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PERCIST

PERCIST

臓器系
腫瘍
科目
Oncology
トピック
腫瘍学 I-31:臨床効果判定基準と全身状態評価
構成:画像所見
FDG-PET
適用疾患
肝転移

🧠 全体像は、腫瘍の「大きさ」ではなく「の強さ」の変化で治療効果を判定する基準である。FDG-PETのSULpeak(で正規化したSUVを、直径1.2cmので測った値)だけを指標にし、その変化率(%)と絶対変化量(SUL単位)の両方が閾値を超えるかどうかで、(PMR)・安定代謝疾患(SMD)・(PMD)の4区分に振り分ける。腫瘍径がまだ縮小していなくても代謝が先に落ちれば「効いている」と判定できる点が、腫瘍径のみを見るRECISTのような形態基準との違いであり、両者は補完関係にあって代替関係ではない。

目的と適用場面

内容
目的 固形腫瘍に対する後の治療効果を、代謝(FDG取り込み)の変化で判定する
対象 FDG親和性を持つ固形腫瘍(ベースラインPETで測定可能病変の閾値を満たす病変)を持つ患者
使う場面 化学療法・分子標的薬・放射線治療などの効果判定、でのPET反応データの収集、治療変更(継続か切り替えか)の判断材料
評価しないもの の効果判定(→ が別に存在する)、腫瘍径そのもの(→ RECIST)、生存期間・再発リスクの直接予測

は2009年にWahlらが、腫瘍径だけでは捉えられない治療反応(腫瘍が縮小する前に代謝が先に落ちる、あるいは分子標的薬で壊死・嚢胞化して径が変わらないまま活動性が消える、といった場面)を評価するための草案として提案した1。2016年にO・Lodge・Wahlらが実地運用のための手順を整理し(Practical PERCIST)、測定可能病変の判定基準やベースライン・追跡PET間の整合性基準を具体化した2

構成要素と配点

の選択とSULpeakの測定

項目 基準
対象病変 各時点で集積が最も強い1個の腫瘍(“hottest” 病変)を選ぶ。ベースラインで選んだ病変と追跡時に選ぶ病変が同一である必要はない
測定法 体積約1 mL(直径1.2cm相当)のVOIを病変の高集積部に置き、そのVOI内の平均SUVをで補正した値(SUL)をSULpeakとする
は使わない ・ノイズの影響を受けやすく施設間で不安定なため、体積を持つROI内平均値のSULpeakを用いる

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測定可能病変の判定(ベースライン)

背景に使う臓器 測定法 必要な最小SULpeak
肝臓(優先) 右葉に3cm径のVOIを置き、中心の胆管・血管を避けて平均SULと標準偏差を求める 肝臓の平均SUL+標準偏差の2倍の1.5倍以上
大動脈(などで肝臓が使えない場合) にtubular VOIを置き平均SULと標準偏差を求める(血液のSULは肝臓より低いため係数が変わる) 大動脈の平均SUL+標準偏差の2倍の2倍以上

閾値を満たさない場合、その病変はでは測定不能として扱い、評価対象から除外する(新規病変・不釣り合いな増悪の判定には別途考慮しうる)2

判定に必要な整合性基準

項目 許容範囲
撮像機器・施設 ベースラインと同一の装置・同一施設
撮像条件 同一の取得プロトコル・再構成プロトコル・ソフトウェアバージョン
取り込み時間(投与〜撮像開始) 50〜70分、かつベースラインと追跡時の差が15分以内
投与量の差 ベースラインと追跡時で20%以内
肝臓バックグラウンドSULの差 大きい方の測定値の20%以内、かつ0.3 SUL単位以内
絶食・血糖値 投与4時間以上前から絶食、投与時の血清血糖値200 mg/dL未満

これらを満たさない条件で撮像されたデータをそのまま比較すると、治療効果とはがSULpeakの変化として現れうる2

反応判定の4カテゴリ

カテゴリ 基準
の集積が完全に消失し、SULが肝臓の平均SULを下回り周囲の血液プールと区別できない。他の全病変も背景レベルまで消失し、新規のFDG親和性病変が無いこと
のSULpeakが、ベースラインまたはそれ以降の最良値と比べて30%以上、かつ0.8 SUL単位以上低下。新規のFDG親和性病変が無く、標的・非に30%を超える明らかなサイズ増大やSULpeak増加が無いこと
CMR・PMR・PMDのいずれにも該当しない(SULpeakの変化が30%未満)
のSULpeakが30%を超えかつ0.8 SUL単位を超えて増加、または新規のFDG親和性病変の出現、または非の明らかな増悪

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💡 変化率(%)だけでなく絶対変化量(0.8 SUL単位)も同時に要求するのは、ベースラインのSULpeakが低い病変ほどだけで30%を超える見かけ上の変化が出やすいためである。両方の条件を満たして初めて反応・進行と判定することで、ノイズによる過剰判定を防ぐ。

解釈とカットオフ

の程度は連続としても記録される。

  • (%)= 100 ×(追跡時SULpeak − ベースライン時SULpeak)/ベースライン時SULpeak

負の値が大きいほど代謝が強く低下したことを表し、waterfall plotのような連続データの提示に使える2

と非で反応の判定が食い違う場合は、次の優先順位で総合判定を決める。

状況 総合判定
新規のFDG親和性病変が出現した、または非が明らかに増悪した の結果にかかわらず総合PMD
上記に該当せず、の判定がPMD 総合PMD
上記に該当せず、標的・非がともにCMR〜SMDの範囲 反応の乏しい方(悪い方)に合わせて総合判定する

反応期間は、最良反応が得られた日から・進行が最初に確認された日までで計算する。でこの期間が短く見積もられるのを避けるため、ベースラインPETは治療開始前21日以内に撮像することが望ましいとされる2

評価の進め方

flowchart TD
    A["固形腫瘍の治療効果をFDG-PETで判定したい"] --> B["ベースラインPET:<br>肝臓(または大動脈)を背景にSULpeakを測定"]
    B --> C{"SULpeakは測定可能病変の<br>閾値を超えるか"}
    C -->|"いいえ"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PET Response Criteria in Solid Tumors 1.0'>PERCIST 1.0</span>では測定不能として扱う"]
    C -->|"はい"| E["整合性基準を満たす条件で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Follow-up Routines'>フォローアップ</span>PETを撮像"]
    E --> F["各時点で最も集積の強い病変の<br>SULpeakを測定"]
    F --> G["変化率(%)と絶対変化量(SUL単位)を算出"]
    G --> H{"新規のFDG親和性病変は<br>出現したか"}
    H -->|"はい"| I["総合判定はPMD"]
    H -->|"いいえ"| J{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='target lesion'>標的病変</span>のSULpeakの変化は?"}
    J -->|"完全消失し肝臓・血液プール以下"| K["CMR"]
    J -->|"30%以上かつ0.8 SUL単位以上低下"| L["PMR"]
    J -->|"変化30%未満"| M["SMD"]
    J -->|"30%超かつ0.8 SUL単位超増加"| I
    K --> N["非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='target lesion'>標的病変</span>の増悪の有無を確認し<br>総合判定を決定"]
    L --> N
    M --> N

限界と使ってはいけない場面

⚠️ には使わない。 リンパ腫の中間・治療終了時評価にはと肝臓を基準にした視覚的グレーディングである)を用いる。PERCISTのSULpeak閾値による定量判定とは別の枠組みである。

⚠️ がつかない患者、絶食を守れない患者には適用できない。 整合性基準(投与時血清血糖値200 mg/dL未満、投与4時間以上前からの絶食)を満たせないデータは、そのままではPERCISTで比較できない。

⚠️ FDG親和性の低い腫瘍には測定可能病変の閾値自体を満たせないことがある。 のようにFDG取り込みが乏しい腫瘍では、そもそもとして選定できない場合がある。

⚠️ の「明らかな増悪」には、自体に数値化された閾値が無い。 者の視覚的判断に委ねられており、が改善していても非の増悪をどこまで重視するかで総合判定が分かれうる。

⚠️ 腫瘍径とFDG取り込みは必ずしも並行して変化しない。 分子標的薬などで腫瘍が壊死・嚢胞変性すると、径はすぐには縮小しないままFDG取り込みだけが先に低下することがある。逆に治療前後のPET間隔が空きすぎると、腫瘍がいったん増大してから治療が効いて縮小する経過の一部しか捉えられないこともある。腫瘍径の変化を機械的に要求する運用はPERCISTの本来の設計と矛盾する。

は2009年にWahlらが提示した草案であり、2016年のPractical PERCISTは運用上の疑問点(サイズ測定の要否、非の明らかな増悪の定義など)を整理したものの、これらの課題自体は未解決として明記されている2

まとめ

  • はFDG-PETのSULpeak(補正、直径1.2cm相当のROIで測定)だけを指標に、固形腫瘍の治療効果をCMR・PMR・SMD・PMDの4区分で判定する基準である。
  • ベースラインで病変が測定可能病変の閾値(肝臓または大動脈を背景にした基準)を満たし、ベースラインと追跡PETが整合性基準(同一装置・同一プロトコル・取り込み時間・血糖など)を満たしていることが前提になる。
  • 反応判定は変化率30%だけでなく絶対変化量0.8 SUL単位も同時に要求し、による過剰判定を防ぐ。
  • と非の反応が食い違う場合は、新規病変・非の明らかな増悪が総合判定を優先的にPMDへ動かす。
  • には)を使い、PERCISTは使わない。不良例やFDG親和性の低い腫瘍にも適用が難しい。

出典

  1. 1.From RECIST to PERCIST: Evolving Considerations for PET Response Criteria in Solid Tumors(Journal of Nuclear Medicine(Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging、Wahl RL, et al.)・2009)PERCIST 1.0はRECISTのような腫瘍径ベースの効果判定を補う代謝反応基準としてWahlらが提案した草案(draft framework)であり、標的病変のSULpeak(直径1.2cmの球状関心領域内の平均値、除脂肪体重補正)を主要指標とすること、検査前は4〜6時間以上の絶食かつ補正前血糖値200 mg/dL未満(インスリン使用は不可、経口血糖降下薬は可)を条件とすること、完全代謝奏効(CMR)=集積が肝臓・血液プールと区別できないまで消失、部分代謝奏効(PMR)=SULpeakが30%以上かつ0.8 SUL単位以上低下、進行性代謝疾患(PMD)=30%超かつ0.8 SUL単位超の増加または新規病変であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Practical PERCIST: A Simplified Guide to PET Response Criteria in Solid Tumors 1.0(Radiology(Radiological Society of North America、O JH, Lodge MA, Wahl RL)・2016)測定可能病変の判定にはベースラインのSULpeakが背景を上回る必要があり、背景は肝臓を優先(右葉に3cm径球状VOIを置き、平均SUL+標準偏差の2倍を求めたうえでSULpeakがその1.5倍以上であること)、肝臓が転移などで使えない場合は下行大動脈をtubular VOIで測定し平均SUL+標準偏差の2倍を基準にSULpeakがその2倍以上であることを条件とすること、ベースラインと追跡PETの比較には取り込み時間50〜70分かつ両時点の差が15分以内・同一装置と同一の撮像/再構成条件・投与量の差20%以内・肝臓バックグラウンドSULの差が大きい方の20%以内かつ0.3 SUL単位以内・4時間以上の絶食と血清血糖値200 mg/dL未満という整合性基準(assessability)が必要であること、安定代謝疾患(SMD)はSULpeakの変化が30%未満の場合であること、奏効率は100×(追跡時SULpeak−ベースラインSULpeak)/ベースラインSULpeakで算出されること、標的病変と非標的病変の反応が食い違う場合は新規病変または非標的病変の明らかな増悪があれば無条件で総合PMDとなり、それ以外は両者のうち反応の乏しい方に合わせて総合判定すること、ベースラインPETは治療開始前21日以内に撮像することが望ましいとされることを確認した。閲覧 2026-08-10