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Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

白血病

Leukemia

臓器系
血液腫瘍
科目
Internal MedicinePediatrics
トピック
内科学 S-37:急性白血病内科学 L-60:骨髄増殖性疾患小児科 3-01:小児白血病
鑑別疾患
Gaucher病
続発疾患
髄膜癌腫症
症状
肝腫大
検査値
血算白血球数
スコア
FAB分類
下位分類
急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病慢性リンパ性白血病慢性骨髄性白血病有毛細胞白血病有毛細胞白血病バリアント
元疾患
毛細血管拡張性運動失調症
原因となる疾患
Li-Fraumeni症候群神経線維腫症1型
適応薬
エピルビシン

🧠 全体像:白血病は「急性・慢性」という時間軸と「リンパ系・」という細胞系列の2軸で、極めて明快な2×2に整理できる。は特定の分化段階での)により未熟な芽球が骨髄・末梢血を占拠し、正常造血を圧迫して貧血・感染・出血の三徴を数日〜週の単位で引き起こす血液学的緊急症である。を伴わず、成熟した(または成熟しつつある)細胞がや制御されない増殖によって年単位で緩徐に蓄積する病態であり、健診での発見が診療の入口になることが多い。この「急性=造血不全の緊急症」「慢性=無症候の蓄積」という時間軸の違いが、初期対応・治療開始の判断を根本から分ける。

分類の軸

急性 / 慢性 × リンパ系 / 骨髄系の2×2

💡 急性と慢性を分けるのは「芽球20%以上」という数値基準そのものではなく、の有無という機序である。は特定の分化段階で増殖が止まり未熟な芽球が蓄積するのに対し、(特にCML)は末梢血に骨髄球・後骨髄球など未熟〜成熟の全分化段階が連続してみられる「」を示し、分化能そのものは保たれている。この対比はの読み方に直結し、では未熟な芽球とが両方存在し、その間の分化段階がほとんど欠落する「」が特徴的である。

flowchart TD
    A["造血幹・前駆細胞に遺伝子異常が蓄積"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='differentiation block'>分化ブロック</span>を伴うか"}
    B -->|"はい(急性)"| C["特定分化段階で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maturation arrest'>成熟停止</span>した芽球が増殖"]
    C --> D["正常造血の圧迫"]
    D --> E["貧血・好中球減少・血小板減少(数日〜週)"]
    B -->|"いいえ(慢性)"| F["成熟した細胞が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Evading apoptosis'>アポトーシス回避</span>または制御されない増殖で蓄積"]
    F --> G["緩徐な血球増多・臓器浸潤(年単位)"]
    A --> H{"系列"}
    H -->|"リンパ系"| I["ALL(急性)/CLL(慢性)"]
    H -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myeloid'>骨髄系</span>"| J["AML(急性)/CML(慢性)"]

⚠️ のCMLはPh陽性ALL様のリンパ系芽球期を呈することがあり、系列は必ずで確認する。「の腫瘍だから=AML型」と機械的に決めない。

共通の初期アプローチ

  1. CBC+そのものは高値・正常・低値のいずれもあり得るため、数だけで白血病を除外しない。塗抹で芽球の有無と分化段階の分布(裂孔かか)を確認する。
  2. で系列(マーカーCD13/CD33/CD117/MPO、B系CD19/CD22/CD79a、T系CD3など)を確定する。
  3. ・FISH・分子検査(AMLのPML::RARA・RUNX1::RUNX1T1、CMLのBCR::ABL1、ALLのBCR::ABL1・KMT2A再構成など)を確定し、病型・リスク・の可否を決める。
  4. 急性期救急のスクリーニングを疑った時点で、DIC(特にAPL)・を、診断確定前から並行して評価する。

を疑う所見(異型+DIC)があれば、PML::RARAの遺伝学的確認を待たずに)を開始する。の中でも診断確定前に治療を始める数少ない例である。

下位型の判別

疾患 系列・時間軸 好発 主症状 確定検査 治療の方向
急性・リンパ系 小児に最多だが全年齢 三徴+・リンパ節腫脹、T-ALLは (B系/T系)+染色体・分子検査 +全例で中枢神経予防、Ph陽性ではTKI併用
急性・ 成人・高齢者に多い 三徴、DIC・・腫瘍崩壊のリスク マーカー)+染色体・分子検査(WHO第5版) 強力化学療法または、APLは+ATO
慢性・リンパ系 高齢者に多く健診発見が多い 、しばしば無症候 (CD5/CD23陽性B細胞) 活動性疾患があれば基盤の、無症候は経過観察
慢性・ 中高年に多く健診発見が多い 著明な、脾腫 BCR::ABL1(FISH・ を継続しをモニタリング

⭐ CLLとCMLはいずれも「健診で見つかる」ことが多い点でと対照的だが、治療開始の判断基準はまったく異なる。CLLは病期の高さだけでなく活動性疾患の有無で治療開始を判断し無症候なら経過観察するのに対し、CMLは診断確定後、症候の有無にかかわらずTKI治療を開始するのが原則である。

総論としての治療原則

  • は診断確定を待たずに緊急対応が必要な病態が併存しうる(DIC・)。治療の骨格は治癒を目標としたであり、ALLでは全例に中枢神経予防を組み込む点がAMLと異なる。
  • が中心である。CMLはTKIで一般人口に近い予後が得られる「慢性腫瘍性疾患」となり、CLLは・BCL2阻害薬を活動性疾患にのみ用いる。
  • いずれの系列・時間軸でも、治療前の遺伝学的リスク評価(AMLのELN2022、CLLのTP53/del(17p)・IGHV、CMLのBCR::ABL1量、ALLのBCR::ABL1/Ph-like)が治療強度・薬剤選択を左右する。
  • 各病型の薬剤レジメン、支持療法の詳細、移植適応の基準は、それぞれの子ノートに譲る。

まとめ

  • 白血病は「急性/慢性」(の有無)×「リンパ系/」の2×2で整理でき、急性は造血不全の緊急症、慢性は緩徐なの蓄積である。
  • 共通の初期アプローチはCBC・での芽球評価、による系列確定、染色体・分子検査である。
  • はDIC・を診断確定前から並行してスクリーニングする。
  • (CMLはTKI、CLLはBTK/BCL2阻害薬)が中心で、CLLは活動性疾患の有無で治療開始を判断する。
  • 各病型の具体的な薬剤選択・移植適応・支持療法は子ノートに譲る。