Symptoms · Published
血管性浮腫
Angioedema
- 別名
- クインケ浮腫血管神経性浮腫
- 臓器系
- 免疫・膠原病呼吸器
- 科目
- DermatologyIntensive Therapy and AnesthesiologyOtorhinolaryngology
- トピック
- 皮膚科 1-03:蕁麻疹の病態機序と臨床型麻酔科学 A-05:アナフィラキシーショック耳鼻咽喉科学 56:喉頭浮腫・遺伝性血管性浮腫
- 関連疾患
- アスピリン増悪呼吸器疾患アナフィラキシーバンコマイシン注入反応遺伝性血管性浮腫後天性C1インヒビター欠乏症食物アレルギー肥満細胞活性化症候群蕁麻疹
- 起因薬
- アリスキレンアログリプチンエナラプリルカプトプリルガルカネズマブサキサグリプチンシタグリプチンバルサルタン+サクビトリルヒアルロニダーゼビルダグリプチンフィナステリドペリンドプリルヨウ化カリウムラミプリルリナグリプチンレースカドトリルレタパムリン
🧠 全体像:血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) は、真皮深層deep (reticular) dermis真皮深層(deep (reticular) dermis)deep (reticular) dermis(真皮深層)・皮下組織・粘膜に急速な腫脹が生じる病態である。臨床で重要なのは、気道を脅かしているかを最初に判断し、次にヒスタミン/肥満細胞介在性mast cell-mediated 肥満細胞介在性(mast cell-mediated)mast cell-mediated(肥満細胞介在性) かブラジキニン介在性 bradykinin-mediated ブラジキニン介在性(bradykinin-mediated) bradykinin-mediated(ブラジキニン介在性) かを分けることだ。
蕁麻疹の有無と薬効歴で機序を推定する
| 特徴 | ヒスタミン/肥満細胞介在性mast cell-mediated肥満細胞介在性(mast cell-mediated)mast cell-mediated(肥満細胞介在性) | ブラジキニン介在性bradykinin-mediatedブラジキニン介在性(bradykinin-mediated)bradykinin-mediated(ブラジキニン介在性) |
|---|---|---|
| 蕁麻疹・掻痒 | しばしば伴う | 通常伴わない |
| 発症 | 数分〜数時間 | 数時間かけて進行しやすい |
| 腹痛 | ありうる | 強い疝痛・嘔吐を伴いうる |
| アドレナリン等への反応 | 期待できる | 乏しい |
| 主な背景 | 食物・薬剤・昆虫、特発性 | C1インヒビターC1 inhibitor C1インヒビター(C1 inhibitor)C1 inhibitor(C1インヒビター) 異常、ACEACE(angiotensin-converting enzyme)阻害薬・DPP-4DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬などの薬剤 |
⚠️ 蕁麻疹がなくてもアナフィラキシーは否定できず、機序が不明な急性腫脹では治療反応を待って気道評価を遅らせない。
舌・咽頭・喉頭の症状は気道緊急である
嗄声、咽頭絞扼感throat tightness咽頭絞扼感(throat tightness)throat tightness(咽頭絞扼感)、嚥下困難dysphagia嚥下困難(dysphagia)dysphagia(嚥下困難)、流涎drooling流涎(drooling)drooling(流涎)、舌腫脹tongue swelling舌腫脹(tongue swelling)tongue swelling(舌腫脹)、吸気性喘鳴inspiratory stridor吸気性喘鳴(inspiratory stridor)inspiratory stridor(吸気性喘鳴)、努力呼吸は喉頭浮腫laryngeal edema喉頭浮腫(laryngeal edema)laryngeal edema(喉頭浮腫)への進展を示す。酸素飽和度O₂ saturation 酸素飽和度(O₂ saturation)O₂ saturation(酸素飽和度) が保たれていても、上気道閉塞upper airway obstruction 上気道閉塞(upper airway obstruction)upper airway obstruction(上気道閉塞) は急速に悪化しうる。
flowchart TD
A["顔面・口唇・舌の急性腫脹"] --> B["気道・呼吸・循環を直ちに評価"]
B --> C{"嗄声・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tongue swelling'>舌腫脹</span>・喘鳴・低血圧があるか"}
C -->|"はい"| D["救急要請・気道確保チーム招集"]
D --> E["アナフィラキシーなら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intramuscular adrenaline (IM epinephrine)'>筋注アドレナリン</span>"]
C -->|"いいえ"| F{"蕁麻疹・掻痒・誘因があるか"}
F -->|"はい"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mast cell-mediated'>肥満細胞介在性</span>を評価"]
F -->|"いいえ"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin-converting enzyme'>ACE</span>阻害薬・家族歴・腹部発作を確認"]
H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin-mediated'>ブラジキニン介在性</span>を評価"]
アナフィラキシーが疑われれば、大腿前外側への筋注アドレナリン intramuscular adrenaline (IM epinephrine) 筋注アドレナリン(intramuscular adrenaline (IM epinephrine)) intramuscular adrenaline (IM epinephrine)(筋注アドレナリン) が第一選択である。抗ヒスタミン薬は皮膚症 dermopathy 皮膚症(dermopathy) dermopathy(皮膚症) 状の補助であり、気道・呼吸・循環障害を治療しない。
ブラジキニン介在性では標的治療を考える
再発性で蕁麻疹を欠く、家族歴がある、原因不明の腹部発作を反復する場合は遺伝性血管性浮腫hereditary angioedema (HAE)遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema (HAE))hereditary angioedema (HAE)(遺伝性血管性浮腫)を考え、C4、C1インヒビターC1 inhibitor C1インヒビター(C1 inhibitor)C1 inhibitor(C1インヒビター) 量・機能を評価する。ACE阻害薬は開始後長期間たってからでも原因になりうる。
急性発作には、利用可能性と病型に応じてC1インヒビター製剤C1 inhibitor concentrateC1インヒビター製剤(C1 inhibitor concentrate)C1 inhibitor concentrate(C1インヒビター製剤)、ブラジキニンB2受容体拮抗薬bradykinin B2 receptor antagonist ブラジキニンB2受容体拮抗薬(bradykinin B2 receptor antagonist)bradykinin B2 receptor antagonist(ブラジキニンB2受容体拮抗薬) (イカチバントicatibantイカチバント(icatibant)icatibant(イカチバント))などのオンデマンド治療 on-demand treatment オンデマンド治療(on-demand treatment) on-demand treatment(オンデマンド治療) を行う。咽喉頭pharynx and larynx 咽喉頭(pharynx and larynx)pharynx and larynx(咽喉頭) 発作では薬剤投与と並行して早期の気道計画を立てる。
⚠️ 抗ヒスタミン薬・ステロイド・アドレナリンはブラジキニン介在性 bradykinin-mediated ブラジキニン介在性(bradykinin-mediated) bradykinin-mediated(ブラジキニン介在性) の浮腫を治療しない。 これらが効くのは肥満細胞介在性 mast cell-mediated 肥満細胞介在性(mast cell-mediated) mast cell-mediated(肥満細胞介在性) の浮腫であり、遺伝性血管性浮腫hereditary angioedema (HAE) 遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema (HAE))hereditary angioedema (HAE)(遺伝性血管性浮腫) のガイドラインはブラジキニン介在性 bradykinin-mediated ブラジキニン介在性(bradykinin-mediated) bradykinin-mediated(ブラジキニン介在性) の発作にこれらを用いることを避けるよう明記している1。ただし機序が判然としない急性の腫脹では、アナフィラキシーを否定できない段階でアドレナリンを差し控える理由にはならない。
💡 家族歴がなくても新生変異 de novo variant 新生変異(de novo variant) de novo variant(新生変異) や後天性血管性浮腫acquired angioedema後天性血管性浮腫(acquired angioedema)acquired angioedema(後天性血管性浮腫)がある。正常なC4単独で完全に除外せず、発作時ictal 発作時(ictal)ictal(発作時) 期と検査条件を踏まえて専門評価につなげる。
薬剤性の血管性浮腫は「どの分解経路を止めたか」で読む
国際/カナダ版の遺伝性血管性浮腫 hereditary angioedema (HAE) 遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema (HAE)) hereditary angioedema (HAE)(遺伝性血管性浮腫) ガイドラインが「血管性浮腫angioedema 血管性浮腫(angioedema)angioedema(血管性浮腫) を起こすことが知られている薬剤」として名指ししているのは、ACE阻害薬・経口避妊薬(エストロゲン含有製剤)・DPP-4阻害薬・ネプリライシン阻害薬NEP inhibitorsネプリライシン阻害薬(NEP inhibitors)NEP inhibitors(ネプリライシン阻害薬)の4群である。遺伝性血管性浮腫hereditary angioedema (HAE)遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema (HAE))hereditary angioedema (HAE)(遺伝性血管性浮腫)(HAE)ではこれらを既知の誘因として中止・回避するよう求めている1。
⚠️ これらの薬を飲んでいることは、HAEを除外する理由にならない。 同ガイドラインは、薬剤による血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) があってもHAEの診断は否定されず、むしろ潜在していたHAEを顕在化させうるとして、薬剤歴を理由に検査を控えないよう明記している1。
| 薬剤群 | 代表薬 | 止まる分解経路 |
|---|---|---|
| ACE阻害薬 | エナラプリルenalaprilエナラプリル(enalapril)enalapril(エナラプリル)・ラミプリルramiprilラミプリル(ramipril)ramipril(ラミプリル)・カプトプリルcaptoprilカプトプリル(captopril)captopril(カプトプリル)・ペリンドプリルperindoprilペリンドプリル(perindopril)perindopril(ペリンドプリル) | ブラジキニンbradykinin ブラジキニン(bradykinin)bradykinin(ブラジキニン) とサブスタンスP substance P サブスタンスP(substance P) substance P(サブスタンスP) のカルボキシ末端側の分解 |
| ネプリライシン阻害薬NEP inhibitorsネプリライシン阻害薬(NEP inhibitors)NEP inhibitors(ネプリライシン阻害薬) | バルサルタン+サクビトリルvalsartan + sacubitrilバルサルタン+サクビトリル(valsartan + sacubitril)valsartan + sacubitril(バルサルタン+サクビトリル) | ブラジキニンbradykinin ブラジキニン(bradykinin)bradykinin(ブラジキニン) 分解のもう一つの経路 |
| DPP-4阻害薬 | 下の表の5剤 | サブスタンスPsubstance P サブスタンスP(substance P)substance P(サブスタンスP) のアミノ末端側の分解 |
| エストロゲン含有製剤 | エチニルエストラジオールethinylestradiolエチニルエストラジオール(ethinylestradiol)ethinylestradiol(エチニルエストラジオール)など | ガイドラインは誘因として挙げるだけで、機序は述べていない |
💡 DPP-4阻害薬が単独ではほとんど問題にならず、ACE阻害薬と併用したときに浮上するのはなぜか。 サブスタンスPsubstance P サブスタンスP(substance P)substance P(サブスタンスP) は ACE と DPP-4 という別々の端から分解されるため、片方を止めても残った経路が代償する。ビルダグリプチンvildagliptin ビルダグリプチン(vildagliptin)vildagliptin(ビルダグリプチン) の第III相試験 phase III trial 第III相試験(phase III trial) phase III trial(第III相試験) をプールして盲検下で判定した解析では、全体ではビルダグリプチン vildagliptin ビルダグリプチン(vildagliptin) vildagliptin(ビルダグリプチン) と血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) の関連は認められなかったのに対し、ACE阻害薬を併用していた患者に限ると 2,754例中14例 対 対照群1,819例中1例、オッズ比odds ratio, OR オッズ比(odds ratio, OR)odds ratio, OR(オッズ比) 4.57(95%CI 1.57-13.28)だった2。原著は絶対リスクabsolute risk 絶対リスク(absolute risk)absolute risk(絶対リスク) は小さいと述べており、ACE阻害薬とDPP-4阻害薬を同時に飲んでいる患者に血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) が出たら、この薬物相互作用を鑑別に入れる、というのが結論 conclusion 結論(conclusion) conclusion(結論) である。この解析はビルダグリプチン vildagliptin ビルダグリプチン(vildagliptin) vildagliptin(ビルダグリプチン) の試験で行われたものなので、他のDPP-4阻害薬にそのまま当てはめない。
⭐ ACE阻害薬の典型像をDPP-4阻害薬にそのまま当てはめない。 ACE阻害薬による血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) は服薬開始から年単位たってからでも起こるが、シタグリプチンsitagliptin シタグリプチン(sitagliptin)sitagliptin(シタグリプチン) のEUEU(European Union) SmPCは、血管性浮腫angioedema 血管性浮腫(angioedema)angioedema(血管性浮腫) を含む重篤な過敏症反応の発現が治療開始後3か月以内で、初回投与後の報告もあると書いている3。DPP-4阻害薬でのEU SmPCの頻度区分も、下の表のとおり「まれ」または「頻度不明」にとどまる。共通しているのはブラジキニンbradykininブラジキニン(bradykinin)bradykinin(ブラジキニン)/サブスタンスPsubstance P サブスタンスP(substance P)substance P(サブスタンスP) の分解が落ちる方向に働くという機序の側であって、経過までは同じではない。
DPP-4阻害薬は剤ごとに書かれ方が違う
「クラスで共通」とまとめると外す。EUのSmPCを5剤とも読むと、血管性浮腫angioedema 血管性浮腫(angioedema)angioedema(血管性浮腫) が挙がっている点は共通だが、頻度区分も、禁忌に掛かるかどうかも剤ごとに違う。
| 薬剤 | EUのSmPCでの血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) の扱い |
|---|---|
| シタグリプチンsitagliptinシタグリプチン(sitagliptin)sitagliptin(シタグリプチン) | 4.8の副作用一覧に頻度不明(市販後調査post-market surveillance市販後調査(post-market surveillance)post-market surveillance(市販後調査))。4.4は発現が治療開始後3か月以内で初回投与後の報告もあると述べる3 |
| リナグリプチンlinagliptinリナグリプチン(linagliptin)linagliptin(リナグリプチン) | 4.8の副作用一覧に rare(まれ、市販後の経験)4 |
| ビルダグリプチンvildagliptinビルダグリプチン(vildagliptin)vildagliptin(ビルダグリプチン) | 4.8の表には行が無く、表の後の記述で「報告はまれで対照群と同程度だが、ACE阻害薬併用時により高い割合で報告され、大半は軽症で投与継続のまま回復した」とする。4.5はACE阻害薬併用でリスクが高まりうると明記5 |
| アログリプチンalogliptinアログリプチン(alogliptin)alogliptin(アログリプチン) | 4.8の副作用一覧に頻度不明。4.3の禁忌が「いずれかのDPP-4阻害薬に対する血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) を含む重篤な過敏症反応の既往」を含む6 |
| サキサグリプチンsaxagliptinサキサグリプチン(saxagliptin)saxagliptin(サキサグリプチン) | 4.8の副作用一覧に Rare(併用レジメン4列すべて)。4.3の禁忌がアログリプチン alogliptin アログリプチン(alogliptin) alogliptin(アログリプチン) と同じ文言でクラス横断の既往を含む7 |
⚠️ 「他のDPP-4阻害薬で血管性浮腫 angioedema 血管性浮腫(angioedema) angioedema(血管性浮腫) を起こした人に、別のDPP-4阻害薬を出してよいか」への答えが規制 Regulation 規制(Regulation) Regulation(規制) 文書で割れている。 EUのSmPCではアログリプチンalogliptin アログリプチン(alogliptin)alogliptin(アログリプチン) とサキサグリプチン saxagliptin サキサグリプチン(saxagliptin) saxagliptin(サキサグリプチン) だけが禁忌に踏み込んでおり67、シタグリプチンsitagliptinシタグリプチン(sitagliptin)sitagliptin(シタグリプチン)・リナグリプチンlinagliptinリナグリプチン(linagliptin)linagliptin(リナグリプチン)・ビルダグリプチンvildagliptin ビルダグリプチン(vildagliptin)vildagliptin(ビルダグリプチン) のEU 4.3は各剤の成分への過敏症しか挙げない345。各剤の国別の書かれ方は薬剤ノート側に書いてある。
退院後は再発予防を設計する
誘因薬の中止、緊急時行動計画、自己投与self-administration 自己投与(self-administration)self-administration(自己投与) 薬の教育、専門医紹介を行う。遺伝性血管性浮腫hereditary angioedema (HAE) 遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema (HAE))hereditary angioedema (HAE)(遺伝性血管性浮腫) では処置前予防と長期予防の適応を、発作頻度だけでなく重症度、生活への影響、治療へのアクセスで個別化する。
まとめ
- 血管性浮腫angioedema 血管性浮腫(angioedema)angioedema(血管性浮腫) では最初に舌・咽頭・喉頭を評価し、気道悪化を予測する。
- 蕁麻疹、掻痒、薬剤歴、腹部発作から肥満細胞介在性 mast cell-mediated 肥満細胞介在性(mast cell-mediated) mast cell-mediated(肥満細胞介在性) とブラジキニン介在性 bradykinin-mediated ブラジキニン介在性(bradykinin-mediated) bradykinin-mediated(ブラジキニン介在性) を分ける。
- アナフィラキシーには筋注アドレナリン intramuscular adrenaline (IM epinephrine)筋注アドレナリン(intramuscular adrenaline (IM epinephrine)) intramuscular adrenaline (IM epinephrine)(筋注アドレナリン)、遺伝性血管性浮腫hereditary angioedema (HAE) 遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema (HAE))hereditary angioedema (HAE)(遺伝性血管性浮腫) には病型に応じた標的治療 targeted therapy 標的治療(targeted therapy) targeted therapy(標的治療) を行う。抗ヒスタミン薬・ステロイド・アドレナリンはブラジキニン介在性 bradykinin-mediated ブラジキニン介在性(bradykinin-mediated) bradykinin-mediated(ブラジキニン介在性) の浮腫には効かない。
- 薬剤性ではACE阻害薬・ネプリライシン阻害薬NEP inhibitorsネプリライシン阻害薬(NEP inhibitors)NEP inhibitors(ネプリライシン阻害薬)・DPP-4阻害薬・エストロゲン含有製剤を疑う。DPP-4阻害薬は単独よりACE阻害薬との併用で問題になり、ビルダグリプチンvildagliptin ビルダグリプチン(vildagliptin)vildagliptin(ビルダグリプチン) の試験プール解析 pooled analysis プール解析(pooled analysis) pooled analysis(プール解析) では併用例のオッズ比 odds ratio, OR オッズ比(odds ratio, OR) odds ratio, OR(オッズ比) 4.57(95%CI 1.57-13.28)だった。
- 薬剤歴があることはHAEを除外する理由にならない——むしろ潜在例を顕在化させうる。
出典
- 1.The International/Canadian hereditary angioedema guideline(Canadian Hereditary Angioedema Network (CHAEN/RCAOH)・2026)Europe PMC(PMC13123228)で全文を取得して確認した。血管性浮腫を起こすことが知られている薬剤としてACE阻害薬・経口避妊薬・DPP-4阻害薬・ネプリライシン阻害薬を挙げ、これらの薬剤歴はHAEの診断を否定せずむしろ潜在例を顕在化させうるため検査を控えないこと、C1インヒビター欠損型でも正常C1インヒビター型でもエストロゲン含有の経口避妊薬・補充療法/ACE阻害薬/DPP-4阻害薬/ネプリライシン阻害薬という既知の誘因は中止・回避すべきこと、抗ヒスタミン薬・ステロイド・アドレナリンは肥満細胞介在性の浮腫を治療するのであってブラジキニン介在性の浮腫には効かないことを逐語で確認した。閲覧 2026-09-14
- 2.Dipeptidyl Peptidase-IV Inhibitor Use Associated With Increased Risk of ACE Inhibitor-Associated Angioedema(Hypertension(Brown NJ, et al.)・2009)Europe PMC(PMC2758288)の抄録で確認した。ビルダグリプチンの第III相無作為化比較試験をプールし盲検下で判定した解析で、全体ではビルダグリプチンと血管性浮腫の関連は認められなかったが、ACE阻害薬を併用している患者ではビルダグリプチン群2,754例中14例・対照群1,819例中1例、Peto法のメタ解析でオッズ比4.57(95%CI 1.57-13.28)であったこと、著者が絶対リスクは小さいと述べていること、DPP-4がサブスタンスPなどACE阻害薬関連血管性浮腫の病態に関わりうるペプチドの分解を担うという機序の記述を逐語で確認した。本文は未取得で、確認したのは抄録の範囲にとどまる。閲覧 2026-09-14
- 3.Januvia 25 mg, 50 mg, 100 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics(Merck Sharp & Dohme(EU SmPC、EMA承認)・2025)4.8の副作用一覧で皮膚および皮下組織障害に angioedema が頻度不明(市販後調査に基づく)として挙がること、4.4の過敏症反応の項がアナフィラキシー・血管性浮腫・Stevens-Johnson症候群を含む剥脱性皮膚症状の市販後報告を挙げ、発現は治療開始後3か月以内で初回投与後の報告もあると述べること、4.3の禁忌が本剤の有効成分または添加剤への過敏症のみであることを確認した。10項の改訂年月欄は空欄のため、年はEPARの製品情報(英語版)のLast updated(2025-10-31)で判定した。閲覧 2026-09-14
- 4.Trajenta 5 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics(Boehringer Ingelheim(EU SmPC、EMA承認)・2026)4.8の副作用一覧で皮膚および皮下組織障害に Angioedema が rare(まれ、市販後の経験に基づく)として挙がること、4.3の禁忌が本剤の有効成分または添加剤への過敏症のみであることを確認した。10項の改訂年月欄は空欄のため、年はEPARの製品情報(英語版)のLast updated(2026-06-25)で判定した。閲覧 2026-09-14
- 5.Galvus 50 mg tablets — Summary of Product Characteristics(Novartis(EU SmPC、EMA承認)・2025)4.5の相互作用にACE阻害薬併用で血管性浮腫のリスクが高まりうるとの記載があること、4.8の副作用一覧の表には血管性浮腫の行が無く、表の後の「特定の副作用の記述」で、ビルダグリプチンでの血管性浮腫の報告はまれで対照群と同程度だがACE阻害薬併用時により高い割合で報告され、大半は軽症で投与を続けたまま回復したと述べていること、添付の患者向け説明書では血管性浮腫を rare(1,000人に1人まで)として直ちに受診すべき症状に挙げていること、4.3の禁忌が本剤の有効成分または添加剤への過敏症のみであることを確認した。10項の改訂年月欄は空欄のため、年はEPARの製品情報(英語版)のLast updated(2025-01-29)で判定した。閲覧 2026-09-14
- 6.Vipidia 6.25 mg, 12.5 mg, 25 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics(Takeda(EU SmPC、EMA承認)・2023)4.3の禁忌が、本剤の有効成分または添加剤への過敏症に加えて、いずれかのDPP-4阻害薬に対するアナフィラキシー反応・アナフィラキシーショック・血管性浮腫を含む重篤な過敏症反応の既往を含むこと、4.8の副作用一覧で angioedema が頻度不明として挙がること、4.4の過敏症反応の項がDPP-4阻害薬で観察されアログリプチンでも市販後に自発報告されたと述べていることを確認した。10項の改訂年月欄は空欄のため、年はEPARの製品情報(英語版)のLast updated(2023-07-21)で判定した。閲覧 2026-09-14
- 7.Onglyza 2.5 mg, 5 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics(AstraZeneca(EU SmPC、EMA承認)・2024)4.3の禁忌が、本剤の有効成分または添加剤への過敏症に加えて、いずれかのDPP-4阻害薬に対するアナフィラキシー反応・アナフィラキシーショック・血管性浮腫を含む重篤な過敏症反応の既往を含むこと、4.8の副作用一覧で Angioedema が併用レジメン4列すべてで Rare(まれ)として挙がること、4.4の過敏症反応の項が市販後にアナフィラキシー反応・アナフィラキシーショック・血管性浮腫が報告されたと述べていることを確認した。10項の改訂年月欄は空欄のため、年はEPARの製品情報(英語版)のLast updated(2024-05-13)で判定した。閲覧 2026-09-14