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Drug Atlas · C10 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

クラブラン酸

clavulanate

分類
Antibiotics / 抗菌薬
科目
Pharmacology
トピック
C10: Carbapenems. Monobactams. Beta-lactamase inhibitors
副作用
下痢黄疸
対象疾患
咽後膿瘍化膿性リンパ節炎気管支拡張症急性中耳炎・慢性中耳炎(滲出性中耳炎を含む)憩室症・憩室炎唾液腺炎・唾石症慢性副鼻腔炎

🧠 全体像を理解する出発点はただ一つ、「単独では抗菌活性を持たない」という事実である。βラクタム構造こそ持つが、これは細菌の細胞壁を壊すためではなく、細菌のβラクタマーゼを壊すためだけに使われる。相棒のアモキシシリンを分解から守る「盾」に徹する薬であり、という一群全体()に共通する大前提がここにある。

薬効群の中での位置づけ

は、構造(βラクタムか否か)と阻害様式(不可逆的なか、可逆的な共有結合か)で2世代に分かれる。この対比が5剤すべての位置づけを決める。

世代 薬剤 相棒薬 構造・阻害様式 効くβラクタマーゼ
古典的(第1世代) アモキシシリン βラクタム構造。不可逆的なとして酵素を永久に壊す class A(TEM、SHVなど)中心。ESBL・AmpC・には弱い
古典的(第1世代) 同上(ペニシラン酸スルホン) class A中心。よりやや広い(AmpCの一部にも)
新規(第2世代) セフタジジム( (DBO)。可逆的なで酵素活性を一時的に止める class A(KPC含む)・class C(AmpC)・一部class D(OXA-48)
新規(第2世代) 同上(に近縁) class A(KPC含む)・class C。OXA-48はカバーしない
新規(第2世代) 構造。可逆的な共有結合でセリンを塞ぐ class A(KPCに特化)。class C・OXA-48は対象外

どの阻害薬も、である(NDM・VIM・IMPなど、class B)には無効。 でセリンではないため、セリン標的の阻害薬(この5剤すべて)が化学的にかみ合わない。この一点は5剤すべてに共通する限界として覚える。

機序

flowchart TD
    A["細菌がβラクタマーゼを産生"] --> B["アモキシシリンの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-lactam ring'>βラクタム環</span>を加水分解"]
    B --> C["アモキシシリンが不活化され耐性化"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clavulanate'>クラブラン酸</span>を併用"] --> E["βラクタマーゼの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active site'>活性中心</span>に<br>基質のふりをして結合"]
    E --> F["酵素が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='suicide substrate'>自殺基質</span>として不可逆的に壊れる"]
    F -.->|"分解されなくなる"| A
    G["守られたアモキシシリンがPBPに結合"] --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell wall synthesis inhibition'>細胞壁合成阻害</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteriolysis (lysis)'>溶菌</span>"]

💡 」とは、酵素自身に自分を壊させる仕組み。 はβラクタマーゼのに普通の基質のように入り込むが、反応の途中で酵素と共有結合したまま外れなくなり、酵素を永久に不活化する。自身はこの過程で消費されて終わるため、抗菌薬としての持続作用は持たない。

適応

アモキシシリン/として、βが関与するに用いる。

用法・用量

PO/IV、アモキシシリンとの合剤として投与する。実際の用量はアモキシシリン量を基準に適応・年齢・体重・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌への過敏症、アモキシシリン/投与に関連したの既往
  • ⚠️ 配合剤に特有の肝毒性。 アモキシシリン単剤より頻度が高く、65歳以上・男性・3週間を超える長期投与でリスクが上がる。発症は投与終了後数週間たってからのこともある
  • 下痢はアモキシシリン単剤より配合剤の方が明らかに多い

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢(アモキシシリン単剤より頻度が高い)、悪心
注意 皮疹、消化器症状
重篤・まれ 黄疸(配合剤特有、高齢男性・長期投与でリスク増)、アナフィラキシー

まとめ

  • の原型。単独では抗菌活性を持たず、相棒のアモキシシリンをβラクタマーゼから守る「盾」に徹する。
  • 機序は不可逆的な——酵素のに結合したまま外れず、酵素を永久に不活化する。
  • class A(TEM、SHVなど)の古典的βラクタマーゼには効くが、ESBL・AmpC・には弱い。この限界を補うためにというの新世代が開発された。
  • (NDM・VIMなど)にはこの世代・新世代を問わずいずれも無効。
  • 配合剤特有の副作用として、アモキシシリン単剤より下痢が多く、のリスクがある(高齢男性・長期投与で増加)。