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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

蕁麻疹

Urticaria

別名
Hives膨疹
臓器系
皮膚免疫・膠原病
科目
DermatologyInternal Medicine
トピック
皮膚科 1-03:蕁麻疹の病態機序と臨床病型皮膚科 1-04:慢性蕁麻疹の管理内科学 R-14:アレルギー
鑑別疾患
アトピー性皮膚炎遺伝性血管性浮腫血清病後天性C1インヒビター欠乏症
関連疾患
アナフィラキシーアレルギー性鼻炎食物アレルギー薬疹(SJS・TENを含む)
治療薬
(レボ)セチリジン(デス)ロラタジンビラスチンオマリズマブデュピルマブレミブルチニブシクロスポリンAエピネフリンフェキソフェナジン
症状
血管性浮腫紅斑腫脹掻痒発熱浮腫疼痛
下位分類
日光蕁麻疹
適応薬
オロパタジンディメティンデンデュピルマブレミブルチニブ

🧠 全体像:蕁麻疹はの活性化により、24時間以内に消える、より深く72時間ほど残り得る、またはその両方を生じる疾患である。6週間を境に急性・慢性を分け、慢性はさらに自然発症型と誘発型に分類する。治療の軸は眠気の少ない第二世代H1抗ヒスタミン薬で、不十分なら増量、・経口などの段階的治療へ進む。

病態

flowchart TD
    A["IgE架橋・自己免疫・物理刺激・薬剤など"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cutaneous mast cell'>皮膚肥満細胞</span>の活性化"]
    B --> C["ヒスタミン・脂質メディエーター・サイトカイン放出"]
    C --> D["血管拡張と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='increased vascular permeability'>血管透過性亢進</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper (papillary) dermis'>真皮上層</span>なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wheal'>膨疹</span>"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep (reticular) dermis'>真皮深層</span>・皮下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='submucosal'>粘膜下</span>なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angioedema'>血管性浮腫</span>"]

一部のは食物・薬剤・昆虫毒に対するIgE依存性反応で生じるが、感染契機、非IgE性の1阻害型(NSAIDs)による増悪もある。慢性自然発症型では明確な外因性アレルゲンが同定できないことが多く、自己抗体などによる自己免疫性機序が重要とされる。

💡 蕁麻疹は「皮膚の肥満細胞がしたときの見え方」で理解すると整理しやすい。表層の浮腫が、深部・に及ぶととして痛み・圧迫感優位の腫脹になる。

臨床像

所見
主座 ・皮下組織・組織
外観 中央の浮腫性隆起と周囲の反射性紅斑 皮膚色〜紅色の境界不明瞭な腫脹
症状 強いそう痒、ときに灼熱感 痛み・圧迫感が優位で、そう痒は乏しいことが多い
持続 通常30分〜24時間、個々のは跡を残さず消える 最長72時間程度かけて消退し得る
好発部位 全身 眼瞼、口唇、舌、咽頭、喉頭、四肢

⚠️ 同じ病変が24時間を超えて残る、紫斑・疼痛・発熱を伴う、消退後に色素沈着を残す場合はなど別の病態を考える。

経過による分類

分類 定義 主な特徴
6週間以内 感染、食物、薬剤などが契機。多くは自然軽快する
6週間を超えて反復 慢性自然発症型とに分ける

典型的なでは広範なは不要で、病歴から疑う原因に絞る。でも無差別な検索・検査は避け、血算・炎症反応などを病歴と診察に応じて選択的に行う。

慢性蕁麻疹の病型

病型 誘因・特徴
明確な特異的誘因なしにが反復する
摩擦・部に線状のが生じる
・冷水への曝露。全身冷却(水泳など)ではアナフィラキシーの危険がある
持続圧迫の数時間後に深い腫脹・疼痛が生じる
運動・入浴・情動など体温上昇を契機に小型のが多発する
光曝露部に数分で発症する
温熱・振動・接触・水蕁麻疹 それぞれの刺激に再現性をもって出現する

誘発型では病歴に対応するを、全身反応に備えた環境で行う。

診断

診断は主に病歴と身体所見による臨床診断で、個々のが24時間以内に消えるかを確認することが急性・慢性の区別だけでなく、との鑑別にも重要である。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wheal'>膨疹</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angioedema'>血管性浮腫</span>"] --> B{"6週間を超えて反復するか"}
    B -->|"いいえ"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute urticaria'>急性蕁麻疹</span>:誘因の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Anamnesis'>病歴聴取</span>、広範な検査は不要"]
    B -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic urticaria'>慢性蕁麻疹</span>"]
    D --> E{"物理刺激に再現性があるか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic inducible urticaria'>慢性誘発型</span>:該当する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='challenge test'>負荷試験</span>"]
    E -->|"なし"| G["慢性自然発症型:無差別な検索は避け病歴・所見に応じ検査"]

血管性浮腫の重要な鑑別

を伴わない反復性では、肥満細胞性だけでなくを考える。

特徴 肥満細胞性
・そう痒 しばしばあり 通常なし
主な原因 蕁麻疹、アナフィラキシー ACE阻害薬、遺伝性・後天性欠乏
抗ヒスタミン薬・アドレナリン 通常反応する 原則として反応しにくい
評価 アレルギー・誘因の確認 C4量・機能、

⚠️ 嗄声、喘鳴、呼吸困難、舌・咽頭腫脹、低血圧、急速な全身症状は気道緊急である。を伴う典型的なアナフィラキシーならアドレナリンを直ちに投与する。は抗ヒスタミン薬・アドレナリンに反応しにくく、に特異的な治療を要するため区別が重要である。

治療

flowchart TD
    A["誘因・増悪因子を整理し患者教育"] --> B["第二世代H1抗ヒスタミン薬を標準用量で連日投与"]
    B --> C{"症状を十分に制御できたか"}
    C -->|"はい"| D["一定期間後に段階的減量を検討"]
    C -->|"いいえ"| E["同一薬を最大4倍量まで増量を検討<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='off-label'>適応外使用</span>を含むため専門的判断"]
    E --> F{"なお不十分か"}
    F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='omalizumab'>オマリズマブ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dupilumab'>デュピルマブ</span>・<br>経口<span class='jp-term jp-term-diagram' title='BTK inhibitor'>BTK阻害薬</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='remibrutinib'>レミブルチニブ</span>のいずれかを追加<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comorbidity'>併存疾患</span>等で選択、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='omalizumab'>オマリズマブ</span>が最も強く推奨)"]
    G --> H{"なお不十分か"}
    H -->|"はい"| I["専門医下で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclosporin'>シクロスポリン</span>を検討"]
段階 治療 注意点
第一選択 第二世代H1抗ヒスタミン薬 眠気・の少ない薬を毎日用いる
増量 標準量で不十分なら最大4倍量まで 薬剤ごとの承認用量を確認し、を説明する
追加:強い推奨 抗ヒスタミン薬高用量抵抗例に追加。反応を定期評価する1
追加:条件付き推奨 、または経口 喘息・など合併例は・速い効果発現を望む場合はが選ばれやすい1
血圧、腎機能、相互作用を監視し専門医が管理する
  • は鎮静、認知・運転能力低下、があるため、な第一選択にはしない。局所抗ヒスタミン薬は移動するを制御できず、感作の問題もあるため推奨されない。
  • 💡 2025年、米国FDAは抗ヒスタミン薬抵抗性のに対し(4月)と(9月)を相次いで承認し、改訂された国際ガイドラインはこの2剤をと並ぶ追加治療の選択肢として組み込んだ1。ただしが強い推奨であるのに対し、は条件付き推奨にとどまり、比較試験でもがなお上回る。、B細胞・肥満細胞ではなくIL-4/IL-13シグナルを遮断)は喘息・などの合併例でが期待され、(B細胞・肥満細胞・のシグナル伝達を担う〔BTK〕を阻害する)は効果発現が導入後1〜2週と速く、注射を避けたい患者に向く。
  • 長期のは、糖尿病、高血圧、症、感染、、筋力低下などの害が大きく、慢性には用いない。重いへの例外的使用も短期間に限定する。

⚠️ そのものにアドレナリンを定期使用しない。または循環不全を伴うアナフィラキシーでは、成人にアドレナリン1 mg/mL製剤を0.3〜0.5 mg大腿前外側へし、反応が不十分なら5〜15分ごとに反復する。

まとめ

  • は真皮の浮腫で24時間以内に消え、はより深く72時間程度持続し得る。
  • 6週間を超えれば慢性であり、自然発症性と誘発性に分ける。
  • では無差別な原因検索をせず、第二世代H1抗ヒスタミン薬を軸に段階的治療(増量→)を進める。
  • のない反復性ではACE阻害薬や異常を見逃さない。

出典

  1. 1.The International Guideline for the Definition, Classification, Diagnosis and Management of Urticaria(EAACI/GA²LEN/EuroGuiDerm/APAAACI・2026)原文で推奨の強度を確認した。オマリズマブは「We recommend adding on omalizumab…」=強い推奨(↑↑、強いコンセンサス>95%)、デュピルマブとレミブルチニブはいずれも「We suggest using…」=弱い(条件付き)推奨(↑、コンセンサス>75%)。3剤とも Evidence- and consensus-based。両剤は2025年に米国FDAが承認された。閲覧 2026-08-03