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Drug Atlas · B31 Antineoplastics / 抗腫瘍薬

イダルビシン

idarubicin

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
イダマイシン
商品名(EU)
Zavedos
科目
Internal MedicinePharmacologyPathology
トピック
H-28: Acute Myeloid LeukemiaB35: Drugs used in cancer treatment V (Small molecule signal transduction inhibitors. Retinoids)S-37: Acute LeukemiasC/9: Acute myeloid leukemia, lymphoplasmocytic lymphoma
承認適応
急性骨髄性白血病急性前骨髄球性白血病(APL)
禁忌疾患
慢性心不全
副作用
口内炎
監視検査値
絶対好中球数心筋トロポニンビリルビン

🧠 全体像:はと同じ三重機序(+阻害+産生)を持つだが、脂溶性が高く細胞内取り込みが速いぶん心毒性のの上限が一桁小さい(は概ね90 mg/m²、は概ね400〜550 mg/m²)。AMLのという適応の狭さはと共通し、()の治療体系では併用のとして名指しで使われる代表薬でもある。

ダウノルビシンとの違い

項目
機序 +Topo II阻害+ 同じ
適応 /の寛解導入にほぼ限定 (を含む)の寛解導入にほぼ限定
標準用量 60〜90 mg/m²を day 1〜3 12 mg/m²を day 1〜3(1桁小さい)
心毒性の目安となる 概ね400〜550 mg/m² 概ね90 mg/m²を超えるとが増加1
での位置づけ +化学療法の選択肢の一つ +化学療法・+ATOのいずれの骨格でも細胞減量薬として名指しされる

⭐ 「用量が1桁小さい」と覚える。 mg/m²の数字だけを見てと同じ感覚で投与量を扱うと、桁を誤る。

適応・用法

米国添付文書はAML(M1〜M7を含む)へのの一薬剤として適応を持ち、標準用量はと併用して12 mg/m²を10〜15分かけて day 1〜3に静注する1。日本の添付文書も同じ12 mg/m²を1日1回3日間連日し、骨髄機能が回復するまでして投与を繰り返すとし、効能・効果を「(のを含む)」とする2。

⭐ 治療では、選ぶ骨格によっての役割が変わる。 ELN 2019の管理勧告(推奨1.10、IV–C)は、発症時の高白血球に対する細胞減量として、+化学療法を選ぶ場合はまたは(単独または併用)を、+ATO()を選ぶ場合は12 mg/m²または6〜9 mg/m²を挙げる。+ATO開始後にが有意に増加した場合の追加(推奨1.16、IV–C)としても、著しい高白血球では12 mg/m²が選択肢に挙がる(詳細はノート・Sanz risk scoreノートを参照)。

禁忌・注意・副作用

⚠️ 禁忌の扱いが国で異なる。 米国添付文書は正式な禁忌を「None」とする一方、日本の添付文書は心機能異常またはその既往歴のある患者・重篤な過敏症の既往歴・重篤な感染症の合併・他のによる前治療が限界量に達した患者・重篤な肝障害・重篤な腎障害を明示的な禁忌に挙げる2。どちらの添付文書を参照しているかを明記して使い分ける。

  • ⚠️ :に至る心筋障害が起こりうる。が概ね90 mg/m²を超えるとが増加する——(概ね400〜550 mg/m²)より一桁小さい閾値である1。他のへの曝露歴も通算して評価する。
  • ⚠️ 二次性・(Boxed Warning):他のと同様、治療関連ののリスクがある1。
  • ⚠️ :であり、漏出時は重度のを来しうるため直ちに投与を中止する1。
  • 高頻度:感染(95%)、悪心・嘔吐(82%)、脱毛(77%)、腹痛・下痢(73%)、出血(63%)、(多くはとして現れる、50%)1
  • 重篤・まれ:ショック、などの不整脈2
  • の目安(米国添付文書):重度骨髄抑制で25%減量、ビリルビン2.6〜5 mg/dLで50%減量、 30 mL/min未満で33%減量1

まとめ

  • はと同じ三重機序を持つだが、標準用量・心毒性のの目安がともに一桁小さい(心毒性は概ね90 mg/m²超)。
  • 適応は米国・日本とも(を含む)の寛解導入にほぼ限定される。
  • 治療では、+化学療法・+ATOのいずれの骨格でも細胞減量薬として名指しで使われる薬剤である。
  • 禁忌の扱いは国で異なり、米国添付文書は正式な禁忌を「None」とする一方、日本の添付文書は心機能異常・重篤な感染症・重篤な肝腎障害などを明示的な禁忌として列挙する。

出典

  1. 1.IDAMYCIN PFS (idarubicin hydrochloride) injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed(Pfizer)・2026)成人AML(FAB分類M1〜M7を含む)の併用化学療法の一薬剤としての適応、標準用量(シタラビンと併用し12 mg/m²を10〜15分かけて day 1〜3に静注)、Boxed Warningとして心筋症(累積投与量90 mg/m²を超えると発生率が増加)・二次性AML/骨髄異形成症候群・血管外漏出による重度組織壊死の3点、正式な禁忌は「None」であること、高頻度有害事象(感染95%、悪心嘔吐82%、脱毛77%、腹痛・下痢73%、出血63%、粘膜炎〔Mucositis〕50%——表項目名は口内炎ではなく粘膜炎)、腎機能低下(GFR 30 mL/min未満で33%減量)・高ビリルビン血症(2.6〜5 mg/dLで50%減量)・重度骨髄抑制(25%減量)に応じた減量基準を確認した。閲覧 2026-09-17
  2. 2.イダマイシン静注用5mg 添付文書(2023年5月改訂)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/ファイザー株式会社・2023)効能・効果を「急性骨髄性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)」、用法・用量を「イダルビシン塩酸塩として12 mg/m²を1日1回、3日間連日静脈内投与し、骨髄機能が回復するまで休薬して投与を繰り返す」とし、禁忌に心機能異常またはその既往歴のある患者・本剤への重篤な過敏症の既往歴・重篤な感染症の合併・他のアントラサイクリン系薬剤等による前治療が限界量に達した患者・重篤な肝障害・重篤な腎障害を挙げ、重大な副作用として心筋障害・骨髄抑制・口内炎・ショック・完全房室ブロック等の不整脈を確認した。米国添付文書が正式な禁忌を「None」とするのと対照的に、日本の添付文書はこれらを明示的な禁忌として列挙する。閲覧 2026-09-17