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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 疾患

川崎病

Kawasaki disease

別名
KD皮膚粘膜リンパ節症候群
臓器系
免疫・膠原病循環器
科目
Internal MedicinePediatrics
トピック
内科学 R-08:中血管炎・大血管炎小児科 3-34:IgA血管炎・川崎病・MIS-C・多発血管炎性肉芽腫症小児科 42:川崎病とMIS-C
上位概念
血管炎
鑑別疾患
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)化膿性リンパ節炎結節性多発動脈炎新型コロナウイルス感染症毒素性ショック症候群猩紅熱
続発疾患
急性冠症候群血球貪食性リンパ組織球症
治療薬
免疫グロブリン静注療法アセチルサリチル酸メチルプレドニゾロンプレドニゾロンインフリキシマブシクロスポリンA
症状
紅斑発熱皮疹浮腫頸部リンパ節腫脹落屑
検査値
C反応性蛋白(CRP)血小板数
適応薬
免疫グロブリン静注療法

🧠 全体像は主に5歳未満の乳幼児に起こる急性発熱性ので、最大の懸念は冠動脈の拡張・瘤である。診断は特異的な検査マーカーではなく、発熱と5つの主要所見(粘膜皮膚リンパ節症候群)をに観察する臨床診断であり、所見が揃わないを炎症反応と心エコーで拾い上げることが予後を左右する。標準治療は2 g/kg単回+アスピリンで、冠動脈瘤を防ぐため発症10日以内に開始することが原則である。

概要・病態

  • は中型、なかでも冠動脈を標的とする血管炎で、病因は未解明だが、感染契機の異常免疫応答による(IL-1、IL-6、TNF-αなど)の増幅が関与すると考えられている。
  • 未治療の場合、約25%で冠動脈瘤を来す。IVIG治療によりこのリスクは大きく低下するが、ゼロにはならない。
  • という土台は(PAN、)と共通するが、は乳幼児期に好発し冠動脈を選択的に侵す点で対照的である。

臨床像

  • 発熱に加え、次の5主要所見を評価する。所見は同時に揃わないため、写真記録や複数回の診察が有用である。
主要所見 典型像
両側眼球 滲出物を伴わず、を比較的避ける
口唇・口腔変化 口唇発赤・乾燥・、咽頭発赤(潰瘍やは非典型)
発疹 で、通常は水疱・痂皮を作らない
四肢末端変化 急性期の手足の紅斑・の爪周囲からの
通常片側性で1.5 cm以上が目安
  • 古典的には5日以上の発熱+主要所見4/5で完全型とするが、所見が早期に揃う典型例では第5病日を機械的に待たない。の発赤、、肝機能異常、は補助所見として診断を後押しする。

⚠️ は主要所見が2〜3個、または乳児の遷延発熱として現れる。日数・項目数だけで機械的に除外せず、炎症反応(CRP・ESR)、CBC、肝機能、アルブミン、尿所見、冠動脈を含む心エコーを併せて評価する。

flowchart TD
    A["説明困難な発熱+主要所見2〜3個/乳児の遷延発熱"] --> B["CRP・ESR、CBC、肝機能、アルブミン、尿検査"]
    B --> C{"炎症反応・補助所見が支持するか"}
    C -->|"支持する"| D["冠動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Z score'>Zスコア</span>を含む心エコー"]
    C -->|"乏しい"| E["鑑別を再評価し臨床経過を追う"]
    D --> F{"心エコー異常または臨床的疑いが高い"}
    F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kawasaki disease'>川崎病</span>として速やかに治療"]
    F -->|"いいえ"| H["発熱・検査を再評価し必要なら再エコー"]

診断・重症度評価

  • 診断は主要所見の経時評価と補助所見・炎症検査・心エコーの統合による臨床診断であり、確定的なはない。
  • 心エコーで冠動脈径を補正で評価し、心機能、、弁逆流も確認する。
  • 次のいずれかを満たせば高リスクとし、初回治療を強化する対象となる:
    • 生後6か月未満
    • 初診時のまたは左2.5以上
    • IVIG不応が予測される臨床・

治療

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kawasaki disease'>川崎病</span>(完全型・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incomplete form'>不全型</span>)の診断"] --> B["IVIG 2 g/kg単回+アスピリン<br>原則発症10日以内に開始"]
    B --> C{"高リスク(生後6か月未満・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Z score'>Zスコア</span>2.5以上など)"}
    C -->|"はい"| D["初回からグルココルチコイド等を追加"]
    C -->|"いいえ"| E["標準治療で経過観察"]
    D --> F{"IVIG終了36時間以降も発熱が持続・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='relapse'>再燃</span>"}
    E --> F
    F -->|"はい:IVIG不応"| G["再IVIG、グルココルチコイド、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='infliximab'>インフリキシマブ</span>等を専門施設で選択"]
    F -->|"いいえ"| H["冠動脈<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Z score'>Zスコア</span>に応じた画像フォローへ"]
  • 標準初期治療:IVIG 2 g/kgを単回投与(通常10〜12時間かけて)し、アスピリンを併用する。原則として発症10日以内に開始するが、遷延する発熱・炎症や冠動脈病変があればそれ以降でも治療する。
  • アスピリン:急性期は中等量(30〜50 mg/kg/日)を発熱が治まるまで継続するのが現行の主流で、高用量(80〜100 mg/kg/日)を用いる地域差もある——ただし急性期高用量アスピリンが冠動脈転帰を改善するという明確な根拠はなく、議論が続く。後は低用量(3〜5 mg/kg/日)の療法へ切り替え、冠動脈病変がなければ発症6〜8週の評価で終了することが多い。
  • 高リスク例の初回強化療法:生後6か月未満、初診時の/左2.5以上などの高リスク患者では、IVIG+アスピリンにグルココルチコイド(2〜3週間程度のコース)を初回から追加することを検討する。単回パルスをIVIGと組み合わせるルーチン投与は推奨されない。
  • IVIG不応例:IVIG終了36時間以降も発熱が持続・する場合(約10〜20%)は、再IVIG、高用量パルスステロイドや長期ステロイド、などを専門施設で選択する。

フォローアップ

  • 心エコーは診断時と1〜2週に行い、冠動脈描出が不十分な場合や1〜2週時点で炎症所見が残る場合は4〜6週の評価も検討する。高リスク患者ではより早期(1週目安)の再評価が重視される。
  • 冠動脈拡張・瘤があれば、とその変化に応じてより頻回かつ長期の心エコー・画像フォローを行う。血栓性の退縮例など状況によっては、内腔径が正常化してもの継続を検討する。
  • 直近のIVIG投与歴があれば、生ワクチン接種の推奨間隔を確認する。

小児多系統炎症性症候群(MIS-C)との鑑別

  • SARS-CoV-2感染後数週で発症するMIS-Cは、と臨床像が重なるが機序・疫学的背景が異なる。
項目 MIS-C
好発年齢 乳幼児(5歳未満) より高年齢にも多い
血小板 亜急性期に増加しやすい 減少しやすい
ショック・心筋障害 比較的少ない 多い
消化器症状 ありうる 強く出やすい
との関係 必須でない SARS-CoV-2感染との時間的関連が診断の一部
初期治療 IVIG+アスピリン IVIG+グルココルチコイドを軸に重症度で調整

まとめ

  • は乳幼児ので、冠動脈瘤の予防がである。
  • 発熱+5主要所見をに評価し、は炎症反応と心エコーで拾い上げる。
  • 標準治療はIVIG 2 g/kg単回+アスピリンを発症10日以内に開始することで、高リスク例(生後6か月未満、2.5以上)では初回からグルココルチコイド等を追加する。
  • IVIG不応例は再IVIG、ステロイド、などを専門施設で個別化する。
  • 冠動脈病変の有無・に応じて心エコーフォローと抗血栓療法を長期に調整する。