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Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

Diffuse large B-cell lymphoma

別名
DLBCL
臓器系
血液腫瘍
科目
PathologyInternal MedicineHistopathologyPediatrics
トピック
病理学 C/14:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)/バーキットリンパ腫病理学 C/13:濾胞性リンパ腫/マントル細胞リンパ腫/節外辺縁帯(MALT)リンパ腫内科学 H-23:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫内科学 H-21:非ホジキンリンパ腫内科学 S-39:非ホジキンリンパ腫組織病理 H2-011:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(HE染色)組織病理 H2-012:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(CD20免疫染色)小児科 3-02:小児リンパ腫
上位概念
非ホジキンリンパ腫
鑑別疾患
バーキットリンパ腫ホジキンリンパ腫マントル細胞リンパ腫移植後リンパ増殖性疾患胸腺腫
合併症
血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)
治療薬
リツキシマブシクロホスファミドドキソルビシンビンクリスチンプレドニゾロンメトトレキサートアロプリノールラスブリカーゼティサゲンレクルセル(CAR-T)
症状
リンパ節腫脹発熱寝汗体重減少
検査値
乳酸脱水素酵素血算尿酸
スコア
国際予後指標Ann Arbor分類
原因となる疾患
MALTリンパ腫(節外性辺縁帯リンパ腫)慢性リンパ性白血病濾胞性リンパ腫

🧠 全体像(DLBCL)は成人で最多のであり、で急速に増大するにもかかわらず病期にかかわらず治癒を目指せるという一見矛盾した性格を持つ。学習の幹は「起源細胞(GCB型/ABC型)と獲得した遺伝子異常(BCL6・BCL2・MYC)を評価して正確な亜型・分類を確定する→で予後とCNS再発リスクを層別化する→R-CHOPを基盤に治癒を目標とした初回治療を行い、では・CAR-T・まで状に選択肢を持つ」という一本の流れである。

発生

DLBCLはde novo(最初からDLBCLとして発症)のほか、リンパ腫からの形質転換としても生じる。で触れたからの転化(約40%)に加え、MALTリンパ腫(10%未満)や/SLLからの転化()もDLBCLへ帰着する。起源となったが異なっても、転化後はDLBCLとして評価・治療する。

病理形態・免疫表現型

腫瘍細胞は正常リンパ節構築を置換してびまん性に増殖する大型細胞で、にみられると、にみられるの2型が中心となる。とアポトーシスが多く、増殖回転が速い。

マーカー 意味
CD20・CD79a・PAX5 成熟B細胞由来であることを示す
Ki-67 高値で高いを反映する

⭐ 起源細胞の判定には(免疫染色によるCD10・BCL6・MUM1の組み合わせ)を用いる。CD10陽性、またはCD10陰性でもBCL6陽性かつMUM1陰性ならGCB型)、それ以外(BCL6陰性、またはBCL6陽性でもMUM1陽性)はABC型、non-GCB型)と判定し、ABC型はGCB型より予後不良の傾向がある。

遺伝子異常と分類

DLBCLでは複数の遺伝子異常が単独または重複して生じる。

異常 主な部位 意味
3q27 GCB型・ABC型いずれにも生じうる
t(14;18)(q32;q21) IGH::BCL2融合。GCB型に多い
8q24 単独でも予後不良因子

💡 MALTリンパ腫のt(14;18)がMALT1をIGHに融合させる転座であったのに対し、DLBCL側で問題になるt(14;18)はBCL2をIGHに融合させる転座で、の転座と同一である。を同時に持つ腫瘍(いわゆるdouble-hit)は、WHO分類第5版・International Consensus Classification 2022のいずれでも、もはやDLBCLではなく「DLBCL/B細胞リンパ腫、MYCおよび」という独立したカテゴリに分類される。形態がDLBCL様であってもでこの重複を確認すれば分類が変わる点に注意する。一方、MYCとBCL6の重複再構成は2つの分類体系で扱いが割れている。WHO分類第5版はこれを独立カテゴリから外し、形態に応じてDLBCL, NOSまたはB細胞リンパ腫NOSへ振り分ける。International Consensus Classification 2022は予後不良との関連を重くみて「B細胞リンパ腫、MYCおよび」を暫定カテゴリとして残している。蛋白の二重発現(MYC・BCL2の免疫染色陽性)と、これらのの重複は同義ではなく、混同しない。

臨床像

数週〜数か月で急速に増大する無痛性腫瘤を主徴とし、消化管・骨・皮膚・精巣・中枢神経などの節外病変を伴うことが少なくない。発熱・・体重減少などのB症状、LDH上昇を認めることが多く、では自然発症を含むのリスクがある。腫瘤部位により気道圧迫、、脊髄圧迫、腸閉塞など血液・を来しうる。

病期評価・予後指標

(消化管病変では)で解剖学的な広がりを評価したうえで、(年齢・病期・LDH・全身状態・)でリスクを層別化する。は年齢・LDHの区分をより細かくし、の代わりに骨髄・中枢神経・肝/消化管・肺という主要臓器への浸潤を評価項目に組み込んだ改訂版で、現代の時代により適した層別化を目指す。

⚠️ 中枢神経再発リスクの評価はと別に行う。CNS-の5因子に加え腎・副腎浸潤を評価)が高値の症例に加え、精巣・乳房・骨髄への浸潤はCNS-が低くても中枢神経再発リスクを高めるため、や大量静注メトトレキサートによる中枢神経予防を個別に検討する。

治療前評価

抗CD20抗体投与前にはB型肝炎ウイルスの再活性化リスクを確認し、)を含むレジメンでは心機能を評価する。挙児希望がある患者では化学療法開始前に妊孕性温存の選択肢を提示する。・高LDHの症例では治療開始前から補液・またはによる対策を行う。

治療

flowchart TD
    A["DLBCL確定診断"] --> B["Ann Arbor/Lugano病期+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='International Prognostic Index'>IPI</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='NCCN International Prognostic Index'>NCCN-IPI</span>を評価"]
    B --> C["HBV・心機能・妊孕性など治療前評価"]
    C --> D["R-CHOPまたは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polatuzumab'>ポラツズマブ</span> <span class='jp-term jp-term-diagram' title='vedotin'>ベドチン</span>併用R-CHPで初回治療"]
    D --> E{"治療反応・再発時期"}
    E -->|"寛解"| F["経過観察"]
    E -->|"原発難治・早期再発(12か月以内)"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CAR T-cell therapy'>CAR-T細胞療法</span>"]
    E -->|"化学療法感受性の晩期再発"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='salvage therapy'>救援療法</span>後の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autograft'>自家移植</span>"]
    G --> I["さらなる再発なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bispecific antibody'>二重特異性抗体</span>など"]
    H --> I
状況 主な方針
多くの未治療例 リツキシマブ(R-CHOP)を基盤とし、病期にかかわらず治癒を目標とする
高値など選択された未治療例 を置換したR-CHP併用が選択肢。POLARIX試験ではPola-R-CHPがR-CHOPに比べ無増悪生存を改善した(5年無増悪64.9% vs 59.1%)
中枢神経再発高リスク または大量静注メトトレキサートによる予防を個別に追加
原発難治・早期再発(12か月以内) 標準より(axicabtagene ciloleucel、lisocabtagene maraleucelなど)を優先する根拠が確立している
化学療法感受性の晩期再発 後のを検討する
CAR-T後を含むさらなる再発・難治 glofitamab・epcoritamabなどCD20×CD3を選択肢とする

⚠️ 「=治らない」という単純化は誤りで、DLBCLの多くはR-CHOPを基盤とした初回治療で治癒を目指せる。一方で高値・二重発現・double-hit(DLBCL/B細胞リンパ腫、MYCおよび)などは予後不良因子であり、治療強度や参加を個別に検討する。

鑑別

DLBCLは大型細胞のびまん性増殖という点で他のリンパ腫と紛れうる。は概して均一な中型細胞からなり、t(8;14)によるMYC単独による「」像が特徴で、DLBCLの・大型細胞主体の像とは形態が異なる。は腫瘍細胞であるHR(CD30陽性・CD15陽性)が病変中に少数しか存在せず、豊富な反応性炎症細胞を伴う点がDLBCLの腫瘍細胞優位の組織像と対照的である。/SLLはCD5・CD23陽性の小型成熟B細胞からなる疾患で、を起こして初めてDLBCL様の大型細胞像を呈する。

まとめ

  • DLBCLはde novo発症のほか、・MALTリンパ腫・からの形質転換でも生じ、いずれもDLBCLとして治療する。
  • CD20・CD79a・PAX5陽性を確認し、(CD10・BCL6・MUM1)でGCB型/ABC型を判定する。
  • を同時に持つ腫瘍は、現行分類ではDLBCLではなく独立したB細胞リンパ腫として扱う。
  • Ann Arbor病期に加えでリスクを層別化し、精巣・などではCNS-が低くても中枢神経予防を検討する。
  • R-CHOPが治療の基盤で、選択例ではPola-R-CHPが無増悪生存を改善する。原発難治・早期再発ではが標準より優先され、さらなる再発ではを選択する。