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Lab values · Published

尿酸

Uric acid

別名
高尿酸血症血清尿酸
臓器系
腎・泌尿器運動器全身
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 R-06:痛風内科学 S-17:痛風
関連疾患
Fanconi症候群Lesch-Nyhan症候群キサンチン尿症バーキットリンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫モリブデン補因子欠損症鉛中毒横紋筋融解症急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病急性腎障害急性妊娠脂肪肝腎性低尿酸血症痛風糖原病尿路結石症非ホジキンリンパ腫
監視対象薬
アロプリノールカルフィルゾミブファビピラビルフェブキソスタットプロベネシドペグロチカーゼベネトクラクスラスブリカーゼ
影響する薬剤
インダパミドエタンブトールチカグレロルニコチン酸(ナイアシン)ヒドロクロロチアジドピラジナミドフロセミドベンペド酸ミタピバトロサルタン

🧠 全体像:血清尿酸はの終末産物で、産生と腎・腸管排泄の釣り合いを映す。高値は痛風・の土台になるが、高値だけで痛風を診断できず、急性発作中の正常値でも痛風を除外できない。低値にもやなどがあり、高値・低値を同じ代謝経路で読む。

何を測っているか

は、を経て、により尿酸となる。ヒトは尿酸をさらに分解するを欠くため、主に腎、一部は腸管から排泄する。

flowchart TD
    A["内因性核酸・食事由来プリン"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoxanthine'>ヒポキサンチン</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='xanthine'>キサンチン</span>"]
    C --> D["尿酸"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal excretion (renal elimination)'>腎排泄</span>"]
    D --> F["腸管排泄"]
    G["産生増加"] --> H["血清尿酸上昇"]
    I["排泄低下"] --> H
    J["産生低下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary loss'>尿中喪失</span>"] --> K["血清尿酸低下"]

腎では後にで再吸収と分泌を繰り返す。したがってだけでなく、URAT1・GLUT9などの輸送体、薬剤、インスリン抵抗性、乳酸・ケトン体も血清値を動かす。

基準値と結晶化

成人のは概ね2.5〜7.0 mg/dL前後だが、測定法、性、年齢、集団で異なるため施設範囲を優先する。mg/dL × 59.5 ≒ µmol/Lで換算できる。

数値・概念 読み方
6.8 mg/dL超 米国ガイドラインでのの線引き。StatPearlsは6.8 mg/dLを血中尿酸の溶解度の閾値とし、これを超えるとになってのリスクが上がるとする1。ACR 2020も無症候性を「6.8 mg/dL超で・皮下の既往が無いもの」と定義する(⚠️ 不等号は同一文書内で揺れており、推奨の表は >6.8、方法の節は ≥6.8 と書く)2
7.0 mg/dL超 日本でのの定義。国内ガイドラインはの飽和溶解度を7.0 mg/dLとし、これを超えた状態をと定義する3
2.0 mg/dL以下前後 を疑う目安。施設・持続性で判断
中6 mg/dL 。ACR 2020は「6 mg/dL未満」の達成・維持を強く推奨し2、国内ガイドラインは「6.0 mg/dL以下」を目指すとする3

⚠️ 「飽和点6.8」と「日本の定義7.0」は、別の資料が別の数字を飽和溶解度と呼んでいる関係である。 一方が実務的な丸め、他方が物理化学的な真値、という関係ではない——国内ガイドラインは7.0 mg/dLそのものを「(MSU)の飽和溶解度」と述べており3、ACR 2020は6.8 mg/dLをの定義として使うだけで飽和溶解度という言葉では説明していない(全文に saturation・solubility の語が無い)2。国内ガイドライン自身も「無症候性の基準尿酸値が米国ガイドラインでは『6.8 mg/dL以上』となり、本ガイドラインの『7.0 mg/dLを超える』とは異なっている」と両者の食い違いを明記している3。どちらの文書の数字を使っているかを言わずに「飽和点は◯◯」と書かない。

飽和点は温度、pH、Na濃度、組織環境で変わる。末梢の低温部ではしやすく、単回の血清値が低くても既存の結晶負荷は消えない。

高値の意味

の多くは産生過剰より排泄低下が中心で、両者が混在する。

機序 代表例 手掛かり
低下 、脱水、インスリン抵抗性、利尿薬 腎機能、、薬剤、代謝背景
競合性排泄低下 乳酸・ケトン体増加、 酸塩基、血糖、薬剤量
産生増加 腫瘍崩壊、骨髄増殖、溶血、乾癬、 、K、P、Ca、血算、治療時期
混合 、肥満、 生活歴、肝機能、併存症
薬剤 ・、、、 開始・増量との時間関係

💡 に用いる()も尿酸を上げる。 米国の錠の添付文書5.4は、治療で尿酸値の上昇が生じているとしたうえで、痛風の素因がある患者では注意して用いるよう求めている4。日本の予防ガイドラインも、誘導体の主な副作用として掻痒・によると並べてを挙げている5。⚠️ 上昇の機序(産生増加か排泄低下か)と監視の頻度は、いずれの資料も示していない。 痛風・の既往がある患者で開始・増量する場面では、開始前後の値を並べて確認する。

⚠️ 化学療法前後やで尿酸上昇に高K血症、高P血症、低Ca血症、AKIが伴えばを疑い、緊急の補液・モニタリングと尿酸低下治療へつなぐ。通常の無症候性と同じ速度で扱わない。

低値の意味

低値は産生低下、、腎からの喪失に分ける。単回の軽度低値は意義が乏しいことも多いが、持続例では原因を確認する。

機序 代表例 次に見るもの
産生低下 、、低プリン摂取 尿中尿酸、肝機能、結石
、 適応、投与量、
腎性喪失 、、 FEUA、糖・リン・
水・ホルモン関連 など Na、血漿・尿浸透圧、体液所見

ではやを伴うことがある。では尿酸が低くてもが生じ得るため、「低いほど安全」とは限らない。

痛風との関係

痛風はではなく、によるである。確実な診断はの針状・強い結晶で行い、は別の検体所見として扱う。

  • 急性発作中は炎症と変化により血清尿酸が正常または低値になり得る。
  • があっても全員が痛風を発症するわけではない。
  • と痛風は併存し得るため、結晶を見ても必要な培養を省略しない。
  • 中は単回値より、同じ方法での推移と服薬状況を見る。

ACR 2020は、を受ける全患者について、固定用量ではなく血清尿酸の連続測定に導かれて増量する志向の戦略を強く推奨し、血清尿酸6 mg/dL未満の達成と維持も強い推奨として置いている2。国内ガイドラインの目標は「6.0 mg/dL以下」で、国内ガイドライン自身が米国の「6.0 mg/dL未満」と「おおよそ一致している」と整理している3。

⚠️ 無症候性を数値だけで薬物治療する方針は国で異なる。 ACR 2020は無症候性(・皮下の既往が無い6.8 mg/dL超)への薬物的の開始に反対する条件付き推奨を置き、3年間で1件の初発発作を防ぐのに24人の治療を要するというを理由に挙げる2。一方、国内ガイドラインは合併病態がなければ9.0 mg/dL以上、あれば8.0 mg/dL以上からを考慮し6.0 mg/dL以下を目指す、という閾値のある投与方針を示している3。💡 ACRの推奨は strong ではなく conditional なので、「米国では無症候性に薬を使わない」と断定形で覚えない。

尿中尿酸と排泄評価

血清値だけでは産生過剰と排泄低下を完全には分けられない。反復結石、、若年発症、では尿中尿酸や(FEUA)を病態に応じて測る。

検査 主な用途 注意
24時間尿中尿酸 排泄量・結石リスクの評価 食事、採れ、腎機能の影響
FEUA の腎性喪失、低Na血症の補助 Cr・尿酸を同時採取し、単独で確定しない
尿pH の形成環境 で尿酸がしやすい
尿酸石か他成分かを確定 血清尿酸正常でも尿酸石はあり得る

測定上の注意

食事、飲酒、絶食、運動、脱水、急性疾患、薬剤変更で変動する。軽度異常は急性期を外して再測定し、採血条件をそろえる。投与後は採血管内でも尿酸分解が続いてになり得るため、専用の冷却・迅速処理手順に従う。

まとめ

  • 血清尿酸はプリン産生と腎・腸管排泄の釣り合いを示す。
  • 高値は排泄低下が多いが、腫瘍崩壊では産生増加を緊急評価する。
  • 中の正常値で痛風を否定せず、結晶で診断する。
  • の線引きは文書ごとに違う(米国ガイドラインは6.8 mg/dL超、国内ガイドラインは7.0 mg/dL超)。中の目標もACR 2020が「6 mg/dL未満」、国内ガイドラインが「6.0 mg/dL以下」で不等号が異なる。
  • 低値では薬剤、腎性喪失、、遺伝性疾患を考える。
  • 治療判断は単回値でなく、症状、結石、腫瘍崩壊、腎機能と推移で行う。

出典

  1. 1.Gout(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)NCBI Bookshelf のライブHTML本文(Last Update: April 12, 2026)をブラウザUA付きで取得(HTTP 200)し、次を逐語確認した。「Gout is usually preceded by hyperuricemia, defined as a plasma or serum urate concentration exceeding 6.8 mg/dL (approximately 400 µmol/L), which is the solubility threshold for urate in blood.」=6.8 mg/dL を血中尿酸の溶解度の閾値とすること、および「Serum urate concentrations above 6.8 mg/dL result in supersaturation, increasing the risk of crystal deposition.」=これを超えると過飽和となり結晶沈着のリスクが上がるとすること。診断については「an elevated serum uric acid level (>6.8 mg/dL) can support the diagnosis but is neither diagnostic nor required to confirm it」とも述べる閲覧 2026-09-17
  2. 2.2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout(American College of Rheumatology・2020)PMC10563586 の全文をブラウザUA付きで取得(HTTP 200)して次を逐語確認した。①治療目標は「Achieving and maintaining an SU target of <6 mg/dl over the use of no target is strongly recommended for all patients receiving ULT.」=尿酸降下療法を受ける全患者で血清尿酸 6 mg/dL 未満を達成・維持することが強い推奨であり、直前に「A treat-to-target management strategy that includes ULT dose titration and subsequent dosing guided by serial SU measurements to achieve a target SU, over a fixed-dose ULT strategy, is strongly recommended for all patients receiving ULT.」=固定用量ではなく連続測定に導かれた漸増戦略が強い推奨だと置く。②無症候性高尿酸血症については表1が「For patients with asymptomatic hyperuricemia (SU >6.8 mg/dl with no prior gout flares or subcutaneous tophi), we conditionally recommend against initiating any pharmacologic ULT (allopurinol, febuxostat, probenecid) over initiation of pharmacologic ULT.」=薬物による尿酸降下療法の開始に反対する条件付き推奨(strong ではない)で、脚注は「24 patients would need to be treated for 3 years to prevent a single (incident) gout flare」を理由に挙げる。⚠️ 6.8 mg/dL の不等号は同一文書内で揺れており、表1は「SU >6.8 mg/dl」、方法の節は「asymptomatic hyperuricemia, which is defined as an SU concentration of ≥6.8 mg/dl with no prior gout flares or subcutaneous tophi」と書く。③本ガイドラインの全文に saturation・solubility・supersaturat の語は0件で、6.8 mg/dL を飽和溶解度として説明してはいない閲覧 2026-09-17
  3. 3.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版](日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会(Mindsガイドラインライブラリ収載)・2022)Minds ガイドラインライブラリが公開している追補版PDF(HTTP 200・7,578,577バイト、2022年3月7日発行、巻頭言の日付は2022年1月)を取得し pdftotext にかけて次を逐語確認した。①高尿酸血症の定義は「血中の尿酸値が尿酸一ナトリウム(MSU)の飽和溶解度とされる 7.0 mg/dL を超えた状態が高尿酸血症と定義される」で、飽和溶解度そのものを 7.0 mg/dL と述べている。②米国との違いを本ガイドライン自身が「無症候性高尿酸血症の基準尿酸値が米国ガイドラインでは『6.8 mg/dL 以上』となり,本ガイドラインの『7.0 mg/dL を超える』とは異なっている」と明記している。③薬物治療の開始と目標は「本ガイドラインでは,合併病態がなければ『9.0 mg/dL 以上』から,あれば『8.0 mg/dL 以上』から尿酸降下薬を考慮し,『6.0 mg/dL 以下』を目指す」。④目標値の日米差は「痛風関節炎や痛風結節を伴う患者を含め,尿酸の目標値は米国ガイドラインでは 6.0 mg/dL 未満であり,本ガイドライン(6.0 mg/dL 以下)とおおよそ一致している」と整理されている(不等号は「未満」と「以下」で異なる)。⑤版の現行性は日本痛風・尿酸核酸学会のガイドライン一覧(https://www.tukaku.jp/guideline/ 、2026-09-17 取得)で確認し、第3版は本誌2018年12月28日・ダイジェスト/ポケット版2019年6月20日・追補版2022年2月15日までで、第4版は掲載されていない閲覧 2026-09-17
  4. 4.NIACIN TABLET, EXTENDED RELEASE [AMNEAL PHARMACEUTICALS LLC](DailyMed(Amneal Pharmaceuticals LLC、ANDA203578。後発の徐放性ナイアシン錠)・2025)現在米国で流通している徐放性ナイアシン錠のラベル(本文に印字された改訂表示は Revised 12/2025、ラベラーは Amneal Pharmaceuticals LLC、申請区分ANDA203578、文書名は NIACIN tablet, extended release)を開いて確認した。5.4 Laboratory Abnormalities の尿酸の項が逐語で「Increase in Uric Acid: Elevated uric acid levels have occurred with niacin therapy, therefore use with caution in patients predisposed to gout.」であり、痛風の素因がある患者では注意して用いるよう求めるにとどまること(尿酸上昇の機序や具体的な上昇幅、監視の頻度はこのラベルに書かれていない)を確認した。同じ5.4は空腹時血糖上昇・血小板数低下・プロトロンビン時間延長・血清リン低下も挙げる閲覧 2026-09-17
  5. 5.Japan Atherosclerosis Society (JAS) Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases 2022(Japan Atherosclerosis Society・2024)Europe PMC(PMC11150976)の全文を取得して確認した。薬剤各論8) Nicotinic Acid Derivatives の節が逐語で「Major side effects include itching, facial flushing due to peripheral vasodilation, and hyperuricemia. It may also exacerbate insulin resistance and should be administered with caution in diabetic patients.」と述べ、高尿酸血症を主な副作用の一つに挙げていることを確認した。⚠️ この節の見出しが挙げる国内の製剤はニコモールとトコフェロールニコチン酸エステルで、ニコチン酸単剤ではない閲覧 2026-09-17