内科学

内科学 · S-37

急性白血病

Acute Leukemias

前提:病態
急性骨髄性白血病(AML)/リンパ形質細胞性リンパ腫前駆T・Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫
前提:正常
造血。血液の組成。
薬剤
イダルビシン
疾患
急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病白血病白血病の皮膚浸潤
スコア
Sanzリスクスコア

🧠 全体像:は未熟芽球のが正常造血を圧迫し、貧血、感染、出血、を急速に起こす。とをと遺伝学で分類する。を疑った瞬間にを開始することが最重要である。

共通病態と緊急症

flowchart TD
    A["発熱・出血・貧血+芽球疑い"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='complete blood count'>CBC</span>/塗抹、凝固、腫瘍崩壊検査"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute promyelocytic leukemia'>APL</span>疑い:異常promyelocyte+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated intravascular coagulation'>DIC</span>"}
    C -->|"はい"| D["採血後ただちに<span class='jp-term jp-term-diagram' title='all-trans retinoic acid'>ATRA</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood components'>血液製剤</span>支持"]
    C -->|"いいえ"| E{"Hyperleukocytosis+呼吸/神経症状"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intensive care unit'>ICU</span>管理+即時腫瘍細胞減量"]
    E -->|"いいえ"| G["骨髄・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>・遺伝子で分類"]
    D --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive multifocal leukoencephalopathy'>PML</span>::RARAを緊急確認"]
    F --> G
緊急症 臨床像 初期対応
/敗血症 発熱、低血圧、不明も多い 培養後、遅滞なく抗緑膿菌
高K・高P・低Ca・高尿酸、AKI 補液、/適応、頻回電解質監視
で多い;呼吸不全、頭痛、意識・ など即時腫瘍細胞減量;leukapheresisは選択例
で特に多い;粘膜・臓器出血 を即時開始、血小板・フィブリノゲンを積極補充1

では侵襲的手技を避け、フィブリノゲンを100〜150 mg/dL超、を30,000〜50,000/μL超、を1.5未満に保つよう輸血を調整する(推奨1.6、IIb–B)1。診断時のとだけで決まるSanz risk score(1万/μL以下かつ血小板4万/μL超=低リスク、1万/μL以下かつ血小板4万/μL以下=、1万/μL超=高リスク。血小板4万/μLちょうどは側)が治療強度の振り分けに直結する2。⚠️ この3群の定義はSanzらの2000年の原著のもので、ELN 2019 の文書には書かれていない。 ELNが治療を振り分ける単位は3群ではなく、1万/μL以下(非高リスク)と1万/μL超(高リスク)の2群である1。とは別機序であり、が必ずを起こすわけではない。

AMLとALLの比較

項目
好発 成人・高齢者 小児最多だが全年齢
形態/染色 Auer rod、MPO陽性 TdT陽性が多く、MPO陰性
フローマーカー例 CD13、CD33、、MPO B:CD19、CD22、CD79a;T:cytoplasmic/surface CD3
浸潤 、白血病皮膚浸潤 リンパ節、、T-の、CNS・精巣
遺伝学例 PML::RARA、RUNX1::RUNX1T1、CBFB::MYH11、NPM1、FLT3 BCR::ABL1、ETV6::RUNX1、KMT2A 再構成、ploidy

FABのM0〜M7、L1〜L3は歴史的分類である。現在は/ICCの遺伝学的分類を用い、病名、治療標的、リスクを決める。

⚠️ 「/ICC」は1つの分類ではなく、2022年に別々に出て食い違ったまま並立している2つの分類である。 分類第5版(-HAEM5)3と(ICC)4はどちらも2016年分類の後継として2022年に公表され、どちらも再発性遺伝子異常を第一の軸に置く点は同じだが、基準が一致しない。試験でも実務でも「どちらの分類で言っているか」を先に決める必要がある。

診断

、/生検、、核型/、迅速分子パネルを行う。は原則芽球 ≥20%が基準だが、PML::RARAなどを規定する遺伝学的異常では20%未満でも診断される。

⚠️ 芽球20%という閾値の扱いこそ、第5版とICCが最も食い違うところである。 再発性遺伝子異常を伴うについて、ICCは骨髄または末梢血で芽球10%以上を必須とするのに対し、第5版は芽球の下限を定めない。BCR::ABL1融合を伴うは両分類とも芽球20%以上を要し、CEBPA変異を伴うで20%以上を要するのは第5版だけである34。TP53変異を独立した病型とするのはICCだけで、芽球20%以上かつVAF 10%超を条件とする(芽球10〜19%なら/ with mutated TP53)4。骨髄異形成関連を定義する遺伝子はASXL1・BCOR・EZH2・SF3B1・SRSF2・STAG2・U2AF1・ZRSR2の8つが両者共通で、ICCはさらにRUNX1を含める。第5版の「分化で定義される」がICCの, NOSに相当する5。

💡 ICCは芽球10〜19%にMDS/AMLという中間カテゴリーを新設した。 2016年分類でと診断された716例をICCで読み替えると、75.3%はに留まる一方24.7%が/へ移り、この群は変異プロファイルが異なりより予後不良だった6。「かか」の線引きが分類によって動く以上、芽球%だけでなく遺伝子情報と、どの分類を使ったかを併記する。AMLではFLT3、NPM1、CEBPAなど、ALLではBCR::ABL1など治療標的となる病変を迅速に調べる。

治療

AML

年齢だけでなく、臓器機能、遺伝リスク、本人希望で選ぶ。強力療法にな例では+を骨格に、FLT3変異なら分子標的薬などを加える。な例では/+などを用いる。寛解後は遺伝リスク・(MRD)に応じ高用量またはを選ぶ。ELNは2022年版で、・IDH1阻害薬・IDH2阻害薬・BCL2阻害薬という新規薬剤の登場とMRD評価の技術的進歩を受けて、遺伝学的リスク分類・治療反応基準・治療勧告をいずれも改訂した7。非 の2〜3年低用量維持やを一律標準としない。

⚠️ ただし「fit か unfit か」というは出発点にすぎない。 ELNの評価に関する2025年の勧告は、とは強力化学療法への適格性という一般的なではなく、利用可能な複数の治療のうち特定の治療への適格性を反映すべきものだと述べ(原文の逐語は出典の claim に記録した)、異なるの水準が異なる治療強度に対応するため患者は「特定の治療戦略に対して適格」と判断されるべきだとする(推奨2、LoE IV・GoR A)8。💡 低強度治療の選択肢が増えたことが背景で、パネルは「fit」「unfit」「frail」という従来の3区分を超えた水準を認める必要性を述べている。⭐ 適格性は移植と一対一に対応しない——強力化学療法に適格であることはの適格を意味せず(推奨3、IV–B)、逆に強力治療にでも、非強力治療でに至った後のの適格は否定されない(推奨4、IV–B)。⚠️ 積極的治療にな患者でも、支持療法のみとする前に標的の対象となりうる変異を検査する(推奨11、IV–C)8。これは2022年版ELN勧告の推奨を置き換えるものではなく、適格性の記述の粒度を上げる勧告である。

はリスクに応じ+(ATO)を骨格とする。低〜(=非高リスク。1万/μL以下)のは、化学療法を用いない+ATOである(推奨2.2、Ib–A)。⭐ ただし閉じた選択肢ではない——同じ推奨が、ATOが禁忌である場合、あるいは経済的に用いられない場合の第2の選択肢として+化学療法(ATOを併用しない)を挙げている。⚠️ 高リスク(同1万/μL超)には2つの妥当な選択肢がある——+ATOに一定量の化学療法を加えるか、従来の+化学療法か、である(推奨2.3、Ib–A。無作為化試験でどちらかのは示されていない)。⚠️ 発症時の高白血球(1万/μL超)に対する細胞減量と、治療開始後のへの対応は別の推奨である。 発症時は遅滞なく細胞減量化学療法を行い、選んだ骨格で薬が変わる(推奨1.10、IV–C)——+化学療法ならまたは(単独または併用)、+ATOなら12 mg/m²または6〜9 mg/m²である。💡 推奨表1.10の箱には挙がっていないが、同じ文書の本文はもう少し広く書いている——ATO骨格で用いる場合に最も多く使われてきた発症時の細胞減量として、2〜4 g/日、12 mg/m²の1〜2回投与、6〜9 mg/m²(現時点では適応外と付記されている)を挙げる。⚠️ 推奨表の箱に無いことと、文書がその薬を挙げていないことは別である。 一方、推奨1.16(IV–C)の2 g/日はこれとは別で、/ATO開始後にが有意に増加した場合の追加であり、ELNは「その臨床的有益性は明確でない」と付している1。

は、呼吸困難・原因不明の発熱・5 kgを超える体重増加・原因不明の低血圧・・または胸膜心膜のを示す胸部X線の6項目のうち、2〜3項目で中等症、4項目以上で重症と分類する(PETHEMAの研究上の定義。⚠️ 胸部X線は1項目である)9。⚠️ ただしこれは症例を数えるための分類であって、治療を待つ閾値ではない。 疑った最も早い時点で10 mgを1日2回静注で開始し、・ATOの中断は重症の場合にのみ行う1。

ALL

多剤による寛解導入、、維持と全例のCNS予防を行う。Ph陽性ではを組み込み、B-ではやイノツズマブ、再発/難治例ではCAR-Tなどを病型に応じ用いる。AYAでは小児型レジメンが重要で、成人もMRDを治療強度・移植判断に用いる。CNS予防は主にメトトレキサート系で、頭蓋照射は高リスク/明らかなCNS病変などへ限定する10。

まとめ

  • 血球減少+芽球を見たら感染、腫瘍崩壊、、を同時評価する。
  • を疑えば遺伝子確定を待たずと輸血支持を開始する。
  • /は形態だけでなく・遺伝学・MRDで分類し、標的薬とを個別化する。
  • の治療強度は「強力療法に耐えられるか」のではなく、特定の治療への適格性として評価する(ELN 2025、推奨2、LoE IV・GoR A)。強力化学療法の適格との適格は一致しない8。
  • のリスク群は1万/μLと4万/μLで決まり、血小板4万/μLちょうどは側である2。⚠️ 高リスクのは一本化されておらず、+ATO+一定量の化学療法と従来の+化学療法の2つが妥当な選択肢である1。

出典

  1. 1.Management of acute promyelocytic leukemia: updated recommendations from an expert panel of the European LeukemiaNet(European LeukemiaNet / Blood(Sanz MA, et al.)・2019)PMC6509567 の全文(Table 1・Table 2 を含む)を取得して確認した。⚠️ 本文書に Sanz risk score の3群の定義は無い——血小板数が現れるのは輸血閾値とヘパリン減量の文脈だけで、low-risk / intermediate-risk は参考文献の題名にしか出てこない。ELN 2019 が治療を振り分けるのは、白血球数1万/μL以下を非高リスク、1万/μLを超える場合を高リスクとする2群である。推奨2.2(Ib–A)は非高リスクでATRA+三酸化二ヒ素(ATO)を化学療法なしで用い、ATOが禁忌または経済的に用いられない場合の第2の選択肢としてATRA+アントラサイクリン系化学療法を挙げる。⚠️ 推奨2.3(Ib–A)は高リスクについて逐語で「there are 2 valid options, either ATRA + ATO with a certain amount of chemotherapy or conventional ATRA + anthracycline–based chemotherapy」と述べ、本文も「neither has yet been shown to be superior in randomized studies」として一本化していない。⚠️ 発症時の高白血球(1万/μL超)に対する推奨1.10(IV–C)の箱が挙げるのはイダルビシンまたはダウノルビシン(ATRA+化学療法の場合。単独またはシタラビン併用)とイダルビシン12 mg/m²またはゲムツズマブオゾガマイシン6〜9 mg/m²(ATRA+ATOの場合)である。⚠️ ただし推奨表の箱に無いことは、文書が発症時にその薬を挙げていないことを意味しない——Initiation of ATRA の節の本文は逐語で「in patients with leukocytosis (ie, WBC count >10 × 10⁹/L), chemotherapy should be started without delay even if the diagnostic molecular results are still pending. Idarubicin or daunorubicin with cytarabine have been the most common chemotherapy-based approaches, whereas hydroxyurea (2-4 g per day) or 1 to 2 doses of idarubicin (12 mg/m²) or gemtuzumab ozogamicin (GO; 6-9 mg/m², currently off-label) have been the most frequently cytoreductive chemotherapy used when ATO-based approaches are used」と述べ、ATO骨格で用いる場合の発症時の細胞減量としてヒドロキシ尿素2〜4 g/日を挙げている(GOには currently off-label と付されている)。推奨1.16(IV–C)のヒドロキシ尿素2 g/日はこれとは別で、ATRA/ATO開始後に白血球数が有意に増加した場合の追加であり、本文は「その臨床的有益性は明確でない」と述べる。イダルビシンとダウノルビシンが同等の成績とされるのは、ATRA+化学療法のレジメンどうしの比較(PETHEMA/HOVON対International Consortium on APL)についてである。推奨1.13(IIa–B)は分化症候群の初発が疑われた最も早い時点でデキサメタゾン10 mgの1日2回静注を直ちに開始すること、推奨1.14(IIa–B)はATRA・ATOの一時中断が重症の分化症候群の場合にのみ適応となることを述べる。推奨2.10(Ib–A)は化学療法を用いない治療(白血球数10×10⁹/L以下)では維持療法を要しないとする。推奨1.5(Ib–A)はAPLを疑った時点でATRAを直ちに開始するとし、推奨1.3(IIa–B)は PML-RARA 融合の分子生物学的検出で診断を確定することを求める。⚠️ 本文書に分化症候群の診断基準そのものの記載は無い(weight gain・pulmonary infiltrat はいずれも0件)。閲覧 2026-09-16
  2. 2.Definition of relapse risk and role of nonanthracycline drugs for consolidation in patients with acute promyelocytic leukemia: a joint study of the PETHEMA and GIMEMA cooperative groups(Blood(Sanz MA, et al. / PETHEMA・GIMEMA)・2000)PubMed の抄録(Blood 96巻4号1247-1253頁)で確認した。PML/RARα陽性APL 217例(GIMEMA 108例・PETHEMA 109例)の多変量解析で独立した予後因子は初診時の白血球数と血小板数だけであり、⚠️ 3群の区分は逐語で「low-risk (WBC count ≤10 × 10⁹/L, platelet count > 40 × 10⁹/L), intermediate-risk (WBC count ≤10 × 10⁹/L, platelets ≤40 × 10⁹/L), and high-risk (WBC count > 10 × 10⁹/L)」である。血小板数4万/μLちょうどは中間リスク側に入る。⚠️ この3群の定義はELN 2019の文書には無く、本原著が出どころである。閲覧 2026-09-16
  3. 3.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)WHO分類第5版の骨髄系・組織球系/樹状細胞系腫瘍の分類は、病型の定義と診断を引き続き複数の臨床病理学的指標に基づいて行いつつ、診断基準を精密化し、治療上または予後上の意味をもつバイオマーカーを重視した。可能な限り遺伝学的な定義を求める一方で、世界中で実務的に適用できることも考慮に入れている。あわせて全文(PMC9252913)で、遺伝子異常で定義される病型のうち芽球の下限を残すのは BCR::ABL1 融合を伴うAMLと CEBPA 変異を伴うAMLだけで、いずれも「at least 20% blasts」を要することを確認した(2026-09-24)閲覧 2026-08-25
  4. 4.International Consensus Classification of Myeloid Neoplasms and Acute Leukemias: integrating morphologic, clinical, and genomic data(Blood・2022)2016年WHO分類の運用経験と臨床試験の結果を踏まえ、WHO第5版とは別に骨髄系腫瘍・急性白血病の国際コンセンサス分類(ICC)が2022年に策定され、多変量的な手法で新規病型の導入と既存カテゴリーの基準の精密化が行われたことを確認した。あわせて全文(PMC9479031)の表で、BCR::ABL1 を伴うAMLは芽球「≥ 20%」、TP53 変異を伴うものは芽球10〜19%でMDS/AML・「≥ 20%」でAMLとし、TP53 変異は VAF「> 10%」を要することを確認した(2026-09-24)閲覧 2026-08-25
  5. 5.What is new in acute myeloid leukemia classification?(Blood Research・2024)ICCとWHO第5版(2022年)が似て非なる二つの体系として並立し実務上の混乱を生んでいること、両者とも再発性遺伝子異常を第一の軸に置くが芽球閾値が異なり、ICCは骨髄または末梢血で10%以上の芽球を必須とする一方WHO第5版は芽球の下限を定めないこと、BCR::ABL1融合を伴うAMLは両分類とも芽球20%を要し、CEBPA変異を伴うAMLで20%を要するのはWHO第5版であること、TP53変異を独立病型とするのはICCのみで芽球20%かつVAF 10%超を要すること(本総説は冒頭の要約段落で「>20%」と書くが、各病型の節では「≥20%」と書き、WHO第5版の原典は「at least 20% blasts」、ICCの原典の表は「≥ 20%」であるため、本ノートは「20%以上」とした)、骨髄異形成関連の定義に用いる遺伝子はASXL1・BCOR・EZH2・SF3B1・SRSF2・STAG2・U2AF1・ZRSR2の8つが共通でICCはさらにRUNX1を含めること、WHO第5版の「分化で定義されるAML」がICCのAML, NOSに相当することを確認した閲覧 2026-08-25
  6. 6.Clinico-genetic and prognostic analyses of 716 patients with primary myelodysplastic syndrome and myelodysplastic syndrome/acute myeloid leukemia based on the 2022 International Consensus Classification(American Journal of Hematology・2023)2022年ICCが芽球10〜19%の骨髄異形成症候群をMDS/AMLという中間カテゴリーに分類すること、2016年WHO分類でMDSと診断された716例をICCで読み替えると75.3%はMDSに留まる一方24.7%がMDS/AMLへ移ること、MDS/AML群は変異プロファイルが異なり予後もMDSより不良であることを確認した閲覧 2026-08-25
  7. 7.Diagnosis and management of AML in adults: 2022 recommendations from an international expert panel on behalf of the ELN(Blood(European LeukemiaNet)・2022)2010年版・2017年版に続くELN勧告の改訂。AMLの分子病態の解明、疾患分類の更新、ゲノム診断と測定可能残存病変(MRD)評価の技術的進歩、そしてFLT3阻害薬・IDH1阻害薬・IDH2阻害薬・BCL2阻害薬という新規薬剤の開発を受けて、遺伝学的リスク分類・治療反応基準・治療勧告がいずれも改訂された閲覧 2026-08-25
  8. 8.Fitness assessment in acute myeloid leukemia: recommendations from an expert panel on behalf of the European LeukemiaNet(European LeukemiaNet / Blood Advances・2025)PMC12083920 の全文(推奨表 Table 1〜3 を含む)を取得して確認した。抄録は逐語で「fitness should reflect eligibility for a specific treatment among the several available, rather than a generic binary classification of eligibility for intensive chemotherapy」と述べ、強力化学療法の適否という一般的な二分法を退ける。推奨2(LoE IV・GoR A、合意92%)は逐語で「Different fitness levels correspond to different treatment intensities. Accordingly, patients should be considered "fit for" a specific treatment strategy」であり、パネル勧告は「fit」「unfit」「frail」という従来の区分を超えた水準を認める必要性を述べる。推奨1(LoE I・GoR A、合意96%)はフィットネスを年齢・全身状態・併存症・身体機能の包括的評価と定義する。推奨3(IV–B)は強力化学療法の適格が同種移植の適格を意味しないこと、推奨4(IV–B)は強力治療に不適格でも非強力治療で完全寛解に至った後の同種移植の適格は否定されないこと、推奨11(IV–C)は積極的治療に不適格な患者でも支持療法単独とする前に標的単剤療法の対象となりうる変異を検査すべきことを述べる。本文は強力治療としてシタラビン+アントラサイクリン(7+3)とCPX-351を、低強度治療として低メチル化薬、低メチル化薬+ベネトクラクス、低用量シタラビン(単独またはグラスデギブ併用)、イボシデニブ/エナシデニブ、ゲムツズマブオゾガマイシン単剤、ギルテリチニブ単剤を挙げる。⚠️ 合意(同意70%以上)に達しなかったのは推奨12と推奨21の2項目であり、本ノートはそのどちらも用いていない。閲覧 2026-09-16
  9. 9.Differentiation syndrome in patients with acute promyelocytic leukemia treated with all-trans retinoic acid and anthracycline chemotherapy: characteristics, outcome, and prognostic factors(Blood(PETHEMA。Montesinos P, Bergua JM, Vellenga E, et al.)・2009)Erasmus University Rotterdam のリポジトリに掲載された誌上版PDF(pure.eur.nl、10頁。Blood 113巻4号775-783頁と一致)で全文を確認した。Patients and methods の逐語は、分化症候群の診断が Frankel らの記述した次の徴候・症状の存在によってなされること——呼吸困難、原因不明の発熱、5 kgを超える体重増加、原因不明の低血圧、急性腎不全、そしてとくに肺浸潤または胸膜・心膜の貯留液を示す胸部X線——、上記の4項目以上を有する患者を重症の分化症候群、2〜3項目を有する患者を中等症の分化症候群に分類したこと、⚠️ **どの単一の徴候・症状も本症候群の診断には十分とみなされなかった**こと、肺出血・敗血症性ショック・肺炎・心不全など他の説明がつく患者は分化症候群でないとしたこと、ATRA開始から7日以内に生じたものを早発型、7日を超えて生じたものを遅発型と定義したことである。結果は、ATRA+イダルビシンで治療したPETHEMA LPA96・LPA99試験の739例のうち183例(24.8%)が分化症候群を発症し、重症が93例(12.6%)、中等症が90例(12.2%)であったこと、⚠️ **重症の分化症候群は死亡率の増加と関連したが中等症は関連しなかった**こと、発症に二峰性があり ATRA 開始後の第1週と第3週にピークがあったこと、多変量解析で白血球数5×10⁹/L超と血清クレアチニン異常が重症の分化症候群の発症リスク増加と相関したこと、全例に予防的プレドニゾン(0.5 mg/kg/日 経口、第1〜15日)を投与したLPA99試験は、白血球数5×10⁹/L超の患者にのみ予防的デキサメタゾン(10 mgを12時間ごと静注、7日間)を投与したLPA96試験に比べ重症の分化症候群の発生率が低かったことである。緒言は「完全な形の症候群は原因不明の発熱、体重増加、末梢浮腫、間質性肺浸潤を伴う呼吸困難、胸膜・心膜の貯留液、低血圧、急性腎不全を特徴とする」と述べる。閲覧 2026-09-16
  10. 10.Management of ALL in adults: 2024 ELN recommendations from a European expert panel(Blood(European LeukemiaNet)・2024)成人ALLの診断、遺伝学的病型、MRD、導入・地固め・維持、CNS予防、免疫療法と移植の原則を確認した。閲覧 2026-08-25