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Disease Atlas · 腫瘍 · 腫瘍

皮膚癌

Skin cancer

臓器系
腫瘍皮膚
科目
PathologyOncology
トピック
病理学 C/103:非メラノサイト系皮膚腫瘍腫瘍学 I-01:がんの病因病理学 B/13:遺伝性腫瘍症候群(遺伝性がん症候群)
症状
皮膚結節局面びらん・潰瘍出血
スコア
TNM分類Breslow厚
下位分類
悪性黒色腫基底細胞癌皮膚有棘細胞癌

🧠 全体像は起源細胞で3系統に大別され、頻度と死亡率がほぼ逆相関するという構造で理解すると各論への振り分けが速い。最多のは転移がほぼ皆無、次に多いは一定割合が所属リンパ節・遠隔転移し得る、最も頻度が低い悪性黒色腫は早期から転移し致死率が最大——という3層構造が、の使い分け・切除・全身治療の選択という下流の判断すべてを規定する。本ノートは3者を比較する地図であり、個々の危険因子・・治療レジメンの詳細は各論に譲る。

分類の枠組み:起源細胞と非黒色腫/黒色腫

分類 起源細胞 代表疾患
表皮・有棘細胞(
黒色腫 悪性黒色腫

⭐ 「」という括りは臨床実務で頻用されるが、BCCとcSCCは起源細胞( vs 有棘細胞)も生物学的性質(転移能)も別物であり、由来でない」という消去法的な括りにすぎない点に注意する。両者を同一の疾患として扱わない。

頻度・転移能・死亡率:3者の比較

米国での疫学研究では、2019年時点の年間(人口10万対)はBCC 525・cSCC 262・悪性黒色腫17.0と、頻度は圧倒的にBCC>cSCC>悪性黒色腫の順であった。ところが年間死亡率(人口10万対)は悪性黒色腫2.2・cSCC 0.8に対しBCCはほぼ算定されないほど低く、頻度の順位と死亡の順位が入れ替わる1

BCC cSCC 悪性黒色腫
相対的な頻度 最多 中間 最少
転移 極めてまれ 所属リンパ節・遠隔転移し得る 早期からし得る
死亡への寄与 ほぼ皆無 あり 最大

1

💡 「頻度が最も高いBCCが死亡と最も縁遠く、頻度が最も低い悪性黒色腫が死亡の大半を占める」という逆相関を軸に3者を覚えると、なぜBCCだけの枠組みが違うのか(次節)が自然に理解できる。

病期分類・リスク層別化の使い分け

BCCには・悪性黒色腫のような正式ながなく、解剖部位(H/M/L領域)・大きさ・境界・組織型・再発歴による独自のを決める2。cSCCと悪性黒色腫はの対象になるが、cSCCはさらにBrigham and Women’s Hospital(BWH)分類という研究用を、悪性黒色腫は(浸潤の深さ)を中心的な予後指標として併用する。

追加の
BCC 正式ななし 解剖部位(H/M/L)・大きさ・組織型による独自
cSCC あり BWH分類(NCCN基準の高リスク・も併用)
悪性黒色腫 あり(が中心) の適応判定

⚠️ 3者は切除の考え方も揃っていない。BCCは低リスクで約4 mm、cSCCは低リスクで4〜6 mm、悪性黒色腫はに応じて0.5 cm〜2 cmと段階的に広げる。「だから一律の」という理解は誤りで、型ごとの各論を必ず確認する。

危険因子:共通点と型による違い

紫外線曝露は3者に共通する最大の危険因子だが、曝露パターンの違いが型を分ける手がかりになる——BCC・悪性黒色腫は間欠的な強い曝露(強い日焼けの既往)との関連が強く、cSCCは慢性・的な曝露との関連が強い。免疫抑制状態(臓器移植後など)はいずれもリスクを上げるが、cSCCでの上昇が特に顕著である。

も型ごとに異なる代表例を持つ。(Gorlin症候群)はPTCH1経路異常により若年から多発BCCを来し、はDNA修復機構の欠損によりBCC・cSCC・悪性黒色腫のいずれのリスクも著しく高める。(FAMMM)はCDKN2A変異を背景に悪性黒色腫のリスクを上げる。個々の症候群の詳細は各論または遺伝性疾患の項に譲る。

治療方針の分岐

flowchart TD
    A["生検で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='skin cancer'>皮膚癌</span>を確定"] --> B{"起源細胞は"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basal cells'>基底細胞</span>"| C["解剖部位・大きさ・組織型で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='risk stratification'>リスク層別化</span>"]
    B -->|"有棘細胞"| D["BWH分類・所属リンパ節を評価"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='melanocyte'>メラノサイト</span>"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Breslow thickness'>Breslow厚</span>・潰瘍の有無を評価"]
    C --> F["低リスク:標準切除/高リスク:Mohs手術"]
    D --> G["低リスク:標準切除/高リスク:Mohs手術+リンパ節評価"]
    E --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Breslow thickness'>Breslow厚</span>に応じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='margin'>マージン</span>を個別化+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sentinel lymph node biopsy'>SLNB</span>適応を判定"]
    F --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unresectable'>切除不能</span>・転移例は各論の全身治療へ"]
    G --> I
    H --> I

全身治療が必要になった場合の枠組み

・転移例では、3者とも従来の細胞傷害性化学療法より・免疫療法が中心という共通点を持つが、標的そのものは型ごとに異なる。BCCは阻害薬()、cSCC・悪性黒色腫はが軸になり、悪性黒色腫ではさらにBRAF変異陽性例へのBRAF/MEK阻害療法が加わる。個々の薬剤選択・用量・データは各論に譲る。

共通するフォローアップの考え方

3者とも、治療部位の再発だけでなく新規のの発生を継続的に監視する対象になる——1つの型のの既往は、同じ患者に別の型のが生じるリスクの高さを示すでもある。日陰・衣類・日焼け止めによる紫外線防御と定期的な全身皮膚診察は、3者に共通する予防・追跡の基本である。

まとめ

  • は起源細胞で・有棘細胞(cSCC)・(悪性黒色腫)の3系統に大別し、頻度と死亡率がほぼ逆相関する(BCCが最多で死亡最少、悪性黒色腫が最少で死亡最大)。
  • BCCには正式なTNMがなく解剖部位・大きさ・組織型による独自のを用いるが、cSCC・悪性黒色腫はを用い、cSCCはBWH分類、悪性黒色腫はを併用する。
  • 切除は型ごとに異なり(BCC約4 mm、cSCC 4〜6 mm、悪性黒色腫はに応じ0.5〜2 cm)、一律に扱わない。
  • 紫外線曝露は共通の最大危険因子だが曝露パターン(間欠的強曝露 vs 慢性)で関連する型が異なり、も型ごとに代表例が異なる。
  • 全身治療は3者とも・免疫療法が中心だが標的分子は型ごとに異なり、いずれも新規の発生リスクが高い集団として継続的な全身皮膚診察を要する。

出典

  1. 1.United States burden of melanoma and non-melanoma skin cancer from 1990 to 2019(Journal of the American Academy of Dermatology・2021)2019年時点の米国における年間罹患率(人口10万対)が基底細胞癌525・有棘細胞癌262・悪性黒色腫17.0であったこと、同時期の年間死亡率(人口10万対)が悪性黒色腫2.2・有棘細胞癌0.8に対し基底細胞癌はほぼ算定されないほど低かったことを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Guidelines of care for the management of basal cell carcinoma(American Academy of Dermatology・2018)基底細胞癌には有棘細胞癌・悪性黒色腫のような正式なTNM病期分類がなく、解剖部位(H/M/L領域)・大きさ・境界・組織型・再発歴による独自のリスク層別化で治療方針(標準切除かMohs手術か)を決めることを確認した。閲覧 2026-08-10