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Symptoms · Published

紅斑

Erythema

臓器系
感染症皮膚免疫・膠原病
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 1-01:皮膚の原発疹・続発疹皮膚科 1-09:丹毒の臨床像・合併症・治療
関連疾患
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)Trousseau症候群アトピー性皮膚炎うっ滞性皮膚炎カンジダ症ばら色粃糠疹ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群ポルフィリン症ライム病リウマチ熱・リウマチ性心疾患リンパ管炎遺伝性血管性浮腫家族性地中海熱壊死性軟部組織感染症感染性心内膜炎固定薬疹細菌性皮膚感染症(伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう)肢端紅痛症深部静脈血栓症川崎病唾液腺炎・唾石症丹毒・蜂窩織炎単純ヘルペスウイルス感染症毒素性ショック症候群熱傷泌尿生殖器外傷表皮嚢腫麻疹薬剤の血管外漏出猩紅熱蕁麻疹褥瘡
起因薬
アゼライン酸アダパレンアリロクマブインクリシランエボロクマブクラスコテロンスピノサドペルメトリン過酸化ベンゾイル
スコア
EASI(湿疹面積・重症度指数)PEDIS分類SCORAD(アトピー性皮膚炎重症度スコア)WIfI分類

🧠 全体像:紅斑は、皮膚の毛細血管が拡張し血流が増えることで生じる発赤である。診療でまず問うべきは病名ではなく、指で押してするかどうか——すれば血液がまだ血管内にとどまっている真の紅斑、しなければ血管が破綻して血液が組織へ漏出した紫斑・点状出血であり、この1点で対応する病態群がまったく別の軸に分かれる。次に、か全身性か熱感・腫脹・圧痛を伴うかを確認すると、感染・血流障害・毒素性・蕁麻疹型のどれに近いかの見当がつく。色や形そのものより、この3つの問い(するか/局所か全身か/随伴所見)が鑑別を運ぶ。

紅斑の機序——なぜ赤くなるか

皮膚の色調変化のうち「赤」は、真皮のを流れる血液量の増加を反映する(皮膚色調全般の考え方は蒼白も参照)。増加の起こり方には2つの型がある。

機序 代表例
炎症性の充血 による細動脈の拡張。熱感・腫脹・圧痛を伴うことが多い ・蜂窩織炎などの感染性紅斑
うっ血性の による血液のうっ滞。熱感・腫脹を伴い得るため炎症性紅斑と紛らわしく、片側性・の走行に沿う圧痛など病歴と分布で判別する

圧迫で退色するか——血管性か出血性か

紅斑という診断そのものを支えるのが、圧迫によるの確認()である。血液がまだ血管内にあれば圧迫で一時的にし、に漏出していればしない。

所見 血液の所在 対応する病態
圧迫でする 血管内(拡張した毛細血管を満たしているだけ) 紅斑
圧迫でしない (血管が破綻し組織内に漏出) 紫斑・点状出血

⚠️ 紅斑と紫斑は初期には見分けにくいことがある。 IgA血管炎(の皮疹は、初期には紅斑・蕁麻疹様として出現し、その後にへ進展することがある。1回の診察で「するから紫斑ではない」と決めつけず、経過を追って再評価する。

局所性か全身性か

分布 随伴所見 示唆する機序
・片側性 熱感・腫脹・圧痛を伴う 限局した感染・炎症
・片側性 腫脹・熱感を伴ううっ血様の
全身性・びまん性 発熱・粘膜充血・低血圧を伴う 毒素性・感染後など)
全身性・一過性 個々の皮疹が数時間以内に移動・消退する による蕁麻疹型の機序(蕁麻疹

⚠️ 見逃してはいけない紅斑

紅斑の多くは良性だが、次の随伴所見があればの高い病態を考える。

随伴所見 想定する病態
急速な拡大、皮疹の範囲を超える激痛、水疱・皮膚色調の暗化 ——初期は紅斑・腫脹・疼痛のみで蜂窩織炎に酷似する
+発熱+低血圧
紅斑上の、こすると表皮が剥離する(
5日以上続く発熱に伴うの紅斑 ——冠動脈病変のリスク評価を急ぐ
手掌・足底の無痛性紅斑 ——を反映する
輪状の前駆紅斑に続き顔面・口腔咽頭が急速に腫脹する ——ヒスタミンでなくが機序で抗ヒスタミン薬・アドレナリンが効きにくく、は気道緊急

に発熱・低血圧・多臓器障害が重なれば、皮疹の性状を詳しく記載するより先に蘇生(培養採取・輸液・)を始める。

分布・形状のパターンが示す情報

紅斑は色やの有無だけでなく、分布と形状のパターンそのものが特定の病態を強く示唆することがある。

パターン 特徴 示唆する所見・疾患
近位へ伸びる線状の紅斑 から近位のリンパ管走行に沿って帯状に広がる ——感染が波及する経路を示す
環状・で中心がする紅斑 体幹・四肢近位に好発し、顔面は避ける ——に特徴的
鼻梁を越えて両頬にに広がる紅斑 を避ける ——に特徴的
平手打ちされたような両頬の紅斑 小児に好発し、その後四肢・体幹へ広がる ——に特徴的

💡 これらは頻度としては紅斑全体のごく一部にすぎないが、パターンそのものが診断とほぼ同義になる点で臨床的価値が大きい。個々の機序・鑑別は各ノートに譲る。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["紅斑を認める"] --> B{"圧迫で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blanching'>退色</span>するか"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blanching'>退色</span>しない"| C["紫斑・点状出血として評価"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blanching'>退色</span>する"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='localized'>局所性</span>か全身性か"}
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='localized'>局所性</span>"| E{"急速拡大・皮疹を超える激痛はあるか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='necrotizing soft tissue infection'>壊死性軟部組織感染症</span>を疑い緊急評価"]
    E -->|"なし"| G["感染性・血流障害性を評価"]
    D -->|"全身性"| H{"発熱・低血圧・粘膜病変を伴うか"}
    H -->|"あり"| I["毒素性・感染後<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune-mediated disease'>免疫介在性疾患</span>として蘇生と精査"]
    H -->|"なし"| J["蕁麻疹型・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug eruption'>薬疹</span>などを評価"]

まとめ

  • 紅斑はによる発赤。圧迫でするかどうかが、血管性(紅斑)か出血性(紫斑・点状出血)かを分ける最初の一手。
  • 炎症性の充血(熱感を伴うことが多い)とうっ血性の(熱感を伴い得るが分布と病歴で判別する)で機序が異なる。
  • か全身性か、熱感・腫脹・圧痛を伴うかで、感染・血流障害・毒素性・蕁麻疹型のどれに近いか見当をつける。
  • IgA血管炎のように紫斑が初期には紅斑・蕁麻疹様に見えることがあり、1回の診察で所見を確定させない。
  • 急速拡大・皮疹を超える激痛は+発熱+低血圧はに続く急速な顔面・咽頭腫脹はを疑う根拠になる。