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Disease Atlas · 内分泌・代謝 · 先天性疾患

シスチノーシス

Cystinosis

別名
シスチン蓄積症腎症性シスチノーシスNephropathic cystinosis
臓器系
内分泌・代謝腎・泌尿器眼科小児
科目
Pediatrics
トピック
小児科 3-26:小児腎尿細管疾患
上位概念
先天代謝異常症
合併症
慢性腎臓病くる病・骨軟化症甲状腺機能低下症
続発疾患
Fanconi症候群
治療薬
システアミン
症状
多尿羞明筋力低下
検査値
白血球中シスチン濃度
画像所見
角膜シスチン結晶
適応薬
システアミン

🧠 全体像:は、リソソーム内にが排出されずに溜まり続けるという一つの機序が、腎()・眼()・内分泌(甲状腺・性腺・膵)・筋・中枢神経へと年代を追って多臓器に波及していく病気である。⭐ 小児の最多原因という顔と、⚠️ で進行を遅らせられても治せないという顔の両方を押さえる。とくに⚠️ 腎移植で腎病変は解決しても、をやめてよい理由にはならない——・筋障害・は移植後も進行し続ける。

病態

はCTNS(17p13.2)で、遺伝である1。CTNSが作るシスチノシンはの輸送体で、これが機能を失うとリソソーム内にが排出されずに蓄積・する1。蓄積したはと細胞死を介してほぼ全身の臓器を侵す2。世界的なはおよそ出生20万人に1人だが、パキスタン系住民の多い英国West Midlandsでは3,600人に1人と地域差が大きい2。

3つの臨床型

型 頻度 発症年齢 特徴
腎症型(乳児型) 約95% 生後6〜12か月 最も重症。・・を来す
(若年型) 約5% 思春期〜25歳頃 腎症型に似るが発症が遅く進行も緩徐
眼型(成人型) まれ 成人 のみ。腎病変を来さない

1

乳児型(腎症型)の経過

⭐ 「小児の最多原因になる」を裏づける経過——生後6か月頃からの所見が現れ始め、(体重増加不良)が最も高頻度(93%)の初発所見となる12。多尿・・・ビタミンD抵抗性くる病を来し、未治療のまま経過すると10〜12歳までにに至る2。

flowchart TD
    A["CTNS遺伝子の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biallelic mutation'>両アレル変異</span>"] --> B["シスチノシン機能喪失"]
    B --> C["リソソーム内<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cystine'>シスチン</span>蓄積・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crystallization'>結晶化</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fanconi syndrome'>Fanconi症候群</span><br>(生後6か月〜)"]
    C --> E["角膜:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystine crystal'>シスチン結晶</span><br>(生後18か月までにほぼ全例)"]
    D --> F["未治療で10〜12歳までに<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='end-stage renal failure'>末期腎不全</span>"]
    C --> G["第2十年代:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypothyroidism'>甲状腺機能低下</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypogonadism'>性腺機能低下</span>・糖尿病"]
    C --> H["第3十年代:嚥下障害・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gait disturbance'>歩行障害</span>・失明"]

角膜は生後18か月までにほぼ全例でにより可視化され、3〜4歳頃からのの原因になる。10〜15%はにより視力を失う2。⚠️ 経過は腎不全で止まらない。 第2十年代には・・糖尿病が、第3十年代には嚥下障害・(筋力低下)・失明に至りうる進行性のである2。

診断

白血球中濃度が診断の基準になる。腎症型は3.0〜23.0 nmol半/mg蛋白、眼型は1.0〜3.0、保因者は1.0以下、正常は0.2以下である1。角膜のでのの確認も診断の手がかりになる。

治療

⭐ は治癒薬ではないが、開始が早いほど進行を遅らせる。腎の成長を保つため診断がついたら直ちに治療を開始する1。

剤形 用法 特徴
経口 まで漸増、年1回未満のモニタリングで足りる 全身のリソソームを減らし腎機能・成長を保護する主軸治療2
点眼用 1日6〜10回の点眼 の蓄積を軽減するが、頻回投与のため継続が難しい2

⚠️ 腎移植は腎病変の「一部」しか解決しない。 に至れば腎移植が行われ、には尿細管疾患()が再発しないが、・筋障害・は移植後も進行を続けるため、移植後もの継続投与が必須である12。

予後

未治療では生存期間が10年未満にとどまる。早期からの治療により40〜50歳代まで満足な生活の質を保って生存しうるようになったが、⚠️ と死亡率の増加は依然として残る——治療は進行を遅らせるのであって、多臓器にわたる進行性の経過そのものを止めるわけではない12。

まとめ

  • はCTNS遺伝子のによるリソソーム内蓄積症で、。腎症型(乳児型、約95%)・(若年型)・眼型(成人型)の3型がある。
  • 腎症型は生後6か月頃からを発症し、未治療では10〜12歳までにに至る、小児の最多原因。
  • 角膜は生後18か月までにほぼ全例に出現しの原因になる。経過中に・・糖尿病・筋障害・視力障害へと多臓器に波及する。
  • 治療の柱は早期からの(経口・点眼)投与で、進行を遅らせるが治癒はしない。腎移植後も・筋障害・は進行するための継続投与が必須。
  • 未治療の生存期間は10年未満だが、治療により40〜50歳代までの生存が可能になった。

出典

  1. 1.Cystinosis(GeneReviews (University of Washington, Seattle)・2025)NCBI Bookshelfのライブページで確認した(2025年8月14日改訂)。シスチノーシスに腎症型(乳児型)・中間型(若年型)・眼型(成人型)の3臨床型があり、腎症型が全体の約95%を占め乳児期に発症し最も重症であること、中間型は約5%で思春期から25歳頃までに発症すること、眼型は光線過敏症のみを呈すること、原因遺伝子が*CTNS*(17p13.2)で常染色体潜性遺伝であること、シスチノシン蛋白の機能喪失によりリソソーム内のシスチンが輸送されず蓄積・結晶化することが病態の中核であること、未治療の腎症型ではFanconi症候群の所見が生後6か月頃から現れ始め、体重増加不良を生後6〜12か月で認識し、未治療のまま経過すると12歳までに糸球体機能が完全に廃絶すること、角膜シスチン結晶が生後18か月までにほぼ全例で認められること、白血球シスチン濃度が診断基準として腎症型で3.0〜23.0 nmol半シスチン/mg蛋白、眼型で1.0〜3.0、保因者で1.0以下、正常が0.2以下であること、システアミンによる早期治療が進行を有意に遅らせること、治療開始は腎の成長を保つため直ちに行うべきであるとされること、腎移植後も眼病変やその他の臓器病変は進行しうるためシステアミンの継続投与が必要であること、未治療では生存期間が10年未満にとどまる一方、治療により40〜50歳代まで満足な生活の質を保って生存しうることを確認した。閲覧 2026-09-06
  2. 2.Cystinosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)NCBI Bookshelfのライブページで確認した(2024年9月8日最終改訂)。世界的な発生率がおよそ出生20万人に1人で、パキスタン系住民の多い英国West Midlandsでは3,600人に1人と地域差が大きいこと、*CTNS*遺伝子の両アレル変異によるシスチノシンの欠損がリソソーム内シスチンの排出障害を来し、蓄積したシスチンが酸化ストレスと細胞死を介して多臓器障害を引き起こすこと、乳児型(全体の95%)が生後6〜12か月で発症し成長障害(93%で最多の所見)を来すこと、シスチノーシスが遺伝性Fanconi症候群の最も一般的な原因であること、多尿・多飲・電解質喪失・ビタミンD抵抗性くる病を来すこと、進行すれば10〜12歳までに末期腎不全に至ること、角膜シスチン結晶が3〜4歳までの羞明の原因となり12〜18か月までにほぼ全例で細隙灯検査により可視化されること、10〜15%が網膜症により視力を失いうること、第2十年代に甲状腺機能低下・性腺機能低下・糖尿病が出現しうること、第3十年代には嚥下障害・歩行障害・失明に至りうること、経口システアミンは目標用量まで漸増し年1回未満のモニタリングで足りる一方、点眼用システアミンは角膜結晶の蓄積を軽減するが1日6〜10回の点眼を要し継続が難しいこと、腎移植後は移植腎に尿細管疾患が再発しない一方で眼病変・筋障害・内分泌障害は移植後も進行し続けシステアミンの継続投与が必須であること、早期のシステアミン治療により成人期までの生存が可能となった一方で罹病率と死亡率の増加は依然として残ることを確認した。閲覧 2026-09-06