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Drug Atlas · B14 Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬 · 必修

ダナゾール

danazol

分類
Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬
商品名(日本)
ボンゾール
商品名(EU)
Danatrol
科目
Pharmacology
トピック
B14: Androgens, anabolic steroids, antiandrogens. Agents affecting the sexual activity
承認適応
子宮内膜症遺伝性血管性浮腫
禁忌疾患
ポルフィリン症深部静脈血栓症前立腺癌
副作用
多毛体重増加黄疸嗄声うっ血乳頭
監視検査値
血算アミノトランスフェラーゼ(AST・ALT)AFPクレアチンキナーゼ脂質検査
相互作用
アトルバスタチンカルバマゼピンシクロスポリンAシンバスタチンタクロリムスワルファリン
対象疾患
Fanconi貧血骨盤うっ血症候群先天性角化異常症
原因となる疾患
肝細胞腺腫肝紫斑病脳静脈洞血栓症

🧠 全体像:は「効くけれど、効き方そのものが副作用になる」という薬の典型である。誘導体として、では組織を萎縮させ、HAEではの産生を増やして発作を減らす——機序の異なる2つの疾患に効くという点でユニークだが、いずれの適応でも男性化・脂質異常・肝毒性・血栓症というアンドロゲン様作用そのものが治療継続を妨げる。だからこそ両疾患とも、より標的の絞られた新しい薬(作動薬、、など)に第一選択の座を譲りつつある。

薬効群の中での位置づけ

・が並ぶB14トピックの中で、は数少ない「アンドロゲン作動薬」側に位置する。

薬剤 機序 特徴
弱い刺激+下垂体ゴナドトロピン抑制+阻害 とHAEの両方に適応を持つ唯一の薬
外因性アンドロゲン(AR作動) の補充療法
作動薬(持続刺激で) の第一選択の一角

⚠️ でもHAEでも、は「効くが副作用が重い」という同じ理由で第一選択から外れつつある。 では作動薬・に、HAEでは・・に主役を譲っているが、いずれの疾患でも肢として今も使われている点は共通する。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='danazol'>ダナゾール</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synthetic androgen'>合成アンドロゲン</span>誘導体)を投与"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='androgen receptor'>アンドロゲン受容体</span>を弱く刺激"]
    A --> C["下垂体からのゴナドトロピン(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>)分泌を抑制"]
    A --> D["卵巣・副腎での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='steroidogenic enzyme'>ステロイド生成酵素</span>を阻害"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sex hormone-binding globulin (SHBG)'>性ホルモン結合グロブリン</span>(SHBG)と結合し遊離ホルモン濃度を変化"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ovulation suppression'>排卵抑制</span>・エストロゲン低下→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endometriosis'>子宮内膜症</span>病変の萎縮"]
    D --> G["HAEでは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C1 inhibitor'>C1インヒビター</span>の肝産生量を増加させる"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>産生系のブレーキが強化され発作頻度が減少"]

💡 とHAEでは「効かせる標的」が違う。 ではを作ってを萎縮させることが主眼だが、HAEでは欠乏しているの肝合成を底上げすることが主眼であり、両者に共通するのはアンドロゲン様作用という副作用の土台である。

適応

領域 使いどころ
婦人科 (適応例)。日本ではこれに加えてにも適応がある
免疫・アレルギー (HAE)の(・米国の添付文書上の適応。現在は第一選択ではない1)。起きている発作を止める目的では用いない2。下の「での使い方」を参照

⚠️ 同じ成分でもが国によって違う。 上の区分は のSmPC → 日本の電子添文 → 米国の添付文書の順に採る。

資料 承認されている効能・効果
スペイン Danatrol カプセル()3 (症状の治療およびの縮小。手術との併用またはに反応しない例への単独)との両方
日本 ボンゾール錠4 、。は含まない
米国 danazol カプセル5 (の適応となるもの)と、あらゆる型(皮膚・腹部・喉頭)の発作の予防

⭐ 承認適応 欄がとの2つなのは、順位1の SmPC がその2つを掲げているからである。 日米の合成ではない。一方、は日本だけの適応で、・米国のいずれの文書にも無いため欄には入れていない。は名ではなく、のうちに生じるをまとめて呼ぶ臨床上の包括用語である(「線維嚢胞性」という言い方も今なお使われる)。用法は日本の電子添文で1日200 mgを2回に分け4〜6週間連続投与とされ、(1日200〜400 mgを約4か月)より短い4。

⚠️ は「 では取れない薬」ではなかったが、加盟国ごとに流通状況が違う。 学習先のハンガリーでは公的医薬品データベースの製剤一覧・一覧のどちらにも danazol が現れず、現在は流通していない6。英国の electronic Medicines Compendium にも現行SmPCの収載が無い7。スペインでは Danatrol 50/100/200 mg カプセルが販売中で、そのSmPCを順位1の資料として採った3。数か国で見つからないことは、全域に承認が無いことを意味しない。

遺伝性血管性浮腫での使い方

⚠️ 長期予防と(処置前)を分けているのはガイドラインであって、添付文書ではない。 ・米国の添付文書はどちらも継続的なしか規定していない——スペインのSmPC 4.2は「良好な反応が得られたあとは、最小有効を継続的な予防投与量として定める」(la dosis de mantenimiento efectiva más baja debería establecerse como dosis de tratamiento continuo preventivo)とし3、米国添付文書も適応を prevention of attacks of angioedema of all types、用法の見出しを continuous treatment of hereditary angioedema と書く5。処置の5日前から開始するは、どちらの添付文書にも記載が無い——下の表のとおりガイドライン側の枠組みである2。

⚠️ 起きている発作の治療には用いない。 2026年の国際/カナダ版ガイドラインは推奨4(確実性Low・強い推奨)で「とは発作の急性期治療に用いるべきでない」と述べている。理由は安全性上の禁忌ではなく、欠損によるHAE発作の急性期治療での有効性が示されていないことである2。💡 がHAEに効くのはの肝合成を底上げする機序であり、血中濃度が上がるまでに時間がかかることが、数時間で進行する発作に間に合わない理由と考えられている(この機序の説明自体はガイドラインの推奨文には書かれていない)。

使う場面 位置づけ 用量(ガイドライン)
急性発作 用いない(推奨4、Low・強い推奨) —
(処置前) 第一選択は静注の血漿由来/遺伝子組換え(推奨26、Low・強い推奨)。アンドロゲンはが入手できないときに考慮する 2.5〜10 mg/kg/日(最大600 mg/日)。処置の5日前から開始し2〜3日後まで継続
長期予防 第一選択は・ドニダロルセン・・・血漿由来(推奨32)。アンドロゲンは第一選択から外れたが選択肢としては残る 最小(200 mg/日以下)で効果が得られる範囲にとどめる

💡 「第一選択でない」は「使ってはいけない」ではない。 ガイドラインは、アンドロゲンとは長期予防の第一選択ではないとしたうえで、これまでその薬で効果が得られてきた患者や、にアクセスできない患者では考慮してよいと明記している。同時に、を使う前にこれらを試す必要はない、とも述べている2。歴史的に多くの患者がアンドロゲンで発作をコントロールされてきた一方、根拠となる試験の質には問題があるとも評価されている。

⚠️ 小児では思春期完了前は禁忌。 推奨42(確実性Moderate・強い推奨)は、アンドロゲンが早期を起こすためTanner Stage 5 に達する前の小児の長期予防には禁忌とする。思春期完了後で他に手段が無ければ考慮しうるが、最小で開始し定期的に副作用を監視する2。

アンドロゲン療法中の監視

⚠️ ガイドラインは中の全例に定期的な監視を求めている2。

間隔 項目
6か月ごと 血算、、尿検査、血清()、、脂質、血圧(高血圧の監視)
年1回 肝

日本の電子添文も、定期的な肝機能検査(8.6)と、長期投与で肝腫瘍・肝臓紫斑病(肝ペリオーシス)の報告があることを理由とする定期的な肝等の画像診断(8.7)を求めており4、肝臓を監視すること自体は国際ガイドライン・日本の電子添文・のSmPCの3者で一致している。

⚠️ 一致していないのは間隔である。 のSmPCは肝を「6か月を超える長期投与またはでは2年ごと」とし、あわせて定期的な肝機能検査と血液学的検査を勧めている3のに対し、2026年の国際/カナダ版ガイドラインは年1回を求める2。日本の電子添文は「定期的に」とするだけで間隔を示していない4。より短い間隔を求めているのはガイドライン側である。・・脂質・血圧はガイドラインだけが明記しているの項目である。

用法・用量

⚠️ 用量は国と資料によって大きく違う。日本の電子添文が示す用量は、のSmPC・米国添付文書のいずれよりも低い上限で書かれている。

適応・資料 用量
(・スペインSmPC) 1日200〜800 mgを分割。1日200〜400 mgで30〜60日たっても症状が改善しなければ1日800 mgを超えない範囲で増量する。連続投与期間は通常3〜6か月3
(日本の電子添文) 1日200〜400mgを2回に分け、第2〜5日より約4カ月間連続。症状により増量する4
(日本の電子添文) 1日200mgを2回に分け、第2〜5日より4〜6週間連続4
(米国添付文書) 軽症は1日200〜400mgを2回に分けて開始。中等症〜重症およびによる不妊例は1日800mgを2回に分けて開始し、以後は無月経を維持できる用量までを検討する。治療は月経中に開始し、3〜6か月(必要なら9か月まで)中断なく継続5
HAE 長期予防(・スペインSmPC) 成人の平均開始量は1日400〜600 mg。2か月間無症状であれば1日300 mg、さらに1日200 mgへ減量してよく、反応が得られたあとは最小有効を継続予防量とする3
HAE 長期予防(米国添付文書) 1回200mgを1日2〜3回(1日400〜600mg)で開始し、良好な初期反応が得られたら1〜3か月以上の間隔で1回につき50%以下ずつ減量してを探る。⚠️ 減量中に発作が起きたら1日量を最大200mg「増量」してよい(the daily dosage may be increased by up to 200 mg)——1日量を200mgにするという意味ではない5
HAE 長期予防(2026年国際ガイドライン) 最小(200 mg/日以下)にとどめる2
HAE (2026年国際ガイドライン) 2.5〜10 mg/kg/日(最大600 mg/日)を、処置の5日前から開始し2〜3日後まで継続2

💡 HAEのについて、・米国の添付文書とガイドラインは同じ方向を向いているが到達点が違う。 どちらの添付文書も1日400〜600 mgで開始して段階的に減らす手順を書き、のSmPCは「2か月間無症状なら300 mg、さらに200 mgへ」という具体的な段を示す。ガイドラインは有害事象を抑えるために最終的に200 mg/日以下を目標とする。「効く最小量まで下げる」という考え方は3者に共通で、ガイドラインだけが目標値を上限として明示している。

⚠️ 高齢者の扱いも国で違う。 EUのSmPCは高齢者への投与を推奨しないと述べ3、日本の電子添文は1日100mgへの減量など注意するとする4。禁止と減量は別のことなので、まとめて「高齢者では減量する」と書かない。

⚠️ 日本では投与開始のタイミングが用法の一部として指定されている。 女性胎児の男性化を起こしうるため、電子添文は「本剤の投与開始は妊娠していないことを確認し、必ず第2〜5日より行う」「治療期間中はホルモン剤以外の方法で避妊させる」と定めている4。のSmPCも同様に、治療は月経中に開始するか、そうでなければ妊娠していないことを検査で確かめ、投与中はホルモン剤以外の避妊法を用いるよう求めている3。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

日本の電子添文の禁忌は全適応共通で、とで書き分けられていない4。

禁忌(日本の電子添文、10項目) 理由
血栓症(・脳血栓など)の既往歴 血栓症を起こすおそれ
・・など凝固の欠損または減少 血栓症を起こすおそれ
重篤な肝障害・肝疾患 原疾患が悪化するおそれ
重篤な心疾患 浮腫等の症状が強くあらわれるおそれ
重篤な腎疾患 浮腫等の症状が強くあらわれるおそれ
症状を悪化させるおそれ(を誘導するため)
(前立腺癌など) 症状を悪化させるおそれ
診断のつかない 悪性腫瘍の疑いがあるため
妊婦または妊娠している可能性のある女性 女性胎児の男性化
で母乳中へ移行

のSmPCの禁忌(4.3)と米国添付文書の禁忌はどちらも箇条書き8項目で、内容はほぼ重なる——過敏症、妊娠、授乳(は「妊娠および授乳」を1項目にまとめ、米国は別項に分ける)、心・腎・肝機能の著明な障害、、、診断のつかない、活動性の血栓症・血栓塞栓症およびその既往35。日本とは、それぞれ他が持たない項目を1つずつ抱えている(米国だけが持つ項目は無い)。

その資料だけが持つ禁忌 内容
日本の電子添文だけ ・・など凝固の欠損または減少4
EUのSmPCだけ との併用3

⚠️ 凝固の欠損・減少は日本の電子添文だけが明示している禁忌である。 ・米国の禁忌には「活動性の血栓症・血栓塞栓症およびその既往」はあるが、・・の欠損は含まれない354。血栓症の既往が無くても、これらの欠損があれば投与しない。

⚠️ との併用は、では「注意」ではなく禁忌である。 の阻害によりで代謝されるスタチンの血中濃度が上がり、ミオパシー・のリスクが高まるためで、のSmPCはこの1剤だけを4.3の禁忌欄に置いている3。日本の電子添文では、もも10.2の併用注意にとどまる4。同じ相互作用が、国によって禁忌と注意に分かれる典型例である。

2026年の国際/カナダ版ガイドラインは、HAEでアンドロゲンを使う立場から妊娠・授乳中、思春期前、悪性腫瘍、肝炎を禁忌として挙げている2。思春期前(早期)と肝炎は日本の電子添文の禁忌欄には無い項目で、日本では肝疾患は「重篤な」ものだけが禁忌、それ以外は9.3.2の慎重投与に置かれている4。

  • ⚠️ 日本の電子添文の「」は血栓症である——「血栓症を引き起こすおそれがあるので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること」。下肢の疼痛・浮腫、激しい頭痛、嘔吐、吐き気、めまい等が現れたら投与を中止する。危険性は高齢者、特に40歳以上で高くなる4
  • ⚠️ 米国添付文書にはが設定されている。 内容は①妊娠中の投与は禁忌で女性胎児の男性化(・・の異常・・外性器の曖昧化)が報告されていること ②上矢状洞血栓症や致死的な脳卒中を含む血栓塞栓症 ③長期投与での・良性がで初めて顕在化しうること ④・頭痛・・で始まるの4点で、防御に足る最小用量を探すよう明記されている5。日本の欄は血栓症だけなので、「の重さは国で違う」という形で覚える
  • ⚠️ 重大な副作用(日本の電子添文、いずれも頻度不明):血栓症(・肺塞栓症・・網膜血栓症)、心筋梗塞、、肝腫瘍・肝臓紫斑病(肝ペリオーシス)、4
  • ⚠️ (上矢状洞血栓症)を挙げているのは・米国の文書のほうである。 日本の電子添文の11.1.1が列挙するのは・肺塞栓症・・網膜血栓症で、静脈洞という語は使われていない。のSmPCは血管障害の項に「上矢状洞血栓症・脳血管血栓症・」を、米国はに sagittal sinus thrombosis を挙げる35
  • ⚠️ ——の薬剤性の型——は米国のに名指しで入っている。 米国添付文書は初期徴候を・頭痛・・とし、これらがある患者はの有無をスクリーニングして、認めれば直ちにを中止し神経内科へ紹介するよう求めている5。日本の電子添文が「良性頭蓋内圧亢進」の注として挙げる症状は頭痛・・一過性視力障害やで、は含まれない4。💡 眼底を見なければ拾えない所見を初期徴候の筆頭に置いているのが米国の書き方で、頭痛やを訴えたらまで進むかどうかが分かれ目になる。のSmPCは、男性化・や頭蓋内圧亢進の徴候・黄疸などの著明な肝障害・血栓症のいずれかが現れたら投与を中止するよう定めており、とくに男性化については中止しないとアンドロゲン作用が不可逆になる危険が高まると明記している3
  • 治療患者で卵巣癌の発現リスクが増大するとの報告がある4
  • 本剤は阻害作用を持つ。これが相互作用の主軸である4
  • ワルファリン:が延長し、(血尿・等)を増強する。日本の電子添文は機序を「肝細胞のクマリンレセプター部位への親和性増加と、ビタミンK依存性因子の産生阻害・促進」とし、自身が抗凝血性を高めるとの報告にも触れている(単純なとしては説明されていない)4
  • カルバマゼピン:代謝抑制により作用が増強する
  • ・:阻害で血中濃度が上昇し、ミオパシー・の報告がある。⚠️ のSmPCではとの併用が禁忌である一方、日本では併用注意にとどまる34
  • ・:血中濃度が上昇し作用が増強する。のSmPCは、これにより両薬の腎毒性が増しうると付け加えている3
  • との併用でインスリン抵抗性が増強し高血糖を来しうる4
  • カルシドールとの併用で血中カルシウム値が上昇したとの報告がある(のSmPCは原発性でカルシウム応答が増強しうると書く)43
  • 本剤はテストステロンやの臨床検査結果に干渉しうる(日本の電子添文12、のSmPC 4.5)43
  • のSmPCだけが挙げる相互作用として、フェニトイン・(カルバマゼピンと同様に血中濃度や反応性へ影響しうる)との効果減弱がある3

副作用

頻度 内容
10%以上(日本の製造販売後調査を含む) 16.25%、上昇13.53%、浮腫10.31%4
高頻度 体重増加、消化器症状(悪心・嘔吐・胃不快感・)、脂質異常(低下・上昇)
男性化(アンドロゲン様) 、、嗄声(不可逆的な声の変化になりうる)、、、(性器出血・無月経)
精神症状 情動の・不安定、攻撃性、抑うつ、2。日本の電子添文でも・精神不安・抑うつが挙がる
肝臓 ・黄疸、肝炎、、ごくまれに2、肝臓紫斑病(肝ペリオーシス)
重篤・まれ 血栓塞栓症、心筋梗塞、、肝腫瘍・肝臓紫斑病、(以上が日本の電子添文の重大な副作用5項目)4。良性頭蓋内圧亢進(のSmPCでは「まれ」3、日本の電子添文では「頻度不明」のその他の副作用4)
のSmPCが加える項目 (日光・人工紫外線を不必要に浴びないよう指導する)、・、膵炎(まれ)、症・・血小板減少、脾臓の紫斑病(きわめてまれ)、や困難、、てんかんの悪化・片頭痛の誘発、HAEでの長期使用に伴う血尿、精子形成の低下3

⚠️ 声の変化は不可逆になりうる。 ガイドラインはアンドロゲンの男性化作用として、・男性化・不可逆的な声の変化・を明記している2。長期投与の可能性がある患者には、開始前にこの点を説明しておく。

⚠️ 肝の腫瘍性病変は「」で止まらない。 ガイドラインはアンドロゲンがと、ごくまれにに関連づけられてきたと述べている2。年1回の肝と6か月ごとのが求められるのはこのためである。

まとめ

  • 誘導体として、(の萎縮)とHAE(産生増加)という機序の異なる2疾患に効く珍しい薬。
  • (スペイン Danatrol)と米国では・HAEの両方が適応だが、日本のボンゾール錠は・のみでHAEは適応に含まれない。は日本だけの適応である。用量も、日本の電子添文がで1日200〜400mg(症状により増量)とするのに対し、のSmPCは1日200〜800 mg、米国添付文書は中等症〜重症で1日800mgを挙げており、資料によって水準が違う。
  • ⚠️ は加盟国ごとに流通が違う。 学習先のハンガリーの公的医薬品データベースにも英国 emc にも収載が無く、順位1の資料として採れたのはスペインのSmPCである。数か国で見つからないことを「に承認が無い」と読まない。
  • HAEでは長期予防・に限って用い、起きている発作の治療には用いない(2026年国際ガイドライン推奨4、強い推奨)。長期予防の第一選択からは外れたが、既に効果が得られている患者・にアクセスできない患者では選択肢として残る。使うときは最小(200 mg/日以下)にとどめる。
  • いずれの疾患でも、男性化・血栓塞栓症・肝毒性というアンドロゲン様の重大な副作用のため、現在は第一選択の座を新しい標的薬に譲りつつある。声の変化は不可逆になりうる。
  • 中は6か月ごとに血算・・尿検査・・・脂質・血圧を、年1回肝を行う(2026年国際ガイドライン)。のSmPCは肝超音波を「6か月超の投与では2年ごと」、日本の電子添文は「定期的に」とするだけで、間隔を最も短く定めているのはガイドラインである。
  • 妊娠は(女性胎児の男性化)。日本だけが凝固(・・)の欠損・減少を禁忌に挙げ、だけがとの併用を禁忌に挙げる。 相互作用ではワルファリン(の延長)と、阻害を介するスタチン・・・カルバマゼピンに注意する。
  • 米国添付文書にはがあり、妊娠・血栓塞栓症・や・の4点を挙げる。日本の欄は血栓症だけである。

出典

  1. 1.The international WAO/EAACI guideline for the management of hereditary angioedema – The 2021 revision and update(World Allergy Organization / European Academy of Allergy and Clinical Immunology・2021)長期予防の第一選択がpdC1-INH・lanadelumab・berotralstatであり、副作用のためアンドロゲン誘導体(danazolなど)は現在は第一選択とされていないことを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.The International/Canadian hereditary angioedema guideline(Canadian Hereditary Angioedema Network (CHAEN/RCAOH)・2026)推奨4(Low/Strong)が「アンドロゲン誘導体とトラネキサム酸は発作の急性期治療に用いるべきでない」と述べ、理由が急性期治療での有効性が示されていないことであること、推奨26の解説がアンドロゲンを短期予防に用いるのはC1インヒビター製剤が入手できないときに限るとし、その場合ダナゾール2.5〜10 mg/kg/日(最大600 mg/日)を処置の5日前から開始し2〜3日後まで続けるとしていること、推奨32の解説が長期予防の第一選択をベロトラルスタット・ドニダロルセン・ガラダシマブ・ラナデルマブ・血漿由来C1インヒビター製剤とし、アンドロゲンは第一選択ではないが既に効果が得られている患者や第一選択薬にアクセスできない患者では考慮してよく、その際は最小有効量(200 mg/日以下)を用いるとしていること、アンドロゲンの有害事象として脂質異常・肝毒性・肝炎・肝細胞腺腫およびごくまれに肝細胞癌、月経異常・男性化・不可逆的な声の変化・多毛、情動不安定や攻撃性・抑うつ・不安障害といった精神症状を挙げていること、アンドロゲン療法中の全例に6か月ごとの血算・肝酵素・尿検査・血清αフェトプロテイン・CK・脂質と高血圧の監視、および年1回の肝超音波検査を勧めていること、アンドロゲンが妊娠・授乳中、思春期前、アンドロゲン依存性悪性腫瘍、肝炎で禁忌とされること、推奨42(Moderate/Strong)が小児の長期予防にアンドロゲンを用いるべきでないとし理由が早期骨端閉鎖でTanner Stage 5に達するまで禁忌であることを確認した。閲覧 2026-09-05
  3. 3.Ficha técnica Danatrol 200 mg cápsulas(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (AEMPS/CIMA)・2017)スペインで販売中の Danatrol(ダナゾール)50・100・200 mg カプセルのSmPCが、4.1で子宮内膜症と遺伝性血管性浮腫の両方を適応としていること、4.2で子宮内膜症は1日200〜800 mgを分割し通常3〜6か月・遺伝性血管性浮腫は成人の平均開始量が1日400〜600 mgで2か月間無症状なら1日300 mgまたは200 mgへ減量し最小有効維持量を探すこと、高齢者には推奨されないこと、4.3の禁忌が8項目(有効成分・添加物への過敏症、妊娠および授乳、心・腎・肝機能の著明な障害、ポルフィリン症、アンドロゲン依存性腫瘍、診断のつかない異常性器出血、活動性の血栓症・血栓塞栓症およびその既往、シンバスタチンとの併用)でありアンチトロンビンIII・プロテインC・プロテインSの欠損を含まないこと、4.5でCYP3A4で代謝されるスタチンとの併用によりミオパシー・横紋筋融解症のリスクが高まり**シンバスタチンとの併用は禁忌**とされること、4.4が男性化・うっ血乳頭や頭蓋内圧亢進の徴候・黄疸などの肝障害・血栓症が現れたら投与を中止するよう求め、6か月を超える長期投与または反復投与では2年ごとの肝超音波検査と定期的な肝機能・血液学的検査を勧めていること、4.4が子宮内膜症の治療を受けた患者で卵巣癌のベースラインリスクが上がりうるとする2つの症例対照研究の予備的結果に触れていること、4.8で有害事象として上矢状洞血栓症・脳血管血栓症・動脈血栓症、心筋梗塞、間質性肺炎、良性頭蓋内圧亢進、良性肝腺腫、長期使用での悪性肝腫瘍と肝紫斑病、声の変化、多毛、ざ瘡、陰核肥大、乳房縮小、LDL上昇とHDL低下を挙げていることを確認した。テキストの改訂は2017年6月閲覧 2026-09-07
  4. 4.ボンゾール錠100mg 電子添文(2025年12月改訂 第3版)(田辺ファーマ株式会社 / 医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)日本の電子添文の効能又は効果が子宮内膜症と乳腺症のみで遺伝性血管性浮腫を含まないこと、警告が「血栓症を引き起こすおそれがあるので慎重に投与」であること、禁忌が10項目(血栓症の既往、アンチトロンビンIII・プロテインC・プロテインS等の凝固制御因子の欠損または減少、重篤な肝障害・肝疾患、重篤な心疾患、重篤な腎疾患、ポルフィリン症、アンドロゲン依存性腫瘍、診断のつかない異常性器出血、妊婦、授乳婦)で全適応共通の見出しの下に置かれ適応別の書き分けが無いこと、用法が子宮内膜症で1日200〜400mgを2回に分け月経周期第2〜5日より約4カ月連続・乳腺症で1日200mgを2回に分け4〜6週間連続であり高齢者は1日100mgへの減量を求めること、重大な副作用が血栓症・心筋梗塞・劇症肝炎・肝腫瘍および肝臓紫斑病・間質性肺炎の5つであること、8.6と8.7で定期的な肝機能検査と肝超音波検査等の画像診断を求めていること、本剤がCYP3A4阻害作用を持ちシンバスタチン・アトルバスタチンでミオパシー横紋筋融解症、シクロスポリン・タクロリムスで血中濃度上昇が報告されていること、ワルファリンとの相互作用の機序が肝細胞のクマリンレセプター部位への親和性増加とビタミンK依存性因子の産生阻害・異化促進とされていること、15.1に子宮内膜症治療患者で卵巣癌発現リスクが増大するとの報告が記載されていることを確認した。閲覧 2026-09-05
  5. 5.DANAZOL capsules, USP — prescribing information(Chartwell RX, LLC / DailyMed(米国FDA)・2024)米国添付文書(effective_time 2024年10月10日。openFDA の label API が返す danazol の4版のうち最新)上、ダナゾールが子宮内膜症とあらゆる型の血管性浮腫(皮膚・腹部・喉頭)発作予防の両方に適応があること、HAEでは1回200mgを1日2〜3回で開始し良好な初期反応が得られたら1〜3か月以上の間隔で50%以下ずつ減量し、発作が起きた場合は1日量を最大200mg「増量してよい(the daily dosage may be increased by up to 200 mg)」とされていること、子宮内膜症では中等症〜重症および子宮内膜症による不妊例で1日800mgを2分割で開始し無月経を維持できる用量まで漸減を検討する・軽症では1日200〜400mgを2分割で開始するとし、治療は月経中に開始し3〜6か月(必要なら9か月まで)中断なく継続すること、**枠組み警告(BOXED WARNING)**が設定されており妊娠中の投与禁忌と女性胎児の男性化(陰核肥大・陰唇癒合・尿生殖洞欠損・腟閉鎖・外性器の曖昧化)、上矢状洞血栓症や致死的脳卒中を含む血栓塞栓症、長期投与での肝紫斑病・良性肝腺腫(腹腔内出血で初めて顕在化しうる)、うっ血乳頭・頭痛・悪心嘔吐・視覚障害で始まる良性頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍。うっ血乳頭があれば直ちに中止し神経内科へ紹介する)を挙げ、防御に足る最小用量を探すよう求めていること、禁忌が8項目(診断のつかない異常性器出血、著明な肝腎心機能障害、妊娠、授乳、ポルフィリン症、アンドロゲン依存性腫瘍、活動性の血栓症・血栓塞栓症およびその既往、過敏症)でありアンチトロンビンIII・プロテインC・プロテインSの欠損は含まれないことを確認した。閲覧 2026-09-08
  6. 6.OGYÉI Gyógyszeradatbázis(Országos Gyógyszerészeti és Élelmezés-egészségügyi Intézet(ハンガリー国立薬事・食品衛生研究所)・2026)ハンガリーの公的医薬品データベースの製剤一覧と有効成分一覧のいずれにも danazol が現れないこと、すなわち学習先の国では現在ダナゾール製剤が流通していないことを確認した。同じ一覧に metformin・ibuprofen・warfarin・tamoxifen が有効成分として現れるので一覧そのものは機能している(陽性対照)。⚠️ これはハンガリー1国の登録状況であって、EU加盟国全体で承認が無いことを示すものではない(実際スペインには Danatrol が販売中である)。閲覧 2026-09-07
  7. 7.electronic Medicines Compendium (emc) — medicine search(Datapharm / electronic Medicines Compendium・2026)英国の electronic Medicines Compendium を danazol で検索すると「No search results for danazol」が返り、現行のSmPCが収載されていないことを確認した。⚠️ 収載が無いことは承認が取り消されたことを意味しない。emc は現在流通している製品の添付文書を集めたものである。⚠️ この url は文書ではなく検索クエリのページなので、英国で製品が収載されれば同じ url が別の内容を返す。ここで支えられるのは accessed の日付時点で0件だったという調査記録だけであり、収載されたときは url を emc の製品ページ(/emc/product/ に製品IDが続く形)へ差し替える。閲覧 2026-09-07