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Deauvilleスコア

Deauville score

臓器系
腫瘍血液
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-23:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

🧠 全体像:Deauvilleスコアは、の集積をと肝臓という2つのと比べ、視覚的に1(背景以下)〜5(肝臓を著明に超える集積、または新病変)の5段階に分類する尺度である。名称は2009年にフランス・Deauvilleで開かれた国際ワークショップに由来し、リンパ腫のFDG-PETによる治療反応評価を「陽性/陰性」のから再現性の高い5段階の視覚的グレーディングへ置き換えることを目的に作られた1。現行のLugano 2014基準はこのDeauvilleスコアを組み込んでおり、が解剖学的な広がりを記述する一方、Deauvilleスコアは代謝活性という別の軸でリンパ腫の治療反応を評価する2

目的と適用場面

内容
目的 におけるリンパ腫病変の集積を、・肝臓を基準に5段階で視覚的に判定し、治療反応を評価する
対象 FDG親和性の高いリンパ腫(など)で化学療法・を受ける患者
使う場面 治療開始前のベースライン評価、化学療法数サイクル後の中間評価、治療終了時評価
評価しないもの 病変の解剖学的な広がり(の領域)、固形腫瘍の治療効果判定(PERCISTの領域)

⚠️ MALTリンパ腫など集積が一定しないはFDG親和性が乏しく、Deauvilleスコアでの判定は前提を満たさない。この場合はCTを中心とした基準など別の評価法を用いる2

構成要素と配点

複数項目を加点する形式ではなく、集積の強さをと肝臓の2点を基準に単一軸の5段階で判定する。加点式のスコアではないため、frontmatterのcomponentSymptomscomponentLabValuescomponentImagingFindingsに対応する個別項目はない。

スコア 集積の程度
1 集積なし(バックグラウンド以下)
2 集積が以下
3 集積がを超えるが、肝臓以下
4 集積が肝臓を中等度に超える(部位を問わない)
5 集積が肝臓を著明に超える(部位を問わない)、または新規病変の出現

一般にスコア1〜3を「PET陰性」、4〜5を「PET陽性」に分類する2

解釈とカットオフ

同じスコア4〜5でも、評価する時点によって意味が変わる。

評価時点 スコア1〜3 スコア4〜5
中間評価(治療途中) の方向 がベースラインから25%を超えて低下していればとみなせる。50%を超えて増加すれば進行と判定する
治療終了時評価 数値変化にかかわらず治療不成功と判定する

このように中間評価のスコア4〜5は必ずしもを意味しないが、治療終了時評価のスコア4〜5は残存する数値変化を問わず不成功として扱う点が最大の注意点である2

💡 中間PET評価に基づく治療強度の調整(PET反応適応化)はで実装されている。を対象としたRATHL試験では、ABVD 2サイクル後の中間PETが陰性(Deauville 1〜3)であれば以降はを省略してAVDとしても3年無増悪率に差がなく、のみが減少することが示され、NCCNガイドラインもこの運用を採用している3

者間のは高いが完全ではない。3名の独立者による検証では、評価した102の時点のうち97(95%)で判定が一致し、κ値0.73と報告されているが、不一致はスコア3と4の境界で最も多く生じる2

限界と使ってはいけない場面

⚠️ FDG非親和性の組織型には使えない。 MALTリンパ腫など、集積が一定しないでは前提となる高集積が保証されず、CT基準など別の評価法に置き換える2

⚠️ スコア3と4の境界は者間でばらつきやすい。 と肝臓という2つののどちらに近いかの判断が主観に左右されるため、単一のだけでを確定させず、疑わしい場合は複数者での確認を検討する2

⚠️ 中間評価と治療終了時評価でスコア4〜5の意味が異なる。 同じスコアでも評価時点を確認せずに「陽性=不成功」と機械的に読み替えない。

⚠️ 免疫療法後は集積の一過性フレアを進行と誤判定しうる。 などの治療後は、真の進行との区別に注意する2

⚠️ Deauvilleスコアはリンパ腫の代謝反応評価に特化した尺度であり、固形腫瘍の治療効果判定には用いない。固形腫瘍ではPERCISTを用いる。

まとめ

  • Deauvilleスコアは、の集積を・肝臓を基準に1(バックグラウンド以下)〜5(肝臓を著明に超える集積、または新病変)の5段階で視覚的に判定する尺度で、名称は2009年の国際ワークショップの開催地に由来する。
  • 一般にスコア1〜3が陰性、4〜5が陽性に分類されるが、中間評価のスコア4〜5はの変化次第でともなりうる一方、治療終了時評価のスコア4〜5は数値変化にかかわらず治療不成功と判定する。
  • 現行のLugano 2014基準はDeauvilleスコアを組み込んでおり、(解剖学的な広がり)とは評価する軸が異なる。
  • RATHL試験など、中間PET反応に基づく治療強度の調整(PET反応適応化)に応用されている。
  • FDG非親和性のには適用できず、スコア3と4の境界は者間でばらつきうる。固形腫瘍の効果判定にはPERCISTを用いる。

出典

  1. 1.Report on the First International Workshop on Interim-PET-Scan in Lymphoma(Groupe d'Etude des Lymphomes de l'Adulte(GELA)(Leukemia & Lymphoma、Meignan M, et al.)・2009)2009年4月3〜4日にフランス・Deauvilleで開催された国際ワークショップで、ホジキンリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)における中間PET判定のための単純で再現性のある基準についてコンセンサスを得ることを目的としたこと、この基準を検証するための国際的な妥当性検証研究を立ち上げる方針が示されたことを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Lugano 2014 criteria for assessing FDG-PET/CT in lymphoma: an operational approach for clinical trials(Drug Design, Development and Therapy(Van Heertum RL, Scarimbolo R, Wolodzko JG, et al.)・2017)Deauville 5点スケールはスコア1=集積なし、2=集積が縦隔血液プール以下、3=縦隔血液プールを超えるが肝臓以下、4=肝臓を中等度に超える集積、5=肝臓を著明に超える集積または新病変、と定義され、一般にスコア1〜3が陰性(PET-negative)、4〜5が陽性(PET-positive)に分類されること、Lugano 2014基準はCheson 2007のInternational Harmonization Project(IHP)基準による二分法評価に代わり、2011年・2013年の追加ワークショップの議論を踏まえてDeauville基準を統合する形で作られたこと、3名の独立した読影者間の一致率は評価した102の時点(time point)のうち97(95%)でκ値0.73(95%信頼区間0.59〜0.87)、不一致は主にスコア3と4の境界で生じたこと、中間評価ではスコア4〜5でもSUVmaxが25%を超えて低下していれば部分代謝奏効、50%を超えて増加していれば進行性代謝疾患とみなす一方、治療終了時のスコア4〜5はSUVmaxの変化にかかわらず治療不成功とすること、免疫療法の臨床試験では治療効果判定において集積の一過性増加(transient metabolic flare)を進行と誤判定しうること、この5点スケールの運用はFDG親和性のある組織型に限られ、FDG非親和性のリンパ腫はCT基準など別の評価法を要することを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Adapted Treatment Guided by Interim PET-CT Scan in Advanced Hodgkin's Lymphoma (RATHL)(New England Journal of Medicine・2016)ABVD 2サイクル後の中間PETが陰性(Deauville 1〜3)であれば、以降ブレオマイシンを省略してAVDとしても3年無増悪生存率(PFS)はABVD群85.4%対AVD群84.5%、3年全生存率(OS)は97.0%対97.5%で差がなく、肺毒性のみが減少したこと、NCCNガイドラインもこの中間PET反応適応化の運用を採用していることを確認した。閲覧 2026-08-03