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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 疾患

成人発症Still病

Adult-onset Still disease

別名
AOSD成人Still病成人発症スチル病
臓器系
免疫・膠原病全身
科目
PediatricsInternal Medicine
トピック
小児科 3-32:若年性特発性関節炎内科学 L-70:発熱と高体温、不明熱内科学 I-04:不明熱
鑑別疾患
リンパ腫全身性エリテマトーデス敗血症薬剤性過敏症症候群
合併症
血球貪食性リンパ組織球症
関連疾患
若年性特発性関節炎
治療薬
アナキンラカナキヌマブトシリズマブプレドニゾロンメトトレキサートシクロスポリンA
症状
発熱皮疹関節痛筋痛咽頭痛リンパ節腫脹脾腫肝腫大
検査値
フェリチンC反応性蛋白(CRP)赤沈白血球数絶対好中球数アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)抗核抗体リウマトイド因子血小板数フィブリノゲントリグリセリド(脂質パネル)糖鎖化フェリチンS100蛋白血清IL-18
スコア
成人発症スチル病の重症度スコア
下位分類
Still肺病変
適応薬
アナキンラエマパルマブ

🧠 全体像:は「原因不明の・サーモンの皮疹・関節炎」という三徴を軸とするの全身性で、IL-1β・IL-6・IL-18の過剰産生が病態の中心にある。自己抗体をもたない(・が陰性である)ことがむしろ診断を支持するという、の常識が裏返る疾患である。検査の目印は著明な高値(その中の比の低下も手がかりになるが、それ単独では診断を決めない)で、最も恐ろしい合併症は(MAS)である。

全身型若年性特発性関節炎との関係

⭐ と全身型(sJIA)は同一の疾患である。 2024年の/PReS合同勧告は、両者を分けてきた「16歳」という境界が小児科・内科という診療の都合にすぎず、臨床像もも共通することを根拠に、両者を「Still病」という単一の名称で呼ぶという的原則を最初に掲げた1。分けて扱ってきた副作用として、分類基準・・薬剤の承認が小児側と成人側で別々に整備され、成人では診療科が分散して診断が遅れやすい。

⚠️ 本ノートは「sJIAとは別の疾患」を説明するものではない。 病態・治療の骨格はsJIAと共通で、ここで扱うのは成人発症例に固有の診断の立て(・)と成人で前面に出やすい臨床像である。関節炎中心の記述はのノートに委ねる。

病態

単一遺伝子の異常で説明できるやと違い、Still病はが同定されていないのである。と自然免疫の制御破綻を背景にIL-1β・IL-6・IL-18が過剰産生されることが病態の中心と考えられ、これが・IL-6阻害薬の効果の根拠になっている1。

flowchart TD
    A["自然免疫の制御破綻と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammasome'>インフラマソーム</span>の活性化"] --> B["IL-1β・IL-6・IL-18の過剰産生"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neutrophil predominance'>好中球優位</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Systemic Inflammation'>全身性炎症</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='remittent fever'>弛張熱</span>・皮疹・関節炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serositis'>漿膜炎</span>"]
    B --> E["マクロファージ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytotoxic T cell'>細胞傷害性T細胞</span>の暴走"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macrophage activation syndrome (MAS)'>マクロファージ活性化症候群</span>"]

💡 自己抗体もT細胞の自己反応性も主役ではないため、・は原則として陰性である。「を疑って自己抗体を測ったが全部陰性だった」という結果は、Still病では否定材料ではなく支持材料になる。

臨床像

三徴(・皮疹・状)が揃うことが典型だが、揃うまでに時間がかかることが多い。

症候 特徴
発熱 39℃以上の高熱が1日1〜2回状に上がり、間で平熱近くまで下がる。7日以上続く1
皮疹 サーモンの斑状丘疹。体幹優位で、発熱の山に一致して出没しとともに消える。かゆみは乏しい。⚠️ サーモンでない皮疹(など)でも診断と矛盾しない1
状 関節痛・筋痛が主体。の関節炎は遅れて出ることがあり、診断に必須ではない1
非の。発症時に高頻度で、感染症と誤られやすい
リンパ節腫脹・脾腫・
漿膜 ・

⚠️ 一過性の皮疹は「見に行かないと見えない」。 している時間帯の診察では皮疹が消えている。発熱時の体幹を診る、あるいは発熱時の写真を持参してもらうことで診断が動く。

検査所見

項目 典型的所見
(の数倍〜数十倍)。診断を強く支持する1
比 低下。総に占めるの割合20%以下がの閾値である1。⚠️ 単独では感度63.2%・特異度83.6%にとどまる2
白血球 白血球増多(10×10⁹/L以上)で、好中球80%以上を占める
CRP・の著明上昇
肝機能 上昇
自己抗体 ・が陰性
補助的 血清IL-18・S100蛋白(など)の。測定可能なら測る1

⭐ はなので感染症・悪性腫瘍でも上がるが、比はそれとは別の情報を持つ。 通常の炎症ではの率は保たれるのに対し、Still病とMASではされていないが大量に放出されるため比が下がると説明されている(この機序の説明は下記の指針には含まれない)。この「総量ではなく質を見る」検査がの項目に採用されている1。

⚠️ ただし「20%以下ならStill病」ではない。 を実測した患者を集めた後ろ向き解析(Still病28例・対照203例、単一施設)では、20%以下という閾値は単独では特異度83.6%・感度63.2%・28.6%にとどまり、この閾値を下回った患者の3分の2はStill病以外の診断だった2。低下は・ウイルス感染症・重症COVID-19・でも起こるため、この報告は「20%以下はウイルス感染症を除外する指標にはならない」と明記している2。10%以下まで下げると同解析で感染症は1例も該当せず、残ったのはHLH・Still病・の3診断だけだった2。著者らは閾値を16%へ下げた修正版を提案しているが2、/PReS 2024の表2が掲げるの閾値は20%のままである1。

診断

まずである。 感染症・悪性腫瘍(とくにリンパ腫)・他の性疾患・のを慎重に除外したうえで、分類基準を診断の補助に使う1。分類基準は本来「研究に組み入れる患者を揃える」ためのであって確定診断のではない。

山口基準(1992年)

日本人の90例と対照267例の多施設調査から作られ、現在も最も広く使われる3。

区分 項目
大項目 39℃以上の発熱が1週間以上/関節痛が2週間以上/典型的皮疹/白血球10×10⁹/L以上かつ好中球80%以上
小項目 /リンパ節腫脹および/または脾腫/()/・がともに陰性

大項目2つ以上を含む合計5項目以上を満たし、かつ除外項目に当たらないことを要する。導出集団での感度96.2%・特異度92.1%3。除外項目は、感染症(とくに敗血症と感染症)が無いこと、悪性疾患(とくにリンパ腫)が無いこと、他の炎症性疾患(とくに)が無いことの3つである1。

⭐ 「典型的皮疹」は基準の中で定義されている。 でいう典型的皮疹とは、発熱の山に一致して出没する、かゆみのない、サーモンの斑状丘疹を指す1。

日本では、山口基準がそのまま指定難病の診断基準になっている

⭐ は日本の(告示番号54)で、医療費助成のは「Yamaguchiらの分類基準(1992年)」そのものである。 判定は Definite——大項目2項目以上を満たし、かつ大項目と小項目を合わせて5項目以上に該当し、かつ除外項目を除外したもの——を対象とする4。「分類基準は研究のためのであって確定診断のではない」という一般論と、国内では実際にとして運用されているという事実は、両方そのまま覚える。

書きぶりは上の表の英訳と少しずれる。国内の大項目②は「状が2週間以上続く」で、表・海外総説が arthralgia(関節痛)と書く箇所より広い語になっている4——の関節炎も同じ項目で拾えるという点で、「関節炎は診断に必須ではない」という上の整理と向きは同じである。国内の除外項目は「感染症(特に敗血症、)」「悪性腫瘍(特に)」「(特に、悪性関節リウマチ)」の3群で、表が「感染症」「炎症性疾患」とする箇所がそれぞれ・(悪性関節リウマチを名指し)になっている4。💡 同じ文書に「16歳未満の症例に対しても上記は適用される」という注記がある4——年齢で切らないという点で、sJIAとAOSDを一つの疾患とみる2024年の枠組みと同じ向きを指している。

助成の対象は、別に定められた重症度スコアで中等症以上(2点以上)に絞られる4。

項目 点
1
() 2
2
85%以上 1
3,000 ng/mL以上 1
著明なリンパ節腫脹 1
ステロイド治療抵抗性(換算0.4 mg/kg以上で治療抵抗性) 1

合計0〜9点で、重症は3点以上、中等症は2点以上、軽症は1点以下である4。

Fautrel基準(2002年)

を組み込んだ基準である。/PReS 2024の表2は項目を次の順に並べている1。

番号 項目
1 39℃以上の
2 関節痛
3 一過性の紅斑
4 咽頭炎
5 好中球80%以上
6 20%以下
7 典型的皮疹
8 白血球10×10⁹/L以上

感度87.0%・特異度97.8%(Lebrunらによる外的検証コホートでの値)1。

⚠️ と違い、は除外項目をもたない。 除外の過程を基準の中に組み込んでいないぶん特異度とが落ちうる、と検証研究が指摘している2。「が入っているぶん厳しい基準」と単純に覚えない。

判定規則は、EULAR表の書き方をそのまま採らない

⭐ 判則の正本は「大項目6・小項目2」という分け方である。 Fautrel自身が共著者に入っている総説の表3が、同基準を大項目6項目(上の表の1〜6)・小項目2項目(同7〜8)に分け、除外項目の欄を「None」とし、判則を逐語で “Four major criteria or three major criteria and two minor criteria”(大項目4つ、または大項目3つ+小項目2つ)と記している5。同一の文言は独立した3件のオープンアクセス総説にも載っており、の検証研究も「2002年にFautrelらが分画(20%以下)を大項目として組み込んだ」と書いている2。

一方、/PReS 2024 表2の記載はこれとずれている。

項目の分け方 判則
の枠組み 大項目6(上の表の1〜6)・小項目2(同7〜8) 大項目4つ、または大項目3つ+小項目2つ5
/PReS 2024 表2の記載 1〜8を並べるだけで大項目・小項目の区別を書いていない 項目1〜5のうち4つ以上、または項目1〜5のうち3つ以上+項目6と項目71

⭐ 表の書き方では、項目8(白血球10×10⁹/L以上)が判則に一度も登場しない。 基準セットが自分の項目を1つ孤立させたままになる。表の番号は1つずれていると読むほうが整合的である——「項目1〜6のうち4つ、または項目1〜6のうち3つ+項目7・8」と読めば上の正本と一致し、表の並び順が原著の大項目(1〜6)・小項目(7〜8)と同じであることとも噛み合う。

⚠️ ずれは両方向に効く。 表の書き方をそのまま当てはめると、①(項目6)が「4項目」に数えられないため、発熱+関節痛+紅斑+で満たすはずの患者が満たさなくなり、②第2経路で(項目8)が不要になる。判定するときは表の番号ではなく大項目・小項目の分け方で数える。

⚠️ 原著(Fautrel 2002, Medicine 81:194-200。PMID 11997716)の本文そのものは購読誌で、PMCにも収載が無いため未取得である。上の正本は提唱者自身が後年に再掲した表に拠る5。実際に判定するときは原著か国内の解説書で規則を確かめること。

⚠️ より特異度が高く感度が低い、とは言えない。 同じ検証では成人で感度96.3%・特異度98.2%であり、単純な優劣にはならない1。上の96.2%・92.1%は1992年の導出集団での値なので、この2組を直接並べない。

鑑別

鑑別 分かれ目
敗血症・ 血液培養、経過、抗菌薬への反応。除外できるまでStill病と診断しない
リンパ腫 持続するリンパ節腫脹、B症状。生検を惜しまない
SLE・関節リウマチ 自己抗体が陽性になる(Still病では陰性)
が除外項目に名指しする炎症性疾患。血管炎に伴う・・所見
など 小児期からの発作反復、家族歴、発作の、
の時間関係、好酸球増多。⚠️ Still病の治療薬そのものがになりうる——の SmPCは、市販後にが稀に、しかも主に小児のStill病(sJIA)患者で報告されていると記している6。「治療中に出た発熱と発疹」を必ずしも原病のと決めない

原因が判明しないまま発熱が続く段階では、としての体系的な評価の枠組みに乗せる。

合併症

マクロファージ活性化症候群

⚠️ Still病で最も警戒すべき合併症で、二次性のにあたる。 のどの時点でも起こりうるため、能動的にスクリーニングする1。

疑う所見は、持続する発熱、脾腫、のさらなる上昇、炎症があるのに不釣り合いに低い血球数、、の活性化、トリグリセリドの上昇である1。の変化も手がかりになり、に典型的な高い状のから下がりきらない持続熱へ移行することがMASの始まりを告げる、というのが一般に受け入れられている7。

2016年の/ACR/PRINTO分類基準は次のとおりである7。

前提 内容
対象 発熱している、既知または疑いの全身型JIA患者
必須項目 684 ng/mL超
追加項目(4つのうち2つ以上) 181×10⁹/L 以下/AST 48 U/L 超/トリグリセリド 156 mg/dL 超/フィブリノゲン 360 mg/dL 以下
但し書き これらの異常が、・・・家族性など他の病態で説明されないこと

検証解析での感度0.73・特異度0.997。分類基準であってではない点はと同じである。

⭐ 「炎症疾患なのにが下がる」ことがになる。 の全身型JIAではとフィブリノゲン高値がむしろ普通なので、が明らかななかでやフィブリノゲンが「に正常」であることがMASを疑わせる——だからこの基準のは正常域に置かれている7。とトリグリセリドのもをわずかに超える水準にすぎない7。

⚠️ ・IL-6阻害薬を使っていてもMASは起こる。 とくにまたはの投与中は、発熱と上昇が鈍化・遅延するため、MASの臨床像・がマスクされうる1。またステロイド・生物学的製剤の減量・中止の局面もMASの危険が高い時期であり、この間は注意深く監視する1。Still病の全例でを定期的に測り、MASを疑う/リスクが高い患者では毎日または隔日で測り直す1。

⚠️ 日本の電子添文は、とについては「MASを合併している患者には投与を開始しない」と明記している。 (アクテムラ)は「MASを合併している患者ではMASに対する治療を優先させ本剤の投与を開始しないこと。また、本剤投与中にMASが発現した場合は、投与を中止し、速やかにMASに対する適切な治療を行うこと」8、(イラリス)は同じ構文で「投与を中止し」の代わりに「を考慮し」と定めている9。

⚠️ これを「生物学的製剤はMASでは使わない」と一般化しない。 勧告11は逆に「MASの治療は高用量ステロイドを必ず含む。加えて、・・IFN-γ阻害薬を含む治療を初期治療の一部として考慮する」としている1。MAS切迫例で第一選択に置くと述べているのは勧告文ではなく図1の脚注3で、逐語は “Anakinra would be the preferred choice for a patient with impending MAS.” である(同じ脚注が高用量——小児で4 mg/kg/日超、成人で100 mgを1日2回——がこの状況でしばしば用いられると続ける)1。国内でもの審査報告書は、①303試験・301試験・990758/990779試験で好中球減少症が認められず、303試験の重篤な1例はが否定され、市販後安全性試験の重篤な11件(100人・年当たり2.2件)も本剤非投与のsJIA患者でのMAS(100人・年当たり4〜6件)を下回るため「本剤投与によるMAS発現リスクの増大は認められていない」とし、②MASを重要な潜在的リスク(重要な特定されたリスクではない)に位置づけ、③専門協議で「MASが発現した際に本剤投与継続の可否が予断なく判断されるように、添付文書において注意喚起することが適切」との意見が出された、と記録している10。⭐ 「中止せよ」ではなく「予断なく判断せよ」という書き方は、専門医の間でも継続の可否に合意が無いことをそのまま反映したものである。

その他

肺病変(Still肺病変)が近年注目されており、・遷延する咳・の有無と・でスクリーニングし、症状があればを撮る1。

⚠️ 肺病変があっても、それだけを理由に・IL-6阻害薬を中止しない。 勧告13は「現時点のデータでは、Still肺病変の危険因子の存在や肺病変の発症は、・IL-6阻害薬の禁忌とみなすべきではない」と明記している1。有効な薬を止めても多くの患者で改善せず、むしろMASを伴う重いの危険と、代替となる長期高用量ステロイドの負担のほうが大きい、というのが理由である1。

💡 添付文書の側も同じ書き方をしている。 の SmPCは、市販後に・・が「IL-6阻害薬およびで治療された主として小児のStill病患者」で報告されており、の患者が過剰に含まれるようにみえると記す一方、企業が実施したではこれらの事象は報告されず、は確立していないとしている(小児Still病306例の非介入研究で重篤な肺事象は1例の詳細不明ののみ)6。⭐ 「特定の薬の副作用」ではなく「Still病の肺病変」として立っている——だから薬を替えても解決しないことがある。

ほかに・心筋炎・が生命を脅かす。は古典的なとして知られる。

治療

⭐ 2024年/PReS勧告の核心は「ステロイドを長く引っ張らない」ことにある。 ・IL-6阻害薬の有効性の証拠は強く、診断が確定したらできるだけ早期に開始し、副腎皮質ステロイドは短期間の併用にとどめる1。発症時に慢性経過をたどる患者を見分ける指標が無いため、重症度によらず一次治療として生物学的製剤を検討するのが勧告の立場である1。

⭐ は時点ごとに数値で決められている。 どれかに届かなければ、そこで治療を組み替える合図になる1。

時点 到達すべき目標
7日 し、が50%超低下
4週 発熱が無く、活動性(腫脹)関節数が50%超減少し、が正常で、評価・患者(保護者)評価がいずれも0〜100 で20未満
3か月 低用量ステロイド下(成人0.1 mg/kg/日未満・小児0.2 mg/kg/日未満)での
6か月 ステロイドなしでの

3か月・6か月の目標に届かなければとIL-6阻害薬の入れ替えを行い、を続ける1。高用量ステロイドは換算で成人1 mg/kg/日以上・小児2 mg/kg/日以上を指し、高熱・広範な・強い疼痛・・MAS切迫(や高血症)といった重症例に用いる1。

flowchart TD
    A["Still病と診断(感染症・悪性腫瘍を除外済み)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IL-1 inhibitor'>IL-1阻害薬</span>またはIL-6阻害薬を早期に開始し、ステロイドは短期併用にとどめる"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clinically inactive disease'>臨床的無活動性</span>に到達したか"}
    C -->|"はい"| D["ステロイドなしで3〜6か月維持してから生物学的製剤の減量を検討"]
    C -->|"いいえ"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IL-1 inhibitor'>IL-1阻害薬</span>とIL-6阻害薬を入れ替え、<br>なお届かなければ難治として専門施設と連携"]
    B --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macrophage activation syndrome (MAS)'>マクロファージ活性化症候群</span>を疑う所見"}
    F -->|"あり"| G["高用量ステロイドを必ず開始し、<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='anakinra'>アナキンラ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciclosporin'>シクロスポリンA</span>・IFN-γ阻害薬の追加を初期治療として考慮"]
薬剤 位置づけ
。半減期が短く安全性プロファイルが最も安心できるため初期に選ばれることが多く、MAS切迫例では第一選択とされる(図1の脚注3)1
抗IL-1βモノクローナル抗体。4週ごとの皮下注で維持できる
抗抗体。と並ぶ第一選択の柱
急性期の橋渡し。3か月で低用量下、6か月でステロイドなしのを目標に減量する1
メトトレキサート 状が前面に出るでのステロイド減量目的。全身型JIAでの唯一のではACR30という低い閾値でもに優らなかった1
MASでステロイドへの反応が不十分なときに考慮する1

⚠️ 細菌感染症が鑑別に残っている段階では、IL-6阻害薬ではなくを選ぶ。 加えて勧告本文は2文に書き分けている——重篤な有害事象はIL-6阻害のほうがIL-1阻害より多い「ようにみえる」(“appear to be more frequent”)、感染症の有害事象(重篤・非重篤とも)はIL-6阻害のほうが多い(“are more frequent”)である。のなかではの安全性プロファイルが最も安心できるようにみえるとされる1。⚠️ どちらの比較も根拠は表4の発現率をプールした集計で、両者を直接割り付けた比較試験の結果ではない。

生物学的製剤の重篤な副作用——「隠れる」ことが危険の中心

⚠️⚠️ IL-6阻害薬でいちばん怖いのは、副作用そのものより副作用が見えなくなることである。 の1.1は、IL-6が発熱・増加といったを誘引するサイトカインであるため、本剤投与によって感染症に伴う症状が抑制され、発見が遅れて重篤化しうると述べ、⭐ 「症状が軽微でありが認められないときでも、・好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には胸部X線・等の検査を実施する」と定めている8。

💡 同じ論理が腹部にも及ぶ。 重大な副作用の(0.2%)が危険なのは頻度ではなく、「等のの症状(腹痛・発熱等)が抑制され、発見が遅れて穿孔に至る」という経路のためで、だから腸管憩室のある患者が「特定の背景を有する患者」として名指しされている8。⭐ 「細菌感染症が鑑別に残っている段階では」という勧告の実務上の理由がここにある——IL-6阻害は感染の徴候そのものを消してしまう。

薬剤 重篤な副作用と、そのための監視
(アクテムラ) 重篤な感染症(肺炎3.3%・帯状疱疹2.0%・炎1.4%・敗血症0.6%・結核0.1%など)、0.2%、0.5%、0.1%未満・4.5%・好中球減少1.6%・血小板減少2.1%、アナフィラキシー0.1%、心不全0.2%、8
(イラリス) 重篤な感染症11.8%(敗血症、・・帯状疱疹などの日和見感染)、好中球減少(頻度不明)、注射部位反応(5%以上)。⭐ 好中球数を初回投与前・投与約1か月後・以後投与中は定期的に測ると用法上の注意が定めている。⚠️ 投与中は生ワクチンを接種しない(必要なワクチンは投与前に済ませておく)9
(キネレット) ⚠️ 好中球減少(1.5×10⁹/L未満)は投与開始の禁忌で、開始前と、開始後6か月間は毎月・以後3か月ごとに好中球数を測り、1.5×10⁹/L未満になったら中止する。最も高頻度の副作用は注射部位反応で、通常は開始2週以内に現れ4〜6週で消え、95%が軽度〜中等度である。⚠️ Still病では肝炎(ときに)の報告があり、投与開始1か月目に集中するため最初の1か月はの定期測定を考慮する6

⚠️ この表の頻度は「その薬の全適応をまとめた添付文書の数字」であって、だけの成績ではない。 ・の数値は製造販売後調査を含む効能共通の集計、の注射部位反応の頻度(100 mg/日で71%、28%)は関節リウマチ患者での値である896。Still病を対象とした試験は小規模で、11例(6例・5例)のでは注射部位反応は両群に生じ、いずれも軽度で中止例は無かった6。

💡 Still病そのものも・を起こす。 だから開始1か月目のを、原病の活動性だけで説明しない——薬剤性を同時に疑って測り続ける枠組みが、SmPCが「最初の1か月」を名指しする理由である。

日本での承認と、勧告とのずれ

⚠️ 「ステロイドで効果不十分な場合」という限定が効能・効果に付いているのは、()とであって、には付いていない。 /PReS 2024が「重症度によらず一次治療として生物学的製剤を検討する」としているのに対し1、の5.2との5.3は「による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与すること」と定める89。の診療の記載も「ステロイドで効果不十分な場合や減量困難な場合には、ステロイドに加えて保険適用のあるや、以前から使用されている(メトトレキサート、)などを使用する」で、名指ししているのはだけである(令和8年4月時点の記載で、の承認はその後の2026年6月19日)4。海外の勧告をそのまま国内の保険診療の順序として読まないが、国内の順序も3剤で一律ではない。

薬剤(製品) 国内の効能・用法
(アクテムラ) 「既存治療で効果不十分な…、」。による適切な治療を行っても効果不十分な場合に投与する。1回8mg/kgを2週間隔でし、症状改善が不十分でかつを指標にIL-6作用の抑制が不十分と判断される場合に限り1週間まで間隔を短縮できる8
(イラリス) 「既存治療で効果不十分な…」。による適切な治療を行っても効果不十分な場合に投与する。1回4mg/kgを4週毎に(1回最高300mg)9
(キネレット皮下注100 mgシリンジ) 2026年6月19日に「○ ○」を効能・効果とする新含有医薬品として承認され、に指定されている11。⭐ 効能又は効果はこの2疾患だけで、副腎皮質ステロイドの前治療を求める限定が付いていない。 用法及び用量は「成人および生後8カ月以上かつ体重10 kg以上の小児に、体重50 kg以上なら1回100 mgを1日1回、50 kg未満なら1回2 mg/kgを1日1回。16歳未満で効果不十分な場合は1回最大4 mg/kgまで増量できる」10

⭐ は「ステロイド不応」を前提にしていないという点で、国内でも・と立ち位置が違う。 審査報告書の7.R.4で機構は、新規に診断されたsJIA・AOSD患者に対して「グルココルチコイドの使用歴を問わずに使用可能な薬剤になり得る」と判断したうえで、効能・効果を申請どおり2疾患のみと設定できるとしている10。の5.2・の5.3が「による適切な治療を行っても効果不十分な場合に投与すること」と定めている89のと対照的で、⭐ 国内3剤の順序は一律ではない。

💡 年齢・体重の下限は用法及び用量の側に書かれている。 「成人及び生後8カ月以上かつ体重10 kg以上の小児には」という文言は申請時の用法・用量には無く、審査の過程で追加されたものである。理由は2つで、①生後8カ月未満・体重10 kg未満がに組み入れられていない、②体重50 kg未満の患者では必要量だけを残すようシリンジから薬液を排出して投与するが、正確に投与できる最小量が20 mg=体重10 kgの患者のに相当する、というものである10。

⚠️ ただし、日本の電子添文はまだ公開されていない(2026年9月8日時点)。 同日にYJコード63994B4G1026でPMDAの添付文書関連情報を照会すると「該当する添付文書関連情報はありませんでした」が返り、info.pmda.go.jp/go/pack/63994B4G1026_1_01 から _06 までもすべて404である。承認された効能又は効果・用法及び用量そのものは上記のとおり審査報告書で確定するが、「効能又は効果に関連する注意」「」「禁忌」「重大な副作用」といった使用上の注意の正確な文言は電子添文の公開を待つ。 参考になるのは、で重要な特定されたリスクに挙げられた4項目——重篤な感染症・好中球減少症・アナフィラキシーを含むアレルギー反応・——である10。

⭐ 参考になるのはのSmPCである。 ではStill病の適応が ①中等度から高度の疾患活動性を有する全身症状を伴う患者、または ②もしくはグルココルチコイドによる治療後も疾患活動性が続く患者という2つの経路を「または」で並べる書き方で、対象は成人・青年・小児および生後8か月以上かつ体重10 kg以上の乳児まで及ぶ。単剤でも他の・との併用でも使える。用量は体重50 kg以上で100 mg/日、50 kg未満は1〜2 mg/kg/日で開始し、小児で効果不十分なら4 mg/kg/日まで増量、1か月後に治療反応を評価する6。⚠️ の書き方をそのまま国内の保険診療の順序として読まないのは、・と同じである。

⚠️ 一方、米国の添付文書にはStill病の適応が無い。 米国のKINERETの「効能」の節が掲げるのは関節リウマチ・NOMID(の一型)・IL-1受容体拮抗因子欠損症(DIRA)の3つだけで、openFDAが返すこの添付文書の全文(効能・・臨床成績・患者向け情報を含む)を検索しても、Still・systemic juvenile・macrophage はいずれも0回である12。⭐ つまりのStill病における立ち位置は、(Still病の適応あり)・日本(2026年6月に承認)・米国(Still病の適応なし)で三者三様である。 「MAS切迫例では第一選択」という2024年勧告の枠組み(図1の脚注3)1と、目の前の国でその適応が承認されているかどうかは別の問題であり、⚠️ 「欧米では」と一括りにできない。

マクロファージ活性化症候群の治療

勧告11は「MASの治療は高用量ステロイドを必ず含む。加えて、・・IFN-γ阻害薬を含む治療を初期治療の一部として考慮する」である1。具体的には次のとおり。

薬剤 用い方
ステロイド の静注パルス15〜30 mg/kg/日(1回最大1 g)が通常。があるときは血液脳関門を越えやすいを考慮する1
通常の1〜2 mg/kg/日より高用量(小児では4 mg/kg/日超、成人では100 mgを1日2回)を用い、静注反復も行われる1
ステロイドへの反応が不十分なときに考慮する。は無いが実地の経験が厚く、経口・静注のいずれでも使える1
(抗IFN-γ抗体) Still病に伴うMASで唯一(単群)が行われた1

⚠️ これらの追加薬は「初期治療でも考慮する」であって「全例で最初から併用する」ではない。 勧告本文は、高用量ステロイドへの初期反応が不十分な患者と、重症・急速に悪化する患者で追加を考慮するとしている1。

⭐ は、2024年勧告の時点では「欧州で未承認」だった1が、米国では効能が追加されている。 米国の添付文書上の適応は、①従来のHLH治療に抵抗性・再発性・進行性または不耐の原発性と、②全身型JIAを含む既知または疑いのStill病に伴うHLH/MASのうち、グルココルチコイドに効果不十分もしくは不耐、または再発性MASの成人・小児である13。日本での取り扱いは本ノートでは確認していない。

は「Still病に関連する症状が消失し、またはが正常」、寛解は「が6か月以上続いた状態」と定義される1。・IL-6阻害薬の両方に反応しない例を難治例(D2T)と呼び、これと重症・反復MAS例・肺病変例は専門施設と連携して管理する1。

経過

経過は、一度の発症で寛解する、寛解とを繰り返す、全身症状が退いたあとに性の慢性関節炎が残るに大別される。では関節の機能予後が問題になる。

まとめ

  • と全身型JIAは同一疾患「Still病」であり、2024年/PReS勧告が名称の統一を的原則として掲げた。
  • 三徴は39℃以上の・サーモンの一過性皮疹・状で、の関節炎は診断に必須ではない。
  • 検査の目印は著明な高値、の、そして・の陰性。比20%以下はの閾値だが、HLH・ウイルス感染症・でも下がるので、それ単独では診断が決まらない。
  • 診断は除外が先で、(大項目2つ以上を含む5項目以上、感度96.2%・特異度92.1%)が最も広く使われる。日本ではがそのまま(告示番号54)ので、助成は重症度スコア2点以上(中等症以上)が対象。
  • 最も警戒すべき合併症はで、発熱している患者で684 ng/mL超+4項目(181×10⁹/L以下・ 48 U/L超・トリグリセリド156 mg/dL超・フィブリノゲン360 mg/dL以下)中2項目以上で分類する。「炎症疾患なのに血小板・フィブリノゲンが正常まで下がる」が。
  • 治療は・IL-6阻害薬を早期に用い、ステロイドは3か月で低用量下・6か月でステロイドなしのを目標に切る。⚠️ ただし国内の順序は3剤で一律ではない——()とは電子添文が「で効果不十分な場合」に置くが、2026年6月19日に承認されたの効能又は効果にはステロイド不応の限定が付いておらず、審査報告書は「グルココルチコイドの使用歴を問わずに使用可能」と判断している(用法及び用量は成人および生後8カ月以上・体重10 kg以上の小児が対象。電子添文は2026年9月8日時点で未公開)。
  • ⚠️ のStill病への適応は国で違う——は適応あり、日本は2026年6月に承認、米国の添付文書にはStill病の適応が無い(関節リウマチ・NOMID・DIRAの3つだけ)。「欧米では」と一括りにしない。
  • ⚠️ ・の投与中はMASの発熱と上昇が鈍化・遅延してマスクされる。 MASの治療は高用量ステロイドが必須で、・・IFN-γ阻害薬の追加を初期治療の一部として考慮する。⚠️ ・の「MAS合併例では投与を開始しない」を生物学的製剤全体へ広げない——はむしろMAS切迫例の第一選択で、国内の審査でもMAS発現時の継続の可否は「予断なく判断する」枠組みで扱われている。
  • ⚠️ 生物学的製剤の危険は「隠れる」ことに集中している。 はを抑えるため感染症の発見が遅れ、の腹痛・発熱も抑えられて(0.2%)に至りうる。は好中球数を初回投与前・約1か月後・以後定期的に測る。は好中球1.5×10⁹/L未満で投与開始が禁忌、開始1か月目の肝炎と、主に小児で報告されているDRESSに注意する。
  • ⚠️ 治療中に出た発熱+発疹を、原病のとだけ読まない。 も、感染症も、同じ姿で現れる。

出典

  1. 1.EULAR/PReS recommendations for the diagnosis and management of Still's disease, comprising systemic juvenile idiopathic arthritis and adult-onset Still's disease(European Alliance of Associations for Rheumatology / Paediatric Rheumatology European Society・2024)全身型若年性特発性関節炎と成人発症Still病を単一疾患「Still病」として同一の名称で扱うという総論的原則、診断のための操作的定義(39℃以上の弛張熱が7日以上続くこと、発熱の山に一致して出没する体幹優位のサーモンピンク色の一過性皮疹、関節痛・筋痛は通常あるが顕性の関節炎は診断に必須ではないこと、好中球優位の白血球増多とCRP・フェリチンの上昇)、血清IL-18・S100蛋白の著明高値が診断を強く支持するので測定可能なら測ること、治療目標を臨床的無活動性(症状消失かつESRまたはCRP正常)と寛解(無活動性を6か月以上維持)と定義したこと、副腎皮質ステロイドの長期使用を避けるためIL-1阻害薬・IL-6阻害薬を優先し診断確定後できるだけ早期に開始すること、マクロファージ活性化症候群の治療は高用量ステロイドを必須としアナキンラ・シクロスポリン・IFN-γ阻害薬を初期治療として併せて考慮すること、および表2に山口基準(大項目2つ以上を含む5項目以上)とFautrel基準(項目1〜5のうち4つ、または項目1〜5のうち3つに糖鎖化フェリチン20%以下と典型的皮疹を加える。感度87.0%・特異度97.8%)が並べられていることを、PMC全文(PMC11672000)で確認した閲覧 2026-09-02
  2. 2.Evaluation of Glycosylated Ferritin in Adult-Onset Still's Disease and Differential Diagnoses(Journal of Clinical Medicine・2022)単一施設で糖鎖化フェリチンを実測した成人発症Still病28例と対照203例の後ろ向き解析で、20%以下という閾値は単独では特異度83.6%・感度63.2%・陽性的中率28.6%であり、この閾値を下回った患者の3分の2がStill病以外の診断だったこと、低下が血球貪食性リンパ組織球症・ウイルス感染症・重症COVID-19・急性肝炎でも起こり本文が「20%以下はウイルス感染症を除外する指標にはならない」と述べていること、10%以下では感染症が1例も該当せずHLH・Still病・急性肝炎の3診断だけが残ること、著者らが閾値を16%へ下げた修正版を提案していること、および「2002年にFautrelらが糖鎖化フェリチン分画(20%以下)を大項目として組み込んだ分類基準を提案した」「この基準セットは除外項目を持たず、それが特異度と陽性的中率の低下につながりうる」と本文が述べていることを、PMC全文(PMC9456550)で確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Preliminary criteria for classification of adult Still's disease(The Journal of Rheumatology・1992)日本人の成人Still病90例と対照267例の多施設調査に基づく分類基準で、大項目が発熱・関節痛・典型的皮疹・白血球増多、小項目が咽頭痛・リンパ節腫脹および/または脾腫・肝機能異常・リウマトイド因子および抗核抗体の陰性であり、大項目2つ以上を含む5項目以上で感度96.2%・特異度92.1%が得られること、比較的まれな疾患であるため正確な分類には除外の過程が必要であることを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得(各項目の閾値はEULAR/PReS 2024の表2から補った)閲覧 2026-09-02
  4. 4.54 成人発症スチル病(指定難病の概要、診断基準等)(厚生労働省・2026)日本では成人発症スチル病が指定難病(告示番号54)で、医療費助成の診断基準として「Yamaguchiらの分類基準(1992年)」がそのまま採用され、Definite(大項目2項目以上を満たし、かつ大項目と小項目を合わせて5項目以上に該当し、かつ除外項目を除外したもの)を対象とすること、除外項目が「感染症(特に敗血症、伝染性単核球症)」「悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫)」「膠原病(特に結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ)」の3群であること、「16歳未満の症例に対しても上記診断基準は適用される」と注記されていること、重症度スコア(漿膜炎1点・DIC 2点・血球貪食症候群2点・好中球比率85%以上1点・フェリチン3,000 ng/mL以上1点・著明なリンパ節腫脹1点・プレドニゾロン換算0.4 mg/kg以上での治療抵抗性1点、合計0〜9点で重症3点以上・中等症2点以上・軽症1点以下)が置かれ中等症以上が助成の対象であること、治療の項が「ステロイドで効果不十分な場合や減量困難な場合には、ステロイドに加えて保険適用のあるトシリズマブや、以前から使用されている免疫抑制薬(メトトレキサート、シクロスポリン)などを使用する」と記していることを、令和8年4月時点の掲載PDF本文で確認した閲覧 2026-09-05
  5. 5.Mechanisms, biomarkers and targets for adult-onset Still’s disease(Nature Reviews Rheumatology・2018)Fautrel基準の提唱者Bruno Fautrel自身が共著者に入っている総説(Feist・Mitrovic・Fautrel、Nature Reviews Rheumatology 14巻603-618頁)のPMC全文(PMC7097309)で、表3がFautrel基準を大項目6項目(39℃以上のスパイク熱・関節痛・一過性紅斑・咽頭炎・好中球80%以上・糖鎖化フェリチン20%以下)と小項目2項目(典型的皮疹・白血球10,000/mm³以上)に分け、除外項目の欄を「None」とし、判定規則の欄(Criteria requirement)を逐語で「Four major criteria or three major criteria and two minor criteria」と記していることを確認した。同じ表は山口基準を大項目4項目・小項目4項目・除外項目3群とし、判定規則を「At least five criteria, including two major criteria and no exclusion criteria」としている。成績はいずれもLebrunらの検証(Semin Arthritis Rheum)に帰属させ、山口基準は成人で感度96.3%・特異度98.2%、フェリチンが正常上限を超えることを加えた修正版で感度100%・特異度97.1%、糖鎖化フェリチン20%以下を加えた別の修正版で感度98.2%・特異度98.6%、Fautrel基準は感度87.0%・特異度97.8%である。同じ判定規則の逐語は、独立した3件のオープンアクセス総説(PMC9655522・PMC8232697・PMC9442343)にも同一の文言で載っている。閲覧 2026-09-08
  6. 6.Kineret solution for injection in a pre-filled syringe - Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2025)EMAが配布する製品情報PDF(2025年9月26日作成のファイル。2026年9月7日に取得し直しても作成日時は同じ)本文で確認した。4.1のStill病の適応が「中等度から高度の疾患活動性を有する全身症状を伴う、または非ステロイド性抗炎症薬もしくはグルココルチコイドによる治療後も疾患活動性が続く、全身型若年性特発性関節炎および成人発症Still病を含むStill病」に対するもので、対象が成人・青年・小児および生後8か月以上かつ体重10kg以上の乳児であり、単剤でも他の抗炎症薬・DMARDとの併用でも使用できるとされていること、4.2のStill病の用量が体重50kg以上で100mg/日皮下注、50kg未満では1〜2mg/kg/日で開始し、小児で効果不十分なら4mg/kg/日まで増量でき、1か月後に治療反応を評価することとされていること、4.3の禁忌が有効成分・添加剤・大腸菌由来蛋白への過敏症に加えて「好中球絶対数1.5×10⁹/L未満の好中球減少患者には投与を開始してはならない」であること、4.4が好中球数を投与開始前・投与開始後6か月間は毎月・以後は3か月ごとに測定し1.5×10⁹/L未満になったら中止するよう求めていること、Still病患者では市販後に非感染性肝炎(ときに急性肝不全を含む)が報告され肝事象が主に投与開始1か月目に起こるため最初の1か月は肝酵素の定期測定を考慮すべきとしていること、市販後に間質性肺疾患・肺胞蛋白症・肺高血圧症が主として小児Still病患者でIL-6阻害薬およびIL-1阻害薬による治療下に報告され21トリソミーの患者が過剰に含まれるようにみえるが企業実施の臨床試験では報告がなく因果関係は確立していないこと(小児Still病306例の非介入長期安全性研究で重篤な肺事象は詳細不明の間質性肺疾患1例のみ)、市販後にDRESSが稀に、主として小児のStill病(全身型若年性特発性関節炎)患者で報告され入院を要することがあり致死的でありうるためDRESSの徴候があり他の病因が立たないときは中止して別の治療を検討するとされていること、注射部位反応が通常は治療開始2週以内に現れ4〜6週で消失し、関節リウマチでは100mg/日で71%(プラセボ28%)に生じ95%が軽度〜中等度であったこと、Still病11例(本剤6例・プラセボ5例)の無作為化比較試験では注射部位反応が両群に生じいずれも軽度で中止例が無かったことを確認した閲覧 2026-09-07
  7. 7.2016 Classification Criteria for Macrophage Activation Syndrome Complicating Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis: A European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology/Paediatric Rheumatology International Trials Organisation Collaborative Initiative(European League Against Rheumatism / American College of Rheumatology / Paediatric Rheumatology International Trials Organisation・2016)全身型JIAに合併するマクロファージ活性化症候群の分類基準(表3)が「発熱している既知または疑いの全身型JIA患者で、フェリチン684 ng/mL超、かつ血小板数181×10⁹/L以下・AST 48 U/L超・トリグリセリド156 mg/dL超・フィブリノゲン360 mg/dL以下のうち2項目以上」であり、これらの検査値異常が患者の他の病態(免疫性血小板減少症・ウイルス性肝炎・内臓リーシュマニア症・家族性高脂血症など)で説明されないことを要すること、検証解析での感度0.73・特異度0.99、および考察が「活動期の全身型JIAでは血小板増多・フィブリノゲン高値が普通なので、全身性炎症が明らかななかで血小板数やフィブリノゲンが逆説的に正常であることがMASを疑わせる」と述べ、AST・トリグリセリドのカットオフも正常上限をわずかに超える水準であると認めていることを、KU Leuvenリポジトリの著者最終稿PDF(Arthritis & Rheumatology版、DOI 10.1002/art.39332)で確認した。熱型については「活動期に典型的な高いスパイク状の間欠熱から持続する稽留熱へ移行することでMASの発症が知らされる、というのが一般に受け入れられている」と本文が述べている閲覧 2026-08-27
  8. 8.アクテムラ点滴静注用80mg/アクテムラ点滴静注用200mg/アクテムラ点滴静注用400mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構/中外製薬・2026)日本の効能又は効果が「既存治療で効果不十分な下記疾患 関節リウマチ…、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、成人発症スチル病」であること、5.2が全身型若年性特発性関節炎および成人発症スチル病について「過去の治療において、副腎皮質ステロイド薬による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与すること」と定めること、5.3が「MASを合併している患者ではMASに対する治療を優先させ本剤の投与を開始しないこと。また、本剤投与中にMASが発現した場合は、投与を中止し、速やかにMASに対する適切な治療を行うこと」と定めること、用法が1回8mg/kgを2週間隔で点滴静注し症状により1週間まで短縮できること、7.3が短縮を「症状改善が不十分であり、かつC反応性タンパク(CRP)を指標としてIL-6作用の抑制効果が不十分と判断される場合に限り」としていることを、2026年5月改訂(第7版)の電子添文本文で確認した。あわせて「1.1 警告(効能共通)」が、IL-6は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり本剤投与によりこれらの反応が抑制されるため感染症の発見が遅れ重篤化することがあるとし、「症状が軽微であり急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し、適切な処置を行うこと」と定めていること、「11.1 重大な副作用」がアナフィラキシーショック0.1%・アナフィラキシー0.1%、感染症(肺炎3.3%・帯状疱疹2.0%・蜂巣炎1.4%・感染性胃腸炎0.7%・敗血症0.6%・感染性関節炎0.5%・非結核性抗酸菌症0.4%・ニューモシスチス肺炎0.3%・結核0.1%等)、間質性肺炎0.5%、腸管穿孔0.2%、無顆粒球症0.1%未満・白血球減少4.5%・好中球減少1.6%・血小板減少2.1%、心不全0.2%、肝機能障害(頻度不明)から成ること、腸管穿孔の項が「本剤投与により、憩室炎等の急性腹症の症状(腹痛、発熱等)が抑制され、発見が遅れて穿孔に至る可能性がある」と説明していること、「9.1.6 腸管憩室のある患者」が特定の背景を有する患者として挙げられていること、副作用の発現頻度が製造販売後調査を含む効能共通の集計であることを確認した閲覧 2026-09-05
  9. 9.イラリス皮下注射液150mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構/ノバルティスファーマ・2026)日本の効能又は効果に「既存治療で効果不十分な下記疾患 家族性地中海熱/全身型若年性特発性関節炎/成人発症スチル病」が含まれること、5.3が全身型若年性特発性関節炎および成人発症スチル病について「副腎皮質ステロイド薬による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与すること」と定めること、5.4が「MASを合併している患者ではMASに対する治療を優先させ本剤の投与を開始しないこと。また、本剤投与中にMASが発現した場合は、休薬を考慮し、速やかにMASに対する適切な治療を行うこと」と定めること、用法が1回4mg/kgを4週毎に皮下投与し1回最高用量を300mgとすることを、2026年2月改訂(第4版)の電子添文本文で確認した。あわせて「1. 警告」が敗血症を含む重篤な感染症と悪性腫瘍の発現報告に触れていること、「8.4」が「本剤投与により好中球減少があらわれることがあるので、初回投与前、概ね投与1ヵ月後、及びその後本剤投与中は定期的に好中球数を測定すること」と定めること、「8.7」が投与中の生ワクチン接種を行わず必要なワクチンは投与前に接種しておくことが望ましいとすること、「11.1 重大な副作用」が重篤な感染症11.8%(敗血症や日和見感染症〈アスペルギルス症、非定型抗酸菌症、帯状疱疹等〉)と好中球減少(頻度不明)の2項目であること、「11.2 その他の副作用」で注射部位反応が5%以上の欄に置かれていることを確認した。⚠️ これらの頻度は効能共通の集計で、成人発症スチル病だけの成績ではない閲覧 2026-09-05
  10. 10.キネレット皮下注100mgシリンジ 審議結果報告書・審査報告書(医薬品医療機器総合機構/厚生労働省医薬局医薬品審査管理課・2026)PMDAが承認情報として公開するPDF(審議結果報告書は令和8年5月29日、審査報告書は令和8年5月14日、審査報告(1)は令和8年4月22日付)を取得してテキスト抽出し逐語確認した。承認された効能又は効果が「〇全身型若年性特発性関節炎/〇成人発症スチル病」の2疾患で、申請時から変更が無かったこと、承認された用法及び用量が「通常、成人及び生後8カ月以上かつ体重10 kg以上の小児にはアナキンラ(遺伝子組換え)として、体重に応じて以下を皮下投与する。体重50 kg以上/1回100 mgを、1日1回。体重50 kg未満/体重1 kg当たり1回2 mgを1日1回、なお、16歳未満の患者においては、効果不十分な場合は、体重1 kg当たり1回最大4 mgまで増量できる。」であり、対象を成人および生後8カ月以上かつ体重10 kg以上の小児に限る文言が申請時の用法・用量へ審査の過程で追加されたものであること(総合評価の欄が「申請時より下線部追加」と注記している)を確認した。7.R.5は生後8カ月未満・体重10 kg未満が臨床試験に組み入れられておらず、かつ体重50 kg未満へ投与する際に正確に投与できる最小量が20 mg(体重10 kgの患者の開始用量に相当)であることをその理由に挙げている。7.R.4では機構が「新規に診断されたsJIA及びAOSD患者に対してグルココルチコイドの使用歴を問わずに使用可能な薬剤になり得ると判断し、本剤の効能・効果を申請のとおり…と設定することは可能と判断した」と述べており、あわせて申請者の説明として「本邦のsJIA診療ガイドライン及び成人スチル病診療ガイドラインにおいては、グルココルチコイドが第一選択薬とされ、グルココルチコイドで効果不十分なsJIA及びAOSD患者に対する治療選択肢としてIL-6阻害薬であるトシリズマブ及びIL-1β阻害薬であるカナキヌマブの使用が推奨されている」と記録されている。安全性では、国内第III相303試験・301試験・990758/990779試験で好中球減少症は認められず、303試験で重篤かつ重度の血球貪食性リンパ組織球症が1例あったが因果関係は否定され、市販後安全性試験(302試験)の重篤な血球貪食性リンパ組織球症11件(100人・年当たり2.2件)は本剤非投与のsJIA患者でのMAS発生率(100人・年当たり4〜6件)を下回るため「本剤投与によるMAS発現リスクの増大は認められていない」とされたこと、医薬品リスク管理計画(案)の重要な特定されたリスクが重篤な感染症・好中球減少症・アナフィラキシーを含むアレルギー反応・薬剤性過敏症症候群の4つ、重要な潜在的リスクが肺関連事象(間質性肺疾患・肺高血圧症・肺胞蛋白症)・肝機能障害・免疫原性・マクロファージ活性化症候群・悪性腫瘍であることを確認した。専門協議では「MASが発現した際には、MASに対して迅速かつ適切な治療が必要となるが、投与中の生物製剤の継続の可否に関しては、専門性の高い医師の間でも合意が得られている状況ではない。そのため、MASが発現した際に本剤投与継続の可否が予断なく判断されるように、添付文書において注意喚起することが適切」との意見が出された。経緯として、2020年2月の第40回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で必要性が高いと判断され2022年1月に開発要請、2025年6月に希少疾病用医薬品指定(指定番号(R7薬)第707号)、2026年3月現在で欧州を含む30を超える国又は地域でsJIA及びAOSDの効能・効果で承認済みであることも記されている。承認条件は医薬品リスク管理計画の策定と適切な実施のみで、再審査期間は10年である。閲覧 2026-09-08
  11. 11.承認品目一覧(新医薬品:2026年9月)(独立行政法人医薬品医療機器総合機構・2026)PDFを取得してテキスト抽出し逐語確認した。「第6の1 2026.6.19 12 キネレット皮下注100 mgシリンジ(Swedish Orphan Biovitrum Japan㈱、7010001210061) 承認 アナキンラ(遺伝子組換え) ○全身型若年性特発性関節炎 ○成人発症スチル病 を効能・効果とする新有効成分含有医薬品 【希少疾病用医薬品】」の行が収載されている。⭐ 企業のプレスリリースに拠らずに、承認日(2026年6月19日)・効能又は効果の2疾患・希少疾病用医薬品の指定がこれで確定する。⚠️ この一覧は用法及び用量を載せていない。掲載ページは https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0040.html で、年度内は月ごとに更新されPDFのファイル番号が変わる閲覧 2026-09-07
  12. 12.KINERET (anakinra) Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration・2025)同じ添付文書(SPL、set id は d9d74915-6606-4570-9c52-c4001d3177de、effective time は 20260403、文書末尾の改訂表示は2025年10月)をopenFDAのdrug/labelエンドポイントで取得して全文を検索した。「1 INDICATIONS AND USAGE」が関節リウマチ(1.1)・クリオピリン関連周期熱症候群のうちNOMID(1.2)・IL-1受容体拮抗因子欠損症〈DIRA〉(1.3)の3つだけを掲げていること、⚠️ 文書全体を通して「Still」「systemic juvenile」「macrophage」がいずれも0回で、Still病・全身型若年性特発性関節炎・マクロファージ活性化症候群に関する記載が本添付文書には無いことを確認した閲覧 2026-09-07
  13. 13.GAMIFANT (emapalumab-lzsg) injection, for intravenous use(DailyMed / U.S. Food and Drug Administration・2026)米国のエマパルマブの効能が、①従来のHLH治療に抵抗性・再発性・進行性または不耐の原発性血球貪食性リンパ組織球症と、②全身型JIAを含む既知または疑いのStill病に伴うHLH/マクロファージ活性化症候群のうちグルココルチコイドに効果不十分もしくは不耐、または再発性MASの成人・小児であることを確認した。DailyMedのサイトが取得できなかったため、同じ添付文書(SPL)を返すopenFDAのdrug/labelエンドポイント(effective_time 20260326)で本文を読んだ閲覧 2026-09-05