、に応じた・置換が標準治療に組み込まれている。
  • 心毒性は依存性(成人で概ね400〜550 mg/m²超で増加)で、他の曝露歴も通算して評価する。適応はにのみ確立しており、には無い。
  • でありに注意する。

出典

  1. 1.DAUNORUBICIN HYDROCHLORIDE injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2020)成人での心筋毒性は総累積投与量が400〜550 mg/m²を超えると発生率が増加すること(小児では2歳以上300 mg/m²、2歳未満10 mg/kg)を確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.RYDAPT (midostaurin) capsules — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2023)FLT3変異陽性の新規診断AML患者で、標準的なシタラビン・ダウノルビシン寛解導入とシタラビン地固め療法にミドスタウリンを併用する適応(単剤導入療法としての適応ではない)を確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.MYLOTARG (gemtuzumab ozogamicin) — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2021)CD33陽性の新規診断AML成人・小児患者への適応(併用療法・単剤療法の両方が承認されている)を確認した。閲覧 2026-08-03
  4. 4.VYXEOS (daunorubicin and cytarabine) liposome for injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2026)リポソーム化ダウノルビシン・シタラビン合剤(CPX-351)が、新規診断の治療関連AML(t-AML)またはAML with myelodysplasia-related changes(AML-MRC)に適応を持つこと、標準の遊離型ダウノルビシン・シタラビン注射剤とは用量換算が異なる旨の枠組み警告を確認した。閲覧 2026-08-03
  5. 5.DEXRAZOXANE for injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2019)デクスラゾキサンの適応は「累積ドキソルビシン投与量300 mg/m²以上に達した転移性乳癌患者でのドキソルビシン継続時の心筋症軽減」に限定され、ダウノルビシンやAMLへの言及がないことを確認した。閲覧 2026-08-03
  6. 6.エピルビシン塩酸塩注射用10mg「サワイ」/50mg「サワイ」 添付文書(2023年10月改訂 第1版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/沢井製薬株式会社・2023)日本の抗悪性腫瘍薬の添付文書(エピルビシン製剤の禁忌の節)が、他のアントラサイクリン系薬剤による前治療歴の限界量としてダウノルビシン塩酸塩を**総投与量体重当り25 mg/kg**と記載していること(米国添付文書の体表面積当りmg/m²表記とは単位基盤が異なる)を確認した。閲覧 2026-08-03