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Disease Atlas · 感染症 · 症候群

敗血症

Sepsis

臓器系
感染症全身
科目
Internal MedicineMedical MicrobiologyIntensive Therapy and AnesthesiologyTranslational Medicine and Pathophysiology
トピック
内科学 I-11:敗血症・敗血症性ショック微生物学 1/36:敗血症の定義・病態・微生物学的診断麻酔科学 A-09:敗血症・敗血症性ショック・多臓器障害病態生理学 II-26:敗血症性ショックの機序と治療原則病態生理学 II-27:敗血症性ショックの炎症・凝固・内皮障害
鑑別疾患
悪性症候群血球貪食性リンパ組織球症食物蛋白誘発性腸炎症候群髄腔内バクロフェン離脱症候群成人発症Still病毒素性ショック症候群毛細血管漏出症候群
合併症
多臓器機能障害症候群(MODS)
続発疾患
播種性血管内凝固急性呼吸窮迫症候群循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)せん妄横紋筋融解症
関連疾患
細菌性髄膜炎全身性炎症反応症候群(SIRS)特発性細菌性腹膜炎
治療薬
ノルアドレナリンエピネフリンドブタミンヒドロコルチゾン
原因微生物
Escherichia coliKlebsiella pneumoniaeStaphylococcus aureusPseudomonas aeruginosa
症状
傾眠出血低血圧発熱乏尿
検査値
プロカルシトニン血算血糖乳酸血小板数ビリルビンクレアチニン
画像所見
コンソリデーション腹腔内遊離ガス水腎症
スコア
qSOFASOFAスコアグラスゴー昏睡尺度
下位分類
産褥敗血症・産褥感染新生児敗血症
元疾患
Lemierre症候群S状結腸捻転S状静脈洞血栓症カポジ水痘様発疹症移植片対宿主病咽後膿瘍横隔膜下膿瘍海綿静脈洞血栓症気管支胸膜瘻気腫性胆嚢炎古典型ガラクトース血症(GALT欠損症)細菌性肝膿瘍縦隔炎大腸軸捻転丹毒・蜂窩織炎中毒性巨大結腸症熱傷補体C2欠損症盲腸軸捻転卵管卵巣膿瘍
原因となる疾患
Boerhaave症候群Fournier壊疽カテーテル関連血流感染クロストリディオイデス・ディフィシル感染症ペスト院内肺炎化膿性関節炎(敗血症性関節炎)急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病急性腎盂腎炎・腎膿瘍急性胆管炎急性虫垂炎急性膵炎菌血症原発性免疫不全症候群(重症複合免疫不全症・ディジョージ症候群・X連鎖無ガンマグロブリン血症・慢性肉芽腫症・選択的IgA欠損症)根尖性歯周炎市中肺炎食道穿孔人工呼吸器関連肺炎前立腺炎炭疽短腸症候群胆石症腸重積症尿路感染症尿路結石症膿腎症腹部コンパートメント症候群腹膜炎・消化管穿孔糞線虫症野兎病脾摘後重症感染症褥瘡
適応薬
セフォペラゾンセフメタゾール
禁忌薬
エタネルセプト

🧠 全体像:敗血症は、感染に対するのによって生命を脅かす臓器障害が生じた救急症候群である。感染源の検索・培養・抗菌薬、循環と呼吸の蘇生、を順番待ちにせず同時進行し、反応を分単位で再評価する。

定義

用語 現在の位置づけ
敗血症 感染に対するのによる生命を脅かす臓器障害。実務上は感染に伴うSOFAの急性2点以上上昇で表す1
十分な容量評価・蘇生後もMAP 65 mmHg以上の維持にを要し、が2 mmol/Lを超える敗血症1
菌血症 血中に生菌を認める状態。臓器障害がなければ敗血症とは限らない
感染以外でも生じる全身炎症反応。現在の敗血症定義ではないが、スクリーニング要素として利用できる

旧来の「感染による」「」という段階分類は歴史的であり、現在は用いない。敗血症は病原体が血液培養で証明されなくても成立し、単一の確定検査はない。

⚠️ 薬剤の側から見ると、敗血症そのものが投与の禁忌になる。 は日本の電子添文の禁忌の筆頭が「敗血症の患者又はそのリスクを有する患者」で、根拠として敗血症患者を対象としたで投与群の死亡率が用量の増加に伴い上昇したことが挙げられている2。のSmPCも4.3に「敗血症またはそのリスク」を置き(同項は慢性・限局性を含むのある患者では投与を開始しないとも添える)3、米国の添付文書にいたっては禁忌欄が「敗血症の患者」の1項目だけである4。免疫抑制下の患者で敗血症を疑ったら、感染源の検索と並行して原因となりうる生物学的製剤の継続可否を確認する。

病態

とが自然免疫を活性化し、炎症促進反応と免疫抑制が同時に進む。内皮の抗炎症・抗凝固作用が失われ、血管拡張、、凝固活性化、が微小循環を障害する。

flowchart TD
    A["感染"] --> B["PAMP・DAMPによる<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune activation'>免疫活性化</span>"]
    B --> C["炎症促進反応+免疫抑制"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endothelial injury'>内皮障害</span>・血管拡張・透過性亢進"]
    C --> E["凝固活性化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrinolysis inhibition'>線溶抑制</span>"]
    D --> F["相対的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypovolemia'>循環血液量低下</span>・低血圧"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microthrombi'>微小血栓</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microcirculatory dysfunction'>微小循環障害</span>"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue perfusion'>組織灌流</span>低下"]
    G --> H
    H --> I["肺・腎・脳・肝・心の機能障害"]
    I --> J["細胞傷害が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='host reaction'>宿主反応</span>をさらに増幅"]
    J --> B

乳酸上昇には低灌流だけでなく、ストレス性解糖、、低下も関与する。正常乳酸だけで敗血症を除外せず、高値を輸液量の自動的な指示にも使わない。

⚠️ の上昇そのものが敗血症の入口になりうる。では腸管の灌流が落ち、が破綻して細菌が転位する経路が想定されている——総説の逐語は Malperfusion of the gut as a result of elevated IAP has been speculated as a possible mechanism for loss of the mucosal barrier and subsequent development of bacterial translocation, sepsis, and multiple system organ failure で、腸間膜血流の低下は10 mmHg程度でも現れうるとされる5。💡 ただしこれは「推定された機序」として書かれている段階であって、確立した因果ではない。⚠️ 向きは一方通行でもない——敗血症・・大量輸液を要する病態は、腹腔外を原因とする続発性のそのもののとして挙げられている5。大量輸液を受けた重症患者で感染源が絞れないときは、腹部を「もう一つの臓器不全の源」として測りにいく余地がある(測定法と閾値はを参照)。

臨床像

臓器・系統 主な所見
全身・循環 発熱または低体温、頻脈、低血圧、、
呼吸 頻呼吸、低酸素血症、ARDS
神経 意識変容、せん妄、傾眠
腎 乏尿、クレアチニン上昇、
肝・消化管 、胆汁うっ滞、イレウス
血液・凝固 血小板減少、、DIC、出血
代謝 乳酸上昇、代謝性アシドーシス、

高齢者、免疫抑制患者では発熱やが目立たないことがある。肺、尿路、腹腔内、胆道、皮膚軟部組織、骨・関節、血管内デバイス、中枢神経、口腔・など感染源を系統的に探す。では腸内細菌科のEscherichia coli・Klebsiella pneumoniaeやのStaphylococcus aureusが代表的で、院内発症・医療関連や免疫不全ではPseudomonas aeruginosaなど耐性グラム陰性桿菌や真菌の関与も増える。

見落としやすい感染源:歯性感染

💡 歯やの感染が全身に及ぶ経路は3つある。①隣接するへのの波及——のは舌下・・へ広がり、深の膿瘍からへ達しうる。②顎骨への進展による骨髄炎。③や感染に伴う菌血症としてので、の原因にもなる6。起点になるのはから・・へ進んだ歯や、部分した下顎の智歯周囲炎である6。

が敗血症に至ることそのものはまれである。入院を要した483例を後ろ向きに調べたドイツ単施設の報告では、5年半で16例(3.3%)が敗血症の経過をたどり、その16例では全例が下顎のまたはの歯をとし、全例がとを要した(平均在院27.8日、3例が多臓器障害(MODS)と心停止を来した)7。これは入院例を分母とした単施設の数字であり、全体の敗血症化率ではない。

⚠️ 感染源が同定できない敗血症で口腔内の診察を省かない。深部間隙への波及を疑うときは造影CTが標準的な評価法であり、が原因歯の同定に役立つ6。

認識と診断

SOFAとスクリーニング

系統 SOFAで評価する指標
呼吸 比と
凝固
肝 ビリルビン
循環 MAPと
中枢神経 GCS
腎 クレアチニンまたは尿量

感染に伴う総SOFAの急性2点以上上昇が臓器障害の実務的指標となる1。既存臓器障害がなければを0と仮定するが、慢性障害があれば急性変化を評価する。

qSOFAは呼吸数22/分以上、意識変容、100 mmHg以下の3項目である。転帰不良リスクを素早く示すが、でも単独の除外・スクリーニング法でもない1。入院中の急性期患者のスクリーニングでは、を単独のツールとして使うよりNEWS、NEWS2、、を用いることが2026年SSCで強く推奨されている(エビデンスの確実性は中等度)8。なお敗血症は臨床診断であり、単一のや検査で確定も除外もしないことが good practice statement として掲げられている8。

初期評価

flowchart TD
    A["感染疑い+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute organ damage'>急性臓器障害</span>"] --> B["ABCDE・乳酸・血算・生化学・凝固・血液ガス"]
    B --> C["血液培養+感染部位の良質な検体"]
    C --> D["抗菌薬と循環・呼吸蘇生を開始"]
    D --> E["画像・診察で感染源を特定"]
    E --> F["ドレナージ・手術・デバイス除去"]
    F --> G["培養・臨床反応で狭域化"]
    G --> H["臓器支持と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluid overload'>過剰輸液</span>の解除"]

血液培養は可能なら抗菌薬前に、別部位から好気・嫌気ボトルへ適切量を採取するが、治療を遅らせない。尿、喀痰、髄液、、組織など感染源に応じた検体を得る。画像も感染源の特定に役立つ:胸部X線・での肺炎の、腹部での消化管穿孔を示す、閉塞性の感染性水腎症などを、疑う感染源に応じて選択する。

CRPやは補助であり、単独で敗血症を確定・除外しない。開始を決める場面と中止を決める場面で扱いが逆になる点に注意する——抗菌薬を開始するかどうかは、を足すより臨床評価だけで判断することが提案されるが、が十分で最適な投与期間が不明な例では、中止時期をと臨床評価の組み合わせで決めることが提案されている(いずれも条件付き推奨)8。

初期治療

抗菌薬

2026年SSCの時間枠8 推奨の強さ・確実性
の可能性がある/高い/確実 直ちに、理想的には認識1時間以内 強い推奨・きわめて低い
ショックなしで敗血症が確実または可能性が高い 直ちに、理想的には認識1時間以内 強い推奨・きわめて低い
ショックなしで敗血症の可能性がある 感染・非感染を時間限定で迅速評価し、懸念が残れば初回疑いから3時間以内 条件付き推奨・きわめて低い
感染可能性が低くショックなし 厳重な監視を続けながら抗菌薬を差し控える 条件付き推奨・きわめて低い

上の4行は「敗血症の確からしさ×ショックの有無」で切った主要な分岐であって、抗菌薬開始に関する推奨のすべてではない。院内での診療開始まで60分を超えると見込まれる(確定または可能性の高い敗血症+低血圧)では、救急車内・搬送機内での抗菌薬投与が提案されている(条件付き推奨・きわめて低い。ただし車内・機内で敗血症をスクリーニングする構造化された手順を整えたうえで実施する)8。またショックのない「可能性のある」敗血症では、感染性かかを迅速に評価すること自体が good practice statement として置かれている8。

⚠️ 上の4行は推奨の強さが同じではない。ショックがある場合とショックなしで敗血症が確実・可能性が高い場合の1時間は強い推奨であり、残る2行は条件付き推奨である。いずれもエビデンスの確実性は「きわめて低い」と評価されている8。

経験的薬は感染源、重症度、過去の培養・耐性菌、直近抗菌薬、医療曝露、局所感受性、臓器機能から選ぶ。耐性菌、嫌気性菌、真菌を全例一律にカバーせず、個別リスクが高い場合に追加する。

病原体と感受性が判明したら不要薬を中止・狭域化し、培養陰性でも毎日中止可能性を見直す。十分な後は、病態に応じて不要な長期治療を避ける。

感染源制御

膿瘍・のドレナージ、閉塞性の胆管炎・の減圧、壊死組織の、穿孔への手術、感染デバイス除去を早期に行う。緊急のを要する解剖学的診断・感染源がないかを速やかに評価することが good practice statement として掲げられ、処置を要する感染源では遅い制御より早い制御が提案される(診断から理想的に6時間以内。条件付き推奨・エビデンスの確実性はきわめて低い)8。

循環蘇生

  • 敗血症性低灌流またはショックでは、最初の3時間に少なくとも30 mL/kgの静注晶質液が提案される(条件付き推奨・エビデンスの確実性は低い)8。
  • これは全員への再評価なしの固定投与ではない。ガイドライン自身が付記のなかで、初期輸液量は個々の患者背景と状況を考慮して決めること、投与中は頻回に再評価し過少・過剰蘇生の害を避けることを求めている。体重はで計算し、 30 kg/m²超では補正体重またはを用いる8。
  • 初期液は晶質液とし、通常は0.9%食塩液よりを選ぶ(条件付き推奨)。ただしを合併する敗血症では0.9%食塩液が提案される8。
  • や少量負荷に対する・など、動的指標で追加輸液を判断する。
  • 、意識、尿量、皮膚、乳酸推移、肺うっ血を反復し、がなければ追加を止める。乳酸高値またはでは連続測定で蘇生を導くことが提案され(条件付き推奨・確実性は低い)、も他の灌流指標に対する補助として使ってよい。ただし乳酸が正常化するまで輸液を続けるのではなく、初回後は乳酸の低下幅を見ながら個別化する8。
  • 30 mL/kgを投与しても低灌流が続く場合、その後を制限的にするか寛容にするかは患者と医療の条件で決めてよい(条件付き推奨)8。

不安定なショックでは輸液とを同時に開始し得る。を待たず、監視下で適切なからを始める。

ノルアドレナリンを第一選択とする(ドパミン・アドレナリン・セレプレシンに対して強い推奨。確実性はドパミンに対して高く、アドレナリン・セレプレシンに対しては低い)。初期MAP目標は65 mmHgで、より高い目標より優れるとして強く推奨される(確実性は中等度)。実務上MAPを65 mmHgちょうどに保つことはできないので、ガイドラインは前後5 mmHg程度の幅を目標域としてするよう付記している。65歳以上では初期目標域を60〜65 mmHgとすることが提案される(条件付き推奨・確実性は低い)8。

ノルアドレナリンを増量している段階でを追加し(条件付き推奨)、ノルアドレナリンとでもMAPが不足すればアドレナリンを加える(条件付き推奨。が使えない環境ではノルアドレナリンにアドレナリンを足してよい)。心機能低下を併存するでは、第一選択をノルアドレナリンとアドレナリンのどちらにしてもよい(・が目立つならノルアドレナリン、・が目立つならアドレナリンが好まれうる)。十分な輸液と血圧にもかかわらず心機能低下・低灌流が続く場合は、ノルアドレナリンにを追加するかアドレナリン単独に切り替える8。

臓器支持と再評価

領域 要点
呼吸 ARDSでは6 mL/kgの低と30 cmH2O以下を上限目標とする(いずれも強い推奨)。でない敗血症関連のでは6〜8 mL/kgとし、それより低い4〜6 mL/kgにはしない(条件付き)。中等症〜重症では1日12時間を超えるを検討する(条件付き)8
ステロイド では静注副腎皮質ステロイドの使用が提案される(条件付き推奨・確実性は低い)。2026年版の推奨文には「の継続投与を要する例に限る」といった限定は付いていない8。実際に用いる薬剤はである
腎 の確たる適応がないではを行わないことが提案される(条件付き・確実性は中等度)。適応がある場合の持続式・間欠式は同等に扱ってよい8
輸血 を推奨(強い推奨)。活動性出血、虚血、重度低酸素は個別評価
血糖 血糖180 mg/dL(10 mmol/L)以上でインスリンを開始する(強い推奨・確実性は中等度)。低血糖を避ける8
予防 禁忌がなければ薬理学的予防を推奨し(強い推奨)、未分画ヘパリンより(など)を選ぶ(強い推奨)。薬理学的予防に機械的予防をするより薬理学的予防単独が提案される(条件付き)。消化管出血リスク例では予防をで行う(条件付き)8
栄養 早期(72時間以内)の開始が提案される(条件付き)8。実務上は循環が安定してから開始する

急性蘇生を過ぎて水分過剰が残れば、利尿薬や適応に応じたで能動的に水分を除く。退院後も筋力低下、、不安・抑うつ、睡眠障害、リスクを評価し、リハビリと服薬・感染予防計画につなぐ。

まとめ

  • 敗血症は感染に伴う生命を脅かす臓器障害で、菌血症やと同義ではない。
  • は予後指標であり、単独で診断・除外・院内スクリーニングに使わない。院内スクリーニングに・・を用いることは強い推奨である。
  • 抗菌薬の時間枠は状況ごとに推奨の強さが違う。ショックまたは確実・可能性の高い敗血症での1時間は強い推奨、可能性にとどまる敗血症での3時間と、感染らしくない例での差し控えは条件付き推奨である。
  • 肺・尿路・腹腔内などの定番に加え、も感染源として探す。から・へ進んだが、・顎骨・血流の3経路で全身へ及ぶ。
  • 培養、適時の抗菌薬、循環・呼吸蘇生、早期を並行する。
  • 初期晶質液30 mL/kgは条件付きの目安であり、動的反応と過剰負荷を反復評価する。
  • ノルアドレナリンとMAP 65 mmHgを基本に、臓器支持からの・リハビリまで連続して管理する。

出典

  1. 1.The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3)(Society of Critical Care Medicine / European Society of Intensive Care Medicine / JAMA・2016)敗血症を「感染に対する調節不全の宿主反応による生命を脅かす臓器障害」と再定義し、実務上はSOFAスコアの急性2点以上の上昇で表すとした。旧来の「感染+SIRS基準2項目以上=敗血症」という同定法を用いず、タスクフォースは「重症敗血症(severe sepsis)」という語を冗長(redundant)と結論した。qSOFAは院内の確定診断・除外ツールではなくベッドサイドの簡便な予後不良予測指標として提案した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.エンブレル皮下注25mgペン0.5mL/エンブレル皮下注50mgペン1.0mL 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2026)2.禁忌の筆頭2.1が「敗血症の患者又はそのリスクを有する患者」であり、角括弧内に「敗血症患者を対象とした臨床試験において、本剤投与群では用量の増加に伴い死亡率が上昇した。」と根拠が記されていることを確認した。閲覧 2026-09-17
  3. 3.Enbrel 25 mg powder for solution for injection — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2025)4.3の禁忌が成分への過敏症と「敗血症またはそのリスク」の2項目であり、同項が「慢性・限局性を含む活動性感染のある患者ではエンブレルによる治療を開始してはならない」と添えていることを確認した。閲覧 2026-09-17
  4. 4.ENBREL (etanercept) injection, for subcutaneous use — Highlights of Prescribing Information(Immunex Corporation / U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載、2024年10月改訂)・2024)4.CONTRAINDICATIONSが逐語で「Enbrel is contraindicated in patients with sepsis.」の1項目だけであることを確認した(Highlights末尾の改訂表示は10/2024)。閲覧 2026-09-17
  5. 5.Abdominal Compartment Syndrome: pathophysiology and definitions(Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine・2009)Europe PMC(PMC2654860)で全文を取得して逐語確認した。消化管の項が「Malperfusion of the gut as a result of elevated IAP has been speculated as a possible mechanism for loss of the mucosal barrier and subsequent development of bacterial translocation, sepsis, and multiple system organ failure」と述べており、腹腔内圧上昇から細菌転位・敗血症・多臓器不全へ至る経路が推定された機序として提示されていること(確立した因果としては書かれていない)、腸間膜血流の低下は腹腔内圧10 mmHg程度でも現れうるとすること。逆向きについては、続発性の腹部コンパートメント症候群を「IAH that develops as a result of an extra-abdominal etiology such as sepsis, capillary leak, major burns, or other conditions requiring massive fluid resuscitation」と定義し、敗血症・毛細血管漏出・大量輸液を要する病態を成因側に挙げていることを確認した。単著(Cheatham ML)であることはCrossrefで照合した閲覧 2026-09-17
  6. 6.Oral Facial Infection of Dental Origin: A Guide for the Medical Practitioner(StatPearls (NCBI Bookshelf, Brizuela M, Daley JO)・2025)2025年8月9日更新版で、歯性感染が生命を脅かす経過へ進む経路を確認した。下顎大臼歯の急性根尖膿瘍は頬側・舌側から口腔内へ排膿するか頸部の筋膜間隙へ広がり蜂窩織炎を来すこと、下顎大臼歯の根尖膿瘍が舌下・顎下・オトガイ下間隙へ及ぶとLudwigアンギナと呼ばれ気道閉塞を来す生命の危機となること(History and Physical節)、歯性感染が顎骨へ連続性に波及して骨髄炎を起こすこと、重篤な合併症として骨髄炎・Ludwigアンギナ・咽後膿瘍・傍咽頭膿瘍・壊死性縦隔炎・海綿静脈洞血栓症・髄膜炎・硬膜下膿瘍が挙がること(Complications節)、歯の感染や抜歯が菌血症としての血行性播種を来し弁膜症・人工弁のある患者では感染性心内膜炎に至りうること(Complications節)、部分萌出した歯とりわけ下顎第三大臼歯の周囲炎(智歯周囲炎)が局所の歯性感染の起点となり重症例では全身性の帰結を伴う深部筋膜間隙感染の感染源になりうること(Pathophysiology節)、深頸部感染や膿瘍形成が疑われるときパノラマX線が根尖病変・埋伏歯・骨の関与の同定に役立ち、造影CTが深部間隙の評価のgold standardであること、敗血症や原因不明の発熱が疑われるときは血液培養を採ること(Evaluation節)を確認した。閲覧 2026-09-05
  7. 7.Severe odontogenic infections with septic progress – a constant and increasing challenge: a retrospective analysis(BMC Oral Health(Weise H, Naros A, Weise C, Reinert S, Hoefert S。テュービンゲン大学病院口腔顎顔面外科)・2019)2012年2月〜2017年9月にドイツの単一大学病院へ入院した歯性感染483例の後ろ向き解析で、16例(3.3%、男13・女3、平均52.8歳)が敗血症の経過をたどったこと、その16例では全例が下顎の大臼歯または小臼歯の齲蝕歯を感染巣とし、全例が集中治療と気管切開を要し平均在院日数が27.8日であったこと、3例が多臓器障害症候群と心停止を来したこと、16例全例が糖尿病・肥満・慢性の飲酒/喫煙・リウマチ・口腔衛生不良などの危険因子を1つ以上持っていたこと、術中スワブから好気性・嫌気性の口腔内細菌が多菌性に検出されたこと、著者らが敗血症所見を伴う例には造影CTによる術前評価を勧めていることを確認した。歯性感染のうち敗血症へ進む例は「まれ」と原著自身が述べており、この3.3%は入院例を分母とした単施設の数字である。閲覧 2026-09-05
  8. 8.Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2026(Society of Critical Care Medicine / European Society of Intensive Care Medicine・2026)2021年版を土台にした成人ガイドライン。発行元SCCMの推奨一覧(Intensive Care Medicine 52巻5号863〜936頁、2026年3月23日公開)で各推奨の文言と格付けを確認した。院内の急性期患者ではqSOFAを単独ツールとするよりNEWS/NEW2/MEWS/SIRSを用いる(強い推奨・中等度)。敗血症は臨床診断であり単一のバイオマーカー・検査で確定も除外もしない(good practice statement)。抗菌薬は敗血症性ショック、およびショックのない確実・可能性の高い敗血症で「直ちに、理想的には認識1時間以内」(いずれも強い推奨・きわめて低い)、ショックのない可能性のある敗血症では時間限定の迅速評価を行い懸念が残れば初回疑いから3時間以内(条件付き・きわめて低い)、感染の可能性が低くショックがなければ、厳重な監視を続けながら投与を差し控える(条件付き・きわめて低い)。Antibiotic initiation にはこの4件のほかに、院内での診療開始までの見込み時間が60分を超える確定または可能性の高い敗血症+低血圧(すなわち敗血症性ショック)の成人へ救急車内または搬送機内での抗菌薬投与を提案する推奨(条件付き・きわめて低い。付記で、車内・機内の敗血症スクリーニングの構造化された手順を整えたうえでのみ実施すべきとする)と、ショックのない可能性のある敗血症では急性疾患の原因が感染性か非感染性かを迅速に評価すべきとする good practice statement がある。開始の可否は臨床評価単独をプロカルシトニン併用より優先し(条件付き・きわめて低い)、感染源制御が十分で最適期間が不明な例の中止判断ではプロカルシトニンと臨床評価の併用を臨床評価単独より優先する(条件付き)。最初の3時間に少なくとも30 mL/kgの晶質液(条件付き・低い。付記で個別化・頻回の再評価、BMI 30超では補正体重または理想体重を指示)、初期輸液は平衡晶質液を0.9%食塩液より優先(条件付き・中等度。付記で外傷性脳損傷合併例は0.9%食塩液)、30 mL/kg後も低灌流が続く場合の制限的/寛容の選択は患者・医療体制の要因による(条件付き・低い)。初期MAP目標65 mmHg(強い推奨・中等度。付記で前後5 mmHg程度の幅に滴定)、65歳以上は初期60〜65 mmHg(条件付き・低い)。ノルアドレナリンを第一選択(ドパミン・アドレナリン・セレプレシンに対して強い推奨。確実性はドパミンに対して高い、アドレナリン・セレプレシンに対して低い)、増量中の例にバソプレシンを追加(条件付き)、なお不足すればアドレナリンを追加(条件付き)、心機能障害合併例では第一選択をノルアドレナリンまたはアドレナリンとしてよい。乳酸高値または敗血症性ショックでは連続測定で蘇生を導く(条件付き・低い。付記で乳酸正常化まで輸液を続けるのではなく低下幅を見て個別化)。毛細血管再充満時間は他の灌流指標の補助として用いる(条件付き・低い)。感染源制御は理想的に診断から6時間以内(条件付き・きわめて低い)。敗血症性ショックには静注副腎皮質ステロイドを使用(条件付き・低い。推奨文に昇圧薬の継続投与を要する例に限る旨の限定は無い)。ARDSでは一回換気量6 mL/kg(強い推奨)とプラトー圧30 cmH2O以下(強い推奨)、ARDSでない低酸素性呼吸不全は理想体重6〜8 mL/kg(条件付き)、中等症〜重症ARDSでは1日12時間超の腹臥位(条件付き)。血糖180 mg/dL(10 mmol/L)以上でインスリン開始(強い推奨・中等度)。制限的輸血戦略(強い推奨)。薬理学的VTE予防を推奨(強い推奨)し未分画ヘパリンより低分子ヘパリン(強い推奨)、機械的予防の上乗せより薬理学的単独(条件付き)。消化管出血リスク例のストレス潰瘍予防はプロトンポンプ阻害薬(条件付き)。72時間以内の経腸栄養開始(条件付き)。腎代替療法の確たる適応が無い急性腎障害では腎代替療法を行わない(条件付き・中等度)。閲覧 2026-09-05