病理学

病理学 · C/9

急性骨髄性白血病(AML)/リンパ形質細胞性リンパ腫

Acute myeloid leukemia, lymphoplasmocytic lymphoma

タグ
High-yield / ポイント
応用トピック
急性骨髄性白血病急性白血病白血病小児白血病
薬剤
イダルビシン
疾患
急性骨髄性白血病急性前骨髄球性白血病
スコア
FAB分類

🧠 全体像:は分化が特定の段階でブロックされるで、どのがどの分化段階を止めるかで予後・治療が決まる(t(15;17)のはでを解除できる数少ない標的療法)。リンパ系腫瘍はホジキン/非ホジキン、低悪性度/という2つの軸で大枠を掴む。

A)急性骨髄性白血病

定義

は、腫瘍細胞が分化の初期段階でブロックされる(通常は分化に必要な転写因子の変異による)→ が骨髄・血液に蓄積し、正常造血を抑制する。

の形態: 3〜5個の核小体、繊細なクロマチン、。

  • :にみられる桿状の細胞質小器官 — (特に)に病理特徴的
  • :成熟の空白 — 多数の芽球+多数の、なし

分類(講義の4カテゴリー=2016年までのWHO分類の枠組み)

1. 反復性を伴う

  • t(15;17) → PML/RARα融合 → 予後良好(、後述)
  • t(8;21) → RUNX1/RUNX1T1 → 予後良好
  • inv(16)(q22;q22) → CBFβ/MYH11 → 予後良好
  • t(11q23;variant) → MLL(現在の遺伝子名は KMT2A)融合 → 講義は一括して 予後不良 とするが、ELN 2022 のリスク分類では t(9;11)(p21.3;q23.3)/MLLT3::KMT2A は、それ以外の KMT2A 再構成が高リスクである1

⚠️ この一覧の転座は「遺伝子で定義される」の代表で、芽球が20%に満たなくてもと診断されうる型が中心だが、その基準は分類によって食い違う。 2022年に別々に公表された分類第5版(-HAEM5)2と(ICC)3は、いずれも再発性遺伝子異常を診断の第一の軸に置く点では一致するが、芽球閾値の扱いが異なる。ICCは骨髄または末梢血で芽球10%以上を必須とする一方、第5版は遺伝学的異常で定義されるについて芽球20%の要件を撤廃し、代わりの下限も置かない。ただし例外があり、第5版でも BCR::ABL1 融合を伴うと CEBPA 変異を伴うは芽球20%以上を要する2。ICCでも BCR::ABL1 を伴うだけは20%以上を要する(ICCの CEBPA(bZIP)変異は10%以上)3。⭐ ICCはさらに芽球10〜19%をMDS/AMLという中間カテゴリーとして新設し、2016年分類でと診断された716例をICCで読み替えると24.7%がこの群へ移り、変異プロファイルも予後もと異なった4。どちらか一方だけを「正しい分類」とみなさず、どの分類の話かを明示する。

2. を伴う(MDSから生じる)— 予後不良

3. 化学療法・放射線後の — 予後不良

4. 他に分類されない(FABベース、細胞系統別)

⚠️ 2〜4の枠は2022年の2分類で組み替えられている。

講義の枠 分類第5版(2022年)2 ICC(2022年)3
2. を伴う , myelodysplasia-related(-MR)。芽球20%以上で、特定の的異常、8遺伝子(SRSF2・SF3B1・U2AF1・ZRSR2・ASXL1・EZH2・BCOR・STAG2)の変異、または・/MPNの既往で定義し、形態の異形成だけでは診断しない 骨髄異形成関連遺伝子変異(上の8遺伝子+RUNX1)を伴う、骨髄異形成関連的異常を伴う。芽球10〜19%なら /
3. 化学療法・放射線後の 「細胞傷害性治療後の(MN-pCT)」という病型群 独立の病型にせず、形態・遺伝子で分類したうえで「治療関連」を診断名に添える
4. 他に分類されない 「分化で定義される」(最・・分化型・急性骨髄単球性・急性単球性・急性赤芽球性・急性性など) , NOS

下のM0〜M7は講義が用いる FAB 分類の番号で、現行の分類名とはこの表のように対応させて読む。

  • M0:成熟なし
  • M1:最小限の成熟
  • M2:成熟あり
  • M3:
    • t(15;17) → PML/RARα → 段階で分化をブロック
    • DICの高リスク(顆粒が凝固を誘発)
    • 治療:ATRA()がを克服。⚠️ かつては化学療法との併用が必須とされたが、Sanz risk score(1万/μL以下かつ血小板4万/μL超=低リスク、1万/μL以下かつ血小板4万/μL以下=、1万/μL超=高リスク。血小板4万/μLちょうどは側)5でいう低〜では、ATRA+(ATO)という化学療法を用いない併用が標準療法(+化学療法)より優先される第一選択となった(ELN 2019 推奨2.2、Ib–A。ATOが禁忌または経済的に用いられない場合は+化学療法が第2の選択肢)6。低〜(1万/μL以下)だけを組み入れた第3相試験(APL0406)では、+ATO群の2年が97%、標準療法群が86%で、に加えも示された7
      • ⚠️ 高リスク(1万/μL超)のは一本化されていない。 ELN 2019の推奨2.3(Ib–A)は「2つの妥当な選択肢がある」として、①+ATOに一定量の化学療法を加えるか、②従来の+化学療法かを並べ、無作為化試験でいずれのも示されていないことを理由に挙げる。のから特定のレジメンを推奨することもできず、さらに米国・欧州ではATOの承認が非高リスクに限られているため高リスクへのATO使用そのものに上の問題がありうる、ともELNは注記している6。「高リスクなら+ATOにを足す」と一本に覚えると、この分岐が消える
    • :呼吸困難・原因不明の発熱・5 kgを超える体重増加・原因不明の低血圧・・または胸膜心膜のを示す胸部X線の6項目のうち、2〜3項目で中等症、4項目以上で重症と分類する(PETHEMAの研究上の定義。⚠️ 胸部X線は1項目である——と胸水・に割ると重症へ繰り上がりやすくなる)8。⚠️ これは症例を数えるための分類であって、治療を待つ閾値ではない。 ELN 2019の推奨1.13は最も早い臨床的疑いの時点で10 mgを1日2回静注で直ちに開始するとしており、・ATOは重症例を除いて継続する6。⭐ -RARAの分子生物学的確認を待たずに、臨床・だけで投与を開始すべきである6
  • M4:骨髄単球性(+)
  • M5:単球性
  • M6:赤芽球性
  • M7:性(、標準治療で難治)
flowchart TD
    A["t(15;17)転座"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive multifocal leukoencephalopathy'>PML</span>-RARα融合遺伝子"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='promyelocyte'>前骨髄球</span>段階で分化がブロック"]
    C --> D["異常な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='promyelocyte'>前骨髄球</span>の蓄積"]
    D --> E["顆粒からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='procoagulant'>凝固促進物質</span>放出"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated intravascular coagulation'>DIC</span>の高リスク"]

免疫表現型

  • 幹細胞:CD34
  • :CD13、CD33
  • :CD14、CD64
  • :CD41、CD61(CD42b)

臨床

  • 突然発症、あらゆる年齢・性別
  • 数週以内の症状:貧血、出血()、発熱(好中球減少)
  • 中枢神経病変の可能性
  • 化学療法・で 約15〜30%
  • [M3]は「予後最悪の白血病」から「治癒率最高」に転じた代表例 → 低〜(1万/μL以下)は+ATO(化学療法なし)で2年97%7。⚠️ 高リスクは「+ATO+一定量の化学療法」と「従来の+化学療法」の2つが妥当な選択肢で、どちらのも無作為化試験では示されていない6

B)リンパ系腫瘍 — 導入と分類の概要

分類の枠組み

ホジキンと非ホジキン:

起源 B細胞 B細胞またはT細胞
特徴的細胞 Rなし
進展 限局、 多発リンパ節、性
頻度 少ない 多い

低悪性度と:

低悪性度
形態 、なし 、あり
進行 緩徐、約15年生存 急速、約5年生存
治癒性 治癒不能 約50%治癒可能
分子基盤 t(14;18) → BCL2抗アポトーシス t(8;14) → MYC増殖
代表 CLL/SLL、FL、() Burkitt、DLBCL

💡 の一つである()は、形質細胞様分化を伴うで、IgM型M蛋白を伴うものがと呼ばれる(IgM型M蛋白と骨髄のクローン性10%以上で診断が確定する)。 ⭐ MYD88 L265P変異はの90%超で検出され、診断の補助になるが、診断に必須ではない。IgMが著増するとが上がり、・・に伴う視力変化などによる出血を来すを起こしうる(症候性のは血清IgM 4000 mg/dL未満では稀)9。

標的療法の補足

  • MabThera/リツキシマブ(抗CD20):マウスFab(抗CD20)+ヒトFcの → がB細胞リンパ腫を殺す。予後を大きく改善した。
  • ():B細胞リンパ腫(マントル細胞、CLL)にも用いる。

💡 ポイント: = のブロック++。(M3)= t(15;17)/-RARα+リスク+療法。NHLはHLより多い。低悪性度 = BCL2/t(14;18)、治癒不能、 = MYC、治癒しうる。

まとめ

  • は分化の初期段階でブロックされが蓄積する疾患で、と(芽球との間にを欠く)が特徴。
  • (M3)はt(15;17)/-RARα融合による段階でので、の高リスクとを伴う。低〜(1万/μL以下)では+(化学療法なし)が第一選択で、2年97%が得られる7。⚠️ 高リスク(同1万/μL超)では、+ATO+一定量の化学療法か従来の+化学療法かの2つが妥当な選択肢で、無作為化試験でいずれのも示されていない(推奨2.3、Ib–A)6。リスク群の境界は1万/μLと4万/μLで、血小板4万/μLちょうどは側である5。
  • 予後良好な転座はt(15;17)・t(8;21)・inv(16)。KMT2A(旧MLL)再構成は講義では予後不良と一括されるが、ELN 2022ではt(9;11)/MLLT3::KMT2Aが、それ以外が高リスク。からの・治療関連も予後不良とされる。
  • 講義の4カテゴリーは2016年までの分類の枠組みで、2022年の分類第5版とICCは遺伝学的異常を軸に組み替え、芽球閾値の扱い(ICCは原則10%以上、第5版は原則下限なし。BCR::ABL1は両分類とも20%以上)でも食い違う。どちらの分類の話かを明示する。
  • はより頻度が高く、の有無・進展パターン(か性か)で鑑別する。
  • (t(14;18)/BCL2、CLL/SLL・FL)は緩徐進行だが治癒不能、(t(8;14)/MYC、Burkitt・DLBCL)は急速進行だが約50%が治癒しうる。

出典

  1. 1.What is new in acute myeloid leukemia classification?(Blood Research・2024)Europe PMC の全文(PMC11016528)で確認した。WHO第5版とICCはいずれも再発性遺伝子異常を伴うAMLを第一の軸に置くが芽球閾値が異なり、ICCは骨髄または末梢血で芽球10%以上を必須とする一方WHO第5版は芽球の下限を定めないこと、BCR::ABL1融合を伴うAMLは両分類とも、CEBPA変異を伴うAMLはWHO第5版で、それぞれ芽球20%の要件が残ること(本総説の本文は「>20%」と書くが、WHO第5版の概要論文とICCの表は20%以上と記載する)、Table 3 に転記されたELN 2022のリスク分類で t(9;11)(p21.3;q23.3)/MLLT3::KMT2A が中間リスク、それ以外の KMT2A 再構成が高リスクに置かれていることを確認した閲覧 2026-08-27
  2. 2.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)Europe PMC の全文(PMC9252913)で確認した。WHO分類第5版はAMLを「遺伝学的異常で定義されるAML」と「分化で定義されるAML」に分け(後者が旧来のAML NOSの細分に当たる)、遺伝学的異常で定義されるAMLについて芽球20%の要件を撤廃したが、BCR::ABL1融合を伴うAMLとCEBPA変異を伴うAMLは例外として芽球20%以上を要すること、旧「骨髄異形成関連変化を伴うAML」を「AML, myelodysplasia-related(AML-MR)」と改め、芽球20%以上で特定の細胞遺伝学的異常または8遺伝子(SRSF2・SF3B1・U2AF1・ZRSR2・ASXL1・EZH2・BCOR・STAG2)の変異、あるいはMDS・MDS/MPNの既往で定義し形態だけでは診断しないこと、細胞傷害性治療の既往をもつ例を「細胞傷害性治療後の骨髄系腫瘍(MN-pCT)」とすることを確認した閲覧 2026-08-27
  3. 3.International Consensus Classification of Myeloid Neoplasms and Acute Leukemias: integrating morphologic, clinical, and genomic data(Blood・2022)国際コンセンサス分類(ICC)は2016年WHO分類の運用経験を踏まえ、多変量的な手法で新規病型の導入と既存カテゴリーの基準精密化を行い、WHO第5版とは別に2022年に公表されたことを確認した。PMC9479031 の全文 Table 25・Table 26 で、再発性遺伝子異常を伴うAML(PML::RARAを伴うAPL、RUNX1::RUNX1T1、CBFB::MYH11、MLLT3::KMT2Aとその他のKMT2A再構成、NPM1変異、bZIP CEBPA変異など)は芽球10%以上で診断し、BCR::ABL1を伴うAMLは20%以上を要すること、TP53変異・骨髄異形成関連遺伝子変異・骨髄異形成関連細胞遺伝学的異常・AML NOSは芽球10〜19%でMDS/AML、20%以上でAMLとすること、治療関連・MDSからの進展・生殖細胞系列素因は独立の病型ではなく診断名に付ける修飾語として扱うことを確認した閲覧 2026-08-27
  4. 4.Clinico-genetic and prognostic analyses of 716 patients with primary myelodysplastic syndrome and myelodysplastic syndrome/acute myeloid leukemia based on the 2022 International Consensus Classification(American Journal of Hematology・2023)2022年ICCが芽球10〜19%の骨髄異形成症候群をMDS/AMLという中間カテゴリーに分類すること、2016年WHO分類でMDSと診断された716例をICCで読み替えると75.3%はMDSに留まる一方24.7%がMDS/AMLへ移り、この群は変異プロファイルが異なり予後もMDSより不良であったことを確認した閲覧 2026-08-27
  5. 5.Definition of relapse risk and role of nonanthracycline drugs for consolidation in patients with acute promyelocytic leukemia: a joint study of the PETHEMA and GIMEMA cooperative groups(Blood(Sanz MA, et al. / PETHEMA・GIMEMA)・2000)PubMed の抄録(Blood 96巻4号1247-1253頁)で確認した。PML/RARα陽性APL 217例(GIMEMA 108例・PETHEMA 109例)の多変量解析で独立した予後因子は初診時の白血球数と血小板数だけであり、⚠️ 3群の区分は逐語で「low-risk (WBC count ≤10 × 10⁹/L, platelet count > 40 × 10⁹/L), intermediate-risk (WBC count ≤10 × 10⁹/L, platelets ≤40 × 10⁹/L), and high-risk (WBC count > 10 × 10⁹/L)」である。血小板数4万/μLちょうどは中間リスク側に入る(低リスクの条件は4万/μLを「超える」ことである)。閲覧 2026-09-16
  6. 6.Management of acute promyelocytic leukemia: updated recommendations from an expert panel of the European LeukemiaNet(European LeukemiaNet / Blood(Sanz MA, et al.)・2019)PMC6509567 の全文(Table 1・Table 2 を含む)を取得して確認した。⚠️ 本文書に Sanz risk score の3群の定義は無い——血小板数が現れるのは輸血閾値とヘパリン減量の文脈だけで、low-risk / intermediate-risk は参考文献の題名にしか出てこない。ELN 2019 が治療を振り分けるのは、白血球数1万/μL以下を非高リスク、1万/μLを超える場合を高リスクとする2群である。推奨2.2(Ib–A)は非高リスクでATRA+三酸化二ヒ素(ATO)を化学療法なしで用い、ATOが禁忌または経済的に用いられない場合の第2の選択肢としてATRA+アントラサイクリン系化学療法を挙げる。⚠️ 推奨2.3(Ib–A)は高リスクについて逐語で「there are 2 valid options, either ATRA + ATO with a certain amount of chemotherapy or conventional ATRA + anthracycline–based chemotherapy」と述べ、本文も「there are 2 potential treatment options for high-risk patients … because neither has yet been shown to be superior in randomized studies」と書いて一本化していない。本文はさらに、単群試験の異質性から高リスクに特定のレジメンを推奨できないこと(白血球数の制御を除く)、米国・欧州ではATOの承認が非高リスクに限られているため高リスクへのATO使用そのものに規制上の問題がありうることを述べる。推奨1.13(IIa–B)は分化症候群の初発が疑われた最も早い時点でデキサメタゾン10 mgの1日2回静注を直ちに開始すること、推奨1.14(IIa–B)は分化療法(ATRAまたはATO)の一時中断は重症の分化症候群の場合にのみ適応となることを述べる。推奨1.5(Ib–A)はAPLを疑った時点でATRAを直ちに開始するとし、推奨1.3(IIa–B)は PML-RARA 融合の分子生物学的検出で診断を確定することを求める。⚠️ 本文書に分化症候群の診断基準そのものの記載は無い(weight gain・pulmonary infiltrat はいずれも0件)。閲覧 2026-09-16
  7. 7.Retinoic acid and arsenic trioxide for acute promyelocytic leukemia(The New England Journal of Medicine・2013)低〜中間リスクの急性前骨髄球性白血病患者156人を対象とした無作為化第3相非劣性試験(APL0406)で、全トランス型レチノイン酸+三酸化二ヒ素による化学療法を用いない治療は、全トランス型レチノイン酸+化学療法(イダルビシン)による標準療法と比べ2年イベントフリー生存率が97%対86%であり、非劣性に加え優越性も示唆されたことを確認した閲覧 2026-08-27
  8. 8.Differentiation syndrome in patients with acute promyelocytic leukemia treated with all-trans retinoic acid and anthracycline chemotherapy: characteristics, outcome, and prognostic factors(Blood(PETHEMA。Montesinos P, Bergua JM, Vellenga E, et al.)・2009)Erasmus University Rotterdam のリポジトリに掲載された誌上版PDF(pure.eur.nl、10頁。Blood 113巻4号775-783頁と一致)で全文を確認した。Patients and methods の逐語は、分化症候群の診断が Frankel らの記述した次の徴候・症状の存在によってなされること——呼吸困難、原因不明の発熱、5 kgを超える体重増加、原因不明の低血圧、急性腎不全、そしてとくに肺浸潤または胸膜・心膜の貯留液を示す胸部X線——、上記の4項目以上を有する患者を重症の分化症候群、2〜3項目を有する患者を中等症の分化症候群に分類したこと、⚠️ **どの単一の徴候・症状も本症候群の診断には十分とみなされなかった**こと、肺出血・敗血症性ショック・肺炎・心不全など他の説明がつく患者は分化症候群でないとしたこと、ATRA開始から7日以内に生じたものを早発型、7日を超えて生じたものを遅発型と定義したことである。結果は、ATRA+イダルビシンで治療したPETHEMA LPA96・LPA99試験の739例のうち183例(24.8%)が分化症候群を発症し、重症が93例(12.6%)、中等症が90例(12.2%)であったこと、⚠️ **重症の分化症候群は死亡率の増加と関連したが中等症は関連しなかった**こと、発症に二峰性があり ATRA 開始後の第1週と第3週にピークがあったこと、多変量解析で白血球数5×10⁹/L超と血清クレアチニン異常が重症の分化症候群の発症リスク増加と相関したこと、全例に予防的プレドニゾン(0.5 mg/kg/日 経口、第1〜15日)を投与したLPA99試験は、白血球数5×10⁹/L超の患者にのみ予防的デキサメタゾン(10 mgを12時間ごと静注、7日間)を投与したLPA96試験に比べ重症の分化症候群の発生率が低かったことである。緒言は「完全な形の症候群は原因不明の発熱、体重増加、末梢浮腫、間質性肺浸潤を伴う呼吸困難、胸膜・心膜の貯留液、低血圧、急性腎不全を特徴とする」と述べる。閲覧 2026-09-16
  9. 9.Waldenström macroglobulinemia: 2023 update on diagnosis, risk stratification, and management(Mayo Clinic / American Journal of Hematology・2023)PMC の著者最終稿(NIHMS1895713)で確認した。WHOはWaldenströmマクログロブリン血症をIgM型M蛋白を伴うリンパ形質細胞性リンパ腫と定義し、IgM型M蛋白と骨髄のクローン性リンパ形質細胞10%以上で診断が確定すること、MYD88 L265P変異は90%超の患者で検出されるが診断に必須ではないこと(同じ論文の別の段落は WM で67〜90%と幅をもって記す)、症候性の過粘稠度症候群は血清IgM 4000 mg/dL未満では稀で、鼻出血・歯肉出血・網膜出血に伴う視力変化などずり応力による出血が主症状であることを確認した閲覧 2026-08-27