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Drug Atlas · B1 Hemostatics / 止血薬 · 必修

ベロトラルスタット

berotralstat

分類
Hemostatics / 止血薬
商品名(日本)
オラデオ
商品名(EU)
Orladeyo
科目
Pharmacology
トピック
B1: Drugs influencing blood coagulation I: Antiplatelet agents. Fibrinolytic drugs. Drugs inhibiting bleeding
承認適応
遺伝性血管性浮腫
副作用
腹痛嘔吐下痢背部痛
影響検査値
QT延長
相互作用
シクロスポリンAジゴキシン

🧠 全体像は「血漿を、毎日1錠ので、長期に抑える」長期予防薬である。皮下注射剤()が主流だった長期予防に、初めて注射なしで毎日続けられるという選択肢を持ち込んだ。半減期は約93時間と非常に長く、1日1回の服用でも安定した血中濃度を維持できる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的・機序 投与頻度・場面
血漿の阻害(経口) 1日1回経口、長期予防専用
血漿へのモノクローナル抗体(皮下注) 2週ごと(安定時4週ごとも可)、長期予防専用
FXIIaへのモノクローナル抗体(皮下注) 月1回、長期予防専用
血漿(経口) オンデマンド治療専用

血漿を標的にするという点でと機序は同じだが、場面が正反対である。 は発作の起こる前に毎日服用して予防し、は発作が起きてから頓用する。同じ標的でも「毎日飲むか、起きた時だけ飲むか」で設計(半減期約93時間 vs 数時間)がまったく逆になっている好例である。

機序

flowchart TD
    A["血漿<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kallikrein'>カリクレイン</span>が高分子キニノーゲンを切断"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>が遊離し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular permeability'>血管透過性</span>が亢進"]
    B --> C["浮腫が形成される"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='berotralstat'>ベロトラルスタット</span>が血漿<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kallikrein'>カリクレイン</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active site'>活性部位</span>に結合し阻害"] --> E["高分子キニノーゲンの切断が持続的に抑制される"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>産生が長期にわたり減少し発作が予防される"]

💡 半減期が約93時間と長いため、1日1回の服用を1〜2回忘れても血中濃度が急落せず予防効果が保たれやすい。 長期予防薬にとって重要なの実務上の利点になっている。

薬物動態

項目 値・特徴
半減期(中央値) 約93時間(範囲39〜152時間)
代謝 CYP2D6・CYP3A4
自身の作用 150mgでCYP2D6・CYP3A4を中程度に阻害。2倍量(300mg)ではP糖蛋白も阻害
食事の影響 食後投与が推奨される

適応

(HAE)発作の長期予防(発症抑制)。⚠️ 対象年齢が日米で異なる——米国は2歳以上(2歳以上12歳未満には体重別用量の経口ペレット製剤がある)1、日本は成人および12歳以上の小児である2。急性発作そのものの治療には用いず、などのオンデマンド治療薬を併用する2。日本では2021年1月に承認された、HAE治療薬として初の経口の長期予防薬である3

用法・用量

成人および12歳以上の小児には150mg(1カプセル)を1日1回、食後にする2。米国では消化器有害事象が持続する場合に110mgへ減量でき、中等度〜重度B・C)でも110mgへ減量する1

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤成分への過敏症の既往歴のみ2
  • ⚠️ のQT延長:150mgを超える用量でに観察される。日本の添付文書では投与前後の心電図検査が推奨されている12
  • 急性発作のでは使用しないことを患者・家族に十分説明する
  • 相互作用:CYP2D6・CYP3A4基質薬、P糖蛋白基質薬(ジゴキシンなど)、、QT延長を来す薬剤との併用で血中濃度上昇・QT延長リスクに注意する2

副作用

米国ので頻度10%以上の副作用は、腹痛(150mg群23% vs 10%)・嘔吐(15% vs 3%)・下痢(15% vs 0%)・である1。これらの消化器症状の多くは治療開始早期に生じ、時間の経過とともに軽減・自然軽快する。重大な副作用として(日本の後で3.8%)とQT延長がある2

まとめ

  • 血漿を阻害する初の経口長期予防薬——1日1回、食後服用。
  • 半減期が約93時間と非常に長く、の多少のずれに強いプロファイルを持つ。
  • 消化器症状(腹痛・嘔吐・下痢)がに多いが、治療継続とともに軽減する傾向がある。
  • QT延長・に注意し、CYP2D6・CYP3A4・P糖蛋白を介した薬物相互作用(ジゴキシン・など)に留意する。急性発作の治療には使わない。

出典

  1. 1.ORLADEYO (berotralstat) capsules, for oral use — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2024)berotralstatが経口血漿カリクレイン阻害薬として2歳以上のHAE長期予防に用いられること、12歳以上の用量が150mgを1日1回食後経口投与(消化器有害事象が持続する場合は110mgへ減量可)であること、中等度〜重度肝機能障害(Child-Pugh B/C)では110mgへ減量すること、median半減期が約93時間であること、150mgを超える用量でQTc間隔延長が濃度依存性に観察されること、頻度10%以上の副作用が腹痛(150mg群23% vs プラセボ10%)・嘔吐(15% vs 3%)・下痢(15% vs 0%)であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制薬「オラデオカプセル150mg」の日本国内における製造販売承認取得について(株式会社オーファンパシフィック / 鳥居薬品株式会社・2021)オラデオカプセル150mg(ベロトラルスタット塩酸塩)が2021年1月22日に日本で製造販売承認を取得した、HAE発作抑制を効能・効果とする経口血漿カリクレイン阻害薬であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.オラデオカプセル150mgの基本情報(効能・効果・用法・用量・禁忌・相互作用)(日経メディカル処方薬事典)日本における承認用法・用量が成人および12歳以上の小児に150mgを1日1回経口投与であること、禁忌が本剤成分への過敏症の既往歴のみであること、QT延長のため投与前後に心電図検査が推奨されること、重大な副作用として肝機能障害(3.8%)が記載されていること、シクロスポリン・CYP3A4基質薬・CYP2D6基質薬・ジゴキシン・QT延長を来す薬剤との相互作用に注意が必要であることを確認した。閲覧 2026-08-10