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Symptoms · Published

発熱

Fever

別名
高熱微熱周期熱弛張熱
臓器系
全身
科目
Internal MedicineMedical Physiology
トピック
内科学 L-70:発熱と高体温、不明熱内科学 I-04:不明熱内科学 I-11:敗血症・敗血症性ショック生理学 8-10:温度受容器と体温調節
関連疾患
Aicardi-Goutières症候群ANCA関連血管炎Boerhaave症候群Brill-Zinsser病C1q欠損症Caroli病Dressler症候群Eczema coxsackiumFournier壊疽Lemierre症候群Löffler症候群Parinaud眼腺症候群PFAPA症候群Rosai-Dorfman病Sweet症候群S状静脈洞血栓症TNF受容体関連周期性症候群Waterhouse-Friderichsen症候群Whipple病アナプラズマ症アフリカ睡眠病アルコール性肝疾患インフルエンザウイルス性関節炎ウイルス性脳炎エムポックスカテーテル関連血流感染カドミウム中毒カポジ水痘様発疹症クリオピリン関連周期熱症候群クリプトコーマクリプトコッカス症クローン病クロストリディオイデス・ディフィシル感染症コクシジオイデス症コレステロール塞栓症サイトカイン放出症候群サリチル酸中毒サルコイドーシスジアノッティ・クロスティ症候群ジストニア重積ジフテリアシャーガス病セロトニン症候群タラロミセス症チクングニア熱トキソカラ症トキソプラズマ症ニューモシスチス肺炎ノカルジア症バーキットリンパ腫バベシア症パルボウイルスB19感染症バンコマイシン注入反応ハンタウイルス肺症候群ヒストプラズマ症ヒト咬傷創感染びまん性大細胞型B細胞リンパ腫ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群プラダー・ウィリー症候群ブルセラ症ペストベゾルド膿瘍ヘルパンギーナホジキンリンパ腫ポリオポリマーヒューム熱マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎)マラリアマントル細胞リンパ腫メッケル憩室ライム病ラット咬傷熱リーシュマニア症リウマチ性多発筋痛症リンパ管炎リンパ腫レジオネラ症レプトスピラ症悪性関節リウマチ悪性高熱症悪性症候群移植後リンパ増殖性疾患咽後膿瘍咽頭結膜熱院内肺炎炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)横隔膜下膿瘍化膿性リンパ節炎化膿性関節炎(敗血症性関節炎)化膿性屈筋腱鞘炎化膿性血栓性静脈炎化膿性肩峰下滑液包炎化膿性仙腸関節炎家族性地中海熱過剰溶血症候群過敏性腸症候群回帰熱(シラミ媒介性)回腸嚢炎壊死性腸炎壊死性軟部組織感染症海綿静脈洞血栓症鎌状赤血球症感染性心内膜炎肝吸虫症肝蛭症眼窩蜂窩織炎器質化肺炎気管支胸膜瘻気腫性胆嚢炎偽痛風急性・慢性尿細管間質性腎炎急性リンパ性白血病急性壊死性潰瘍性歯肉炎急性胸部症候群急性骨髄性白血病急性心膜炎急性腎盂腎炎・腎膿瘍急性前骨髄球性白血病急性苔癬状痘瘡状粃糠疹急性胆管炎急性中耳炎・慢性中耳炎(滲出性中耳炎を含む)急性虫垂炎急性乳様突起炎急性副鼻腔炎急性放射線症候群急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)狂犬病胸水胸膜炎胸膜肺芽腫緊張病菌血症金属ヒューム熱憩室症・憩室炎劇症型痤瘡結核結核腫結節性紅斑結節性多発動脈炎血管免疫芽球性T細胞リンパ腫血球貪食性リンパ組織球症血清病血栓性血小板減少性紫斑病犬糸状虫症顕微鏡的多発血管炎原発性胆汁性胆管炎・原発性硬化性胆管炎原発性皮膚γδT細胞リンパ腫交感神経刺激薬中毒口底蜂窩織炎好酸球性多発血管炎性肉芽腫症好酸球性肺炎好中球減少性腸炎好中球性エクリン汗腺炎好中球性皮膚症抗コリン薬中毒抗合成酵素症候群高IgD症候群・メバロン酸キナーゼ欠損症高安動脈炎骨髄炎骨肉腫・ユーイング肉腫骨盤内炎症性疾患骨膜下膿瘍根尖性歯周炎再生不良性貧血細気管支炎(RSウイルス)細菌性肝膿瘍細菌性急性胃腸炎細菌性髄膜炎産褥敗血症・産褥感染市中肺炎脂肪塞栓症候群歯突起冠状石灰化症候群自然流産若年性特発性関節炎手足口病周期性好中球減少症住血吸虫症縦隔炎重症熱性血小板減少症候群食道穿孔心筋炎心臓デバイス関連感染性心内膜炎心臓粘液腫新型コロナウイルス感染症新生児黄疸・高ビリルビン血症新生児敗血症真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症人工関節感染人工呼吸器関連肺炎腎細胞癌腎症候性出血熱腎盂尿管移行部閉塞水銀中毒髄腔内バクロフェン離脱症候群髄膜炎菌感染症成人T細胞白血病リンパ腫成人発症Still病生着症候群精巣上体炎・精巣炎精巣捻転・卵巣捻転脊髄硬膜外膿瘍脊椎椎体炎・椎間板炎赤色変性赤痢先天性肺気道奇形川崎病前立腺炎全身性エリテマトーデス全身性炎症反応症候群(SIRS)鼠径ヘルニア総胆管嚢腫多中心性Castleman病多発血管炎性肉芽腫症多発性硬化症唾液腺炎・唾石症丹毒・蜂窩織炎単純ヘルペスウイルス感染症炭疽胆石症胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)中毒性巨大結腸症虫刺され腸チフス腸回転異常・中腸軸捻転腸腰筋膿瘍痛風潰瘍性大腸炎伝染性単核球症電子タバコ関連肺傷害毒素性ショック症候群突発性発疹内耳炎(迷路炎)尿崩症尿路感染症尿路結石症妊娠性膿疱性乾癬猫ひっかき病嚢胞性線維症脳膿瘍膿腎症播種性フザリウム症敗血症肺吸虫症肺血栓塞栓症肺膿瘍梅毒発疹チフス泌尿生殖器外傷皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫非ホジキンリンパ腫非結核性抗酸菌症非特定型末梢性T細胞リンパ腫普通感冒副咽頭膿瘍腹壁ヘルニア(腹側・臍・瘢痕ヘルニア)腹膜炎・消化管穿孔分類不能型免疫不全症乏汗性外胚葉異形成症麻疹慢性リンパ性白血病慢性骨髄性白血病慢性再発性多発性骨髄炎慢性副鼻腔炎未分化大細胞型リンパ腫無菌性髄膜炎無顆粒球症免疫再構築炎症症候群免疫性血小板減少症毛巣洞野兎病薬剤性過敏症症候群薬剤誘発性ループス薬疹(SJS・TENを含む)輸血関連急性肺障害溶血性輸血反応卵管卵巣膿瘍卵巣炎流行性耳下腺炎旅行者下痢症良性乳房疾患淋菌感染症塹壕熱濾胞性リンパ腫猩紅熱脾梗塞脾摘後重症感染症膀胱尿管逆流蕁麻疹頸部膿瘍
起因薬
MMRワクチンアガルシダーゼ アルファアガルシダーゼ ベータアザチオプリンアニデュラファンギンアバカビルアルグルコシダーゼ アルファアルデスロイキンアルプロスタジルアンフォテリシンBイカチバントイデカブタゲン ビクルユーセルイデュルスルファーゼイバンドロン酸イボシデニブインターフェロン アルファウパダシチニブエカランチドエクサガムグロジーン オートテムセルエクリズマブエデト酸カルシウム二ナトリウムエナシデニブエフロルニチンエルラナタマブエロスルファーゼ アルファエロツズマブオナセムノゲン アベパルボベクオビヌツズマブカスポファンギンカルグルミン酸ガルスルファーゼギルテリチニブクラドリビンクロザピンゲムシタビンコビメチニブサクシニルコリンサルグラモスチムシアノアクリレートジエチルカルバマジンシタラビンジメルカプロールシルタカブタゲン オートルユーセルスラミンセルリポナーゼ アルファゾレドロン酸ダニコパンダブラフェニブ+トラメチニブダラツムマブタリモゲン・ラヘルパレプベックタルラタマブチアマゾールチオプロニンチサゲンレクルユーセル(CAR-T)チピラシルデクスラゾキサンテクリスタマブデシタビンテプリズマブトアルクエタマブトリフルリジントレチノイントロフィネチドナルソプリマブバシリキシマブパミドロン酸ピシバニールフォスデノプテリンプラルセチニブブリナツモマブブレンツキシマブ ベドチンプロカインアミドプロピルチオウラシルペグインターフェロン アルファベズロトクスマブベチベグロジーン オートテムセルヘプタバレント抗毒素(BAT)ベムラフェニブペントスタチンベンラリズマブボツリヌス免疫グロブリン(ヒト)マイトマイシンCマルスタシマブミカファンギンミファムルチドメラルソプロールラロニダーゼリツキシマブリファペンチンリファンピシンレザフンギンレチファンリマブロボチベグロジーン オートテムセル三酸化二ヒ素水痘生ワクチン組換え帯状疱疹ワクチン
スコア
Ann Arbor分類Burch-WartofskyスコアCharcot三徴Duke基準GELF基準Jones基準Kocher基準・Caird基準MEWS(改訂早期警告スコア)NEWS2(早期警告スコア)Pittsburgh食道穿孔重症度スコアTruelove & Witts基準回腸嚢炎疾患活動指数肺炎重症度指数

🧠 全体像:発熱を見たら、まず「体温が高い」を2つに割る——そのものが上がった発熱と、は正常なのに熱を捨てきれないである。この区別で治療が正反対になる(が効くのは前者だけ)。発熱と決まったら、原因を探す前に緊急性の評価を置く。数時間で死に至る発熱は限られており、それらは体温の高さではなく随伴所見と宿主背景で見分ける。網羅的な原因検索は、その関門を通した後で行う。

発熱と高体温を分ける

体温上昇には機序の異なる2つの状態があり、混同すると治療を誤る。

発熱
機序 IL-1・IL-6・など→PGE2→視床下部のが上昇 は正常。熱産生過剰、放散障害、行動調節の破綻
機能している(新しいへ向けて調節する) 破綻している
悪寒・戦慄と皮膚血管収縮を伴って上がる 悪寒を伴わないことが多い
発汗 に発汗する 発汗が効かなくなっている
代表例 感染、、、悪性腫瘍 、、、、
効く 無効
治療 原因治療。苦痛が強ければなど 迅速なとABC、原因特異的治療

⚠️ にを投与しても体温は下がらない。が上がっていないため、下げる対象がそもそも存在しない。ここで時間を失うと、42℃超による中枢神経障害からがさらに破綻する悪循環に入る。

なぜ熱が出るのか

体温は視床下部がとして保持し、皮膚循環・発汗・戦慄という実行系で維持されている。発熱では、この自体が引き上げられる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exogenous pyrogen'>外因性発熱物質</span><br>細菌・ウイルス・毒素"] --> B["単球・マクロファージが活性化"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endogenous pyrogen'>内因性発熱物質</span><br>IL-1・IL-6・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumour necrosis factor'>TNF</span>"]
    C --> D["視床下部でPGE2が産生"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thermoregulatory set point'>体温設定点</span>が上昇"]
    E --> F["実測体温が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='set point'>設定点</span>を下回る状態になる"]
    F --> G["熱産生↑:戦慄・悪寒<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='heat dissipation'>熱放散</span>↓:皮膚血管収縮"]
    G --> H["体温が新しい<span class='jp-term jp-term-diagram' title='set point'>設定点</span>まで上昇"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='set point'>設定点</span>が戻ると発汗・血管拡張で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antipyresis'>解熱</span>"]

💡 悪寒・戦慄は「寒いから」ではなく、実測体温が新しいに追いつくまでの過程である。だから熱が上がりきる前に震え、上がりきると震えは止まる。に汗をかくのは、が下がって実測体温が過剰になったである。を伴う発熱は、菌血症の可能性を上げる所見として扱う——ただしその存在はの除外根拠にはならない(後述)。

見逃してはいけない発熱

⚠️ 以下は体温の高さでは判断できない。随伴所見と宿主背景で拾う。原因検索より先に評価する。

病態 拾い方 初期対応
敗血症・ 感染疑い+臓器障害。呼吸数増加、意識変容、低下 培養採取後、抗菌薬を遅らせず開始。輸液と乳酸測定
頭痛・・意識変容。3徴が揃わないことも多い 血液培養後、抗菌薬を画像やの待ち時間で遅らせない
化学療法後、、 培養採取後、を直ちに
持続する菌血症、、塞栓徴候、・ 抗菌薬開始前に複数セットの血液培養
候群 が無効、発汗なし、、原因薬の使用歴 原因薬中止と。では下がらない
の発熱 、移植後、生物学的製剤、 通常より閾値を下げてへ

⭐ 高齢者と免疫不全患者では、重症感染でも発熱しないことがある。低体温・意識変容・食欲低下だけが唯一の所見になりうるため、「熱がない=重症でない」とは読まない。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["体温上昇を確認"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='set point'>設定点</span>上昇か<br>熱<span class='jp-term jp-term-diagram' title='net yield'>収支</span>の破綻か"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperthermia'>高体温</span>"| C["原因薬中止・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='external cooling'>外部冷却</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='antipyretic'>解熱薬</span>は使わない"]
    B -->|"発熱"| D{"緊急病態の徴候があるか"}
    D -->|"あり"| E["培養採取 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='empiric therapy'>経験的治療</span>を先行"]
    D -->|"なし"| F["病歴:経過・渡航・動物・薬剤<br>免疫状態・処置歴"]
    F --> G["全身診察:皮疹・リンパ節・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heart murmur'>心雑音</span>・関節<br>カテーテル<span class='jp-term jp-term-diagram' title='insertion site (puncture site)'>刺入部</span>・眼底・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='temporal artery'>側頭動脈</span>"]
    G --> H{"局所の手掛かりがあるか"}
    H -->|"あり"| I["その臓器の標的検査へ"]
    H -->|"なし"| J["血算・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C-reactive protein'>CRP</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte sedimentation rate, ESR'>赤沈</span>・肝腎機能<br>尿・培養・胸部画像"]
    J --> K{"3週間以上続き<br>標準評価で不明か"}
    K -->|"該当"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fever of unknown origin, FUO'>不明熱</span>として扱う"]

で診断に近づく項目は決まっている。と経過、渡航歴、動物・昆虫曝露、職業、とその開始時期、免疫抑制状態、手術・カテーテル・歯科処置の履歴である。

(・・・・)は病歴整理には役立つが、単独の診断特異度は低い。だけで原因を決めない。

薬剤による発熱

⭐ 薬は熱を出すが、機序が違えば対応が正反対になる。狭義のは「薬に対する過敏反応として生じた発熱」だけを指し、投与に伴う合併症・投与反応・薬剤性の・治療作用そのものの帰結は、広義には「薬による熱」に含めて語られることがあっても別の病態として扱う1。

区分と代表例は上記総説が挙げる「広義の」の内訳による。対応欄は各病態の一般的な扱いを示したもので、この総説が定めたものではない。

筋 機序 代表 対応
(狭義) 薬に対する過敏反応。との類似から古典的にはに分類されてきた 抗菌薬・・循環器薬・・・・抗うつ薬・など広範1。院内発熱では原因薬として抗菌薬の報告が最も多い2 の中止。特異的な治療は要らない
投与に伴う合併症 ではなく投与という行為の結果 、血腫、、 生じた合併症そのものの治療
投与反応 投与そのものに伴って生じる 、ワクチン との調整
薬剤性の は上がらない。産熱亢進・障害 、、、、中毒 原因薬中止と。は無効
治療作用の帰結 薬が効いた結果として熱が出る 対症的に管理し、薬剤アレルギーと誤認しない

⚠️ 「薬を止める」が答えになるとは限らない。 狭義のと薬剤性のは中止が要るが、投与に伴う合併症は生じた合併症の治療が主眼であり、にいたっては治療が効いている徴候なので抗菌薬を止めない。

⚠️ 薬剤性のだけはが効かず、を同時に始めなければならない(機序は冒頭の表を参照)。逆に、狭義のには要らない。

狭義の薬剤熱——いつ出るか

⚠️ 「投与開始から◯日目」という単一の目安は存在しない。 発症までの時間は薬効群で大きく違い、しかも同系統薬の投与歴があると短くなる1。

薬効群 投与開始から発熱までの報告
各種薬剤を含む症例集積の全体 中央値 2〜8日
抗菌薬 1〜5週。最も多いのは1〜2週以内
3〜4日

💡 によるでは、β-ラクタム系の投与歴が無い患者で中央値22.5日、投与歴のある患者で13日と報告されている1。感作が済んでいるぶん早く出るという読み方ができる。

⚠️ 1回だけの投与でもは起こりうる。 だからは「継続している定期薬」ではなく、1か月以内に使ったすべての薬を、他院処方と一般用医薬品まで含めて聞く。も数える1。

何が手掛かりになり、何がならないか

⚠️ を診断できる、あるいは除外できる単一の所見・検査は無い。 皮疹が無いことも、好酸球増多が無いことも、除外の理由にはならない1。

以下の頻度は、いずれも総説がまとめた過去の症例集積の報告値であり、比較対照を置いた研究のものではない。幅が大きいのは、研究ごとにの定義も所見の定義も違うためである1。

所見 での報告頻度 読み方
抗菌薬によるの症例集積で83〜100%。ただし「発熱時の脈拍100/分以下」という別定義を使った集積では11% 定義に強く依存する。総説は「発熱患者における診断精度は十分に検討されていない」と断ったうえで、無いことがを否定する助けになりうると述べるにとどめている
15〜31%。最多は斑丘疹(麻疹様・中毒疹様) あれば手掛かりだが、無くても否定しない
好酸球増多 0.9〜25% 絶対数で数えるか割合で数えるか、閾値をいくつに置くかが研究ごとに違う。「といえば好酸球増多」と覚えると外す
36〜51% があってもは除外できない
特異的なパターンは報告されていない でを診断しない

⚠️ CRPはでも上昇する。一方は、抗菌薬によるの小さな症例集積では低値にとどまった例が大半だった1。11例規模の報告であり、これで細菌感染とを割り切れるわけではない。

診断と中止後の経過

はである。まず他の重篤な病態を評価し尽くしたうえでとし、を中止して経過で確かめる。複数の薬を使っていてを絞れないときは、疑いの強いものから2〜3日ごとに1剤ずつ止めていく方法が挙げられている1。

⭐ 診断が正しければ、多くは中止から24〜48時間でする。72時間を超えて熱が続くときは、次の4つを順に考える1。

可能性 内容
診断が違う 膿瘍・・悪性腫瘍など、そもそも薬剤性ではない
より重い薬剤性臓器障害 などでは中止後72時間を超えて発熱が続く。肝障害・腎障害・皮疹など臓器症状を探し直す
が違う という判断は正しくても、止めた薬が原因でなければしない
遷延例 総説はこれを「まれ」と位置づけるが、抗菌薬によるの症例集積では36%が中止後3日を超えて発熱し、最長7日の例があった

⚠️ 4つ目に飛びついて経過観察に流れない。 遷延例と決める前に、上の3つを潰す。

💡 は「よくある」と教えられるほどには多くない。 院内発熱(入院48時間以降の発熱)におけるの割合は、15研究・2,735エピソードので3.0%(95%信頼区間 0.6〜6.8%)であり、原因薬として最も多く報告されたのは抗菌薬だった2。「院内発熱の約10%が」という通説は、ではなく全体の数字を引き写した可能性が指摘されている1。

⭐ 予後は良好で、総説が引く症例集積167例では154例(97%)がなく回復している1。だからこそ、を疑いながら不要な抗菌薬を足し続けるほうが害になる。

不明熱として扱うとき

38.3℃以上の発熱が複数回あり、3週間以上持続し、適切な標準評価を終えても診断がつかない状態をという。かつての「1週間の入院精査」といった時間基準は、現在は標準評価の完了という考え方に置き換わっている。原因は4群に整理する。

群 代表例
感染症 、結核、、骨髄炎、/、
、、SLE、血管炎、、
悪性腫瘍 リンパ腫、白血病、、、
その他 、甲状腺炎、、血腫、、

年齢と免疫状態でが動く。高齢者では・、薬剤、悪性腫瘍の比重が上がる。院内発症、好中球減少、関連の発熱は、想定病原体も評価の速度も異なるため別枠で扱う。

⚠️ 診断がつく前の経験的ステロイドは、感染とリンパ腫の像を隠して後の診断を困難にする。による視力障害の切迫など待てない場合を除いて避ける。逆に血行動態が不安定な場合や免疫不全では、診断確定を待たずに経験的抗を優先する。

解熱するかどうか

発熱そのものは宿主防御の一部であり、体温を下げること自体が転帰を改善するとは限らない。は苦痛の緩和を目的に使い、原因治療の代わりにはしない。

⚠️ 安定した患者に「発熱している」だけを理由に抗菌薬を始めない。培養が採れなくなり、原因診断が遠のく。一方で敗血症・重症感染が疑われる場合は、培養採取後に速やかに開始する。この2つは矛盾しない——分けているのは緊急性の評価である。

まとめ

  • 体温上昇はまず発熱とに分ける。が効くのは発熱だけで、にはが要る。
  • 悪寒・戦慄は体温が新しいへ追いつく過程であり、を伴う発熱は菌血症を示唆する。
  • 原因検索より先に緊急病態(敗血症、髄膜炎、、心内膜炎)を評価する。
  • 高齢者・免疫不全では重症でも発熱しないことがある。熱がないことを安心材料にしない。
  • は病歴整理のであって、単独では診断を決められない。
  • 「薬による熱」を一括りにしない。狭義の(過敏反応)・投与に伴う合併症・投与反応・薬剤性の・治療作用の帰結は、機序も対応も別である。だけはが効かずが要る。
  • 狭義のに「投与開始から◯日目」という単一の目安は無い。抗菌薬は1〜5週(多くは1〜2週以内)、は3〜4日で、同系統薬の投与歴があると短くなる。
  • はで、診断も除外もできる単一の所見は無い。・皮疹・好酸球増多はいずれも「あれば手掛かり、無くても否定しない」。があっても除外できない。
  • を止めれば通常24〜48時間でする。72時間を超えるなら、診断の誤り・より重い薬剤性臓器障害・の誤りを先に潰す。
  • 頻度は通説より低い。院内発熱に占めるはで3.0%である。
  • 3週間以上続く原因不明の発熱は、感染・・悪性腫瘍・その他の4群で考える。

出典

  1. 1.Drug fever: a narrative review(Annals of Clinical Epidemiology・2023)全文を取得して確認した。薬剤熱に統一された定義は無く、本総説は「投与開始後に発症」「中止後72時間以内に特異的治療なしに消退」「他の原因が同定されない」「解熱後72時間再燃しない」の4条件で定義していること、広義には投与に伴う合併症(静脈炎・血腫・化学性髄膜炎・クロストリディオイデス・ディフィシル感染症)・薬剤性高体温(悪性高熱・悪性症候群・セロトニン症候群・抗コリン中毒・交感神経刺激薬中毒)・投与反応(アンフォテリシンBやワクチン)・治療作用の帰結(Jarisch-Herxheimer反応)を含める立場もあるが本総説は除外していること、主たる病態は薬に対する過敏反応で血清病との類似から古典的にはIII型に分類されてきたことを確認した。発症までの時間は症例集積全体で中央値2〜8日、抗菌薬は1〜5週で多くは1〜2週以内、抗腫瘍薬は3〜4日、ピペラシリンではβ-ラクタム投与歴が無い群の中央値22.5日に対し投与歴のある群は13日であること、特異的な熱型は無いこと、比較的徐脈は抗菌薬による薬剤熱の症例集積で83〜100%(別定義の集積では11%)で診断精度は十分に検討されていないが不在は除外の助けになりうると述べていること、皮疹15〜31%(斑丘疹が最多)・好酸球増多0.9〜25%(定義が研究ごとに異なる)・悪寒戦慄36〜51%であること、単一の徴候や検査で診断も除外もできず1回の投与でも起こりうるため1か月以内の一般用医薬品・他院処方・頓用薬まで聴取すること、被疑薬を絞れないときは疑いの強いものから2〜3日ごとに1剤ずつ中止する方法が挙げられていること、中止後は通常24〜48時間で解熱し72時間を超える場合は診断の誤り・より重い薬剤性臓器障害・被疑薬の誤り・まれな遷延(抗菌薬の症例集積で36%が3日超、最長7日)の4つを考えること、院内発熱の約10%という通説は薬物有害反応全体の数字の誤引用の可能性が指摘されていること、症例集積167例中154例(97%)が後遺症なく回復したことも確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Prevalence of Drug Fever among Cases of Nosocomial Fever: A Systematic Review and Meta-analysis(Internal Medicine (Japanese Society of Internal Medicine)・2024)全文を取得して確認した。院内発熱(入院48時間以降に生じた発熱)2,735エピソード・15研究を統合した結果、薬剤熱の頻度は3.0%(95%信頼区間0.6〜6.8%)で、東洋医学病院を除けば診療科の設定によらずおおむね一貫していたこと、原因薬を報告した4研究では抗菌薬が最も多かったこと、著者らが「薬剤熱は院内発熱であっても除外診断である」と結論していることを確認した。閲覧 2026-09-08