内科学

内科学 · I-04

不明熱

Fever of Unknown Origin

疾患
RS3PE症候群リウマチ性多発筋痛症心臓粘液腫成人発症Still病
症状
発熱

🧠 全体像:は、長く続く発熱のうち、適切な初期評価でも原因が特定できない症候群である。診断名ではないため、感染症・炎症性疾患・悪性腫瘍・その他を横断し、反復診察から得た手掛かりに沿って検査する。1

定義と分類

古典的には「38.3℃以上の発熱が複数回、3週間以上続き、1週間の入院精査で未診断」と定義された。現在は医療環境の変化を踏まえ、期間を機械的に待つより、妥当な初期評価後も未診断という考え方を重視する。ただし、初期評価の完全に統一された最小セットはなく、宿主・地域・施設能力に応じる。12

分類 背景 特有の論点
古典的FUO(classic FUO) 免疫正常者の遷延発熱 感染、炎症、悪性腫瘍を広く評価
院内FUO(nosocomial FUO) 入院時に潜伏していなかった発熱 カテーテル、薬剤、C. difficile、静脈血栓、
好中球減少性FUO(neutropenic FUO) 好中球減少下の発熱 緊急の経験的抗菌薬が必要。真菌感染も考慮
関連FUO 感染者の遷延発熱 CD4数に応じた日和見感染・腫瘍

原因の4群

群 代表例
感染症 、結核、、骨髄炎、/、
、、SLE、血管炎、、
悪性腫瘍 リンパ腫、白血病、、、
その他 、甲状腺炎、、血腫、、

未診断のまま経過する群を独立させ、5群として報告する文献もある。地域、年齢、免疫状態、紹介集団で各群の比率は大きく変わる。高齢者では・、薬剤、悪性腫瘍の比重が上がる。3

診断の進め方

flowchart TD
  A["発熱を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='objective'>客観的</span>に確認"] --> B["病歴・薬剤・曝露を再構成"]
  B --> C["全身診察を繰り返す"]
  C --> D["基本検査と血液培養"]
  D --> E{"診断への手掛かりがあるか"}
  E -->|"ある"| F["手掛かりに沿う画像・血清・生検"]
  E -->|"ない"| G["薬剤中止を検討し経過を再評価"]
  G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>・心エコー・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='FDG PET/CT'>FDG-PET/CT</span>などを選択"]
  H --> I["最も診断価値の高い部位を生検"]

問診

  • 発熱曲線、、体重減少、疼痛、皮疹、状
  • 渡航、結核接触、動物・昆虫、食品・水、性行動
  • 手術、歯科処置、植込み物、静脈カテーテル、輸血
  • 処方薬、一般薬、、違法薬物
  • 家族歴、民族背景、反復する間

反復診察

、眼、口腔・歯、リンパ節、、脊椎、皮膚・爪、関節、肝脾腫、直腸・骨盤所見を症状に応じて再確認する。新しい所見が検査の方向を変える。

基本評価

項目 目的
血算・血液像、/、肝腎機能、、尿検査 炎症、血球異常、臓器障害の手掛かり
適切な血液培養 ・心内膜炎
胸部画像、腹部画像 肺病変、リンパ節、肝、膿瘍
、結核など 曝露とに応じて選択
心エコー 心内膜炎が疑われるとき
初期評価で診断に至らない例では比較的早期に検討し、炎症・腫瘍の局在化と生検部位選択に用いる2

自己抗体、、広範な感染血清学を無差別に並べると偽陽性が増える。生検は、リンパ節、骨髄、肝、皮膚など、最も異常の明瞭な部位を選ぶ。

治療原則

  • 循環不全、好中球減少、などを除き、診断前の経験的抗菌薬・ステロイドを漫然と始めない。
  • 抗菌薬は培養を陰性化し、ステロイドはリンパ腫・感染症の像を隠し得る。
  • による視力障害リスクなど、治療遅延の害が大きい場合は必要検体を確保して直ちに治療する。
  • 原因が判明しなくても全身状態が良好なら慎重な観察で自然軽快する例があるが、その割合は集団により一定しない。13

まとめ

  • FUOは「診断がつかない発熱」という症候群で、古典的期間基準は歴史的枠組みである。
  • 感染、炎症、悪性腫瘍、その他を基本とし、未診断群も含めて宿主と地域ので並べ替える。
  • 反復・診察から診断への手掛かりを作り、検査と生検を標的化する。
  • 不安定患者などを除き、診断を隠す経験的抗菌薬やステロイドを避ける。

出典

  1. 1.Fever of Unknown Origin in Adults(2022)成人FUOの定義、主要原因群、手掛かりに基づく検査、経験的治療回避の原則を確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.EANM consensus document on the use of 18F-FDG PET/CT in fever and inflammation of unknown origin(2024)FUO/IUOでFDG-PET/CTを早期に用いて局在化と生検部位選択を支援する位置づけを確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.Fever of unknown origin (FUO): a 7-year clinical experience, etiological distribution, and diagnostic approaches(2025)FUOの原因分布と未診断割合は地域・紹介集団で変動することを確認した。閲覧 2026-08-13