疾患ノート一覧へ

Disease Atlas · 腫瘍 · 腫瘍

皮膚T細胞リンパ腫

Cutaneous T-cell lymphoma (mycosis fungoides)

別名
菌状息肉症CTCLMFセザリー症候群
臓器系
腫瘍皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-14:皮膚T細胞リンパ腫
上位概念
非ホジキンリンパ腫
鑑別疾患
アトピー性皮膚炎乾癬
治療薬
トリアムシノロンアルファインターフェロンベキサロテンボリノスタットロミデプシンモガムリズマブブレンツキシマブ ベドチン
症状
掻痒毛細血管拡張リンパ節腫脹皮膚結節局面眼瞼外反紅皮症
検査値
血算乳酸脱水素酵素
適応薬
ブレンツキシマブ ベドチンベキサロテンボリノスタットメクロレタミンモガムリズマブロミデプシン

🧠 全体像(cutaneous T-cell lymphoma:CTCL)は、皮膚をもつ成熟T細胞がする節外性リンパ腫の総称であり、代表は(Sézary syndrome:SS)である。湿疹や乾癬に似た紅斑から始まり、長年にわたり皮膚に限局することが多いため、慢性・治療抵抗性の湿疹様皮疹をみたら鑑別に挙げることが早期発見の鍵になる。診断は皮疹の時間的変化、複数部位の反復皮膚生検、(TCR)評価を統合し、治療は病期ごとに皮膚治療と全身治療を使い分ける。

分類と病態

病型 主な特徴
(MF) 最も多いCTCL。へ進展し得るが、は長く皮膚に限局することが多い
(SS) 、全身性リンパ節腫脹、末梢血中の腫瘍性T細胞を特徴とする白血病性CTCL
原発性皮膚CD30陽性 、原発性皮膚などを含む
まれな病型 など。病型により臨床像と予後が大きく異なる

腫瘍細胞は多くが皮膚をもつ成熟CD4陽性リーT細胞である。病期が進むと、皮膚内の免疫環境、腫瘍細胞のクローン拡大、リンパ節・血液・内臓への進展が相互に関与する。

臨床像

菌状息肉症の病期進展

段階 皮膚所見 学習上の要点
境界不明瞭な紅斑、鱗屑、色素変化、萎縮 衣服で隠れる体幹・・大腿近位に多く、湿疹や乾癬として長年経過することがある
浸潤を触れる隆起性紅斑・局面 病変内で形・色・厚さが不均一になりやすい
結節・腫瘤、 のリスクが高まる
体表の大部分を占める・鱗屑 SS、進行MF、、湿疹、乾癬などを鑑別する

💡 診断の手掛かりは、同一患者に異なる段階の病変が混在すること、色素沈着・、萎縮が混じる角化、腫瘤のである。SSでは強い角化、脱毛、を伴うことがある。

診断

病理と免疫学的検査

  • を示すを確認する。
  • が表皮内にするは特徴的だが、常にみられるわけではない。
  • 免疫染色ではCD3、CD4、CD8、CD30などを評価し、CD7など汎T細胞マーカーの欠失を手掛かりにする。
  • でクローン性を調べるが、クローン性だけで悪性とは断定しない。
  • 初回生検が非特異的でも臨床的疑いが強ければ、治療の影響が少ない複数病変からする。

⚠️ 一度の生検が非特異的だったというだけで否定せず、慢性湿疹様皮疹が治療抵抗性・な分布を示す場合は反復生検を惜しまない。

病期評価(TNMB分類)

TNMB分類で皮膚(T)、リンパ節(N)、内臓(M)、末梢血(B)を評価する。全身皮膚診察、リンパ節診察、血算・を基本とし、病期に応じて画像検査とリンパ節生検を追加する。

末梢血病変(B分類)はB0(軽微)・B1(中等度だがB2未満)・B2(高度)の3段階で評価する。B2は絶対数1,000/μL以上、CD4/CD8比10以上、CD4+CD7-細胞40%以上またはCD4+CD26-細胞30%以上のいずれかを満たす場合、あるいはT細胞クローナリティが陽性の場合と定義される1は、体表の80%以上を占めるに加えてこのB2基準を満たす病型として診断し、期(B0/B1にとどまる例)と区別する。

flowchart TD
    A["慢性・治療抵抗性で形態が不均一な皮疹"] --> B["複数部位の皮膚生検"]
    B --> C["組織像・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Immunophenotype'>免疫表現型</span>・TCRクローン性を統合"]
    C --> D["全身皮膚・リンパ節・末梢血を評価"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='TNMB stage'>TNMB病期</span>を決定"]
    E --> F["早期は皮膚<span class='jp-term jp-term-diagram' title='directionality'>指向性</span>治療"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive stage'>進行期</span>は全身治療を組み合わせる"]

治療

状況 主な選択肢
早期・皮膚限局 など)、外用化学療法(外用など)、併用UVA(PUVA)、限局性放射線療法
広範な皮膚病変 、全身皮膚照射などを病型・施設経験に応じて選択
進行・再発 など)、など)、阻害薬(など)、抗CCR4抗体()、CD30陽性例の)などを病型と既治療に応じて選択
SS・血液病変 を含む全身治療を組み合わせる
高リスク若年例など 選択例ではを検討

⭐ 治療名を一律の順番で覚えるのではなく、病型、、症状、CD30などの標的、併存症を基に専門チームで個別化する。皮膚バリア障害に伴う黄色ブドウ球菌感染、、睡眠障害にも並行して介入する。

予後

「平均生存期間5年」のような一括した説明は不正確である。に限局する早期MFは緩徐で、一般人口に近い生存が期待できる例も多い。一方、腫瘤、、リンパ節・内臓・高度血液病変、形質転換は予後不良因子となる。

まとめ

出典

  1. 1.Revisions to the staging and classification of mycosis fungoides and Sézary syndrome: a proposal of the International Society for Cutaneous Lymphomas (ISCL) and the cutaneous lymphoma task force of the European Organization of Research and Treatment of Cancer (EORTC)(International Society for Cutaneous Lymphomas / EORTC Cutaneous Lymphoma Task Force・2007)TNMB分類のB(血液)病期はB0・B1・B2の3段階で、B2は絶対セザリー細胞数1,000/μL以上、CD4/CD8比10以上、CD4+CD7-細胞40%以上またはCD4+CD26-細胞30%以上のいずれか、あるいはT細胞クローナリティ陽性で定義され、現在もISCL/EORTC分類の正本として用いられている閲覧 2026-08-02