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Disease Atlas · 耳鼻咽喉科 · 疾患

唾液腺炎・唾石症

Sialadenitis and sialolithiasis

別名
Sialoadenopathy唾液腺症
臓器系
耳鼻咽喉科
科目
ENT
トピック
耳鼻咽喉科 49:唾液腺の炎症性疾患と唾液腺症
鑑別疾患
唾液腺腫瘍流行性耳下腺炎
合併症
MALTリンパ腫
治療薬
アモキシシリンクラブラン酸クリンダマイシンピロカルピン
原因薬剤
アミトリプチリンオキシブチニン
原因微生物
Staphylococcus aureusMumps virus
症状
腫脹発熱口腔乾燥疼痛発赤排膿
検査値
アミラーゼ
画像所見
石灰化
原因となる疾患
IgG4関連疾患シェーグレン症候群

🧠 全体像:唾液腺腫脹は感染性・閉塞性・自己免疫性・全身性に分けて考える。「食事のたびに片側が痛んで腫れる」は唾石を、「反復する両側無痛性腫脹+」は全身性疾患(特に症候群)を示唆する。硬い持続性腫瘤や顔面神経障害は感染より先に腫瘍を疑う。

病因と分類

原因 代表 特徴・治療の要点
細菌性(急性化膿性 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が最多、口腔内常在菌(・嫌気性菌など)とのも多い 急な疼痛・腫脹、発熱、導管口からの排膿。多くは水分摂取・・マッサージ・促進などの保存的治療のみで軽快する。感染徴候が明らかなら培養検体を採取したうえでアモキシシリンまたはクリンダマイシンを経験的に開始し、感受性結果が出次第見直す1。膿瘍形成時は排膿する
ウイルス性 など) 両側耳下腺腫脹が多い。支持療法と感染対策が中心
自己免疫性 症候群 口腔・眼乾燥を伴う反復性腫脹。全身評価と原疾患の治療が主体
外傷・導管障害 導管閉塞、 閉塞の解除または病変に応じた処置

脱水、糖尿病、免疫抑制、腎不全・肝不全、摂食障害、などのなどのによる薬剤性の、唾石が急性化膿性の危険因子となる1

唾石症

唾液中の石灰化物(唾石)が導管を塞ぎ、反復性・慢性のを起こす。唾石の約85%はに生じる2管()が長く上行性の走行をとり、唾液がに富んで粘稠なうえアルカリ性でしやすいためである。

  • 典型像:食事の開始とともに増悪する疼痛刺激で流出路が閉塞するため)。感染合併時は血清の唾液腺型分画が上昇しうるが、非特異的で診断的意義は限定的である。
  • 診断:口腔底のが第一選択。結石の位置や合併症の評価には造影CTやを追加する。かつて標準とされた唾液腺造影(シアログラフィー)はと造影剤反応のリスクを伴うため、現在は超音波・CTがその役割の大半に取って代わっている2
  • 治療:水分摂取、、マッサージ、促進(酸味のある食品や刺激薬)、などによる鎮痛を基本とし、多くはこの保存的治療のみで軽快する。感染を伴えば抗菌薬を投与する。残存する結石は、小さく遠位に位置するものほど下摘出が適応となり、大きい・近位の結石には経口摘出やを追加する。これらの低侵襲手技が現在の標準治療で、腺摘出術は温存治療で対応できない例に限る最後の手段である2

リンパ上皮性唾液腺症

自己免疫性のにより腺房が萎縮し、を生じる病態。症候群との関連が強く、反復性の両側腫脹とを示す。水分摂取、口腔ケア、、適応があればなどので対症療法を行う。持続性・非対称性に増大する腫瘤は、この病態の遺残リンパ組織を母地に生じうるMALTリンパ腫への進展を疑い、除外する必要がある。

臨床像と鑑別の要点

所見 考えやすい病態
食事のたびに片側が痛み腫れる 唾石・導管狭窄
発熱、発赤、導管口からの排膿 急性化膿性
両側反復性腫脹+ 症候群、薬剤性、摂食障害、代謝性疾患
硬い持続性腫瘤、顔面神経障害 を優先して除外

診断・治療の流れ

flowchart TD
    A["唾液腺腫脹"] --> B{"食事に連動する疼痛?"}
    B -->|"あり"| C["唾石を疑う: <span class='jp-term jp-term-diagram' title='bimanual palpation'>双手診</span>+超音波"]
    B -->|"なし"| D{"急性の発熱・発赤・排膿?"}
    D -->|"あり"| E["急性化膿性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sialadenitis'>唾液腺炎</span>: 培養+抗菌薬"]
    D -->|"なし"| F{"両側反復性+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sicca symptoms'>乾燥症状</span>?"}
    F -->|"あり"| G["自己免疫性を疑い全身評価(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Sjögren'>シェーグレン</span>症候群など)"]
    F -->|"なし・硬く持続性"| H["腫瘍を疑い画像+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fine-needle aspiration cytology (FNAC)'>穿刺吸引細胞診</span>へ"]

まとめ

  • 急性化膿性では脱水と導管閉塞の是正、抗菌薬、必要に応じた排膿を組み合わせる。
  • は「食事と連動する腫脹」が鍵で、などの腺温存治療を優先する。
  • 両側耳下腺腫大は局所疾患だけでなく自己免疫・栄養・代謝性疾患を考え、硬い持続性腫瘤は腫瘍の除外を優先する。

出典

  1. 1.Sialolithiasis(StatPearls / NCBI Bookshelf・2024)唾石の約85%は顎下腺に生じる。超音波・CTが従来の唾液腺造影に代わる画像診断の中心となり、治療は保存的処置から唾液腺内視鏡などの低侵襲手技を優先し、腺摘出術は最後の手段とする。閲覧 2026-08-03
  2. 2.Submandibular Sialadenitis and Sialadenosis(StatPearls / NCBI Bookshelf・2022)急性化膿性唾液腺炎の起炎菌はStaphylococcus aureusが最多で、経験的抗菌薬はアモキシシリン/クラブラン酸またはクリンダマイシンを用いる。脱水・抗コリン薬などによる唾液分泌低下、唾石が危険因子となる。閲覧 2026-08-03