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Drug Atlas · B10 Diuretics / 利尿薬 · 必修

フロセミド

furosemide

分類
Diuretics / 利尿薬
商品名(日本)
ラシックス
商品名(EU)
Furon
科目
Pharmacology
トピック
B10: Potassium excreting (wasting) diuretics
副作用
耳鳴り筋痙攣めまい
監視検査値
カリウムクレアチニン
影響検査値
尿酸カルシウム
相互作用
ゲンタマイシンジゴキシン
対象疾患
アミロイドーシスネフリティック症候群ネフローゼ症候群拡張型心筋症感音難聴肝硬変急性腎障害胸水拘束型心筋症腎尿細管性アシドーシス先天性心疾患(非チアノーゼ性・チアノーゼ性)僧帽弁狭窄症僧帽弁閉鎖不全症巣状分節性糸球体硬化症大動脈弁狭窄症大動脈弁閉鎖不全症肺高血圧症肺水腫腹部コンパートメント症候群慢性心不全慢性腎臓病未熟児合併症(気管支肺異形成症・未熟児網膜症・脳室内出血・新生児遷延性肺高血圧症)溶連菌感染後糸球体腎炎
原因となる疾患
脱水痛風

🧠 全体像はK排泄という上流から下流への並び)の中で、を狙う「最強」の一角である。強さの理由は単純で、この部位は濾過されたNaの約25%を再吸収する主力区間だから、ここを止めれば効きが大きい。しかもこのは腎髄質の(尿濃縮のための「仕込み」)そのものを作っている装置でもあるため、阻害すると尿を濃縮する能力自体が失われる——これが「最強の利尿薬」の正体である。心不全・腎不全・肝硬変という3大浮腫疾患すべてで主力になる一方、低K血症を筆頭とする電解質の乱れを必発させる薬でもある。

薬効群の中での位置づけ

K排泄のどこを止めるかで一直線に並ぶ。

作用部位 分類 代表薬 利尿の強さ 電解質への影響
CA阻害薬 低K血症・代謝性アシドーシス
最強 低K血症・低Ca血症・
中等度 低K血症・高Ca血症・

ループとはCaの扱いが正反対。 はCa排泄を増やす(高Ca血症の治療に使える)のに対し、はCa再吸収を増やす(Ca結石予防に使える)。この対比はK排泄全体の中でも特に問われやすい。

同じは非構造で、が使えない患者の代替になる(詳細はのノートを参照)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='furosemide'>フロセミド</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thick ascending limb of the loop of Henle'>ヘンレ係蹄太い上行脚</span>へ到達"] --> B["管腔側のNa-K-2Cl<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cotransporter'>共輸送体</span>(NKCC2)を阻害"]
    B --> C["Na⁺・K⁺・Cl⁻の再吸収が同時に停止"]
    C --> D["腎髄質の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osmotic gradient'>浸透圧勾配</span>が崩れる"]
    D --> E["尿の濃縮能が失われる→最強の利尿"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='distal tubule'>遠位尿細管</span>への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraluminal'>管腔内</span>Na⁺負荷が増加"]
    F --> G["集合管でNa再吸収↑に伴いK⁺・H⁺分泌↑"]
    G --> H["低K血症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metabolic alkalosis'>代謝性アルカローシス</span>"]
    C --> I["NKCC2が作る<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraluminal'>管腔内</span>陽性電位が消失"]
    I --> J["Ca²⁺・Mg²⁺の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='paracellular reabsorption'>傍細胞再吸収</span>も低下"]
    J --> K["低Ca血症・低Mg血症"]

💡 ではなく、で管腔側へ分泌されて作用部位に到達する。 (アルブミン)に強く結合したままへ運ばれるため、・肝硬変)では分泌効率が落ち、通常量で反応が乏しい「の一因になる。同じOAT経路をNSAIDsがするため、併用でも効果が弱まる。

薬物動態

項目 値・特徴
約50%(が大きく、腸管浮腫があるとさらに低下)
作用発現 経口約30分、静注は数分以内
分布 が高い。で作用部位への到達が減る
代謝 一部を受けるが、大部分は未変化体として
排泄 腎(OATで分泌)。腎機能低下・NSAIDs併用で分泌↓→効果減弱
半減期 約1.5〜2時間(腎不全で延長)

腎機能が低下するほど、必要な用量はむしろ増える。 作用部位(管腔側)に届くの量は能に依存するため、eGFRが下がるほど同じ効果を得るのに高用量が必要になる(「ceiling dose」の概念)。少量を頻回に増やすより、有効域まで一気に増量する方が合理的。

適応

領域 使いどころ
心不全 のうっ血症状緩和、などの体液管理
腎疾患 に伴う
肝疾患 肝硬変の腹水・浮腫管理。と併用しNa利尿を強めつつK喪失をするのが定番
呼吸器 (静注で速効)、胸水の体液コントロール
電解質異常 高Ca血症の治療(輸液で容量を確保したうえでCa排泄を促進)
高血圧 腎機能低下例(が効きにくいeGFR域)での補助

用法・用量

経口20〜80mgを1日1回または分割で開始し、反応を見て増量する(に「ceiling」があるため、少量を漫然と続けるより有効域まで増やす)。・急性期はIV 20〜40mgから開始し漸増する。静注は緩徐に行う(は耳を高める)。重症心不全・ではより有効なことがある。腎機能低下例では作用部位への到達量を確保するため通常より高用量を要する。実際の用量は適応・重症度・腎機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌、高度な電解質枯渇(低K血症・低Na血症は是正を優先)
  • 構造を持つが、実際の頻度は低いとされる。重度の既往では非を検討する
  • NSAIDs併用で利尿効果が減弱するOATでの競合に加え、を保つプロスタグランジン産生自体を抑えるため)
  • との併用で耳毒性がに強まる
  • 低K血症はの閾値を下げる。 ジゴキシン併用では血清Kのモニタリングが特に重要

副作用

頻度 内容
高頻度 低K血症、・脱水、めまい
注意 低Ca血症・低Mg血症、痛風発作の誘発)、
重篤・まれ ・可逆性の聴力障害(急速静注・高用量・腎不全・アミノグリコシド併用で↑)、間質性腎炎、血液障害

まとめ

  • 。NKCC2阻害でNa-K-2Cl再吸収を止め、K排泄の中で最強の利尿効果を持つ。
  • 強さの理由は「濾過Naの約25%を担う区間を止めるから」、かつ「髄質のを壊すから自体が失われる」の二重構造。
  • Ca・Mg排泄も増やす——(Ca再吸収↑)と正反対なのがK排泄内での重要な対比軸。
  • 低K血症・が必発。ジゴキシン併用では中毒閾値が下がる点に注意。
  • 心不全・腎不全・肝硬変の浮腫、に第一選択格。肝硬変ではと併用するのが定石。
  • ・NSAIDs併用で「」が生じうる(OATへの依存が原因)。
  • 急速静注・高用量・腎不全・アミノグリコシド併用で耳が上がる。
  • が強い場合はが代替になる。