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Drug Atlas · B14 Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬 · 必修

フィナステリド

finasteride

分類
Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬
商品名(日本)
プロペシア
商品名(EU)
PropeciaProscar
科目
Pharmacology
トピック
B14: Androgens, anabolic steroids, antiandrogens. Agents affecting the sexual activity
副作用
浮腫
対象疾患
前頭部線維化性脱毛症前立腺肥大症脱毛症

🧠 全体像2型だけを選択的に阻害し、テストステロン→DHT変換を止める薬である。同じ標的()を持つが1型・2型の両方を阻害するのに対し、は「2型優位の組織(前立腺・毛包)」にほぼ絞って効く——このI型/II型の選択性の違いが、両薬の力価・半減期・適応の差をすべて説明する軸になる。

薬効群の中での位置づけ

前立腺癌の(GnRH作動・拮抗、CYP17阻害、AR拮抗)とは異なり、(5-ARI)はアンドロゲンそのものは減らさず、末梢での活性化だけを止めるという一段違うレベルで作用する。

レベル 代表薬 主な適応
GnRH作動・拮抗 精巣でのテストステロン産生 前立腺
合成阻害 CYP17(精巣・副腎・腫瘍) 前立腺
阻害 (2型のみ)(1+2型) テストステロン→DHT変換 前立腺肥大症
AR拮抗(ルタミド系) 前立腺

⚠️ は前立腺「肥大症」の薬であり、前立腺「癌」の治療薬ではない。 同じ「アンドロゲンに関わる薬」というくくりで前立腺癌の治療薬(GnRH療法・・AR拮抗薬)と混同しやすいが、適応領域が根本的に異なる点を必ず区別する。

BPHの薬物治療は「効果発現の速さ」で2系統に分かれ、5-ARIはその遅いほう。 など)が平滑筋緊張というを数日で緩めるのに対し、5-ARIはテストステロン→DHT変換を止めて前立腺体積という静的閉塞成分を縮小させる。効果発現に数か月〜半年かかるが、体積を最大30%程度縮小できる点はにない利点である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='finasteride'>フィナステリド</span>が2型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-alpha reductase'>5α還元酵素</span>を選択的に阻害"] --> B["テストステロン→DHT(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dihydrotestosterone (DHT)'>ジヒドロテストステロン</span>)への変換が低下"]
    B --> C["血中DHTが約70%低下"]
    C --> D["前立腺(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transformation zone (prostate: transition zone)'>移行帯</span>):DHT刺激低下→腺・間質の増殖が抑制→体積縮小"]
    C --> E["毛包:DHT刺激低下→ミニチュア化の進行が抑制→脱毛の進行を遅らせる"]
    F["1型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-alpha reductase'>5α還元酵素</span>(皮膚・肝臓に多い)"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='finasteride'>フィナステリド</span>は阻害しない"| G["1型経路のDHT産生は温存される"]

💡 なぜ「2型のみ」で前立腺にもAGAにも効くのか。 前立腺・毛包・生殖器の毛包は2型が優位な組織であり、はこの2型を選択的に阻害することで両方の適応をカバーする。一方、や肝臓で優位な1型は阻害しないため、DHT依存性の症状すべてに効くわけではない。

薬物動態

項目 値・特徴
約65%
半減期 6〜8時間(高齢者でやや延長)
代謝 主にCYP3A4で
DHT低下率 血中DHTを約70%低下(の90%超より小さい)

半減期の短さが制限の違いを生む。 の半減期は数時間なので、服薬中止後1か月可能になるのが一般的な目安である。これに対しは半減期が約5週間と桁違いに長く、中止後6か月制限が必要になる——同じクラスの薬で期間がこれほど違う理由を問われたら、この半減期の差で説明する。

適応

領域 使いどころ
前立腺体積が大きい・進行リスクが高い症例でと併用、または単独
低用量(1 mg)で頭・前頭部の脱毛進行を抑制。発毛というより進行を遅らせる薬である点を患者に説明する

💡 国・地域で承認用量が異なる。 日本ではAGA用の低用量製剤(0.2 mg・1 mg)は承認されているが、BPH用の高用量製剤(5 mg)は承認されていない(BPHにはを用いる)。欧米ではBPH用のProscar(5 mg)とAGA用のPropecia(1 mg)が別製品として流通する。

用法・用量

PO。目安:BPHは1日1回5 mg、は1日1回1 mgと適応によって用量が10倍近く異なる。効果発現は緩徐で、BPHでは数か月〜半年、AGAでは半年〜1年の継続評価を要する。実際の用量は適応・年齢・地域の承認内容で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:女性・小児への投与、妊婦(で外性器の女性化などの催奇形性が示されており、破損したに妊婦・妊娠可能性のある女性が触れないよう指導する)
  • ⚠️ PSA値を約50%低下させる。 BPH・AGAいずれの服用中も前立腺癌スクリーニングでPSAを評価する際はこの低下を補正して解釈する(服用中のPSA値を単純に2倍して評価するなどの実務的な目安がある)
  • 服薬中止後1か月を避ける(の6か月より短い)
  • うつ症状・が服薬中止後も遷延する「post-finasteride症候群」の報告があり、症状の説明と経過観察を行う

副作用

頻度 内容
高頻度 (多くは可逆的)
注意
重篤・まれ は確立していないが添付文書上の注意喚起がある)、浮腫

まとめ

  • 2型のみを選択的に阻害する5-ARI。1型も阻害すると対比される。
  • テストステロン→DHT変換を約70%抑制。前立腺(体積縮小、数か月〜半年)・毛包(脱毛進行の抑制)の両方に効く。
  • BPHと承認用量が別(5 mg vs 1 mg)。前立腺癌の治療薬ではない点を混同しない。
  • PSAを約50%低下させるため、前立腺癌スクリーニング時は補正が必要。
  • 半減期は数時間と短く、制限は中止後1か月は半減期約5週間で6か月)。
  • 妊婦は破損に触れない。・抑うつが中止後も遷延しうる。