内科学

内科学 · H-23

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

Diffuse Large B-cell Lymphoma

前提:病態
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)免疫薬理学III(抗体・融合タンパク質)
疾患
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫硝子体網膜リンパ腫非ホジキンリンパ腫
スコア
Deauvilleスコア国際予後指標

🧠 全体像:びまん性B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)は、急速に増大する大細胞性B細胞腫瘍で、成人のの代表である。や節外病変を伴っていても、初回治療で治癒を目指せる。DLBCLは分子学的に不均一であり、十分な組織採取とMYC・BCL2・BCL6などの評価が重要である。1

発生と病態

  • に発症するほか、などのリンパ腫から形質転換して生じる。
  • 細胞起源によりとなどに分かれるが、この区分だけでは遺伝学的なを十分に表せない。2
  • MYCとBCL2のは、を意味する二重型とは区別する。
  • 第5版ではMYCとBCL2の再構成を伴うDLBCL/HGBLを独立した病型として扱う。MYCとBCL6のみの再構成例は同じ病型には含めず、形態などを統合して分類する。2

臨床像

  • 数週〜数か月で増大する無痛性腫瘤
  • 発熱、、体重減少などのB症状
  • 消化管、骨、中枢神経、皮膚、精巣などの節外病変
  • 上昇、に伴う
  • 腫瘤部位に応じた、、腸閉塞、脊髄圧迫

診断

flowchart TD
    A["急速に増大する腫瘤"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excisional biopsy'>切除生検</span>または十分量の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='core needle biopsy'>太針生検</span>"]
    B --> C["形態・CD20などの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Immunophenotype'>免疫表現型</span>"]
    C --> D["MYC・BCL2・BCL6をIHCで評価<br>陽性例などで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescence in situ hybridization'>FISH</span>"]
    D --> E["病型を確定"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron emission tomography–computed tomography'>PET/CT</span>と臨床検査で病期・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='International Prognostic Index'>IPI</span>を評価"]
    F --> G["治癒を目標とする初回治療"]

MYC、BCL2、BCL6をIHCで評価し、陽性例などではをで確認する。蛋白の二重発現と遺伝子の二重再構成を混同しない。1

治療前評価

  • 血算、、尿酸、電解質、肝腎機能
  • による病期評価。で評価できる通常例ではをルーチンに行わない1
  • 心機能、全身状態、併存症、妊孕性
  • B型肝炎・などの感染評価
  • 中枢神経再発リスクが高い部位・病態ではや中枢神経予防を個別に検討

は、年齢、病期、、全身状態、からリスクを層別化する。治療を控えるためではなく、予後説明と治療戦略の補助に用いる。1

治療

状況 主な方針
多くの未治療DLBCL R-CHOPを標準的な基盤とする1
2以上など選択された未治療例 +R-CHPも選択肢。R-CHOPよりPFSを改善したが、初回報告ではOS優越を示していない3
限局期 mIPI、腫瘤径、治療中などにより、短縮R-CHOP、R-CHOP+、または6サイクルのR-CHOPを選択1
初回治療不応・12か月以内再発 を適格例の標準的な第2選択として検討45
化学療法感受性の晩期再発 後のを検討1
その他の再発・難治 、などを前治療と適格性に応じて選択1

R-CHOPは、リツキシマブ、、、、/からなる。治療前後には腫瘍崩壊予防、感染予防、対策を行う。

中枢神経原発リンパ腫との区別

は病理学的にはDLBCLが多いが、通常のR-CHOPはが不十分である。高用量メトトレキサートを基盤とする治療を行い、全身性DLBCLとは別の治療体系で扱う。6

治療反応の評価

集積性リンパ腫ではを用い、Deauvilleスコアで治療反応を評価する。治療後にがあっても、代謝活性が消失していればの場合がある。7 陽性のみで難治・再発と確定せず、治療変更前に可能ならする。1

まとめ

  • DLBCLはだが、病期にかかわらず治癒を目標に治療する。
  • 十分なでとMYC・BCL2・BCL6関連異常を評価する。
  • R-CHOPが治療の基盤で、選択例では+R-CHPを用いる。
  • は高用量メトトレキサート基盤であり、通常の全身性DLBCLと区別する。

出典

  1. 1.SEOM-GOTEL clinical guidelines on diffuse large B-cell lymphoma (update 2025)(Spanish Society of Medical Oncology / Spanish Lymphoma Oncology Group・2025)DLBCLの切除・切開生検、IHC陽性例のFISH、PET/CT病期評価、骨髄生検の非ルーチン化、R-CHOPを基盤とする治療を確認した閲覧 2026-08-13
  2. 2.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Lymphoid Neoplasms(World Health Organization Classification of Tumours Editorial Board・2022)DLBCLの細胞起源分類と遺伝学的多様性、MYC・BCL2再構成を伴うDLBCL/HGBLのWHO第5版での分類を確認した閲覧 2026-08-13
  3. 3.Polatuzumab Vedotin in Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma(New England Journal of Medicine・2022)未治療の中間・高リスクDLBCLでpola-R-CHPがR-CHOPよりPFSを改善した一方、2年OSに有意差を示さなかったことを確認した閲覧 2026-08-13
  4. 4.Axicabtagene Ciloleucel as Second-Line Therapy for Large B-Cell Lymphoma(New England Journal of Medicine・2022)初回治療不応または12か月以内再発の大細胞型B細胞リンパ腫でaxi-celが標準救援療法よりイベントフリー生存を改善したことを確認した閲覧 2026-08-13
  5. 5.Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM)(Lancet・2022)初回治療不応または12か月以内再発の大細胞型B細胞リンパ腫でliso-celが救援化学療法後自家移植よりイベントフリー生存を改善したことを確認した閲覧 2026-08-13
  6. 6.Primary central nervous system lymphomas: EHA-ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up(European Hematology Association / European Society for Medical Oncology・2024)中枢神経原発DLBCLを全身性DLBCLと分け、高用量メトトレキサートを基盤に治療することを確認した閲覧 2026-08-13
  7. 7.Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma: the Lugano classification(International Conference on Malignant Lymphoma Imaging Working Group・2014)FDG集積性リンパ腫の病期・治療反応をPET/CTとDeauvilleスコアで評価する枠組みを確認した閲覧 2026-08-13