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Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

リンパ形質細胞性リンパ腫

Lymphoplasmacytic lymphoma

別名
LPL
臓器系
血液腫瘍
科目
PathologyInternal Medicine
トピック
病理学 C/12:多発性骨髄腫/形質細胞疾患内科学 H-21:非ホジキンリンパ腫
上位概念
非ホジキンリンパ腫
鑑別疾患
マントル細胞リンパ腫多発性骨髄腫慢性リンパ性白血病脾辺縁帯リンパ腫
関連疾患
Waldenströmマクログロブリン血症
治療薬
リツキシマブベンダムスチンイブルチニブボルテゾミブ
症状
倦怠感リンパ節腫脹脾腫体重減少末梢神経障害
検査値
M蛋白ヘモグロビンβ2ミクログロブリン

🧠 全体像:()は、小型リンパ球・・形質細胞という3つの成熟段階の細胞が混在して増殖するで、他の小型B細胞リンパ腫(・・など)のを満たさないことで定義される、いわば的な病理単位である1。⭐ 臨床で耳にする機会が多いのは「」より「(WM)」の方だが、両者は別の疾患ではない——が骨髄に浸潤してIgMを産生する状態をWMと呼ぶ。=腫瘍そのもの(名)、WM=その産物とが揃ったという包含関係で理解する。

LPLとWMの関係:病理診断と臨床症候群

flowchart TD
    A["小型リンパ球・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Plasmacytoid lymphocyte'>形質細胞様リンパ球</span>・<br>形質細胞から成る低悪性度B細胞増殖"] --> B{"他の小型B細胞リンパ腫の<br>基準を満たすか"}
    B -->|"満たす"| C["CLL・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mantle cell lymphoma'>マントル細胞リンパ腫</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='splenic marginal zone lymphoma'>脾辺縁帯リンパ腫</span>など"]
    B -->|"満たさない"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoplasmacytic lymphoma'>リンパ形質細胞性リンパ腫</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipoprotein lipase'>LPL</span>)"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow infiltration'>骨髄浸潤</span>+産生する<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoclonal protein'>単クローン性蛋白</span>の型は"}
    E -->|"IgM+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow infiltration'>骨髄浸潤</span>(約95%)"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Waldenström macroglobulinemia'>Waldenströmマクログロブリン血症</span>(WM)"]
    E -->|"非IgM(IgA・IgG等、まれ)"| G["非IgM型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipoprotein lipase'>LPL</span>"]

⭐ はほぼ常にIgM陽性で、まれにIgA陽性・IgG陽性の非IgM型が存在する。 第5版分類では、骨髄への浸潤が診断に必要だが具体的な閾値は定めていない一方、(ICC)は骨髄全体の10%未満の異常なでも診断を認める、というように分類体系間でもの量的基準は統一されていない1。⚠️ 「が少ないからではない」とは判断できない。

💡 IgM型(意義不明の単クローン性IgM血症)にも同じ病理学的分類がまたがる。 ICCはIgM型を「型」と、それよりまれな「」の2つに分けている1——つまりという病理像は、無症候性のから症候性のWMまで、同じ細胞増殖が連続的なスペクトラムを作る中に位置づけられる。

病理・分子生物学

では・・形質細胞が混在して浸潤し、のパターンが典型的である。MYD88 p.L265P変異がほぼ常に基盤にある12。MYD88はシグナルの下流で、L265P変異はNF-κB経路を恒常的に活性化し、腫瘍細胞の生存・増殖を支える——この変異はIgM型の大部分にも認められる一方、では原則として陰性であり、両者の鑑別に有用である。

💡 CXCR4変異は「治療の効きにくさ」を予測する。 CXCR4変異の評価は、への反応性や治療抵抗性の予測に有用とされる2。

鑑別診断

⭐ の診断は「他の小型B細胞リンパ腫ではないこと」の確認を含む、除外的な性格を持つ1。形態・の重なりから、以下との鑑別が要になる。

鑑別疾患 分かれ目
特徴的な(CD5・CD23陽性)とクローン性リンパ球の末梢血優位のパターン
1・CCND1転座
辺縁帯パターンの浸潤、脾腫が前面に出る臨床像
形質細胞優位の浸潤、、MYD88 L265Pは原則陰性

臨床像とWMへの進展

⭐ 無症候性のことも多く、の血液検査異常やリンパ節腫脹・脾腫で気づかれることがある。 によるが最も一般的な受診契機で、倦怠感・体重減少としてされることが多い。

IgM型でが進み単クローン性IgM蛋白が症候性の域に達するとWMと呼ばれ、・IgM関連末梢神経障害・・といったIgM自体の自己抗体活性に由来する病態を来しうる。⚠️ これらの合併症はIgM型(=WM)に特有で、非IgM型では想定される機序が異なる。 の病態・緊急対応・治療の詳細はWMのノートに譲る。

治療

治療対象は症状のある患者に限られ、無症候性の患者は経過観察でよい。治療が必要な場合の枠組みはIgM型(WM)・非IgM型を問わず概ね共通で、リツキシマブを基盤に・(など)・(など)を組み合わせる。MYD88 L265P変異を欠く症例ではの効果が低下する。具体的なレジメン・への緊急対応・(IPSSWM)はIgM型・例に特化した内容としてWMのノートで扱う。

まとめ

  • ()は、小型リンパ球・・形質細胞から成るで、他の小型B細胞リンパ腫の基準を満たさないことで定義される的な病理単位である。
  • ⭐ はほぼ常にIgM陽性で、とIgMが揃った状態を(WM)と呼ぶ——=腫瘍そのもの、WM=その産物とが揃ったという包含関係にある。
  • MYD88 L265P変異がほぼ常に基盤にあり、との鑑別に有用。CXCR4変異はへの反応性を予測する。
  • の量的基準は分類体系間で統一されておらず(ICCは10%未満でも診断を認める)、少量の浸潤でを除外しない。
  • などIgM自体の自己抗体活性に由来する合併症はIgM型(WM)に特有で、詳細な治療・緊急対応はWMのノートに譲る。

出典

  1. 1.Mature B, T and NK-cell, plasma cell and histiocytic/dendritic cell neoplasms: classification according to the World Health Organization and International Consensus Classification(Journal of Hematology & Oncology・2024)リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)の免疫表現型がほぼ常にIgM陽性(まれにIgA陽性またはIgG陽性)であること、ほぼ常にMYD88 p.L265P変異を基盤に持つこと、骨髄浸潤について国際コンセンサス分類(ICC)が骨髄全体の10%未満の異常なリンパ形質細胞集簇でも診断を認めるのに対しWHO第5版(WHO-HAEM5)は有意な骨髄浸潤を要件とするが具体的な閾値は定めていないこと、ICCがIgM型MGUSを「リンパ形質細胞性リンパ腫型」とそれよりまれな「形質細胞型」の2つに分けていることを、本文で確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.Waldenström macroglobulinemia: 2023 update on diagnosis, risk stratification, and management(Mayo Clinic / American Journal of Hematology・2023)MYD88 L265P変異がWaldenströmマクログロブリン血症(WM)患者の90%超で検出され、大部分のIgM型MGUS患者にも認められること、骨髄生検で小リンパ球・形質細胞様リンパ球・形質細胞が混在して浸潤しクローン性リンパ形質細胞比率が診断に用いられること、CXCR4変異の評価がBTK阻害薬への反応性・治療抵抗性の予測に有用であることを確認した閲覧 2026-09-06