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Disease Atlas · 耳鼻咽喉科 · 疾患

化膿性リンパ節炎

Suppurative lymphadenitis

別名
急性化膿性リンパ節炎
臓器系
耳鼻咽喉科感染症小児
科目
PediatricsENTMedical Microbiology
トピック
小児科 1-01:小児のリンパ節腫大耳鼻咽喉科 46:頸部奇形と頸部軟部組織の炎症性疾患微生物学 2/33:アクチノミセス・ノカルジア属、非結核性・非病原性抗酸菌
鑑別疾患
結核川崎病猫ひっかき病
続発疾患
頸部膿瘍
治療薬
セファレキシンアモキシシリンクラブラン酸クリンダマイシン
原因微生物
Staphylococcus aureusStreptococcus pyogenes (GAS)
症状
発熱腫脹圧痛
検査値
血算
画像所見
超音波エコー輝度

🧠 全体像:化膿性リンパ節炎は、頸部のリンパ節そのものが細菌感染で腫大し、膿瘍化した状態である。小児の急性片側性の代表であり、起因菌は黄色ブドウ球菌が大半を占める1を診るときの幹は、経過(急性か亜急性〜慢性か)と側性(片側か両側か)で鑑別を切ることにある——この2軸だけで、化膿性リンパ節炎、ウイルス性、・結核という互いに治療のまったく異なる病態を大きく絞り込める。

病態

口腔・咽頭・頭皮・耳など頭頸部のから、を介して所属リンパ節へ細菌が到達し、リンパ節内で増殖してを起こす。炎症が進むと節皮膜を越えて周囲へ広がり、リンパ節内に膿が貯留するリンパ節膿瘍を形成することがある。原因菌は黄色ブドウ球菌が大半を占め1、113例の小児コホートでも培養陽性例の94%が黄色ブドウ球菌であったと報告されている2

経過と側性で鑑別する

経過・側性 代表的な病態 手がかり
急性・片側性 化膿性リンパ節炎(黄色ブドウ球菌・ 数日の経過で急速に腫大、発赤・圧痛が強い、しばしば発熱を伴う
急性・両側性 ウイルス性(に伴う反応性腫大) 咽頭炎・上が先行、圧痛は軽度、多くは3cm未満
亜急性〜慢性 M. scrofulaceumなど)、Bartonella henselae)、結核 数週間かけて緩徐に増大、圧痛に乏しいことが多い、動物曝露歴・結核曝露歴を確認する

💡 この表の使い方は「まず経過と側性を聞く」に尽きる。 急性・片側性で発赤・圧痛が強ければ化膿性リンパ節炎を第一に疑い、抗菌薬と膿瘍評価に進む。両側性で上が先行していればウイルス性として経過観察を優先し、無用な抗菌薬・生検を避ける1。数週間かけて緩徐に増大する無痛性の腫大は、亜急性〜慢性の枠組み(・結核)へ切り替えて曝露歴を掘り下げる。

臨床像

小児113例のコホートでは、頸部腫脹・紅斑が99.1%と最も高頻度の所見で、発熱73%、30%、9%と続いた2。患側の腫脹圧痛・発赤が主体で、皮膚のが触れれば膿瘍化を示唆する。

診断

臨床診断が基本だが、膿瘍形成の有無を評価するにはが有用である。反応性リンパ節は楕円形でを保つのに対し、化膿性リンパ節炎で膿瘍化が進むとの変化(内部の域・液体貯留)がみられる。血液検査では血算がみられることが多いが、診断は主に臨床像と局所所見による。

悪性腫瘍やへの進展が疑われが必要になりうる場合は、造影CTを選択する1

💡 超音波は「抗菌薬だけで様子を見てよいか」を分ける実務的な検査である。 が均一でが保たれていれば反応性腫大として抗菌薬で経過をみられるが、内部が不均一化し液体貯留がみられれば、抗菌薬だけでは吸収されない膿瘍として穿刺・排膿を計画する必要がある。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical lymphadenopathy'>頸部リンパ節腫脹</span>"] --> B{"経過は急性か、亜急性〜慢性か"}
    B -->|"急性"| C{"片側性か両側性か"}
    C -->|"片側性・発赤/圧痛が強い"| D["化膿性リンパ節炎を疑う"]
    C -->|"両側性・上<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway symptoms'>気道症状</span>先行"| E["ウイルス性として経過観察"]
    B -->|"亜急性〜慢性・数週間で緩徐増大"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nontuberculous mycobacterial disease'>非結核性抗酸菌症</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cat scratch disease'>猫ひっかき病</span>/結核を疑う"]
    D --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluid wave (ascites); fluctuance (abscess)'>波動感</span>・膿瘍化の所見はあるか"}
    G -->|"あり"| H["超音波で膿瘍評価<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytology'>穿刺吸引</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incision and drainage'>切開排膿</span>"]
    G -->|"なし"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral antibiotic'>経口抗菌薬</span>で経過をみる"]

治療

  • 膿瘍を形成していない急性片側性の化膿性リンパ節炎には、アモキシシリン、またはMRSA()が疑われる場合はクリンダマイシンによる治療を行う1
  • ⚠️ 膿瘍化したら抗菌薬だけでは治らない。 超音波で液体貯留を確認したら、またはを行う。113例の小児コホートでは28例(24.8%)がを要し、内訳は21例(18.5%)、外科的7例(6%)であった2
  • 両側性でリンパ節が3cm未満、発赤や強い圧痛を伴わない例では、抗菌薬を開始せずまず経過観察してよい1

合併症・鑑別

⚠️ 深頸部への波及に注意する。 治療に反応しない、あるいは急速に増大する化膿性リンパ節炎は、節の被膜を越えて周囲の頸部間隙へ広がり、へ進展しうる。

⚠️ との鑑別を忘れない。 高熱が続き、抗菌薬治療に反応しないをみたら、両側・口腔粘膜変化・などの随伴所見を確認し、を鑑別に入れる1

まとめ

  • 化膿性リンパ節炎は小児の急性片側性の代表で、起因菌は黄色ブドウ球菌とが大半を占める。
  • 経過(急性/亜急性〜慢性)と側性(片側/両側)で、化膿性リンパ節炎・ウイルス性・//結核を鑑別する。
  • 膿瘍化したら抗菌薬だけでは治らず、超音波で評価したうえでを行う。
  • 抗菌薬不応のではを、治療に反応せず急速に増大する例では深頸部への波及を鑑別に入れる。

出典

  1. 1.Pediatric Cervical Lymphadenitis: Etiology, Clinical Presentation, and Antimicrobial Resistance(International Journal of Pediatrics・2025)小児頸部リンパ節炎113例のコホートで、臨床像は頸部腫脹・紅斑が99.1%と最も高頻度で、発熱73%、頸部痛30%、斜頸9%であったこと(Results節)、21例(18.5%)が頸部リンパ節の穿刺吸引を、7例(6%)が外科的切開排膿を要し、侵襲的処置を受けた28例中17例(61%)で培養が陽性となったこと(Abstract)、培養陽性例のうち16例(94%)が黄色ブドウ球菌でA群溶血性レンサ球菌は検出されず表皮ブドウ球菌が1例のみであったこと(Abstract・Results節)を確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Evaluation and Management of Neck Masses in Children(American Family Physician・2014)急性片側性頸部リンパ節炎の起因菌として黄色ブドウ球菌とA群溶血性レンサ球菌が最も頻度が高く、10日間の経口セファレキシンまたはアモキシシリン・クラブラン酸、あるいはクリンダマイシンで治療すること(Initial Treatment and Referral節)、両側性で3cm未満・発赤や強い圧痛を伴わないリンパ節腫脹では抗菌薬なしの経過観察が初期対応として推奨されること(同節)、川崎病は高熱・両側結膜炎・口腔粘膜変化とイチゴ舌を伴うリンパ節腫脹として示唆されること(Associated Symptoms項)、悪性腫瘍や咽後膿瘍・深頸部膿瘍が疑われ外科的ドレナージを要しうる場合は造影CTが選択されること(Initial Diagnostic Testing節)を確認した。閲覧 2026-08-11