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Drug Atlas · B36 Targeted cancer therapy / 分子標的薬 · 必修

リツキシマブ

rituximab

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
リツキサン
商品名(EU)
MabThera
科目
Pharmacology
トピック
B36: Drugs used in cancer treatment VI (Large molecule signal transduction inhibitors. Immunostimulant anticancer drugs)B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
禁忌疾患
ウイルス性肝炎
副作用
悪寒発熱
対象疾患
ANCA関連血管炎IgG4関連疾患MALTリンパ腫(節外性辺縁帯リンパ腫)MOG抗体関連疾患Waldenströmマクログロブリン血症クリオグロブリン血症シェーグレン症候群ネフリティック症候群ネフローゼ症候群バーキットリンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫移植後リンパ増殖性疾患遺伝性・後天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症・G6PD欠乏症・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間ヘモグロビン尿症)寒冷凝集素症関節リウマチ急性・慢性尿細管間質性腎炎急性リンパ性白血病血球貪食性リンパ組織球症血栓性血小板減少性紫斑病顕微鏡的多発血管炎原発性中枢神経系リンパ腫後天性C1インヒビター欠乏症好酸球性多発血管炎性肉芽腫症抗リン脂質抗体症候群抗糸球体基底膜病(グッドパスチャー症候群)甲状腺炎(亜急性・産後・無痛性・リーデル)混合性結合組織病再発性多発軟骨炎視神経脊髄炎スペクトラム障害自己免疫性水疱症(天疱瘡・水疱性類天疱瘡)自己免疫性脳炎重症筋無力症全身性エリテマトーデス全身性強皮症巣状分節性糸球体硬化症多中心性Castleman病多発血管炎性肉芽腫症多発性硬化症皮膚筋炎・多発筋炎非ホジキンリンパ腫傍腫瘍性小脳変性膜性腎症膜性増殖性糸球体腎炎慢性リンパ性白血病免疫性血小板減少症有毛細胞白血病有毛細胞白血病バリアント濾胞性リンパ腫脾辺縁帯リンパ腫
原因となる疾患
血清病進行性多巣性白質脳症

🧠 全体像:リツキシマブはB細胞表面のCD20に結合する(語尾 -ximab)で、「腫瘍を狙う薬」と「自己免疫疾患を狙う薬」の両方の顔を持つの代表格。CD20はB細胞の分化段階のうちから成熟B細胞までの間だけ発現し、抗体を産生する最終分化した形質細胞には発現しないため、リツキシマブは「B細胞を丸ごと枯渇させるが、既にできている抗体そのものは直接減らさない」という独特な作用域を持つ。このの理解が、CD20を狙う意味を掴む鍵になる。

薬効群の中での位置づけ

標的 代表薬 主な適応 覚える注意点
CD20(B細胞) リツキシマブ CD20陽性B細胞リンパ腫/白血病・関節リウマチ・ANCA関連血管炎など ・PML
CD19×CD3(BiTE) B細胞ALL T細胞を直接動員してB細胞を殺す
CD19(CAR-T) 再発/難治B-ALL・B細胞リンパ腫 T細胞を遺伝子改変して用いる
BLyS/BAFF(B細胞生存因子) SLE・ 「殺す」のではなく「を断つ」

B細胞を狙う薬は「狙う面」で作用の強さが変わる。 リツキシマブはCD20そのものに結合してADCC・CDC・でB細胞を直接枯渇させる。はCD19とCD3を橋渡ししてT細胞に殺させ、CAR-Tは患者自身のT細胞を遺伝子改変してCD19陽性細胞を攻撃する——同じB細胞腫瘍でも「抗体だけで殺す」「T細胞を動員する」「T細胞そのものを作り替える」という3段階の設計があると整理する。

機序

flowchart TD
    A["リツキシマブがB細胞表面のCD20に結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CDC'>補体依存性細胞傷害</span>"]
    A --> C["ADCC(NK細胞のFcγ受容体を介す)"]
    A --> D["直接<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apoptosis induction'>アポトーシス誘導</span>"]
    B --> E["B細胞の枯渇(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='precursor B cell'>前駆B細胞</span>〜成熟B細胞)"]
    C --> E
    D --> E
    F["形質細胞はCD20を発現しない"] -.->|"既存の抗体産生・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autoantibody production'>自己抗体産生</span>は<br>直接には減らない"| G["既存の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antibody titer'>抗体価</span>は比較的保たれる"]
    E --> H["腫瘍性B細胞の減少(リンパ腫・白血病)"]
    E --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autoreactive B cell'>自己反応性B細胞</span>の減少<br>(自己免疫疾患での効果)"]
    E --> J["正常B細胞も枯渇<br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='humoral immunity'>液性免疫</span>低下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HBV reactivation'>HBV再活性化</span>リスク"]

💡 「CD20は形質細胞に発現しない」ことの二面性。 これは既存の抗体産生を保てるという利点である一方、B型肝炎ウイルス(HBV)に対するの主体であるも枯渇させるため、既感染者・キャリアでウイルスの再活性化を招きやすい理由でもある。「既にある抗体は残るが、新しく作る・維持する力が落ちる」という時間差が、が投与後数か月してから顕在化することの説明にもなる。

薬物動態

項目 値・特徴
(皮下注射製剤もある)
構造 (マウスFab+ヒトIgG1定常領域)
分布・消失 標的介在性の・CD20陽性細胞量に応じて変化する
半減期 投与を重ねるほど延長する(が進むほど標的介在性の消失が減るため)、最終投与後は数週間
代謝・排泄 抗体としてを受ける

適応

領域 使いどころ
血液腫瘍 CD20陽性の(化学療法併用)
リウマチ・ 関節リウマチ不応例)、ANCA関連血管炎(寛解導入・維持)
血液・免疫
神経 重症筋無力症(難治例)、(オフラベルまたは類薬)
(難治性など)

用法・用量

リンパ腫では化学療法と併用して3〜4週毎に複数サイクル、自己免疫疾患では半年〜1年に1回程度の間隔でするレジメンが多い。初回投与時はリスクが高く、・抗ヒスタミン薬、しばしばステロイドも)と緩徐なで管理する。実際の用量・間隔は適応・レジメン・施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌B型肝炎ウイルス感染(既往・キャリアを含む)。投与前のHBs抗原・HBc抗体スクリーニングが必須で、既感染者には抗ウイルス薬の予防投与を併用する
  • ⚠️ :JCウイルスの再活性化によるまれだが致死的な。長期・例で報告される
  • 活動性のでは投与を控える
  • 生ワクチンは投与中・B細胞回復までは接種を避ける

副作用

頻度 内容
高頻度 発熱悪寒、特に初回投与時)
注意 、易感染性、好中球減少(遅発性のこともある)
重篤・まれ 、重症

まとめ

  • 型抗CD20抗体。CDC・ADCC・でB細胞を枯渇させる。
  • CD20は形質細胞に発現しないため既存の抗体産生は保たれる一方、の維持機能は落ちる
  • 血液腫瘍(CD20陽性リンパ腫・白血病)だけでなく、関節リウマチ・ANCA関連血管炎・自己免疫性血球減少症など自己免疫疾患にも広く使われる。
  • ⚠️ 投与前のB型肝炎スクリーニングと再活性化対策は必須——このクラスで最も試験に出やすいポイント。
  • はまれだが致死的な重大合併症。
  • 同じB細胞標的でも(CD19×CD3 BiTE)・CAR-T(CD19)はT細胞を動員する別のを持つ。