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Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

非ホジキンリンパ腫

Non-Hodgkin lymphoma

別名
NHL
臓器系
血液腫瘍
科目
PathologyInternal MedicinePediatrics
トピック
病理学 C/13:濾胞性リンパ腫/マントル細胞リンパ腫/節外辺縁帯(MALT)リンパ腫病理学 C/14:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)/バーキットリンパ腫内科学 H-22:濾胞性リンパ腫内科学 H-23:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫内科学 S-39:非ホジキンリンパ腫小児科 3-02:小児リンパ腫
上位概念
リンパ腫
鑑別疾患
ホジキンリンパ腫リンパ球性間質性肺炎胃癌消化管間質腫瘍肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患濾胞性細気管支炎
合併症
血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)
関連疾患
眼窩腫瘍急性リンパ性白血病
治療薬
リツキシマブシクロホスファミドドキソルビシンビンクリスチンプレドニゾロンメトトレキサートシタラビンアルファインターフェロンフルダラビンチサゲンレクルユーセル(CAR-T)ベンダムスチン
症状
リンパ節腫脹寝汗体重減少発熱
検査値
血算乳酸脱水素酵素尿酸
スコア
国際予後指標
組織像
濾胞性リンパ腫Grade 1(HE染色)濾胞性リンパ腫(BCL2・CD20免疫染色)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(HE染色)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(CD20免疫染色)胃MALTリンパ腫(節外性辺縁帯リンパ腫)
下位分類
MALTリンパ腫(節外性辺縁帯リンパ腫)Waldenströmマクログロブリン血症バーキットリンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫リンパ形質細胞性リンパ腫成人T細胞白血病リンパ腫皮膚T細胞リンパ腫非特定型末梢性T細胞リンパ腫未分化大細胞型リンパ腫濾胞性リンパ腫
元疾患
疱疹状皮膚炎
原因となる疾患
セリアック病分類不能型免疫不全症慢性リンパ性白血病
適応薬
ビンクリスチンベンダムスチン

🧠 全体像:(NHL)は、成熟B細胞・T細胞・NK細胞に由来する多様なリンパ系腫瘍の総称であり、「NHL」という一括診断だけではを決められない。学習の幹は「十分量ので形態・・遺伝学を統合し正確な病型を確定する→低悪性度()か()かを見極める→低悪性度は無症候なら経過観察、症候性ならを含む治療、は病期にかかわらず治癒を目標に多剤療法を行う」。低悪性度=良性ではなく、=不治でもない点が最大の誤解しやすいポイントである。

病態

正常なB細胞・T細胞の分化過程のある段階で生じた遺伝子異常(や)により、その分化段階に対応した細胞形態・を持つクローン性リンパ系腫瘍が生じる。どの分化段階・系統がするかにより、からまで臨床像が大きく異なる。

flowchart TD
    A["B/T/NK系細胞の分化過程で遺伝子異常が発生"] --> B["特定の分化段階に対応したクローン性リンパ系腫瘍"]
    B --> C["低悪性度(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slowly progressive'>緩徐進行性</span>):<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular lymphoma, FL'>濾胞性リンパ腫</span>など"]
    B --> D["中〜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-grade (aggressive)'>高悪性度</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapidly progressive'>急速進行性</span>):DLBCL・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mantle cell lymphoma'>マントル細胞リンパ腫</span>など"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='highly aggressive'>超高悪性度</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Burkitt lymphoma'>バーキットリンパ腫</span>"]
    C --> F["長期にわたる寛解と再発を反復、しばしば治癒不能"]
    D --> G["無治療では致死的だが治癒を目標に治療できる"]
    E --> H["極めて高い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proliferation'>増殖能</span>、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor lysis syndrome, TLS'>腫瘍崩壊症候群</span>のリスクが高い緊急疾患"]

代表的病型

系統・病型 主な遺伝子異常 生物学的特徴
t(14;18)、IGH:: 由来、低悪性度。BCL2で
(DLBCL) 、t(14;18)など 成人で最多のNHL。だが治癒を目指せる
t(11;14)、1(CCND1)増加 CD5陽性、で発見されることが多く治癒は困難
慢性炎症・感染を背景に発生 胃MALTはHelicobacter pylori感染と強く関連。除菌で退縮しうる
t(8;14)、MYC 極めて高い。感染が関与。小児・若年成人に多い
CLL/SLL 主にBCL2 詳細はを参照
() 特定の単一異常なし の成熟T細胞に由来するリンパ腫。慢性として長期にわたり皮膚に限局することが多く、臨床像・・管理体系が独自のため独立ノートで扱う

⭐ は経過中にDLBCLなどのへ形質転換しうる。研究(600例、追跡109か月)では28%が形質転換し、年間リスクは約3%で15年を超えても頭打ちにならなかった1。短期間の急速なリンパ節増大、B症状の新規出現、上昇があれば形質転換を疑いする。

臨床像

  • 無痛性の全身性リンパ節腫脹(数週〜数か月かけて増大する場合はを疑う)
  • B症状:原因不明の発熱、、体重減少
  • 節外病変:消化管、皮膚、中枢神経、精巣、骨など病型・部位に応じた症状
  • による血球減少、脾腫
  • ・高増殖病型(など)では上昇、尿酸上昇、自然発症の
  • による・、腹部腫瘤による腸閉塞

診断

flowchart TD
    A["持続する無痛性リンパ節または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extranodal mass'>節外腫瘤</span>"] --> B["可能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excisional biopsy'>切除生検</span>、困難なら十分量の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='trephine biopsy'>コア生検</span>"]
    B --> C["形態+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunohistochemistry (IHC)'>免疫組織化学</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescence in situ hybridization'>FISH</span>/分子・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='karyotype analysis'>染色体検査</span>でMYC・BCL2・BCL6異常などを評価"]
    D --> E["病型を確定"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron emission tomography–computed tomography'>PET/CT</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow examination'>骨髄検査</span>で病期・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor burden'>腫瘍量</span>を評価"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='International Prognostic Index, IPI'>国際予後指標</span>を算出"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subtype-specific treatment'>病型別治療</span>"]

前のステロイド投与は組織像を消失させうるため、や脊髄圧迫などの生命・臓器危機がなければ生検を優先する。診断後は血算、腎肝機能、、尿酸、B型肝炎・C型肝炎・、心機能などを治療計画に応じて評価する。()は年齢、病期、、全身状態、からリスクを層別化し、予後説明と治療強度の補助に用いる。

治療

病型・状況 主な方針
(限局期) を中心に検討する
(・無症候・低) 早期治療が生存を必ず延長するとは限らないため、注意深い経過観察が適切なことがある
(症候性・) リツキシマブまたはを含む
DLBCL(多くの未治療例) リツキシマブ・・・・(R-CHOP)を標準的な基盤とし、治癒を目標に病期にかかわらず治療する
DLBCL(高値など選択された未治療例) 併用のR-CHP(を置換)も選択肢
中枢神経予防を含む高強度・短期間の病型特異的治療(メトトレキサート・など)と、厳格な対策
強力な後のや、を含むレジメンを患者背景で選択
MALTリンパ腫(胃、H. pylori陽性) を第一選択とし、リンパ腫の退縮を確認する
再発・難治 、/、、などを病型別に選択する

⚠️ 「低悪性度=経過観察のみ」「=一律に予後不良」という単純化は誤りである。症候性のは治療対象になり、のDLBCLやは多くが治癒可能である。治療前には再活性化リスク、感染予防、妊孕性温存、のリスク評価を行う。

小児のNHL

小児NHLは、、DLBCL、が中心で、成人の低悪性度分類(など)は小児では稀である。成人で用いるR-CHOPを小児NHL全体へ一律に適用せず、短期集中的な病型別・リスク別化学療法を用いる。

まとめ

  • NHLは単一疾患ではなく、B/T/NK系の多数の病型からなる腫瘍群である。
  • 診断の核心は十分な組織量による病理・・遺伝学の統合であり、低悪性度・の区別がを左右する。
  • は年約3%の割合でDLBCLなどへ形質転換しうるため、急速増悪時はする。
  • DLBCLはR-CHOPを基盤に病期にかかわらず治癒を目指し、は対策を伴う緊急高強度治療を要する。
  • CLL/SLLは同じ成熟B細胞NHLだが臨床経過・治療体系が独自のため、詳細はを参照する。

出典

  1. 1.Population-Based Analysis of Incidence and Outcome of Transformed Non-Hodgkin's Lymphoma(Journal of Clinical Oncology・2008)抄録で確認した。カナダ・ブリティッシュコロンビア州で1986〜2001年に新規診断された濾胞性リンパ腫600例(追跡期間中央値109か月)の集団ベース解析で、170例(28%)が高悪性度リンパ腫への形質転換をきたし(生検で確認したのはその63%)、年間の形質転換リスクは3%で15年を超えて頭打ちなく持続したこと、形質転換後の生存期間中央値は1.7年であったこと閲覧 2026-09-24