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Drug Atlas · B34 Antineoplastics / 抗腫瘍薬 · 必修

リュープロレリン

leuprorelin

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモンSex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬
商品名(日本)
リュープリン
科目
Pharmacology
トピック
B15: Estrogens and antiestrogensB34: Drugs used in cancer treatment IV (Hormonal agents)B14: Androgens, anabolic steroids, antiandrogens. Agents affecting the sexual activity
対象疾患
子宮筋腫子宮内膜症・子宮腺筋症思春期早発症前立腺癌

🧠 全体像を持続的に刺激し続けることで、に受容体を「使い潰して」性ホルモン産生を止めるGnRH作動薬の代表格である。の生理的刺激では思春期を進める同じ受容体系が、非生理的な持続刺激では逆にされて止まる——この受容体生理の逆転現象が、前立腺癌のから中枢性の治療まで、一見正反対に見える適応をひとつの機序でつなぐ。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 適応の重心
GnRH作動薬 あり(開始後1〜2週に一過性増悪) 前立腺癌が中心。術前・中枢性にも用いる
GnRH作動薬 あり とほぼ同格。閉経前乳癌のでの使用が確立している点が異なる
GnRH拮抗薬 なし 前立腺癌でフレアを避けたい場面

同じGnRH作動薬でも、適応によって「持続刺激の結果」の解釈が正反対になる。 前立腺癌・では性ホルモンを下げることがが主役)。一方、中枢性では、が病的に早く活性化してしまった状態を同じ持続刺激でリセットして止める——「早すぎる思春期を、受容体を飽和させて眠らせる」という逆転の発想である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leuprorelin'>リュープロレリン</span>が下垂体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GnRH receptor'>GnRH受容体</span>を<br>非生理的・持続的に刺激"] --> B["投与初期:受容体はまだ感受性が高い"]
    B --> C["LH・FSH分泌が一過性に上昇(フレア)"]
    C --> D["前立腺癌では:一時的にテストステロン↑"]
    A --> E["数日〜数週間の持続刺激が続く"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GnRH receptor'>GnRH受容体</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='downregulation'>ダウンレギュレーション</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='desensitization'>脱感作</span>"]
    F --> G["LH・FSH分泌が持続的に低下"]
    G --> H["性腺(精巣・卵巣)からの性ホルモン産生が低下"]

⚠️ は前立腺癌でこそ臨床的に重要。 がある患者では一過性のテストステロン上昇がの増悪や、稀に脊髄圧迫・尿路閉塞の悪化を招きうる。そのため投与開始前〜開始後2〜4週間はなどのAR拮抗薬を先行・併用投与して、フレア中のアンドロゲン作用をAR受容体レベルで遮断するのが標準的な手順である。

薬物動態

項目 値・特徴
皮下・ではない)
製剤 1か月・3か月・4か月・6か月ごとに投与する複数の製剤があり、適応・患者背景で選ぶ
テストステロン抑制の 開始後1〜2週でフレア→約3〜4週でに到達

適応

領域 使いどころ
前立腺癌(進行例) ADT()の主軸。AR拮抗薬の先行投与とセットで使う
疼痛コントロール。低用量エストロゲン・を併用するで骨密度低下・を軽減しながら使う
術前の一時的な腫瘍縮小・貧血是正目的
中枢性 持続刺激によるでLH・FSH分泌を止め、思春期の進行を止める

用法・用量

前立腺癌では月1回〜6か月に1回のを皮下・する。開始前後はなどのAR拮抗薬を並行投与してフレアの影響を抑える。、中枢性では適応ごとに用量・が異なる。実際の用量は適応・年齢・製剤で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌・慎重投与:妊娠中・妊娠可能性のある女性(性腺機能を強く抑制するため)
  • ⚠️ 投与開始直後の のある前立腺癌患者では増悪・脊髄圧迫・尿路閉塞のリスクがあるため、AR拮抗薬の先行・併用投与を必ず検討する
  • ⚠️ 長期使用による骨密度低下。 性ホルモンの抑制が続くためのリスクが上昇する。長期投与例では骨密度のフォローを検討する
  • うつ症状の悪化・出現に注意

副作用

頻度 内容
高頻度 、注射部位反応、性機能低下(
注意 投与開始直後のフレア増悪・悪化など、一過性)、骨密度低下、気分の変化
重篤・まれ 脊髄圧迫・尿路閉塞の増悪(フレアに伴う、AR拮抗薬先行投与で回避すべき事象)、QT延長

まとめ

  • GnRH作動薬の代表格。持続的な非生理的刺激でし、LH・FSH分泌を止める。
  • 投与開始直後にが起こる——先に一過性のホルモン上昇があり、数週間かけて抑制に転じる。
  • 前立腺癌では患者の増悪・脊髄圧迫を避けるため、AR拮抗薬(など)を先行・併用投与する。
  • )はこのフレアが起こらない点が最大の違い。
  • 前立腺癌以外にも術前・中枢性と幅広く使われる——「性ホルモン抑制」という同じ機序が複数の適応をつなぐ。
  • 長期使用では骨密度低下に注意。とはほぼ同格の薬で、剤形と乳癌領域での確立度が主な違い。