小児科学

小児科学 · 19

白血病

Leukemia

前提:病態
前駆T・Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫急性骨髄性白血病(AML)
前提:正常
造血。血液の組成。
検査値
絶対単球数

🧠 全体像:小児白血病の最多はで、次いでが多い。貧血・出血・発熱/感染・・を手掛かりに、末梢血、骨髄、、遺伝学、を統合して診断・層別化する。治療開始前から、感染、/、中枢神経・を同時に評価する。123

定義・分類

のクローン性悪性化により、骨髄・血液・組織へ異常細胞が蓄積する疾患。末梢血に芽球が出現しないaleukemic presentationもあり、末梢血への腫瘍細胞出現は必須条件ではない。

分類軸 内容
急性 vs 慢性 急性:急速進行、できるだけ緊急に治療。慢性:緩徐進行
リンパ腫 vs 白血病 リンパ腫:リンパ系腫瘍で腫瘤形成が主体。白血病:骨髄・血液病変が主体。ただし性腫瘍は連続体で、末梢血芽球の有無だけでは分けない
細胞系統 リンパ系:B/T/NK細胞系統の腫瘍(、CLLなど)。:顆粒球・単球・赤芽球・統などの腫瘍(、など)。「芽球性」は未熟前駆細胞が増殖するに用いる語で、であるCLLやであるを一括して「性」「性」とは呼ばない

病型

病型 特徴
() 小児で最多。B-またはT-。比率だけでなく・遺伝学を統合する1
() 小児白血病の約15〜20%。では発症リスクが高く、乳幼児の関連骨髄性白血病は独自の生物学・治療反応性を持つ2
CML() 小児ではまれ
CLL() 典型的には成人、とくに高齢者ので、小児では極めてまれ

臨床像

骨髄機能不全による症状で、障害される細胞系列によって異なる。

障害される系統 症状
貧血 蒼白、頻脈、倦怠感、頭痛
血小板減少 血腫、点状出血、、易あざ形成
重症・反復性感染症、発熱()
その他 リンパ節腫脹(硬く1 cm超)、B症状(、発熱、体重減少:主にでみられる)、、肝脾腫

は高値・正常・低値のいずれもあり得る。WBCが正常だから白血病を除外することはできない。

診断

  • 血液検査:+、網状赤血球、。尿酸、K、P、Ca、Cr、でとリスクを評価し、発熱時は培養を含む感染評価を行う。
  • :を中心に、形態、、染色体・分子遺伝学を統合して確定・病型分類する。dry tapや骨髄構築評価が必要な場合は生検を併用する。12
  • 中枢神経評価:治療プロトコルに従ってでを行い、同時にを開始することが多い。高白血球、凝固異常、呼吸循環不安定などがあれば安全性を整え、穿刺を避ける。
  • :T-では、では精巣、中枢神経、では皮膚・ 肉腫などを診察・画像で評価する。

⚠️ 白血病が疑われる児に、診断前の副腎皮質ステロイドを安易に投与すると芽球が減少して診断・を乱しうる。など緊急適応を除き、小児血液腫瘍チームと相談する。4

治療

病型 治療
寛解導入→/強化→維持の多段階。全例に中枢神経指向治療を組み込み、MRD・遺伝学・年齢・初診時WBC・で強度を調整する15
強力な寛解導入+を行い、病型・遺伝学・MRDに応じてやを検討する。な予防的は推奨されないが、「腫瘍細胞を増やすため」という説明は不正確2

💡 :血中をとアンモニアへ分解し、合成能の乏しいを栄養的に枯渇させる。膵炎、血栓症/出血、肝障害、過敏反応、高血糖を監視する。

⭐ ALLではMRDが治療反応性評価の中心である。day 8、15、29/33などの評価日はプロトコルによって異なり、なday 15・33だけで層別化しない。評価時点と閾値はいずれもプロトコル依存であり、遺伝学その他の危険因子と統合して解釈する。5

初期支持療法の要点

  • TLSリスクに応じた補液、、頻回の電解質・腎機能監視3
  • では培養採取後、緑膿菌を覆うを迅速に開始6
  • 症候性では、TLS、を同時管理し、単純なで粘稠度を悪化させないよう専門医と調整
  • T-の大きなでは仰臥位・鎮静・全身麻酔で気道/循環が破綻しうるため、処置体位と麻酔計画を先に共有

鑑別診断

多くの感染症がを来すため鑑別を要する。

のパターン 示唆する病原体
顆粒球増多 細菌感染
ウイルス感染(パルボウイルスB19、、、、)
症、炎症性疾患、など。単独で病原体を特定しない
好酸球増多 蠕虫感染、アレルギー疾患、薬剤反応など

そのほかの鑑別:(WBC↑、RBC↓、PLT↓、、リンパ節腫脹、肝脾腫)、自己免疫疾患(などの疾患、SLE、、)、、他の悪性腫瘍。

予後

  • 小児の5年生存率は現在90%を超えるが、病型・地域・治療アクセスで異なる。5
  • NCI標準リスクでは1歳以上10歳未満かつ初診時WBC 50,000/μL未満が基本的な良好群で、乳児はむしろ高リスクである。
  • T-は生物学的が大きく、系統名だけで一律に予後不良とせず、MRD、遺伝学、年齢、初診時WBCなどを統合して層別化する。
  • MRD反応、遺伝学的異常、初診時WBC、年齢、中枢神経/精巣病変が予後と治療強度を左右する。

まとめ

  • 小児白血病はが最多で、がこれに続く。末梢血芽球やがなくても除外できない。
  • 症状は貧血・血小板減少・正常白血球機能低下というと、・から説明できる。確定には骨髄形態、、遺伝学を統合する。
  • はの合成能が乏しいという代謝的弱点を突く治療薬である。
  • は寛解導入、/強化、維持と中枢神経指向治療からなり、MRD、遺伝学、年齢、初診時WBC、に基づくリスク適応治療が軸となる。

出典

  1. 1.Acute Lymphoblastic Leukemia in Children(2015)ALLは小児で最も多い白血病であり、免疫表現型・遺伝学・初期治療反応を統合した多段階治療とリスク層別化が必要であることを確認した。閲覧 2026-08-13
  2. 2.Treatment of acute myeloid leukemia in children: A practical perspective(2021)小児AMLは異質性が高く、強力な寛解導入・地固め、遺伝学と治療反応に基づく層別化、および選択された高リスク例での造血幹細胞移植を用いることを確認した。閲覧 2026-08-13
  3. 3.The Tumor Lysis Syndrome(2011)腫瘍崩壊症候群では治療開始前からリスクを評価し、補液、尿酸低下療法、電解質・腎機能の頻回監視を組み合わせることを確認した。閲覧 2026-08-13
  4. 4.Impact of corticosteroid pretreatment in pediatric patients with newly diagnosed B-lymphoblastic leukemia: a report from the Children's Oncology Group(2019)ALL診断前の副腎皮質ステロイド曝露は診断時所見とリスク分類に影響しうるため、曝露期間と診断時WBCを治療層別化で考慮する必要があることを確認した。閲覧 2026-08-13
  5. 5.Minimal Residual Disease in Acute Lymphoblastic Leukemia: Current Practice and Future Directions(2021)小児ALLでは5年生存率が90%を超え、MRDが治療反応・再発リスク・治療強度調整の中心だが、評価時点と閾値はプロトコルで異なることを確認した。閲覧 2026-08-13
  6. 6.Guideline for the Management of Fever and Neutropenia in Pediatric Patients With Cancer and Hematopoietic Cell Transplantation Recipients: 2023 Update(2023)小児がんの発熱性好中球減少症では培養採取とリスク評価を行い、高リスク例で抗緑膿菌作用を持つ経験的静注抗菌薬を迅速に開始することを確認した。閲覧 2026-08-13