症状ノート一覧へ

Symptoms · Published

腹痛

Abdominal pain

臓器系
消化器全身
科目
Internal MedicinePediatrics
トピック
内科学 L-54:急性腹症・腹痛の鑑別診断小児科学 2-14:小児急性腹症
関連疾患
1型糖尿病2型糖尿病Caroli病IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)Krukenberg腫瘍S状結腸捻転TNF受容体関連周期性症候群アナフィラキシーアマトキシン中毒アルコール性ケトアシドーシスアルシン(ヒ化水素)ガス中毒イソプロパノール中毒カドミウム中毒カンナビノイド悪阻症候群クローン病クロストリディオイデス・ディフィシル感染症コレステロール塞栓症ダンピング症候群トリコベゾアールナットクラッカー症候群バーキットリンパ腫バッド・キアリ症候群ヒ素中毒ベーチェット病ボツリヌス症ポルフィリン症マントル細胞リンパ腫メタノール中毒メッケル憩室悪性腸閉塞異所性妊娠移植片対宿主病炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)遠位腸管閉塞症候群横隔膜下膿瘍横川吸虫症横紋筋肉腫横腟中隔黄体化過剰反応家族性高カイロミクロン血症家族性地中海熱回腸嚢炎肝芽腫肝吸虫症肝細胞癌肝細胞腺腫肝紫斑病肝蛭症機能性ディスペプシア飢餓性ケトーシス急性胆管炎急性虫垂炎急性鉄中毒急性妊娠脂肪肝急性膵炎結節性多発動脈炎血栓性血小板減少性紫斑病原発性副腎不全好酸球性食道炎好中球減少性腸炎高IgD症候群・メバロン酸キナーゼ欠損症細菌性急性胃腸炎子宮破裂脂質異常症住血吸虫症重症熱性血小板減少症候群処女膜閉鎖小腸腺癌消化管間質腫瘍常位胎盤早期剥離食物アレルギー腎盂尿管移行部閉塞水銀中毒正常血糖ケトアシドーシス赤色変性線維形成性小円形細胞腫全身性肥満細胞症総胆管嚢腫大腸癌大腸軸捻転大動脈瘤中毒性巨大結腸症腸チフス腸回転異常・中腸軸捻転腸間膜虚血(急性・慢性、虚血性大腸炎を含む)糖尿病性ケトアシドーシス・高血糖高浸透圧症候群毒性アルコール中毒軟部肉腫乳糖不耐症粘膜下腫瘍馬蹄腎肥満細胞活性化症候群腹部コンパートメント症候群腹膜炎・消化管穿孔分類不能腸炎糞線虫症平滑筋肉腫慢性巨大結腸症慢性膵炎免疫関連大腸炎盲腸軸捻転遊走脾卵黄嚢腫瘍卵巣炎卵巣癌旅行者下痢症輪状膵猩紅熱脾梗塞膵仮性嚢胞膵管内乳頭粘液性腫瘍膵管癒合不全膵嚢胞性病変蕁麻疹様血管炎
起因薬
L-カルニチンL-グルタミンアシミニブアンベノニウムイトプリドイプタコパンイブレキサフンガープウリプリスタル酢酸塩エゼチミブエフロルニチンエンコラフェニブガラダシマブカルグルミン酸カルベトシンキサノメリン+トロスピウムクロファジミンケノデオキシコール酸コール酸コレセベラムシアノアクリレートシステアミンジフェノキシレートスチボグルコン酸ナトリウムセピアプテリンセマグルチドセルペルカチニブセンノシドチニダゾールチルゼパチドテコビリマットテデュグルチドデフェラシロクスデフェリプロンデュラグルチドテルリプレシントリクラベンダゾールトリフルリジントリヘプタノインナルデメジンニクロサミドバンデタニブビサコジルピリドスチグミンフィダキソマイシンフェゾリネタントプラジカンテルプリマキンブリンシドフォビルプルカロプリドプログアニルペグセタコプランベロトラルスタットミソプロストールミフェプリストンミルテホシンメチルナルトレキソンメベンダゾールランレオチドリナクロチドリラグルチドロペラミド
スコア
Burch-WartofskyスコアCharcot三徴Glucksberg基準Rome IV基準回腸嚢炎疾患活動指数

🧠 全体像:腹痛の評価は「どの臓器か」を当てにいく前に、緊急介入を要する状態かどうかで切る。とは診断名ではなく、ショック・血管破綻・虚血・穿孔・閉塞・敗血症・を含みうる臨床状態を指す。これらを除外しながら蘇生と検査を並行させ、そのうえで部位・経過・随伴症状で絞る。腹腔外の疾患(心筋梗塞、下葉肺炎、、)が腹痛で来ることも忘れない。

まず緊急性で切る

flowchart TD
    A["急性腹痛"] --> B["ABCDE・モニター・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV access'>静脈路</span>・絶食"]
    B --> C{"ショック・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritoneal signs'>腹膜刺激</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulsatile mass'>拍動性腫瘤</span><br>妊娠・虚血疑いがあるか"}
    C -->|"あり"| D["蘇生し外科/血管/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstetrics and gynecology'>産婦人科</span>へ直ちに相談"]
    C -->|"なし"| E["病歴と診察<br>腹部・鼠径・直腸・骨盤・精巣"]
    E --> F["血算・電解質・肝胆道・リパーゼ<br>尿・β-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human chorionic gonadotropin'>hCG</span>・必要時乳酸"]
    F --> G["部位と年齢に応じ<br>超音波/造影CT/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography angiography'>CTA</span>"]
    G --> H["反復診察で変化を追う"]

⭐ 反復診察が単回の所見より強い。 腹痛は時間とともに所見が変化する。初回で「所見なし」でも、数時間後にが出ることは珍しくない。1回の診察で否定しない。

致死的な原因

⚠️ 診断名を絞る前に、次を除外する。

病態 手掛かり
、、 、背部への放散、循環不安定
所見に不釣り合いな激痛、心房細動、乳酸上昇。を急ぐ
消化管穿孔 突然発症、、。高齢・免疫抑制では所見が乏しい
・ 疝痛、胆汁性嘔吐、腹部膨満、・ヘルニア
破裂、、 では常に考慮。β-と
腹腔外原因 心筋梗塞、下葉肺炎、肺塞栓、、

⚠️ 「所見に不釣り合いな激痛」はの典型である。 診察所見が乏しいことを安心材料にしない。

⚠️ 高齢者・免疫抑制患者・ステロイド使用者では、穿孔や腹膜炎でもが出ないことがある。所見の乏しさが重症度の低さを意味しない集団を意識する。

部位から絞る

部位 代表的な原因 初期検査の焦点
右上腹部 、胆嚢炎、胆管炎、肝炎・、右下葉肺炎 肝胆道酵素、ビリルビン、リパーゼ、超音波
消化性潰瘍・穿孔、膵炎、胃炎、、大動脈疾患 リパーゼ、心電図・
・破裂、膵炎、胃疾患、左下葉肺炎 造影CT、胸部評価
虫垂炎、Crohn病、、・卵巣病変 β-、尿、超音波または造影CT
左下腹部 、大腸炎、尿路・ 尿、造影CT
下腹部・骨盤 膀胱炎・尿閉、、、捻転 骨盤・精巣診察、β-、
びまん性 胃腸炎、腸閉塞、、腹膜炎、代謝・疾患 不安定なら・心電図・

病歴で拾う手掛かり

痛みの移動(からへ=虫垂炎)、背部への放散(膵炎・大動脈疾患)、肩への(横隔膜刺激)、食事・排便・体位との関係を聞く。

性状 示唆するもの
疝痛(波がある) 管腔臓器の閉塞。腸閉塞、、
持続する 炎症、虚血、被膜の伸展
突然発症で最強に達する 穿孔、破裂、捻転、
体動で増悪、じっとしている 腹膜炎
転げ回る(じっとしていられない) 疝痛。が典型

💡 腹膜炎の患者は動かない、疝痛の患者は動き回る。 ベッドサイドで患者の様子を見るだけで方向が絞れる。

⚠️ 投与中の薬も原因になる。 を収縮させる(・出血に用いる)では腹痛が最も頻度の高い副作用で、CONFIRM試験では本剤群19.5%(39/200例)対プラセボ群6.1%(6/99例)だった1。のも腹痛を「非常によくある」副作用に置き、血管収縮作用によるものと説明している2。⚠️ 同じ血管収縮でも起こりうる(のでは「ときどきある」副作用、米国では進行中のが禁忌で、投与中止の理由にも/閉塞が挙がる)21。投与中に腹痛が出たら「よくある副作用」で片付けず、上のの項に戻る。

低い閾値で画像・専門相談へ進む状況

  • 、持続する異常、急速な悪化
  • 消化管出血、黄疸、
  • 免疫不全
  • 50歳以上の新規発症の腹痛

⚠️ 若年で安定したびまん性腹痛でも、体重減少・便通変化・の家族歴・強い持続痛があれば「胃腸炎・」と即断しない。

鎮痛について

⚠️ 適切な鎮痛が診断精度を損なうという理由で鎮痛を控える必要はない。 オピオイドを含む鎮痛は、現在は診察を妨げないとされている。痛みを我慢させることに診断上の利点はない。

まとめ

  • は診断名ではなく、緊急介入を要しうる臨床状態を指す。
  • 部位を絞る前に、破裂・虚血・穿孔・閉塞・敗血症・を除外する。
  • 所見に不釣り合いな激痛はを示唆し、所見の乏しさは安心材料にならない。
  • 高齢・免疫抑制では穿孔や腹膜炎でもが出ないことがある。
  • 腹膜炎では動かず、疝痛では動き回る。患者の様子そのものが手掛かりになる。
  • 反復診察が単回の所見より強い。1回の診察で否定しない。

出典

  1. 1.TERLIVAZ (terlipressin) for injection, for intravenous use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)2026年9月16日に取得した現行版(本文の改訂表示は6/2026)で確認した。6.1のTable 1で腹痛が最も頻度の高い副作用(本剤群39/200例=19.5%、プラセボ群6/99例=6.1%)であること、有害事象による投与中止の上位理由が呼吸不全・腹痛・腸管虚血/閉塞であること、4の禁忌に進行中の冠動脈・末梢・腸間膜虚血が含まれることを確認した閲覧 2026-09-16
  2. 2.GLYPRESSIN 1 mg solución inyectable — Ficha técnica(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (CIMA)・2026)スペインAEMPSのGlypressin(テルリプレシン酢酸塩)製品概要(本文末尾の改訂表示はMayo 2026)で確認した。4.8が腹痛を「非常によくある」(1/10以上)の副作用に置き、最も高頻度に報告される副作用がいずれも血管収縮作用によるものと説明すること、腸管虚血が「ときどきある」(1/1,000以上1/100未満)に置かれること、4.4が肝腎症候群の患者で心筋虚血・不整脈・腸管虚血・循環過負荷のリスクが高まるとし腸管虚血の徴候を綿密に監視するよう求めることを確認した閲覧 2026-09-16