スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Breslow厚

Breslow thickness

臓器系
腫瘍
科目
DermatologyPathology
トピック
皮膚科 3-12:皮膚悪性黒色腫の病型・臨床徴候・予後因子病理学 C-102:メラノサイト系腫瘍
適用疾患
悪性黒色腫皮膚癌

🧠 全体像:は、悪性黒色腫の生検・切除検体で上端(潰瘍があれば)から最深部の腫瘍細胞までの垂直距離をミリメートル単位で測定する、局所病変における最も重要な予後因子である。解剖学的な浸潤層(表皮内〜)をI〜Vで区分する古いに代わり、現行の T分類はと潰瘍の有無を軸に構成されている。

目的と適用場面

内容
目的 悪性黒色腫の浸潤の深さを測定し、T分類・・()適応を決める
対象・使う場面 またはで悪性黒色腫と確定した患者。時に必ず測定し、以降の病期評価・決定の起点にする
評価しないもの リンパ節・遠隔転移の有無(N・M分類の領域)、免疫療法・への反応性

構成要素

⭐ 潰瘍の有無と組み合わせて T分類(a/b)を構成する。はかつてT1分類の定義に含まれたが、現行の第8版では用いない。

T分類 潰瘍による細分
T1 1.0 mm以下 a:0.8 mm未満・潰瘍なし/b:0.8 mm未満で潰瘍あり、または0.8〜1.0 mm
T2 1.0 mm超2.0 mm以下 a:潰瘍なし/b:潰瘍あり
T3 2.0 mm超4.0 mm以下 a:潰瘍なし/b:潰瘍あり
T4 4.0 mm超 a:潰瘍なし/b:潰瘍あり

解釈とカットオフ

が増すほど再発・転移リスクが上昇し、の臨床(in situ:0.5〜1.0 cm、1.0 mm以下:1 cm、1.0 mm超2.0 mm以下:1〜2 cm、2.0 mm超:2 cm)と適応の目安を決める。AADの表は「は機能上の配慮や解剖学的部位によって変更しうる」という脚注を全帯域に付けている1。⭐ の適応は4段階に分かれる:T1a(0.8 mm未満・潰瘍なし)ではに行わず、T1b(0.8〜1.0 mm、または0.8 mm未満で潰瘍あり)は利益と害を十分に話し合ったうえで考慮してよく、T2・T3(1.0 mm超4.0 mm以下)では推奨され、T4(4.0 mm超)は十分な話し合いのうえで推奨しうる2。

限界と使ってはいけない場面

  • ⚠️ は局所病変の予後因子であり、単独で全身病期を決めない。 病期全体の判定にはリンパ節転移数・遠隔転移の有無を統合する分類が必要である。
  • ⚠️ 表面を薄く剃るようなでは最大厚を過小評価しうるため、(困難な場合は最も疑わしい部位からの十分な深さの生検)で測定する。
  • ⚠️ 免疫療法(など)の普及により、同じでも治療反応で予後は大きく変わる。古い治療時代のをそのまま個別予後に当てはめない。

まとめ

  • は上端(または)から最深部腫瘍細胞までの垂直距離で、悪性黒色腫の局所病変における最重要予後因子である。
  • 潰瘍の有無と組み合わせて T分類(T1〜T4のa/b)を構成し、と適応(T1aはに行わず、T1bとT4は話し合いのうえ、T2・T3では推奨)を決める。
  • 単独で全身病期は決まらず、リンパ節・遠隔転移の評価と統合した分類で病期を確定する。

出典

  1. 1.Guidelines of care for the management of primary cutaneous melanoma(American Academy of Dermatology・2019)出版社サイトは素の取得ができないためWaybackのid_付きURLで全文を取得して確認した。Table IXの手術マージンが逐語で in situ 0.5-1 cm・1.0 mm以下 1 cm・1.0 mm超2.0 mm以下 1-2 cm・2.0 mm超 2 cm であること、同じ表の脚注が逐語で "Margins may be modified for functional considerations or anatomic location" と述べること、上皮内黒色腫(悪性黒子型)では0.5 cmを超えるマージンが必要になりうるとすること閲覧 2026-09-17
  2. 2.Sentinel Lymph Node Biopsy and Management of Regional Lymph Nodes in Melanoma: American Society of Clinical Oncology and Society of Surgical Oncology Clinical Practice Guideline Update(American Society of Clinical Oncology / Society of Surgical Oncology(Wong SL ら。J Clin Oncol 36巻399-413頁)・2018)出版社サイトは素の取得ができないためWaybackのid_付きURLで全文を取得して確認した。推奨1.1がT1a(0.8mm未満で潰瘍なし)にセンチネルリンパ節生検を日常的には推奨せず、T1b(0.8〜1.0mm、または0.8mm未満で潰瘍あり)では利益と害を十分に話し合ったうえで考慮してよいとすること、推奨1.2が中等度の厚さ(T2・T3=1.0mm超4.0mm以下)では推奨するとし推奨の強さを moderate とすること、推奨1.3がT4(4.0mm超)では十分な話し合いのうえ推奨しうるという別立ての推奨であること閲覧 2026-09-17