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Drug Atlas · B4 Cardiac glycosides & inotropes / 強心薬 · 必修

ジギトキシン

digitoxin

分類
Cardiac glycosides & inotropes / 強心薬
科目
Pharmacology
トピック
B4: Positive inotropic drugs
承認適応
慢性心不全
禁忌疾患
心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)徐脈性不整脈(2度・3度房室ブロック・洞結節機能不全。ペースメーカー留置例を除く)閉塞性肥大型心筋症
副作用
悪心嘔吐食欲不振
監視検査値
カリウムマグネシウムカルシウム
解毒薬
ジゴキシン特異的抗体Fab断片
原因となる疾患
心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)

🧠 全体像:はジゴキシンと同じで、機序(Na/K-ATPase阻害→細胞内Ca²⁺↑、迷走神経活動亢進による)はジゴキシンのノートに譲り、ここではの違いと、自身を検証したに絞る。流通している国は限られており、米国では入手できない1(米国で製造されなくなったこと自体は古くから記録がある2)。⭐ ただし「ジゴキシンの古い代替」という位置づけは2025年に動いた——のとしてはDIG試験以来ほぼ30年ぶり1で、自身を心不全で検証したDIGIT-HF3を受けて、 2026年版心不全ガイドラインは推奨の主語を「(ジゴキシンまたは)」に広げ、2021年版のClass IIb(ジゴキシンのみ・に限定)からClass IIa/レベルB1に引き上げた4。

ジゴキシンとの違い

最大の違いは。は肝で代謝され、腎(約60%。その半分は)と糞便(約40%)へ排泄される5。未変化体のままされるジゴキシンと異なり、単独の腎機能低下では代謝と糞中排泄の増加が代償するためが基本的に不要になる5。ただし肝機能と腎機能の両方が同時に障害される場合は代償が効かず血中濃度が上がるため注意する。一方で蛋白結合率が90〜97%と非常に高く、半減期も平均7〜8日と長いため、定常状態への到達・中毒からの回復のいずれにも時間がかかる5。

項目 ジゴキシン
約60〜80%1(製剤差あり。スペインのでは63%)6 98〜100%5
が主体(未変化体) が主体。腎(約60%)と糞便(約40%)へ5
半減期 約36〜48時間(2026年の総説の)1。スペインのは腎機能正常者のを30〜40時間とする6 長い(平均7〜8日)5
蛋白結合率 約25%と低い6 90〜97%と非常に高い5
腎機能低下時 蓄積しやすくが要る 単独の腎機能低下では調整不要。ただし肝腎同時障害では血中濃度が上がる5
透析での除去 が大きく除去されにくい 蛋白結合が高く、ごく一部しか除去できない5
狭い(Core9参照)。目標血中濃度は文書ごとに違う(ジゴキシンのノート参照) 同じく狭い。目標値の扱いは下記「血中濃度」を参照

⭐ 「腎不全なら、腎機能正常ならジゴキシン」という対比が試験の頻出パターン。 2021年版も、ジゴキシンの節で「腎機能が低下した患者ではを考慮しうる」と書いていた7。ただし半減期が長い分、時の効果消失にも時間がかかる点はの弱みになる。💡 半減期が日の単位であることは、利点と欠点の両方に効く。 IARCのモノグラフは「は半減期が長い(5〜9日)ので、1回飲み忘れても治療効果が持続するという点で維持療法に向く。同じ理由で中毒反応の管理は容易ではない」と、両側を1文で書いている2。

DIGIT-HFとESC 2026年版での位置づけ

は長く「ジゴキシンの古い代替」として扱われてきた。原著は「心不全でのの治療効果は確立していない」という前提から出発しており3、2025年に発表されたDIGIT-HFは、のとしてはDIG試験(1997年)以来ほぼ30年ぶりのものである1。

項目 DIGIT-HFの内容
組入れ で 40%以下かつ III/IV、または 30%以下かつ II3。⭐ 2026年版が「DIG試験とは対照的に」と書くとおり、心房細動の患者も組み入れている4
介入 ガイドラインに沿った薬物治療への。 0.07 mg 1日1回で開始し3、目標血中濃度(10.5〜23.6 nmol/L)に合わせて調整4
例数・追跡 1240例(修正ITT 1212例)、追跡36か月
または心不全悪化による初回入院:39.5%対44.1%(0.82、95%信頼区間0.69〜0.98、P = 0.03)
構成要素 単独 27.2%対29.5%(0.86、0.69〜1.07)、心不全悪化による初回入院単独 28.1%対30.4%(0.85、0.69〜1.05)——いずれも有意差に達していない
重篤な有害事象 1件以上生じたのは4.7%対2.8%

⚠️ 「は死亡率を下げる」とは読まない。 有意に減ったのは複合評価項目であって、単独も心不全入院単独もが1をまたぐ3。⚠️ 2026年の総説が載せたはこの試験を「と入院を減らす」と要約しているが、同じ論文の本文自身が「個別に見るとどちらも統計学的有意には達しなかった」と書いている1。二次資料の要約表は原著で検算する。

⚠️ この結果はの証拠であって、ジゴキシンの証拠ではない。 同じ総説は「ジゴキシンとの薬理学的な違いは臨床的に意味があるので、この知見をそのまま持ち越すのは単純ではない」「DIGIT-HFはについての確かな証拠を与えるが、ジゴキシンについては必ずしもそうではない」と述べ、ジゴキシンを現代の治療下で検証する別の試験(DECISION)の結果を待つべきだとしている1。

これを受けて 2026年版心不全ガイドラインは、(ジゴキシンまたは)を、最適な基盤治療下でもなお症候性で 40%以下のHFrEFに、心不全入院を減らす目的でClass IIa/レベルB1として推奨する4。⚠️ 同版は推奨の主語を広げた理由を明示していない。 書けるのは次の対照までである。2021年版の推奨は「の症候性」にジゴキシンを考慮してもよいとするClass IIb/レベルBで、引いている試験はDIG試験の1本だけだった7。2026年版は同じ推奨を改訂推奨の表に並べ、の限定を外して主語をへ広げ、DIG試験とDIGIT-HFの2本を引いている4(版どうしの詳しい対照はジゴキシンのノートにある)。

⚠️ 心房細動のでは、同じガイドラインの中でも記述の粒度が違う。 本文はβ遮断薬で不十分なとき、またはできないときに「ジゴキシンまたは」を考慮すべきとする一方、推奨表の該当行(Class IIa/レベルC)はジゴキシンだけを主語にしている4。表だけを読んでも本文だけを読んでも片方を落とす。

適応

機序(Na/K-ATPase阻害→細胞内Ca²⁺↑、迷走神経活動亢進による)はジゴキシンと共通する。⚠️ 承認された効能は国ごとに別の文書が決めており、同じではない。

文書 効能
オーストリアの(2024年8月) ①によるの慢性心不全 ②特定の性不整脈、とくに心房細動5
ドイツの製品情報(2018年2月版) ①によるの ②心房細動・による絶対性頻脈(Tachyarrhythmia absoluta) ③発作性の心房細動・8

⭐ ドイツの文書だけがと発作性の型を明示している。「効能は心不全と心房細動」と1行でまとめると、この差が消える。

用法・用量と血中濃度

文書 用量
2026年版(Table 11) 開始 0.07 mg 1日1回 → 目標 0.1 mg 1日1回。脚注は「血中濃度に合わせてする」4
オーストリアの(2024年8月) 成人は3日間 0.15〜0.3 mg/日の中速飽和ののち、4日目から 0.05〜0.1 mg/日の維持。60歳超(および著しいの60歳未満)は1〜3日目 3×0.07 mg・4日目以降 0.07 mg、60歳未満(および筋肉質の60歳超)は 3×0.1 mg・以降 0.1 mg5

💡 小児は体重あたりの必要量が多い。 同文書は小児の必要量を成人の2〜3倍(mg/kg)とし、飽和量/を早産・新生児 0.02/0.002 mg/kg、2歳までの乳幼児 0.04/0.004 mg/kg、2歳超 0.03/0.003 mg/kg と示す(2歳未満の正確な用量には注射剤を用いる)。は食後に噛まずに飲み、長期投与では試験での必要性を確かめる5。

⚠️ ジゴキシンから切り替えるときはを置く。 オーストリアのは、先行してジゴキシン等を投与されていた患者では2日(腎機能低下例・高齢者では3日以上)のをはさんでから上の方式に入ると定めている5。

血中濃度

⚠️ 「の治療域は◯〜◯ ng/mL」と1つの数字で覚えない。文書ごとに違い、そもそも数値を示さない文書もある。

文書 血中濃度について書いていること
2026年版 そのものの目標値は示さず、「血中濃度に合わせてする」とだけ述べる。数値が出るのはDIGIT-HFの記述の中で、同試験が10.5〜23.6 nmol/Lを目標としたという形である4
DIGIT-HFの設計論文 同じ帯を8〜18 ng/mL[10.5〜23.6 nmol/L]と2単位併記で示す。⭐ 2つの単位の対応は論文が併記しているもので、こちらで換算した値ではない9
ドイツの製品情報(2018年2月版) 「定常状態のは通常10〜30 ng/mLで、とくに35 ng/mLを超える値は中毒症状を伴いうる」。採血は1日1回の投与前に行う8
オーストリアの(2024年8月) 血中濃度の監視を勧めるが、治療域の数値を示していない。示されているのは腎機能正常者のでの遊離型が約0.8 ng/mLという記述だけである5

⭐ 試験が狙った帯(8〜18 ng/mL)は、ドイツの製品情報の言う通常域(10〜30 ng/mL)より低く狭い。 どちらかに寄せず、「どの文書の数字か」を添えて覚える。ジゴキシンでも同じように文書ごとに帯が違うので、突き合わせはジゴキシンのノートで行う。

⚠️ 測定値の解釈には注意がいる。他の、とその代謝物、自身の代謝物がラジオに干渉しうるため、臨床像と合わない測定値は鵜呑みにしない8。

禁忌

⚠️ 「禁忌はジゴキシンと同じ」と覚えない。 禁忌欄は薬剤ごと・国ごとに別の文書が決めており、実際に食い違う。オーストリアのの(2024年8月)の禁忌欄は次のとおりである5。

⚠️ 電解質異常はこの文書では「注意」ではなく禁忌の欄にある。 一方、スペインのジゴキシンの(2025年8月)の禁忌欄は7項目で、・・・・・予定されたはいずれも挙がっていない(同文書はについても「心房細動と心不全を併存する場合を除く」という但し書きを付けている)6。2剤・2か国の差であって、どちらかが誤りという話ではない。

💡 電解質が効くのは機序の側から説明できる。 Na/K-ATPase阻害という毒性機序自体はかかとはなので、電解質の効き方はで変わらない(KがNa/K-ATPaseの結合部位で競合するという説明はジゴキシンのノートにある)。オーストリアのも「は、の血中濃度が治療域にあっても心筋を感作する」と明記しており、電解質(K・Mg・Ca)の定期的な確認を求めている5。

必要量(需要)そのものが病態で動く。 オーストリアのは、性不整脈と甲状腺機能亢進では必要量が増え、甲状腺機能低下症と過敏性では減るとしている5。⚠️ は同じ文書で禁忌にも挙がっている(上の一覧)ので、「必要量が減る」は投与してよいという意味ではない。

副作用と中毒

オーストリアの(2024年8月)の頻度区分は次のとおり5。

頻度 内容
高頻度(1/100以上1/10未満) あらゆる型の不整脈、とくに・(2段脈/3段脈)・(きわめて高用量のあと)・1〜3度房室ブロック・脈拍の乱れ(徐脈など)/・悪心(の最初の徴候として見るべきもの)・嘔吐・・下痢/頭痛・疲労・不眠・めまい
時に(1/1,000以上1/100未満) (・緑視)。⭐ でも起こりうると明記されている/精神症状(・興奮・)・抑うつ・・精神病/(中止で消退)/筋力低下
まれ(1/10,000以上1/1,000未満) アレルギー反応(・様の発疹と著明な好酸球増多、紅斑、血小板減少、エリテマトーデス)。中止で通常軽快する
きわめてまれ(1/10,000未満) 、脱力、、不快感/腸間膜梗塞

⚠️ 急性の過量では、慢性の過量ではむしろが伴いやすく、急性過量の毒性は投与後12時間まで悪化しうる5。💡 化された患者に不整脈が出たら、か血中濃度測定で否定されるまでのせいだと考える——これも同文書が求めている姿勢である。なお心電図のST-T変化はが無くても生じる(効果。詳細はジゴキシンのノート)。

拮抗薬もジゴキシンと同じである。 オーストリアのは、重症の中毒のをこの(解毒剤)の投与とし、遊離したを結合して不活性な複合体を作り腎から排泄させると説明する。⚠️ 投与後は、測定法によっては血清濃度が一過性にきわめて高い値を示すので、その値で中毒の程度を判断しない5。

⚠️ 除去の手段はジゴキシンと同じではない。 同文書は、強制利尿・・はの除去には無効とし、体内に蓄積したを減らせるのは担体結合抗体による選択的(少量ならによるや)だとする。摂取から1時間以内のではのあと・(8 g×4回/24時間)またはを与える5。💡 2026年の総説がの消失を「肝+」と要約するとおり1、消化管で吸着する薬剤は再吸収を断つ意味をもつ。半減期が長いぶん、中毒からの回復や体内からの消失にはジゴキシンより時間がかかる。

まとめ

  • ジゴキシンと同じで、Na/K-ATPase阻害という機序も、・・・症候群を避ける点も共通する。⚠️ ただし禁忌欄や効能の文言までジゴキシンと同一だとは書けない——文書は薬剤ごと・国ごとに別に決まっており、電解質異常(低K・高Ca・低Mg)・・予定されたはオーストリアののでは禁忌だが、スペインのジゴキシンのの禁忌欄には無い。
  • 最大の違いは。ジゴキシンは(未変化体)、はが主体で、単独の腎機能低下ではが基本的に不要。ただし肝腎同時障害では血中濃度が上がる。
  • (98〜100%)・半減期(平均7〜8日)・蛋白結合率(90〜97%)はいずれもジゴキシンより高く、定常状態到達・中毒回復のいずれにも時間がかかる。透析でも除去されにくい。
  • は血中濃度が治療域にあっても心筋を感作する。K・Mg・Caの定期的な確認が要る。
  • ⭐ 2025年のDIGIT-HFがこの薬の位置づけを動かした。 40%以下かつ III/IV(または 30%以下かつ II)ので、主要複合評価項目(または心不全悪化による初回入院)が39.5%対44.1%(0.82、0.69〜0.98)。⚠️ 単独も心不全入院単独も有意差に達していないので「死亡率を下げる薬」とは読まない。
  • これを受けて 2026年版は、推奨の主語を「(ジゴキシンまたは)」へ広げ、最適な基盤治療下でもなお症候性で 40%以下のに、心不全入院を減らす目的でClass IIa/レベルB1とした(2021年版はジゴキシンのみ・に限定したClass IIb/レベルBで、引いていた試験もDIG試験1本だった)。用量は開始0.07 mg 1日1回→目標0.1 mg 1日1回で、血中濃度に合わせて調整する。
  • 重症中毒の第一手は抗体。⚠️ 強制利尿・・はの除去に無効で、解毒剤の投与後は測定法によってが一過性にを示す。摂取直後なら+・・を使う。
  • 目標血中濃度は文書で違う。DIGIT-HFが狙ったのは8〜18 ng/mL(10.5〜23.6 nmol/L)、ドイツの製品情報は定常状態のを通常10〜30 ng/mLとし35 ng/mL超で中毒症状を伴いうるとする。オーストリアのは数値を示していない。
  • 流通している国は限られ、米国では入手できない(2026年の総説は「中央ヨーロッパに限られ、米国では利用できない」とする)。⚠️ 一方「ドイツ・オーストリア・ハンガリー・ノルウェーで7製品」という具体的な数字の出どころは2013年時点の資料なので、現在の流通国の一覧としては使わない。⭐ DIGIT-HFの結果はの証拠であって、ジゴキシンの証拠ではない(本文の該当箇所を参照)。

出典

  1. 1.The comeback of digitalis (digitoxin): the DIGIT-HF trial(European Heart Journal Supplements(Sciatti E ほか)・2026)Europe PMC の全文XML(PMC13147277、CC BY-NC)で確認した。DIGIT-HF を逐語で "the first large RCT on cardiac glycosides in almost three decades" と位置づける。Table 1 のジゴキシン欄は経口バイオアベイラビリティ 60–80%、半減期 36–48 h(腎不全では最大4〜6日)である(ジギトキシン欄の >90%・5–7 days・蛋白結合95% は本ノートでは使わず、オーストリアの製品概要の値を採る)。流通について逐語で "A substantial proportion of the world, including the United States, does not have access to digitoxin." と述べ、Table 1(ジゴキシンとジギトキシンの比較)の Commercial availability 行もジゴキシンを Widespread (Europe, USA)、ジギトキシンを Limited (Central Europe; not available in the USA) とする。⚠️ 同じ Table 1 の Randomized trial evidence 行は DIGIT-HF を "reduces all-cause mortality and hospitalizations" と要約しているが、これは誤りである——同論文の本文自身が "neither achieved statistical significance when considered individually" と書いており、原著の抄録でも全死亡単独は有意差に達していない。本ノートは流通の記述と、この要約の誤りを注意喚起する箇所にだけこの総説を用い、有効性の数値そのものは原著とESC 2026年版から採っている。同論文はさらに "Given that the pharmacological differences between digoxin and digitoxin are clinically meaningful, direct translation of these findings is not straightforward."、"DIGIT-HF provides robust evidence for digitoxin, but not necessarily for digoxin." と述べ、現代の治療下でジゴキシンを検証する DECISION 試験(Digoxin Evaluation in Chronic Heart Failure, Investigational Study in Outpatients in the Netherlands)の結果が要ると結論する閲覧 2026-09-17
  2. 2.Some Drugs and Herbal Products (IARC Monographs Vol. 108) — 1. Exposure Data(International Agency for Research on Cancer・2016)ライブページを取得して逐語で確認した。"The Food and Drug Administration (FDA) reported that digitoxin and acetyldigitoxin are no longer manufactured in the USA (FDA, 2013). Globally, there are 160 licensed products containing digoxin, while there are only seven licensed products containing digitoxin in Germany, Austria, Hungary, and Norway (Index Nominum, 2013)." ⚠️ 括弧が示すとおり、この製品数と国名は2013年時点の資料に由来する(本モノグラフの刊行は2016年)。同章はさらに逐語で "Digitoxin is useful for maintenance therapy because its long half-life (5–9 days) provides a sustained therapeutic effect even if a dose is missed. For the same reason toxic reactions are not easy to manage. Elimination is independent of renal function" と述べ、ジギトキシンの分子量を764.94とする閲覧 2026-09-17
  3. 3.Digitoxin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction(New England Journal of Medicine(Bavendiek U ほか、DIGIT-HF Study Group)・2025)PubMed の抄録全文(eutils の efetch で取得。N Engl J Med 2025;393:1155-1165)で確認した。組入れは慢性心不全でLVEF 40%以下かつNYHA III/IV、またはLVEF 30%以下かつNYHA IIの患者で、ガイドラインに沿った薬物治療に上乗せしてジギトキシン(開始用量 0.07 mg 1日1回)またはプラセボへ1対1に無作為化した国際二重盲検試験である。1240例が無作為化され1212例(ジギトキシン613例・プラセボ599例)が修正ITT集団。追跡期間中央値36か月で、主要評価項目(全死亡または心不全悪化による初回入院)は242例39.5%対264例44.1%(ハザード比0.82、95%信頼区間0.69〜0.98、P = 0.03)。全死亡単独は167例27.2%対177例29.5%(ハザード比0.86、0.69〜1.07)、心不全悪化による初回入院単独は172例28.1%対182例30.4%(ハザード比0.85、0.69〜1.05)で、いずれも信頼区間が1をまたぐ。重篤な有害事象が1件以上生じたのは29例4.7%対17例2.8%。⚠️ 本実行で取得できたのは抄録までで、NEJMの全文は取得していない。抄録には目標血中濃度の数値が無い(その数値はESC 2026年版から採った)閲覧 2026-09-17
  4. 4.2026 ESC Guidelines for the management of heart failure(European Society of Cardiology・2026)本文全文(Wayback Machine の id_ 付き出版社ページ、20260910061149、ブラウザUA+--compressed で200・657 KB)で逐語で確認した。2026-09-17の品質監査で、前回の担当とは独立に同じスナップショットを取り直し、以下の①〜④を1件ずつ再照合して一致を確かめた(参考文献303はDIG試験、304はDIGIT-HF原著)。⓪Table 6(Revised recommendations)は同じ推奨の2021年版側を "Digoxin may be considered in patients with symptomatic HFrEF in sinus rhythm despite treatment with an ACE-I (or ARNI), a beta-blocker and an MRA, to reduce the risk of hospitalization (both all-cause and HF hospitalizations)." Class IIb/レベル B として並べる。①推奨表の強心配糖体の行は "A cardiac glycoside (digoxin or digitoxin) should be considered in patients with symptomatic HFrEF with LVEF ≤40%, despite optimal FMT, to reduce the risk of HFH." で Class IIa/レベル B1。ジギトキシンが名指しで入っている。②Table 11(Evidence-based doses of disease-modifying drugs in key randomized trials in patients with heart failure)のジギトキシンの行は開始用量 0.07 mg o.d.・目標用量 0.1 mg o.d. で、同表の脚注 h は "Digoxin/digitoxin should be titrated according to plasma levels."。③本文6.1.5.4 は DIGIT-HF を "randomized to digitoxin [starting 0.07 mg daily, then titrated to target serum concentrations (10.5–23.6 nmol/L)] vs placebo" と記述し、同じ段落で "contrary to the DIG trial, also included patients with AF" と、DIG試験と違い心房細動の患者も組み入れたことを述べる。同節の結びは "Both agents share a narrow therapeutic window and require careful monitoring but differ in their metabolic elimination" としてジゴキシンは腎、ジギトキシンは肝で消失すると対比する。同節が挙げる目標血中濃度 "A serum digoxin concentration <1.2 ng/mL should be used as a target during ongoing therapy." はジゴキシンについての記述で、⚠️ ジギトキシンの目標値を本ガイドラインは示していない。④心房細動のレートコントロールは、本文(心血管併存症の節)が "If the ventricular rate control is suboptimal with beta-blockers, or if beta-blockers are not tolerated, digoxin or digitoxin should be considered." とジギトキシンを併記する一方、推奨表の該当行は "Digoxin should be considered in stable patients with HFrEF and AF when the ventricular rate remains high despite beta-blockers, or when beta-blockers are contraindicated/not tolerated"(Class IIa/レベル C)でジギトキシンを含まない閲覧 2026-09-17
  5. 5.Digimerck 0,1 mg - Tabletten, Digimerck 0,07 mg - Tabletten. Zusammenfassung der Merkmale des Arzneimittels(Bundesamt für Sicherheit im Gesundheitswesen(オーストリアの医薬品登録簿)・2024)PDF全文10頁を pdftotext で読んだ。10. STAND DER INFORMATION は 08/2024。4.1 の効能は「Manifeste chronische Herzinsuffizienz (aufgrund systolischer Dysfunktion)」と「bestimmte supraventrikuläre tachykarde Arrhythmien insbesondere Vorhofflimmern」の2項目。4.2 は成人で3日間 0,15〜0,3 mg の中速飽和のあと4日目から 0,05〜0,1 mg の維持とし、60歳超(および60歳未満でも著しい低体重)は1〜3日目に3×0,07 mg・4日目以降 0,07 mg、60歳未満は3×0,1 mg・以降 0,1 mg とする。肝機能障害・腎機能障害の単独では原則として用量調整は不要で、必要量が減るのは重度の肝腎複合障害のときだけ、GFR 10 mL/min未満では開始時にとくに慎重に観察する。ジゴキシンからの切り替えには2日(腎機能低下例では3日以上)の休薬をはさむ。錠剤は食後に噛まずに服用し、長期投与では管理された休薬試験でジギタリスの必要性を確認するとも述べる。4.3 の禁忌は過敏症、ジギタリス中毒の疑い、重度徐脈、心室頻拍・心室細動、2度および3度房室ブロック/病的洞結節機能(ペースメーカー留置例を除く)、予定された電気的除細動、副伝導路(WPW症候群など)の存在または疑い、頸動脈洞症候群、低カリウム血症、高カルシウム血症・低マグネシウム血症、閉塞性肥大型心筋症、胸部大動脈瘤、カルシウムの静脈内同時投与。5.2 は経口バイオアベイラビリティ98〜100%、血漿蛋白結合90〜97%(腎機能正常者の維持投与で遊離型は約0,8 ng/ml)、分布容積0,4〜1 L/kg、肝で2%超がジゴキシンへ水酸化、腎60%(うち半分は抱合代謝物)・糞40%、1日の消失率7〜10%、血中消失半減期は平均7〜8日、蛋白結合が高いため透析ではごく一部しか除去できない、とする。4.4 は、低カリウム血症について逐語で "Eine Hypokaliämie sensibilisiert das Myokard für Digitoxin, sogar wenn der Digitoxinserumspiegel in der therapeutischen Breite liegt."(血中濃度が治療域にあっても心筋を感作する)とし、血清電解質の定期的な確認、甲状腺機能亢進では必要量が増え機能低下では減ること(4.2 は必要量が増える病態として上室性頻脈性不整脈と甲状腺機能亢進、減る病態として甲状腺機能低下と過敏性頸動脈洞症候群を挙げ、小児の必要量を成人の2〜3倍 mg/kg とし、飽和量/維持量を早産・新生児 0,02/0,002、2歳まで 0,04/0,004、2歳超 0,03/0,003 mg/kg と示す)、心電図のST-T変化が心筋虚血なしでも生じること、ジギタリス化された患者の不整脈は休薬か血中濃度測定で否定されるまで本剤に帰すべきことを述べる。4.8 の頻度区分は、häufig に「あらゆる型の不整脈(心室期外収縮・2段脈/3段脈の心室頻拍・きわめて高用量後の心房頻拍・1〜3度房室ブロック・徐脈など)」「食欲不振・悪心(過量投与の最初の徴候として見るべきもの)・嘔吐・腹部不快感・下痢」「頭痛・疲労・不眠・めまい」、gelegentlich に「色覚異常(黄視・緑視)。治療用量下でも起こる」「精神症状(悪夢・興奮・錯乱)・抑うつ・幻覚・精神病」「女性化乳房」「筋力低下」、selten に「アレルギー反応(蕁麻疹様・猩紅熱様皮疹と著明な好酸球増多、紅斑、血小板減少、エリテマトーデス)」、sehr selten に「失語・脱力・無感情・不快感」「腸間膜梗塞」を置く。4.9 は急性過量で高カリウム血症、慢性過量ではしばしば低カリウム血症を伴い、急性過量の毒性作用は12時間後まで悪化しうるとする。同項はさらに、重症中毒のゴールドスタンダードを逐語で "Der Goldstandard bei einer schweren Digitoxin-Intoxikation ist die Behandlung mit einem spezifischen Digitalis-Antikörper-Fragment (Digitalis-Antidot), welches die freien Glykoside bindet" とし、解毒剤投与後は測定法によって血清ジギトキシン濃度が一過性にきわめて高い値になりうること、"Forcierte Diurese, Peritoneal- und Hämodialyse sind für die Digitoxinelimination unwirksam."(強制利尿・腹膜透析・血液透析は無効)であり、担体結合ジギトキシン抗体による選択的血液吸着、次いで活性炭血液吸着や血漿交換で体内蓄積を減らせること、摂取1時間以内の急性中毒では胃洗浄のあと活性炭・コレスチラミン(4回×8 g/24時間)またはコレスチポールを用いることを述べる。⚠️ この文書は血中濃度の治療域の数値を示していない(全文で ng/ml が現れるのは遊離型 0,8 ng/ml の1箇所だけである)閲覧 2026-09-17
  6. 6.Ficha técnica DIGOXINA KERN PHARMA 0,25 mg comprimidos(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios(CIMA)・2025)PDF全文を pdftotext で読んだ。10. FECHA DE LA REVISIÓN DEL TEXTO は Agosto 2025。4.3 の禁忌は、間欠性心ブロックまたは2度房室ブロック(とくにStokes-Adams発作の既往があるとき)、強心配糖体中毒に由来する不整脈、WPW症候群など副伝導路を伴う上室性不整脈(副伝導路の電気生理学的特性とジゴキシンの影響を評価した場合を除く)、副伝導路が既知または疑われ上室性不整脈の既往が無い場合、心室頻拍・心室細動、閉塞性肥大型心筋症(心房細動と心不全を併存するときを除き、その場合も慎重に)、過敏症の7項目で、⚠️ 低カリウム血症・高カルシウム血症・低マグネシウム血症・胸部大動脈瘤・頸動脈洞症候群・予定された電気的除細動は禁忌欄に挙がっていない。4.1 の効能は、収縮障害が主体の慢性心不全(心室拡大例で効果が最大)、心不全に心房細動を伴うときにとくに適応、心房粗動・心房細動をはじめとする特定の上室性不整脈で主たる利益は心室拍数の低下、である。5.2 は血漿中のジゴキシンの約25%が蛋白結合、経口バイオアベイラビリティは錠剤63%・小児用液75%、腎機能正常者の終末消失半減期30〜40時間とする閲覧 2026-09-17
  7. 7.2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure(European Society of Cardiology・2021)誌上版PDF全文(リエージュ大学ORBIのリポジトリ版。表紙は European Heart Journal (2021) 42, 3599–3726 の組版で出版社のダウンロード印字あり)を pdftotext で読んだ。慢性心不全の推奨表のジゴキシンの行は "Digoxin may be considered in patients with symptomatic HFrEF in sinus rhythm despite treatment with an ACE-I (or ARNI), a beta-blocker and an MRA, to reduce the risk of hospitalization (both all-cause and HF hospitalizations)." で Class IIb/レベル B、この行が引く文献は144(Digitalis Investigation Group, N Engl J Med 1997)の1本だけである。5.4.5節は "In patients with reduced renal function, digitoxin could be considered. Digitoxin use in HF and SR is currently being investigated." と書く。⚠️ この版は2026年版(esc-hf-2026)に置き換えられており、本ノートでは版の比較のためにだけ引く閲覧 2026-09-17
  8. 8.Digitoxin AWD 0,07. Fachinformation(Rote Liste Service GmbH(ドイツの Fachinformationsverzeichnis)・2018)PDF全文を pdftotext で読んだ。10. STAND DER INFORMATION は Februar 2018(各頁のフッタは Version 2)。4.1 の効能は「manifeste chronische Herzinsuffizienz (auf Grund systolischer Dysfunktion)」「Tachyarrhythmia absoluta bei Vorhofflimmern/Vorhofflattern」「paroxysmales Vorhofflimmern/Vorhofflattern」の3項目で、オーストリアの製品概要と違い心房粗動と発作性の心房細動・粗動を明示している。4.2 の Überwachung der Serumspiegel は逐語で "Die therapeutischen Serumkonzentrationen im Steady state liegen in der Regel zwischen 10 und 30 ng/ml; höhere Werte insbesondere über 35 ng/ml können mit toxischen Erscheinungen einhergehen." とし、採血は1日1回の投与前に行うこと、他の配糖体・スピロノラクトンとその代謝物・ジギトキシンの代謝物がラジオイムノアッセイに干渉しうるので臨床像と合わない測定値は慎重に解釈することを述べる。⚠️ 同じ製剤の ratiopharm 版 PDF は Version 3 だが STAND は同じ Februar 2018 で、この一文は逐語で一致する閲覧 2026-09-17
  9. 9.The DIGIT-HF trial: Key amendments of study design(European Journal of Heart Failure(Bavendiek U ほか)・2025)Europe PMC の全文XML(PMC11955316、オープンアクセス)で確認した。DIGIT-HF の per-protocol 集団の定義に関する記述の中で、ジギトキシンの目標血中濃度を逐語で "the target serum concentration of digitoxin (preferably 8–18 ng/ml [10.5–23.6 nmol/L])" と示している。⭐ この2つの単位の対応は本文が併記しているもので、こちらで換算した値ではない。その後の改訂では per-protocol 集団の条件が、無作為化12か月後の受診時点でプラセボ群は 2.5 nmol/L 未満、ジギトキシン群は 5〜30 nmol/L という範囲に組み直されている(こちらは解析集団の定義であって治療目標ではない)閲覧 2026-09-17