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Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

成人T細胞白血病リンパ腫

Adult T-cell leukemia-lymphoma

別名
ATLATLL成人T細胞白血病
臓器系
血液腫瘍
科目
Pathology
トピック
病理学 C/15:菌状息肉症/セザリー症候群/末梢T細胞リンパ腫病理学 B/14:ウイルス・微生物による発がん(腫瘍形成)
上位概念
非ホジキンリンパ腫
鑑別疾患
皮膚T細胞リンパ腫非特定型末梢性T細胞リンパ腫
続発疾患
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
関連疾患
HTLV-1関連脊髄症未分化大細胞型リンパ腫
治療薬
モガムリズマブブレンツキシマブ ベドチンレナリドミドアルファインターフェロンジドブジンシクロホスファミドドキソルビシンビンクリスチンビンデシンプレドニゾロンエトポシドカルボプラチンシタラビンラニムスチン
原因微生物
HTLV-1
症状
リンパ節腫脹脾腫皮膚結節発熱
検査値
血算乳酸脱水素酵素カルシウム
適応薬
ツシジノスタットバレメトスタットモガムリズマブラニムスチンレナリドミド

🧠 全体像:(ATLL)を理解する幹は一つ——というウイルスに規定された腫瘍であり、臨床病型ごとにまったく別の疾患のようにが変わるという点である。HTLV-1感染細胞のという共通のを持ちながら、の4病型(急性型・・慢性型・)は「経過観察でよい病型」と「移植前提で治療を急ぐべき病型」に大きく分かれる。に感染していない患者ではATLLと診断できないという点が、(PTCL, NOS)やとの出発点の違いである。⚠️ ただし血清学が陽性であることは、それだけではATLLの証明にならない——ではキャリアが多く、他のT細胞リンパ腫がたまたま陽性になりうるためである(→「診断」)。

成因とHTLV-1の必須性

ATLLはに潜伏感染したCD4陽性T細胞に由来する腫瘍と定義され、第5版(2022)・ICC 2022のいずれの分類でも感染はこの診断の必須条件であって除外可能な随伴所見ではない1。のTax蛋白がNF-κB経路を恒常的に活性化しを阻害することで感染T細胞をクローン性に増殖させる機序、母乳を介した母子感染が主軸である疫学、九州・沖縄が世界有数のである背景はHTLV-1のノートに譲る。キャリアの生涯ATLL発症率は2〜5%にとどまり、感染から発症までの潜伏期は数十年(しばしば30〜50年)に及ぶ。日本のキャリア数は108万人と報告され減少傾向にあり、近年の全国調査での平均発症年齢は68歳と、1980年代の調査より高齢化している2。

Shimoyama分類:4つの臨床病型

1991年に日本のLymphoma Study Groupが提案した分類は、末梢血へのの有無、値、値、リンパ節・臓器病変の有無を軸に4病型を定義し、現在も国際コンセンサスの土台になっている3。

病型 特徴 侵襲性
急性型 、特徴的な、、皮膚病変、肝脾腫、リンパ節腫脹 侵襲性(最多。日本の2012〜2013年全国調査で51.9%)
末梢血に腫瘍細胞をほぼ認めずリンパ節病変が主体、他は急性型に準じる 侵襲性
慢性型(予後良好) 4×10³/mm³以上、皮膚・肺・肝病変を伴いうるが、血清・アルブミン・はいずれも施設の範囲内
慢性型(予後不良) 慢性型の基準を満たすが、血清高値・高値・アルブミン低値のいずれか1つ以上を伴う4 侵襲性
末梢血の異常リンパ球は5%以上だがは4×10³/mm³未満、皮膚・肺病変を伴うことがある (緩徐)

病型判定の数値基準

日本血液学会の2023年版ガイドラインは、Shimoyama 1991を改変したを表として掲げている(以下はその表の内容である)2。N は基準値上限(原表の凡例は N: Upper limit of normal)を指す。— は「その病型に固有の基準が置かれていない」ことを意味し、「その項目を満たさなくてよい」という意味ではない。* は原表が脚注記号だけを置いているセルで、その中身は表の下の1つ目の項に示す。

項目 慢性型 急性型
抗抗体 + + + +
(×10³/mm³、正常リンパ球を含む実数) 4未満 4以上 4未満 —
形態学的に明らかな異常リンパ球 5%以上 + 1%以下 +
みられることがある みられることがある 認めない +
LDH 1.5N以下 2N以下 — —
補正カルシウム(mg/dL) 11.0未満 11.0未満 — —
組織学的に腫瘍性と確認されたリンパ節病変 無し — + —
皮膚・肺の腫瘍性病変 * — — —
リンパ節腫大 無し — あり —
・脾腫 無し — — —
中枢神経・骨・胸水・腹水・消化管の病変 無し 無し — —
  • 異常リンパ球が5%未満のときは、慢性型・急性型の診断には組織学的な腫瘍性病変の確認が必要であり、では皮膚または肺の病変を組織学的に確認することが必要である。
  • 補正カルシウムは、4.0 g/dL以上なら総カルシウムそのまま、4.0 g/dL未満なら総カルシウム − 0.8 ×(アルブミン − 4)で算出する。
  • 慢性型の予後不良因子は、が施設基準値上限を超える・が施設基準値上限を超える・が施設下限を下回る、のいずれか1つ以上である。💡 慢性型そのものの基準は2N以下までを許すのに対し、予後不良因子の閾値は基準値上限なので、両者は別の物差しである。

⚠️ 「慢性型=すべて緩徐」は誤り。 慢性型は上記の予後不良因子の有無でさらに予後良好・不良の2群に分かれ、予後不良の慢性型は急性型・と同じ侵襲性群として扱われる542。⚠️ Shimoyama 1991の原著全文は取得できていない(Wiley・リポジトリのいずれにも公開版が無い)。上表は日本血液学会が「改変」と明記して掲げているものであり、原著の数値と逐語同一である保証はない。原著そのものの表記が必要な場面では原著に当たること。

⭐ 病型の頻度と予後は大きく違う。 日本の全国調査では病型頻度が急性型51.9%・24.9%・慢性型12.5%・10.7%(2012〜2013年)、4年全生存率が急性型16.8%・19.6%・予後不良因子を伴う慢性型26.6%・伴わない慢性型62.1%・59.8%(2010〜2011年の770例)であった2。💡 予後不良因子を伴う慢性型の4年(26.6%)が、伴わない慢性型(62.1%)より(19.6%)に近いという並びが、この病型を侵襲性群へ入れる根拠になっている。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human T-cell leukemia virus type 1'>HTLV-1</span>血清学陽性+クローン性T細胞増殖"] --> B{"Shimoyama病型を判定"}
    B --> C["急性型・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoma type'>リンパ腫型</span>"]
    B --> D["慢性型(予後良好/不良に細分)"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='smoldering type'>くすぶり型</span>"]
    C --> F["侵襲性ATLL"]
    D -->|"予後不良"| F
    D -->|"予後良好"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='indolent'>非侵襲性</span>ATLL"]
    E --> G
    F --> H["強力化学療法±<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allogeneic hematopoietic stem cell transplantation (allo-HSCT)'>同種造血幹細胞移植</span>"]
    G --> I["経過観察(日本)<br>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='skin-directed therapy'>皮膚指向性治療</span>・IFNα+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='zidovudine'>ジドブジン</span>(国外)"]

⚠️ 同じウイルスのもう一方の帰結を混同しない。 感染者の一部は本症ではなく関連()を発症する。⭐ 対比の軸は宿主の免疫応答で、腫瘍性の本症はをすり抜けた側、は感染細胞に対する慢性炎症応答が前面に出た側として説明される。ただしこれは覚え方であって排他的なではない。

臨床像

診断

抗体スクリーニング(・)陽性を確認したうえで、腫瘍細胞のクローン性(Southern blot/)と特徴的な臨床病理所見を統合して確定する。病型判定には、、、画像検査による臓器病変の評価が必須で、これがそのままの病型決定に直結する。

⚠️ 血清学は「入口」であって「」ではない。 国際コンセンサスは、①・の症例では、とくににおいて血清学を必ず実施すべきであるとしたうえで、②ATLLとを含む・の区別は、血清学と、必要に応じたによって行うべきだと述べている5。💡 ではキャリアの比率が高いため、「T細胞リンパ腫+抗体陽性」という組み合わせはでも起こりうる。血清学だけを根拠に病型を決めると、別の疾患をATLLとして治療する方向にも、その逆にも倒れうる。

治療

非侵襲性ATLL(くすぶり型・予後良好な慢性型)

多くは経過観察が第一選択で、皮膚病変にはの局所治療を、活動性が高い例にはとのを検討する5。皮膚限局の腫瘤型はこの緩徐な群には含まれず、積極的治療の対象になる点に注意する。

⚠️ ここは国によって選択肢が違う。 国際コンセンサス自身が「とは日本では承認されておらず、他の地域では使用できる」と明記しており、逆にやVCAP-AMP-VECPの一部の構成薬は日本以外では使えない5。日本血液学会の2023年版ガイドラインはATLLに有効な治療が確立していないことを理由に、侵襲性への進行まで無治療で経過観察するのが国内のコンセンサスであると述べており、全文に・の語が一度も現れない(皮膚病変のみのについては、診療ガイドラインのを参照するよう案内している)2。⚠️ 日本の症例に国際コンセンサスの選択肢をそのまま当てはめない。

侵襲性ATLL(急性型・リンパ腫型・予後不良な慢性型)

⭐ 強力(VCAP-AMP-VECPなど日本発の強化レジメン、または・・・を基盤とするCHOP系レジメン)を行い、適応があるすべての患者で診断早期から移植施設への紹介とを前提に計画する。 非移植治療のみでの予後は依然として不良であり、長期生存(5年以上の無増悪生存)が得られるのは化学療法またはIFN/AZTでに達した一部の患者に限られる5。

日本では、8剤とを用いるLSG15を改変したVCAP-AMP-VECP(・・・/・ラニムスチン・/・・・、併用)がJCOG9801でCHOP-14に対し・全生存率の両方でを示し、70歳未満の未治療侵襲性ATLLの標準治療になっている(は強い。70歳以上への適用はこの試験の年齢範囲から外れる)2。

💡 70歳以上は「使えない」ではなく「別の問い」として立てられている。 高齢者だけを対象にした前方視的試験は無いが、日本血液学会は全身状態が比較的良好な高齢者には若年者と同じレジメンを用い、ただし治療強度は減じなければならないという推奨(カテゴリー2B)を別のクリニカルクエスチョンとして掲げている2。「70歳未満の標準治療」という言い方から「70歳以上は治療対象外」を読み取らない。

⚠️ 陽性であればが選択肢に加わる。 抗であるは、未治療の陽性でBV-CHP(・・・)がCHOPに優ることを示した試験(ECHELON-2)を根拠に日本でもされ、陽性の未治療侵襲性ATLLに使用できる2。⚠️ ただし同試験に組み入れられたATLL症例は少数で、ATLLでの有効性はさらに評価が必要だとガイドライン自身が断っている2。💡 日本の電子添文の効能・効果は「陽性の…」であってATLLという病名は挙がっていない——ATLLはこのの効能の内側で使う(ECHELON-2の対象病理組織型として/リンパ腫が明記されている)。投与前に法等で抗原が陽性であることを確認する規定が掛かる6。

(日本で開発・承認)は強力化学療法との併用で未治療の侵襲性ATLLに用いられる。⚠️ ただしで改善したのはまでで、全生存率・には有意差が出ていない2。⚠️ 移植前50日以内の投与は()のリスクを高めるため避けるべきである——移植を見据えた治療計画では投与タイミングの調整が必須になる5。後に一次移植を予定しているなら、そもそもを含まない強力化学療法を選ぶことが検討される52。

⚠️ 中枢神経系の予防を忘れない。 侵襲性ATLLの10〜20%が中枢神経系への進展を来すため、中枢神経病変のない患者でも予防的な中枢神経治療を組み込むことが国際コンセンサスの推奨である5。実際、JCOGの一連の試験ではによる予防が順次組み込まれてきた。無症状の侵襲性ATLLでは、初回の化学療法(または同等の)1コースが終わりが制御できた時点で、診断的とを行う5。

適合の血縁・非血縁ドナーが望ましく、可能であればドナーを選択する。はを伴うが、の約3分の1で長期生存が得られる5。

⚠️ では血縁ドナー自身がキャリアでありうる。 ドナーの感染細胞に由来して再発した症例が報告されており、血縁キャリアをドナーとする場合は、リンパ節腫脹や異常リンパ球の出現が無いことを確かめて臨床的にATLLを発症していないことを確認することが推奨される。さらに末梢血の解析でモノクローナル/オリゴクローナルな感染細胞が検出されないことの確認も望ましいとされる(この検査は日本では保険適用外)2。💡 「キャリアである」ことと「ATLLを発症している」ことの区別が、ドナー選択の場面でそのまま手続きになっている。

予後

侵襲性ATLLの予後は非移植治療では依然として不良である。⚠️ 再発例へののは集団によって大きく異なる。 早期の日本の第I/II相試験では約50%であったのに対し、欧州・米国・南米で実施されたでは確認15%(対照群0%)にとどまった5。日本の実地データだけを根拠に高いを期待すると、国際的なの結果と乖離する。化学療法・移植を含むが前提になる。

再発・難治例に日本で使える薬

ATLL自身を対象としたの成績で日本の保険適用を得ているのは、2023年6月時点で次の4剤である(は得られても持続が短いのが共通の限界である。は未治療ATLLにも保険適用がある)2。

薬剤 作用 中央値
50% 13.7か月
バレメトスタット EZH1/EZH2阻害薬 48% 16.4か月
免疫調節薬 42% 20.3か月
ツシジノスタット 経口 30% 7.9か月

(バレメトスタットとツシジノスタットの成績は、いずれも既治療例を対象とした試験のものである2。)

⚠️ この4剤で閉じない。 は、陽性の再発・難治性を対象としたで有効性が示され、陽性の再発・難治性ATLLにも使用可能になっている2。ATLLだけを対象としたの数字が無いので上の表には並べていないが、選択肢としては同じ土俵にある。⭐ の染色をしていなければ、この選択肢は最初から見えない——陽性であることの確認が投与の要件である6。

まとめ

  • ATLLは潜伏感染CD4陽性T細胞に由来する腫瘍で、血清学陽性が診断の必須条件である。
  • は急性型・・慢性型(予後良好/不良)・の4病型で、慢性型は一様ではなく予後不良型は侵襲性群に含まれる。判定は(4×10³/mm³)・異常リンパ球の割合・(1.5N以下/慢性型2N以下)・補正カルシウム(11.0 mg/dL未満)・臓器病変の分布で行う。⚠️ 慢性型の予後不良因子の閾値は施設の上下限であって、病型判定に使う2Nとは別の物差しである。
  • ATLLは進行まで経過観察するのが日本のコンセンサスで、国際コンセンサスが挙げるIFNα+は日本では未承認である。侵襲性ATLLは強力化学療法(国内は70歳未満でVCAP-AMP-VECP。70歳以上は同じレジメンを強度を減じて用いる=カテゴリー2B)と早期からのを前提に計画し、中枢神経系の予防を組み込む。血縁ドナーがキャリアの場合は、臨床的にATLLを発症していないことを確認する。
  • は未治療の侵襲性ATLLで化学療法と併用するが、効果はにとどまり全生存率では示されておらず、移植前50日以内の投与はリスクから避ける。
  • では、ATLL自身のの成績で保険適用を得ているのが・バレメトスタット・・ツシジノスタットの4剤(30〜50%だが持続は短い)。⚠️ これに加えて、陽性例にはが未治療・再発難治のいずれでも使用可能である(日本の効能は「陽性の」で、ATLLはその内側。陽性の確認が投与の要件)。
  • 同じ「」でも、という単一のウイルスに規定される点がATLLの診断上の特徴である。⚠️ ただしではPTCL, NOS・ALCLの患者がたまたま血清学陽性でもありうるため、血清学に加えて必要に応じたで切り分ける。

出典

  1. 1.A Comparison of the Fifth World Health Organization and the International Consensus Classifications of Mature T-Cell Lymphomas(International Journal of Molecular Sciences・2023)WHO第5版(2022)・ICC 2022のいずれにおいても、成人T細胞白血病リンパ腫はHTLV-1に潜伏感染したCD4陽性T細胞に由来する腫瘍と定義され、両分類で名称・定義が一致していることを確認した。閲覧 2026-09-02
  2. 2.JSH practical guidelines for hematological malignancies, 2023: II. lymphoma 9—adult T-cell leukemia–lymphoma (ATL)(International Journal of Hematology(日本血液学会)・2025)全文で以下を確認した。HTLV-1キャリアの生涯ATL発症率は2〜5%で、日本のキャリア数は108万人と報告され減少傾向にあること。近年の全国調査での平均発症年齢が68歳であること。2012〜2013年の全国疫学調査での病型頻度が急性型51.9%・リンパ腫型24.9%・慢性型12.5%・くすぶり型10.7%であること。2010〜2011年の770例の全国調査での4年全生存率が急性型16.8%・リンパ腫型19.6%・予後不良因子を伴う慢性型26.6%・伴わない慢性型62.1%・くすぶり型59.8%であること。予後不良因子はLDH・アルブミン・BUNのいずれか1つ以上の異常であること。CQ1で、70歳未満の未治療aggressive ATLに対してVCAP-AMP-VECP(JCOG9801でCHOP-14に対し完全奏効率・全生存率の両方で優越性が示された)が推奨されること、モガムリズマブの上乗せは完全奏効率を高めたが全生存率・無増悪生存率に有意差が無かったこと、同種造血幹細胞移植前のモガムリズマブ使用はGVHDの頻度・重症度と移植関連死亡の上昇が報告されているため慎重を要すること。CQ5で再発・難治ATLに日本の保険適用がある薬剤がモガムリズマブ(第II相で奏効率50%・生存期間中央値13.7か月)・レナリドミド(42%・20.3か月)・ツシジノスタット(30%・7.9か月)・バレメトスタット(48%・16.4か月)の4剤であること。CQ6で、indolent ATL(予後不良因子を伴わない慢性型とくすぶり型)は有効な治療が無いため増悪まで無治療経過観察するのが日本のコンセンサスであること。全文にzidovudine・interferon・IFN・AZTの語は一度も現れない。なお本文は日本血液学会の2023年版ガイドラインの内容だが、Int J Hematol 122:177-189としての誌上公開は2025年6月4日(電子版)であるため year は2025を採った。さらにTable 1(見出しに「Modified from Reference 9」=Shimoyama 1991 Br J Haematol 79(3):428-37 と明記)を本文PDFで確認した。抗HTLV-1抗体は4病型すべてで陽性。リンパ球数(正常・異常リンパ球を合わせた実数、×10³/mm³)はくすぶり型4未満・慢性型4以上・リンパ腫型4未満、急性型は規定なし。形態学的に明らかな異常リンパ球はくすぶり型5%以上・慢性型は陽性・リンパ腫型1%以下・急性型は陽性。花弁状核細胞はくすぶり型と慢性型でみられることがあり、リンパ腫型は認めず、急性型は陽性。LDHはくすぶり型が正常上限の1.5倍以下、慢性型が2倍以下で、リンパ腫型・急性型には規定が無い。補正カルシウムはくすぶり型・慢性型とも11.0 mg/dL未満で、アルブミン4.0 g/dL未満のとき総カルシウム − 0.8×(アルブミン − 4)で算出する。組織学的に腫瘍性と確認されたリンパ節病変はくすぶり型で無し・リンパ腫型で陽性。リンパ節腫大はくすぶり型で無し・リンパ腫型であり。肝腫大・脾腫はくすぶり型で無し。中枢神経・骨・胸水・腹水・消化管の病変はくすぶり型・慢性型とも無し。表の空欄は「その病型に固有の基準が置かれていない」意味であると脚注で定義されている。異常リンパ球が5%未満の場合、慢性型・急性型の診断には腫瘍性病変の組織学的確認が、くすぶり型では皮膚または肺の腫瘍性病変の組織学的確認が必要である。取得経路はEurope PMCのPMC12304038をブラウザUA付きの pdf=render で落としてpdftotextにかけたもので、PMCとlink.springer.comの直リンクはいずれもHTMLを返した。さらに2026-09-05の再読で以下を確認した。CQ1の末尾に、抗CD30抗体薬物複合体ブレンツキシマブ ベドチンが未治療CD30陽性末梢性T細胞リンパ腫でBV-CHP対CHOPの試験(ECHELON-2)により有益性を示して日本で保険収載されており、CD30陽性の未治療aggressive ATLに使用しうるが、同試験に組み入れられたATLL症例が少数であるため有効性のさらなる評価が必要であること。CQ2(70歳以上の未治療aggressive ATL、推奨グレード カテゴリー2B)で、高齢者のみを対象とした前方視的試験は無く、全身状態が比較的良好な高齢者は若年者と同じレジメンで治療するが治療強度を減じなければならないこと。CQ3で、HLA一致血縁・非血縁ドナーが第一選択であること、HTLV-1キャリアの血縁ドナーからの同種移植でドナーのHTLV-1感染細胞に由来する再発例が報告されており、HTLV-1キャリアをドナーとする場合はリンパ節腫脹・異常リンパ球の出現が無いなど臨床的にATLを発症していないことの確認が推奨され、末梢血のHTLV-1サザンブロット解析でモノクローナルまたはオリゴクローナルな感染細胞が検出されないことの確認も望ましいが日本ではこの検査が保険適用外であること。CQ5の4剤の記述に続けて、ブレンツキシマブ ベドチンがCD30陽性の再発・難治性末梢性T細胞リンパ腫を対象とした第II相試験で有効性を示し、CD30陽性の再発・難治性ATLに使用可能になっていること。なお同一内容の和文は日本血液学会の造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)ウェブ版 2_9(ATL)でも確認した。閲覧 2026-09-05
  3. 3.Diagnostic criteria and classification of clinical subtypes of adult T-cell leukaemia-lymphoma(British Journal of Haematology(Lymphoma Study Group)・1991)日本のLymphoma Study Groupが提案した診断基準・臨床病型分類で、成人T細胞白血病リンパ腫を急性型・リンパ腫型・慢性型・くすぶり型の4病型に分け、末梢血への白血病性浸潤の有無、LDH値、血清カルシウム値、リンパ節・臓器病変の有無を分類の軸としたことを確認した。原著全文は取得できていない(2026-09-05時点でUnpaywallが oa_status closed・has_repository_copy false を返し、公開版が存在しない)。本ノートが掲げる数値基準は、日本血液学会2023年版ガイドラインが本論文を改変して掲げるTable 1に拠る。閲覧 2026-09-02
  4. 4.Prognosis of Indolent Adult T-Cell Leukemia/Lymphoma(Viruses・2022)慢性型ATLLのうち、血清LDH高値・BUN高値・アルブミン低値のいずれか1つ以上を満たす例を予後不良型(unfavorable)と分類し、対象30例中20例がこの基準で予後不良型に分類されたことを確認した。閲覧 2026-09-02
  5. 5.Revised Adult T-Cell Leukemia-Lymphoma International Consensus Meeting Report(Journal of Clinical Oncology・2019)国際コンセンサス会議の改訂報告で、侵襲性ATLL(急性型・リンパ腫型・予後不良な慢性型)には移植前化学療法後の同種造血幹細胞移植を適応可能な全例で検討すべきとし、モガムリズマブは強力化学療法との併用で未治療の侵襲性ATLLに承認されているが移植の50日以内の投与はGVHDリスク上昇のため避けるべきこと、非侵襲性ATLLでは経過観察や皮膚指向性治療・インターフェロンα+ジドブジン療法が選択肢となることを確認した。再発ATLLへのモガムリズマブ単剤療法は、早期の日本の第I/II相試験で奏効率約50%であったのに対し、欧州・米国・南米の第II相試験では確認奏効率15%(対照群0%)にとどまったことも確認した。閲覧 2026-09-02
  6. 6.アドセトリス点滴静注用50mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/武田薬品工業・2023)第4版(2023年11月改訂、効能変更・用法及び用量変更)。4項の効能又は効果は「CD30陽性の下記疾患:ホジキンリンパ腫/末梢性T細胞リンパ腫/再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫」であり、成人T細胞白血病リンパ腫という病名は効能欄に単独では挙がっていない。5.2項が免疫組織化学法等による検査でCD30抗原が陽性であることを確認した患者に使用するよう求めている。17.1の〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫〉(本剤+CHP対CHOPの452例の試験)の注8に、対象とされた病理組織型として成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)が明記されている。閲覧 2026-09-05