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Drug Atlas · B3 Other / その他

システアミン

cysteamine

分類
Metabolic agents / 代謝性製剤
商品名(EU)
CystagonProcysbiCystaran
科目
Pediatrics
トピック
3-26: Tubular Diseases of the Kidney
承認適応
シスチノーシス
副作用
嘔吐悪心腹痛頭痛皮疹

🧠 全体像:は、でリソソームの中に閉じ込められたを、外へ運び出せる形に化学変換してしまうという一風変わった機序を持つ薬である。輸送体そのものを直しているわけではない——⭐ を切って、別の輸送経路(リジン輸送体)が使える分子に作り替えている。だから⚠️ 治癒薬ではなく、開始が早いほど進行を遅らせる薬であり、⚠️ 腎移植を受けても、眼・筋・内分泌の病変は進行し続けるため生涯にわたり投与を続ける必要がある。

機序

では、輸送体シスチノシン(CTNS遺伝子産物)の機能喪失により、リソソーム内のが排出されずに蓄積・する1。はアミノで、リソソーム内でに関与し、をシステインへ変換する2。

flowchart TD
    A["CTNS遺伝子産物(シスチノシン)の機能喪失"] --> B["リソソーム内に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cystine'>シスチン</span>が蓄積・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crystallization'>結晶化</span>"]
    B --> C["多臓器障害(腎・眼・内分泌・筋・中枢神経)"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cysteamine'>システアミン</span>がリソソーム内へ到達"] --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiol-disulfide exchange reaction'>チオール-ジスルフィド交換反応</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cystine'>シスチン</span>をシステインへ変換"]
    E --> F["システイン、および<br>システイン-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cysteamine'>システアミン</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixed disulfide'>混合ジスルフィド</span>として<br>別の輸送体からリソソーム外へ排出"]
    F -.軽減.-> B

💡 輸送体そのものは直っていない。 は壊れた輸送体を修復するのではなく、蓄積物の化学構造を変えて、別の出口(リジン輸送体が使える形)へ迂回させている。これが「治癒薬ではなく、進行を遅らせる薬」と言われる理由につながる。

剤形——経口薬と点眼薬は役割が違う

剤形 対象 用法 位置づけ
経口(Cystagon/Procysbi) 全身のリソソーム まで漸増。Procysbiは1.3 g/m²/日を12時間ごとに2分割32 主軸治療。腎機能・成長を保護する
角膜の 1日6〜10回の点眼 の蓄積を軽減するが、頻回投与のため継続が難しい3

⚠️ 点眼薬は全身の蓄積には効かない。 は全身のリソソームとは別に局所で生じるため、だけではが防げず、点眼薬だけでは腎・内分泌の進行が防げない——両方が必要になりうる。

適応

腎症性(1歳以上の小児・成人)2。⭐ 診断がついたら、腎の成長を保つため直ちに治療を開始する1。

用法・用量

⚠️ いきなりを投与しない。 はの1/6〜1/4とし、消化器症状をみながら漸増する2。⚠️ 食事の影響を強く受ける——服用前少なくとも2時間・服用後少なくとも30分は食事を避ける2。経口はに達すれば年1回未満のモニタリングで足りる3。

腎移植後も続ける

⚠️⭐ 腎移植は腎病変の「一部」しか解決しない。 には尿細管疾患()が再発しないが、・筋障害・は移植後も進行を続けるため、移植後もの継続投与が必須である13。

禁忌・注意

  • 禁忌:またはへの過敏症2
  • ⚠️ 様の皮膚・の報告がある2
  • ⚠️ 重症型・表皮壊死融解を含む重篤な皮膚反応の報告がある2

副作用

頻度(5%以上、のある6歳以上) 内容
消化器 嘔吐19%、悪心16%、腹痛14%、下痢
神経 頭痛9%、めまい5%、倦怠感
特徴的 ⭐ ・皮膚臭(に特有のにおい)
皮膚 皮疹

2

⚠️ 消化器症状と体臭は継続の妨げになりやすい代表的な副作用である。 や剤形選択(徐放製剤への切替など)で対応することが多い。

まとめ

  • はリソソーム内でをによりシステインへ変換し、別の輸送経路から排出させる。輸送体そのものを修復するわけではない。
  • の治療薬で、(全身の減少が主目的)と点眼薬(用)の2剤形がある。
  • はの1/6〜1/4から漸増し、服用前後は食事を避ける。
  • ⚠️⭐ 腎移植後も・筋障害・は進行するため、の継続投与が必須。
  • 禁忌は・過敏症。Ehlers-Danlos様皮膚病変や重篤な皮膚反応の報告がある。
  • 副作用は消化器症状(嘔吐・悪心・腹痛)と、特有の・皮膚臭が中心で、治癒薬ではなく進行を遅らせる薬である。

出典

  1. 1.Cystinosis(GeneReviews (University of Washington, Seattle)・2025)NCBI Bookshelfのライブページで確認した(2025年8月14日改訂)。シスチノシン蛋白の機能喪失によりリソソーム内のシスチンが輸送されず蓄積・結晶化することが病態の中核であること、システアミンによる早期治療が進行を有意に遅らせること、治療開始は腎の成長を保つため直ちに行うべきであるとされること、腎移植後も眼病変やその他の臓器病変は進行しうるためシステアミンの継続投与が必要であること、未治療では生存期間が10年未満にとどまる一方、治療により40〜50歳代まで満足な生活の質を保って生存しうることを確認した。閲覧 2026-09-06
  2. 2.PROCYSBI (cysteamine bitartrate) delayed-release capsules and delayed-release oral granules — Prescribing Information(Leadiant Biosciences / DailyMed(U.S. FDA)・2024)DailyMedのページ本文を取得して確認した(Revised 12/2024)。機序が「システアミンはアミノチオールであり、リソソーム内でチオール-ジスルフィド交換反応に関与してシスチンをシステインへ変換する」と説明されていること、適応が1歳以上の小児・成人の腎症性シスチノーシスであること、用法・用量が維持量1.3 g/m²/日を12時間ごとに2分割で経口投与し、開始用量は維持量の1/6〜1/4とすること、服用前後(少なくとも2時間前・30分後)は食事を避けるべきとされること、禁忌がペニシラミンまたはシステアミンへの過敏症であること、警告・注意にEhlers-Danlos症候群様の皮膚・骨病変の報告や多形紅斑重症型・中毒性表皮壊死融解を含む重篤な皮膚反応が挙げられていること、頻度5%以上の副作用(6歳以上の前治療歴のある患者)が嘔吐19%・悪心16%・腹痛14%・頭痛9%・めまい5%のほか呼気臭・皮膚臭・下痢・倦怠感・皮疹であることを確認した閲覧 2026-09-06
  3. 3.Cystinosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)NCBI Bookshelfのライブページで確認した(2024年9月8日最終改訂)。経口システアミンは目標用量まで漸増し年1回未満のモニタリングで足りる一方、点眼用システアミンは角膜結晶の蓄積を軽減するが1日6〜10回の点眼を要し継続が難しいこと、腎移植後は移植腎に尿細管疾患が再発しない一方で眼病変・筋障害・内分泌障害は移植後も進行し続けシステアミンの継続投与が必須であること、早期のシステアミン治療により成人期までの生存が可能となった一方で罹病率と死亡率の増加は依然として残ることを確認した。閲覧 2026-09-06