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Drug Atlas · A4 Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬 · 必修

エピネフリン

epinephrine

分類
Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬Hemostatics / 止血薬
商品名(日本)
ボスミンエピペン
商品名(EU)
Suprarenin
科目
Pharmacology
トピック
A4: CatecholaminesB1: Drugs influencing blood coagulation I: Antiplatelet agents. Fibrinolytic drugs. Drugs inhibiting bleeding
副作用
不安振戦
影響検査値
血糖乳酸
相互作用
コカイン
対象疾患
アナフィラキシークループ・急性喉頭蓋炎・細菌性気管炎循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)食物アレルギー心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)敗血症蕁麻疹

🧠 全体像:エピネフリンはα1・β1・β2をすべて同時にカバーする唯一のである。この受容体プロファイルの広さゆえに、アナフィラキシーという「血管拡張+」が同時多発する病態に唯一対応できる薬になる。もう1つ覚えておくべきは、この薬が2つの全く別のトピック()に同時に登場すること——ただしとして使うときも本質は変わらずであり、独立した止血機序を持つわけではない。

薬効群の中での位置づけ

カテコラミンとしての受容体プロファイル

薬剤 α1 β1 β2 主な適応
ノルアドレナリン +++ + (第一選択
エピネフリン +++ +++ +++ アナフィラキシー(第一選択)・心停止・重篤な
高用量で+ 中用量で+ ショック・
ほぼなし +++ +
+++ +++ 徐脈・房室ブロック

「アナフィラキシー=エピネフリン」がそのまま試験の答えになる理由:α1(血管収縮で血圧低下・浮腫を反転)+β1(心機能低下を反転)+β2(を反転)を同時に満たすのはエピネフリンだけ。抗ヒスタミン薬・ステロイドは補助であり、いずれもアナフィラキシーの血行動態と気道閉塞を直接反転させない。

「止血薬」としての位置づけ(⚠️ひっかけ)

B1(血液凝固に作用する薬)のトピックでは、エピネフリンはの並びに登場する。しかし他のとは成り立ちが根本的に異なる。

薬剤 分類 止血の機序
を遮断し線溶そのものを止める
ビタミンK 補因子 凝固因子Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹのγを助ける
フィブリンマトリックスを物理的に供給する
エピネフリン (局所適用) α1作動による血管収縮で出血部位の血流を減らすだけで、にもにも作用しない

⚠️ にエピネフリンを配合するのも同じ理屈:血管収縮での全身への拡散を遅らせ、を延ばし、の出血も減らすという一石三鳥だが、これは凝固能を高めているのではなく、あくまで受容体を介した血管収縮の副産物である。

機序

flowchart TD
    A["エピネフリン投与"] --> B["α1受容体(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>)"]
    A --> C["β1受容体(心筋)"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-2 receptor'>β2受容体</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchial smooth muscle'>気管支平滑筋</span>・肥満細胞)"]
    B --> B1["Gq→PLC→Ca²⁺↑→血管収縮"]
    B1 --> B2["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='elevated blood pressure'>血圧上昇</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal edema'>粘膜浮腫</span>の軽減"]
    C --> C1["Gs→cAMP↑→心拍数・収縮力↑"]
    D --> D1["Gs→cAMP↑→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchial smooth muscle relaxation'>気管支平滑筋弛緩</span>"]
    D1 --> D2["気管支拡張"]
    D --> D3["肥満細胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basophil'>好塩基球</span>のcAMP↑"]
    D3 --> D4["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='degranulation'>脱顆粒</span>・メディエーター遊離を抑制"]
    B2 & C1 & D2 & D4 --> E["アナフィラキシーの3系統(循環・気道・気管支)を同時に反転"]

💡 β2作用には気管支拡張だけでなく、肥満細胞・のcAMPを上げてヒスタミンなどのさらなる遊離を抑えるという側面もある。エピネフリンが単なる対症療法ではなく病態そのものの進行を止める薬である理由の一つ。

薬物動態

項目 値・特徴
IM(大腿外側・広筋群が第一選択)、IV(心停止・難治性ショック)、吸入()、局所(配合)
半減期 約2分(COMT・MAOで速やかに代謝)
IM vs 大腿外側のより血中濃度上昇が速い(血流の違いによる)。アナフィラキシーの(エピペン等)も大腿外側に打つ設計

適応

領域 使いどころ
アレルギー・免疫 アナフィラキシーの第一選択(禁忌なし)。蕁麻疹を伴う場合にも用いる
蘇生 心停止(では直ちに、VT/VFでは2回目の後にIV/IO 1 mgを3〜5分ごと)
呼吸器・小児 重篤な小児での吸入(を伴う中等症以上に追加。効果は約2時間で消失するため投与後2〜4時間の観察が必須
循環 難治性ショック(他のに反応不良な場合の追加選択肢)
局所 との併用(作用延長・の出血軽減)

用法・用量

アナフィラキシー:IM 0.3〜0.5 mg(成人、大腿群)を必要に応じ5〜15分ごとに反復する。心停止:IV/IO 1 mgを3〜5分ごと。吸入、効果消失後2〜4時間はがないか観察してから帰宅判断する。実際の用量は適応・年齢・体重・製剤(原液の希釈倍率に注意)で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で必ず確認する。

禁忌・注意

  • アナフィラキシーに対してはなし——心血管疾患があっても投与を遅らせてはならない
  • 心血管疾患:非緊急の適応(配合など)では慎重投与。・重度高血圧では原則使用を避ける
  • への吸入:効果が2時間で消失するため、「効いたから帰宅可」ではなく「効果が切れても落ち着いているから帰宅可」と判断する

副作用

頻度 内容
高頻度 頻脈、不安振戦
注意 高血圧、血糖上昇(糖新生・促進)、乳酸上昇(β2作用による解糖亢進、ショックの重症度指標と混同しないよう注意)
重篤・まれ 不整脈、(重度高血圧を背景に)

まとめ

  • の中で唯一α1+β1+β2をすべて作動する。だからアナフィラキシーの第一選択という唯一無二の地位を持つ。
  • β2作用は気管支拡張だけでなく、肥満細胞の抑制という「病態進行を止める」側面も持つ。
  • 」としての位置づけは⚠️ひっかけ:凝固・には作用せず、本質はα1血管収縮による
  • アナフィラキシーにはがない。投与をためらってはならない。
  • IMは大腿外側がより速い。心停止ではIV/IOで3〜5分ごと。
  • の吸入エピネフリンは効果が2時間で切れるため2〜4時間の観察が必須(リバウンド増悪説は否定されている)。
  • 血糖上昇・乳酸上昇はβ作用の生理的な副次効果であり、必ずしもの悪化を意味しない。