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Disease Atlas · 生殖・産婦人科 · 疾患

子宮内膜症・子宮腺筋症

Endometriosis and adenomyosis

臓器系
生殖・産婦人科
科目
Gynecology
トピック
婦人科 28:子宮内膜症と子宮腺筋症
鑑別疾患
異常子宮出血(機能性子宮出血)子宮筋腫卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍
続発疾患
卵巣癌
治療薬
リュープロレリンゴセレリンノルエチステロンメドロキシプロゲステロン酢酸エステルトラネキサム酸
症状
圧痛月経困難症過多月経血尿深部性交痛恥骨上部痛血便排尿痛排便痛慢性骨盤痛
画像所見
水腎症
組織像
卵巣子宮内膜症卵巣子宮内膜症関連癌の分子機序
適応薬
ダナゾール

🧠 全体像は子宮外に存在する内膜様組織がエストロゲン依存性に増殖・出血し、炎症・線維化・癒着・を起こす疾患、は内膜腺・間質が内に存在しびまん性の子宮腫大を起こす疾患である。どちらもの原因になり得るが、病変部位、診断の進め方、妊孕性への対応が異なる。現行の考え方では、腹腔鏡は診断の必須条件ではなく、画像所見と症状に基づくを先行させる。

子宮内膜症

定義と好発部位

は、子宮内膜様の腺管・間質が子宮腔外に存在する、エストロゲン依存性の慢性炎症性疾患である。好発部位は卵巣、骨盤腹膜、、直腸S状結腸、であり、手術瘢痕、虫垂、横隔膜・胸腔などにも生じ得る。卵巣病変は古い血液を含む(いわゆる「」)となる。

発生機序

単一の理論では説明できず、、免疫・炎症、ホルモン環境が関与する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retrograde menstruation'>月経血の逆流</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coelomic metaplasia'>体腔上皮化生</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphatic'>リンパ行性</span>播種"] --> B["子宮外に内膜様組織が成立"]
    B --> C["エストロゲン依存性の増殖・出血"]
    C --> D["反復する炎症"]
    D --> E["線維化・癒着・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neural sensitization'>神経感作</span>"]
    E --> F["疼痛・臓器機能障害・不妊"]

症状と診察

病変・病態 主な所見
骨盤腹膜・
直腸・ 、月経時の便通異常・
膀胱・尿路 、血尿、、水腎症
卵巣 、破裂時の
卵管・卵巣周囲の癒着 不妊、付属器可動性低下

診察では後屈・宮、の圧痛・、圧痛を伴うの病変を認めることがある。⭐ 症状の強さと病変の広がりは必ずしも一致しない。

診断

flowchart TD
    A["病歴・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic examination'>骨盤診察</span>から疑う"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transvaginal ultrasonography, TVUS'>経腟超音波検査</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endometriotic cyst'>内膜症性嚢胞</span>・深部病変を評価"]
    B --> C{"画像所見・症状から診断可能か"}
    C -->|"はい、または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='empiric therapy'>経験的治療</span>が有効"| D["臨床診断のもとで薬物療法を継続"]
    C -->|"画像陰性で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='empiric therapy'>経験的治療</span>が無効・不適切、または手術適応あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='laparoscopic'>腹腔鏡下</span>で診断・治療し病理学的に確認"]

MRIは深部病変や手術計画に有用である。画像が陰性でも表在性病変は除外できないため、症状・妊孕性希望に応じて経験的薬物療法または腹腔鏡を選ぶ。

⚠️ 現行の考え方は薬物治療開始前の必須条件ではない。画像(超音波・MRI)を第一選択の診断手段とし、臨床的疑いが強ければ経験的ホルモン治療を先行させ、腹腔鏡は画像陰性かつが無効・不適切な場合に限定する。CA-125単独で診断・除外・スクリーニングはできない。

病理では内膜腺、内膜間質、などを確認する。病変は黄褐色・黒色の、白色線維化、透明小胞など多彩である。

重症度分類

は腹腔鏡所見を点数化し、I期(最小)〜IV期(重症)に分ける。病変の深さ、癒着、を反映するが、⚠️ 疼痛の強さや妊娠可能性を直接予測する分類ではない

治療

目標 主な選択肢
疼痛の初期治療 NSAIDs、などの
持続する疼痛 GnRH作動薬()/拮抗薬を(低用量エストロゲン・併用)と併用、適切な症例で手術
妊孕性温存 病変切除・癒着剥離、を年齢・・病変に応じて選択
根治的手術 妊娠希望がなく保存治療抵抗性の場合、病変切除を伴うを検討。は利益と閉経リスクを個別判断する

は副作用のため現在は限定的な使用にとどまる。の手術は症状、悪性疑い、嚢胞径、の計画を総合して決め、⚠️ 固定した径だけで一律に手術しない。は再発・疼痛を減らせる一方、正常卵巣組織を失いが低下し得るという利益と不利益のバランスで判断する。

子宮腺筋症

病態と臨床像

・間質が内に存在し、周囲の筋層肥大を伴う病態である。無症状のこともあるが、、貧血、不妊を生じ得る。診察ではびまん性に腫大した・軟らかい圧痛子宮を触れることがある。局所型はと呼ばれる。

診断と治療

を第一選択とし、嚢胞、不均一な筋層、、内膜筋層境界の不整などを評価する。MRIは診断不明例や手術計画に有用である。が確定診断となるが、現在は画像所見から子宮摘出前にも臨床診断できる。

治療はNSAIDs、、GnRH関連薬を症状と妊娠希望に応じて選ぶ。妊娠希望がなく保存療法で制御できない場合、が最も確実な治療となる。子宮温存手術・は適応を選んで検討する。

まとめ

  • は子宮外病変による炎症・癒着が中心、内病変によるびまん性子宮腫大が中心である。
  • 内膜症の診断は症状・診察・超音波/MRIから始め、腹腔鏡は全例に必須ではなく、画像陰性かつが無効・不適切な場合に限定する。CA-125単独では診断・除外できない。
  • 米国生殖医学会の(I〜IV期)は病変の広がりを表すが、疼痛の強さや妊孕性を直接予測しない。
  • 治療は疼痛の程度、出血、年齢、妊孕性希望、を軸に、NSAIDs・・手術を個別化して選ぶ。
  • を第一選択の診断法とし、妊娠希望がなく保存療法抵抗性ならが最も確実な治療となる。