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カルシウム
Calcium
- 別名
- 血清カルシウム総カルシウムイオン化カルシウム高カルシウム血症低カルシウム血症
- 臓器系
- 内分泌・代謝腎・泌尿器全身
- 科目
- Internal MedicinePediatrics
- トピック
- 内科学 G-02:小腸疾患・吸収不良・消化不良小児科学 3-30:小児尿路結石症
- 関連疾患
- 横紋筋融解症原発性免疫不全症候群(重症複合免疫不全症・ディジョージ症候群・X連鎖無ガンマグロブリン血症・慢性肉芽腫症・選択的IgA欠損症)線維性骨炎多発性骨髄腫尿路結石症分娩後出血
- 監視対象薬
- アレンドロン酸イバンドロナトエデト酸カルシウム二ナトリウムカルシトニンカルシトリオールクロドロナートコレカルシフェロールジギトキシンジゴキシンゾレドロン酸ティルドロナートデノスマブテリパラチドパミドロン酸バンデタニブベネトクラクスリセドロナートレンバチニブロモソズマブ
- 影響する薬剤
- (エス)オメプラゾールエデト酸カルシウム二ナトリウムヒドロクロロチアジドフォスカルネットフロセミドリチウム
🧠 全体像:血中カルシウムは「総カルシウム」と、生理活性を直接担う「イオン化カルシウムionized calciumイオン化カルシウム(ionized calcium)ionized calcium(イオン化カルシウム)」に分けて読む。アルブミンが変わると総値だけが動き、pHが変わるとイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)分画が動く。 異常を確認したら、まず真のイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)異常かを確かめ、PTHがその値に対して適切に反応しているかで原因を分ける。
何を測っているか
血中カルシウムの約半分はイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)型、約40%はアルブミンなどの蛋白結合型、残りはリン酸・クエン酸などとの複合体である。神経筋興奮neuromuscular excitability神経筋興奮(neuromuscular excitability)neuromuscular excitability(神経筋興奮)、心筋・平滑筋収縮smooth muscle contraction平滑筋収縮(smooth muscle contraction)smooth muscle contraction(平滑筋収縮)、凝固、細胞内情報伝達signal transduction情報伝達(signal transduction)signal transduction(情報伝達)を担うのは主にイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)型である。
| 項目 | 測定対象 | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| 総カルシウム | イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)型+蛋白結合型+複合体 | 安定した外来患者のスクリーニング |
| アルブミン補正カルシウム | 総Caとアルブミンから推定 | 低アルブミン時の粗い補助 |
| イオン化カルシウムionized calciumイオン化カルシウム(ionized calcium)ionized calcium(イオン化カルシウム) | 遊離Ca²⁺を電極で直接測定 | 重症患者、酸塩基異常、大量輸血、補正式と臨床像の不一致 |
| 尿中カルシウム | 尿へ排泄されたCa | 結石・副甲状腺疾患thyroid disease甲状腺疾患(thyroid disease)thyroid disease(甲状腺疾患)の評価。血中Caとは別の検査 |
PTHは骨・腎・活性型ビタミンDactive vitamin D活性型ビタミンD(active vitamin D)active vitamin D(活性型ビタミンD)を介して血中Caを上げ、腎からのリン排泄を促す。異常Caに対するPTHの方向を見ると、調節器である副甲状腺の異常か、それ以外の原因かを整理できる。
基準値と補正
成人の総Caはおおむね2.2〜2.6 mmol/L(8.8〜10.4 mg/dL)、イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caは約1.15〜1.30 mmol/Lが目安だが、測定法・pH補正の有無・施設基準を優先する。小児、妊娠、新生児では別の基準を用いる。
慣用的な補正式は次のとおりである。
補正Ca (mg/dL) = 実測総Ca + 0.8 × (4.0 − アルブミン [g/dL])
⚠️ 補正式は集団から得た近似で、CKD、重症病態、極端な低アルブミン血症hypoalbuminemia低アルブミン血症(hypoalbuminemia)hypoalbuminemia(低アルブミン血症)、酸塩基異常、異常蛋白血症ではイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを正確に予測しない。補正値だけで治療せず、臨床像と合わなければイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを直接測る。
低値の意味
| PTHの反応 | 代表的原因 | 同時に見る項目 |
|---|---|---|
| 低値・不適切に正常 | 術後・自己免疫性副甲状腺機能低下hypothyroidism甲状腺機能低下(hypothyroidism)hypothyroidism(甲状腺機能低下)、DiGeorge症候群DiGeorge syndromeDiGeorge症候群(DiGeorge syndrome)DiGeorge syndrome(DiGeorge症候群) | P、Mg、手術歴surgical history手術歴(surgical history)surgical history(手術歴)、遺伝・先天異常congenital anomalies先天異常(congenital anomalies)congenital anomalies(先天異常) |
| 上昇 | ビタミンD欠乏・吸収不良、CKD、低Ca摂取 | 25(OH)D、腎機能、P、ALP |
| 様々 | 低Mg血症、急性膵炎acute pancreatitis急性膵炎(acute pancreatitis)acute pancreatitis(急性膵炎)、敗血症、腫瘍崩壊、大量輸血 | Mg、リパーゼ、乳酸、P、輸血量 |
| 総Caのみ低値 | 低アルブミン血症hypoalbuminemia低アルブミン血症(hypoalbuminemia)hypoalbuminemia(低アルブミン血症) | イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Ca、アルブミン |
低Mg血症はPTH分泌と作用の両方を障害し、Caだけを補っても改善しないことがある。吸収不良ではビタミンD、Mg、Pの欠乏を併せて評価する。
低Caでは口周囲・指先のしびれnumbnessしびれ(numbness)numbness(しびれ)、筋痙攣muscle cramps筋痙攣(muscle cramps)muscle cramps(筋痙攣)、テタニーtetanyテタニー(tetany)tetany(テタニー)、喉頭痙攣laryngospasm喉頭痙攣(laryngospasm)laryngospasm(喉頭痙攣)、痙攣、QT延長・不整脈を来し得る。症状は絶対値だけでなく低下速度とイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caで決まる。
⚠️ 症候性、心電図異常、または補正総Ca 1.9 mmol/L未満は救急評価を要する。重い急性例では心電図監視下で静注カルシウムを行い、Mg欠乏や副甲状腺機能低下hypothyroidism甲状腺機能低下(hypothyroidism)hypothyroidism(甲状腺機能低下)など原因治療を同時に始める。
高値の意味
| PTHの反応 | 代表的原因 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 高値・不適切に正常 | 原発性・三次性副甲状腺機能亢進症tertiary hyperparathyroidism三次性副甲状腺機能亢進症(tertiary hyperparathyroidism)tertiary hyperparathyroidism(三次性副甲状腺機能亢進症)、家族性低Ca尿性高Ca血症familial hypocalciuric hypercalcemia (FHH)家族性低Ca尿性高Ca血症(familial hypocalciuric hypercalcemia (FHH))familial hypocalciuric hypercalcemia (FHH)(家族性低Ca尿性高Ca血症) | P、腎機能、尿Ca、家族歴 |
| 抑制 | 悪性腫瘍関連、ビタミンD過剰、肉芽腫性疾患granulomatous disease肉芽腫性疾患(granulomatous disease)granulomatous disease(肉芽腫性疾患) | PTHrP、25(OH)D、必要時1,25(OH)₂D |
| 抑制 | 薬剤・内分泌・不動 | Ca/VitD製剤、サイアザイドthiazideサイアザイド(thiazide)thiazide(サイアザイド)、甲状腺・副腎、活動性 |
| 総Caのみ高値 | 脱水、高アルブミン、異常蛋白 | イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Ca、蛋白、体液量body fluid volume体液量(body fluid volume)body fluid volume(体液量) |
高Caでは多尿・口渇、脱水、便秘、悪心、筋力低下、認知変化、腎障害、QT短縮・不整脈が起こる。原因の約90%は原発性副甲状腺機能亢進症primary hyperparathyroidism, PHPT原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism, PHPT)primary hyperparathyroidism, PHPT(原発性副甲状腺機能亢進症)と悪性腫瘍であり、PTHが最初の分岐になる。
英国内分泌学会Society for Endocrinology英国内分泌学会(Society for Endocrinology)Society for Endocrinology(英国内分泌学会)の成人救急指針では、アルブミン補正総Ca 3.0 mmol/L未満はしばしば緊急補正を要さず、3.0〜3.5 mmol/Lは症状・上昇速度に応じ迅速な治療、3.5 mmol/L超は不整脈・昏睡リスクのため緊急補正を要する。値だけでなく意識、循環、腎機能、心電図を優先する。
異常値の確認手順
flowchart TD
A["総Ca異常"] --> B["再検・アルブミン・pH・腎機能を確認"]
B --> C{"重症病態・酸塩基異常・補正値と症状の不一致があるか"}
C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ionization'>イオン化</span>Caを直接測定"]
C -->|"いいえ"| E["施設基準で総Caを再評価"]
D --> F{"真の低Caか高Caか"}
E --> F
F -->|"低Ca"| G["PTH・Mg・P・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='25-hydroxyvitamin D'>25-ヒドロキシビタミンD</span>を確認"]
F -->|"高Ca"| H["PTHを確認し、依存性か非依存性か分類"]
高CaでPTHが「正常範囲内」でも、本来は抑制されるべき状況なので不適切に正常と解釈する。低Caでは逆にPTH上昇が生理的反応であり、正常値は不適切に低い可能性がある。
測定上の注意
- 長い駆血tourniquet (application)駆血(tourniquet (application))tourniquet (application)(駆血)や脱水はアルブミン濃縮を介して総Caを高く見せる。
- イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)CaはpH依存性が強い。アルカレミアalkalemiaアルカレミア(alkalemia)alkalemia(アルカレミア)ではアルブミン結合albumin bindingアルブミン結合(albumin binding)albumin binding(アルブミン結合)が増えて低下し、アシデミアacidemiaアシデミア(acidemia)acidemia(アシデミア)では上昇する。
- 血液ガス検体への気泡air bubble気泡(air bubble)air bubble(気泡)混入・空気曝露はCO₂を失わせpHを上げ、イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを偽低値spuriously low value偽低値(spuriously low value)spuriously low value(偽低値)にし得る。
- 過剰な液体ヘパリンは希釈とCa結合でイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを低くするため、規定された乾燥・電解質平衡化ヘパリンを用いる。
- EDTA・クエン酸の混入はCaをキレートchelationキレート(chelation)chelation(キレート)して著しい偽低値spuriously low value偽低値(spuriously low value)spuriously low value(偽低値)を生じる。採血順序とライン汚染を確認する。
大量輸血ではクエン酸負荷によりイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caが急低下し得るため、分娩後出血postpartum hemorrhage分娩後出血(postpartum hemorrhage)postpartum hemorrhage(分娩後出血)などの大量出血では総Caよりイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを反復する。尿路結石urolithiasis尿路結石(urolithiasis)urolithiasis(尿路結石)の代謝評価では血清Caと尿Caを区別し、高Ca血症ならPTHを追加する。
経時変化
急性異常は症状、心電図、イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを短い間隔で追う。慢性の副甲状腺・CKD・吸収不良では、Ca単独でなくP、Mg、PTH、25(OH)D、腎機能、尿Caの推移を組み合わせる。補充や骨吸収抑制薬antiresorptive agent骨吸収抑制薬(antiresorptive agent)antiresorptive agent(骨吸収抑制薬)後は過補正overcorrection過補正(overcorrection)overcorrection(過補正)・反跳性rebound反跳性(rebound)rebound(反跳性)低Caにも注意する。
まとめ
- 総Caは蛋白結合分を含み、イオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caが生理活性を直接反映する。
- アルブミン補正式には限界があり、重症病態・酸塩基異常・大量輸血ではイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを優先する。
- 低Ca・高Caの原因検索は、そのCa値に対するPTH反応が適切かで分ける。
- 症候性低Caや著明高Caでは、不整脈・痙攣・意識障害を想定して緊急対応する。
- 血清Caと尿Ca、総Caとイオン化ionizationイオン化(ionization)ionization(イオン化)Caを混同せず、検体条件と経時変化evolution経時変化(evolution)evolution(経時変化)をそろえて読む。