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Drug Atlas · B29 Immunosuppressants / 免疫抑制薬

バシリキシマブ

basiliximab

分類
Immunosuppressants / 免疫抑制薬
商品名(日本)
シムレクト
商品名(EU)
Simulect
科目
Pharmacology
トピック
B29: Immunopharmacology II (Inhibitors of cytokine gene expression, 5-ASA derivatives)
副作用
下痢発熱
相互作用
シクロスポリンAタクロリムス

🧠 全体像:は、活性化表面の受容体(CD25)をピンポイントで塞ぐである。ATG()のようにリンパ球そのものを枯渇させるのではなく、という「増殖の号令」だけを遮断するという一点が、この薬の安全性プロファイルと位置づけを決めている。移植直後の急性拒絶を抑えるの一角として、より強力だが感染・悪性腫瘍リスクも高い薬と、維持(など)の「橋渡し」を担う。

薬効群の中での位置づけ

系統 薬剤 作用 特徴
性 ATG() T細胞を直接枯渇させる 拒絶抑制は強いが感染・悪性腫瘍リスクも高い
非枯渇性(受容体拮抗) 活性化T細胞の受容体(CD25)を遮断し、によるだけを止める リンパ球を枯渇させない。が高くも少ない
維持免疫抑制 ・ カルシニューリン阻害 の後、長期の拒絶予防を担う

💡 「枯渇させない」ことの意味は、の感染・悪性腫瘍リスクを抑えながら、移植直後という最もリスクの高い時期のT細胞活性化だけをピンポイントで止められるということ。 このの高さから、はを含むので広く使われている1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basiliximab'>バシリキシマブ</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV dosing'>静脈内投与</span>"] --> B["活性化<span class='jp-term jp-term-diagram' title='T lymphocyte'>Tリンパ球</span>表面の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-2'>IL-2</span>受容体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alpha chain'>α鎖</span>(CD25)に結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high affinity'>高親和性</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-2'>IL-2</span>受容体への<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-2'>IL-2</span>の結合を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に阻害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-2'>IL-2</span>を介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='T lymphocyte'>Tリンパ球</span>の<br>活性化シグナルが遮断される"]
    D --> E["移植直後の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='T lymphocyte'>Tリンパ球</span>の<br>活性化・増殖が抑えられる"]

適応

日本の電子添文(2026年6月改訂)による。⚠️ 以前は腎移植のみの適応だったが、この改訂で肝・心・肺・膵・へ拡大された。

領域 使いどころ
移植(全般) 腎移植・・・・膵移植・後の急性の抑制()2

⭐ のでは、薬(ATG・)と並びが広く用いられているが、正式なコンセンサスガイドラインは存在しない。 北米5施設・768例のの解析では、導入が移植後1年以内の全grade急性・組織像・組織像・クラスII供者特異的抗体の発生を有意に減少させたが、(CLAD)や死亡率との関連は認めなかった1。

用法・用量

成人には、(遺伝子組換え)として総用量40 mgを20 mgずつ2回に分けて注射する2。

  • 腎移植:初回投与を前2時間以内、2回目投与を4日後に行う2
  • 腎移植以外(肝・心・肺・膵・):初回投与を前2時間以内、2回目投与は中または後速やかに行う2

実際の投与スケジュールは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:①本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者、②妊婦又は妊娠している可能性のある女性、③生ワクチンを接種しないこと2
  • ⚠️ 免疫抑制療法及び臓器移植患者の管理に精通しているのもとで使用する()2
  • アナフィラキシー症状を含む過敏症が認められた場合は直ちに投与を中止する2
  • 細菌・真菌・ウイルスによる重篤な感染症が現れることがある。重大な副作用として・腎症が挙げられる2
  • は効果が得られないおそれがあるため併用注意2
  • 他の(・など)と併用するの一部として使われるため、免疫抑制の重畳による感染症リスクに注意する

副作用

頻度 内容
高頻度(5%以上) 減少、下痢、発熱2
重篤・まれ 急性過敏症反応(アナフィラキシーを含む)、重篤な感染症、、腎症2

まとめ

  • 活性化の受容体(CD25)を塞ぐ非枯渇性の。ATGのようにリンパ球を枯渇させない点がの高さにつながる。
  • 日本の適応は2026年6月の改訂で腎移植限定から肝・心・肺・膵・へ拡大された。腎移植と腎移植以外で投与スケジュールが異なる。
  • 総用量40 mgを20 mgずつ2回に分けて注射。腎移植は移植前2時間以内・移植4日後、他臓器は移植前2時間以内・移植中または移植後速やかに投与する。
  • 禁忌は過敏症の既往・妊婦・生ワクチン接種予定。重大な副作用に・腎症がある。
  • ⭐ のでは広く使われているが、正式なコンセンサスガイドラインは無く、観察研究が主なエビデンスである。研究では導入が急性などを減少させたが、CLAD・死亡率との関連は認められなかった。

出典

  1. 1.Basiliximab induction immunosuppression and lung transplant outcomes: Propensity analysis in a multicenter cohort(Journal of Heart and Lung Transplantation・2024)Europe PMCで取得した抄録を確認した(出版社サイトは未確認のため抄録の記載に限定して引用する)。北米5施設の新規肺移植成人768例(バシリキシマブ導入368例、非導入400例)を対象とした多施設コホートの傾向スコア解析で、バシリキシマブ導入は移植後1年以内の全grade急性拒絶反応(HR 0.65、95%CI 0.46-0.92、p=0.015)、器質化肺炎組織像(HR 0.38、95%CI 0.16-0.90、p=0.028)、急性肺傷害組織像(HR 0.28、95%CI 0.13-0.61、p=0.001)、クラスII供者特異的抗体の発生(HR 0.51、95%CI 0.27-0.95、p=0.034)の有意な減少と関連したが、慢性肺移植片機能不全(CLAD)の発生や死亡率との有意な関連は無かったこと。抄録の背景部分が「バシリキシマブ導入は、この対象集団での使用を支持する前向きエビデンスが限られているにもかかわらず、肺移植患者で使用が増えている」と述べていることを確認した閲覧 2026-09-22
  2. 2.シムレクト静注用20mg(バシリキシマブ(遺伝子組換え)) 電子添文(医薬品医療機器総合機構(ノバルティスファーマ)・2026)電子添文の全文(2026年6月改訂・第5版、**効能変更・用法変更が行われた版**)を取得して確認した。効能又は効果が腎移植・肝移植・心移植・**肺移植**・膵移植・小腸移植後の急性拒絶反応の抑制であること(⚠️ 以前は腎移植限定だったが、この改訂で他臓器へ適応が拡大された)。用法及び用量が、成人にはバシリキシマブ(遺伝子組換え)として総用量40mgを20mgずつ2回に分けて静脈内注射し、**腎移植**では初回投与を移植術前2時間以内、2回目投与を移植術4日後に行う一方、**腎移植以外**(肝・心・肺・膵・小腸移植)では初回投与を移植術前2時間以内、移植術中または移植術後速やかに行うという異なるスケジュールが定められていること。禁忌が①本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者、②妊婦又は妊娠している可能性のある女性、③生ワクチンを接種しないこと、の3点であること。警告として免疫抑制療法及び臓器移植患者の管理に精通した医師のもとで使用すべきこと、重要な基本的注意としてアナフィラキシー症状を含む過敏症が認められた場合は直ちに投与を中止すること、細菌・真菌・ウイルスによる重篤な感染症が現れることがあることが挙げられること。相互作用として生ワクチンが併用禁忌、不活化ワクチンは効果が得られないおそれがあるため併用注意であること。頻度5%以上の副作用がリンパ球数減少・[[symptoms/diarrhea|下痢]]・[[symptoms/fever|発熱]]であり、重大な副作用として急性過敏症反応、感染症、進行性多巣性白質脳症、BKウイルス腎症が挙げられることを確認した閲覧 2026-09-22