症状ノート一覧へ

Symptoms · Published

頭痛

Headache

臓器系
神経
科目
NeurologyPediatrics
トピック
神経内科 G1-40:一次性頭痛症候群小児科学 1-05:小児の頭痛
関連疾患
Brill-Zinsser病Chiari奇形COVID-19罹患後症状Lhermitte-Duclos病Liddle症候群PHACE症候群Rathke嚢胞S状静脈洞血栓症Tolosa-Hunt症候群TSH産生下垂体腺腫Vogt-小柳-原田病von Hippel-Lindau病Waldenströmマクログロブリン血症アナプラズマ症アフリカ睡眠病アルシン(ヒ化水素)ガス中毒イソプロパノール中毒インフルエンザクリプトコーマクリプトコッカス症サバ中毒シアン化物中毒セリアック病チクングニア熱トキソプラズマ症ビタミンA過剰症ポリオムーコル症メタノール中毒メトヘモグロビン血症もやもや病ライム病レジオネラ症一酸化炭素中毒鉛中毒下垂体機能低下症下垂体偶発腫可逆性後頭葉白質脳症回帰熱(シラミ媒介性)海綿静脈洞血栓症顎関節症褐色細胞腫急性リンパ性白血病急性高山病急性骨髄性白血病急性乳様突起炎巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)巨赤芽球性貧血狂犬病筋萎縮性側索硬化症筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群結核腫血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)血管芽腫血栓性血小板減少性紫斑病血友病A・B月経前不快気分障害原発性中枢神経系リンパ腫後頭蓋窩腫瘍・脳幹腫瘍抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)硬膜拡張症高血圧症高血圧性腎硬化症高地脳浮腫細菌性髄膜炎歯突起冠状石灰化症候群自律神経過反射若年性鼻咽腔血管線維腫上咽頭癌常染色体優性多発性嚢胞腎新型コロナウイルス感染症真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症神経節膠腫水頭症髄液漏髄芽腫髄膜炎菌感染症髄膜癌腫症髄膜腫先端巨大症・プロラクチノーマ(下垂体腺腫)先天性心疾患(非チアノーゼ性・チアノーゼ性)線維筋性異形成線維筋痛症前方仙骨髄膜瘤続発性赤血球増加症多形黄色星細胞腫大動脈縮窄単純ヘルペスウイルス感染症中枢神経系腫瘍(成人・小児)中脳水道狭窄腸チフス低悪性度神経膠腫鉄欠乏性貧血転移性脳腫瘍伝染性単核球症頭蓋咽頭腫頭蓋底腫瘍動静脈奇形動揺病特発性頭蓋内圧亢進症内頸動脈解離尿崩症妊娠高血圧腎症・子癇・HELLP症候群脳アミロイド血管症脳海綿状血管奇形脳振盪後症候群脳静脈洞血栓症脳卒中脳動脈瘤脳内出血(非外傷性)脳膿瘍肺吸虫症発疹チフス非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍閉塞性睡眠時無呼吸片頭痛・一次性頭痛症候群放射線壊死乏突起膠腫慢性肥厚性硬膜炎慢性副鼻腔炎脈絡叢腫瘍無菌性髄膜炎毛様細胞性星細胞腫薬物乱用頭痛流行性耳下腺炎緑内障塹壕熱猩紅熱膠芽腫頸部動脈解離
起因薬
(エス)オメプラゾール(デス)ロラタジン(レボ)セチリジンL-アルギニンL-グルタミンアガルシダーゼ アルファアガルシダーゼ ベータアゴメラチンアシピモクスアセトヒドロキサム酸アデュカヌマブアトバコンアブロシチニブアムロジピンアメナメビルアリトレチノインアルグルコシダーゼ アルファアルテメテルアルベンダゾールアンブリセンタンイカチバントイスラジピンイソソルビドモノニトラートイソトレチノインイダルシズマブイネビリズマブイバカフトールイバブラジンイプタコパンイミグルセラーゼイロプロストインドメタシンウステキヌマブウパダシチニブウラピジルウリプリスタル酢酸塩エカランチドエクリズマブエゼチミブエタムシレートエチニルエストラジオール+レボノルゲストレルエデト酸カルシウム二ナトリウムエトラシモドエトラナコゲン デザパルボベクエフガルチギモドエフロルニチンエポエチン アルファエポプロステノールエミシズマブエリグルスタットエレクサカフトルエンテカビルオキシベート製剤オザニモドオシロドロスタットオスペミフェンオビルトキサキシマブオマベロキソロンオマリズマブオンダンセトロンカベルゴリンカルベトシンキニーネグリセロールグルカルピダーゼクロルプロパミドケノデオキシコール酸コンシズマブサトラリズマブザナミビルザフィルルカストサプロプテリンザレプロンシステアミンジドブジンジヒドララジンジピリダモールシメチジンジメルカプロールジルチアゼムシルデナフィルシロスタゾールスチムリマブスルファサラジンセクニダゾールセピアプテリンセベトラルスタットセレキシパグソマトロピンソルリアムフェトールダサチニブタシメルテオンタダラフィルダニコパンダポキセチンタムスロシンダリドレキサントテコビリマットテザカフトルデスモプレシンテゼペルマブデヒドロエピアンドロステロンテプロツムマブデューティバカフトルデュルキソリチニブデラマニドドキサゾシンドナネマブトラニルシプロミントリクラベンダゾールドルテグラビルドロキシドパナルトレキソンニコチンニトログリセリンニトロプルシドナトリウムニフェジピンニフルチモクスニモジピンヌシネルセンネモリズマブバボルバクタムバルデナフィルバレリアナパロノセトロンバンザカフトルバンデタニブパントプラゾールヒドララジンピトリサントヒドロキシアンフェタミンビラスチンビンポセチンファムシクロビルファモチジンフィンゴリモドフェキシニダゾールフェキソフェナジンフェニレフリンフェネルジンフェロジピンブスピロンプラジカンテルプラリドキシムプルカロプリドフルコナゾールフレカイニドブロスマブプロベネシドブロモクリプチンベキサロテンペグセタコプランペグバリアーゼベズロトクスマブベダキリンベタヒスチンベドリズマブベルズチファンベンラリズマブボクロスポリンホスホマイシンボセンタンボツリヌス毒素ボノプラザンホメピゾールマシテンタンマルスタシマブミガーラスタットミドスタウリンミノキシジルミファムルチドミリキズマブミルテホシンミルリノンメサラジンメトキサレンメトレレプチンメポリズマブメマンチンメラトニンモキセツモマブ パスドトクスモクロベミドモダフィニルモルシドミンモンテルカストラキシバクマブラサギリンラナデルマブラニチジンラブリズマブラベプラゾールラミブジンラロピプラントリオシグアトリサンキズマブリトレシチニブリファキシミンリルピビリンリンデンルスパテルセプトルメファントリンレカネマブレタパムリンレナカパビルレボシメンダンレボノルゲストレルレミブルチニブレレバクタムロフルミラストロミプロスチムロモソズマブ遺伝子組換えADAMTS13製剤狂犬病ワクチン硝酸イソソルビド組換え帯状疱疹ワクチン免疫グロブリン静注療法α-リポ酸
スコア
CIWA-ArHunt and Hess分類

🧠 全体像:頭痛の診療は二次性か一次性かの1点から始まる。一次性頭痛(片頭痛・・群発)は反復する一定の発作パターンから診断するもので、初発の頭痛を一次性と診断することはできない。危険なは痛みの強さではなく、赤旗(雷鳴性・発熱・局在徴候・意識変容など)で拾う。一次性と決まったら、性状よりと随伴症状で3型を分ける——ここが分類の実際の軸である。

まず二次性頭痛を除外する

flowchart TD
    A["頭痛"] --> B{"赤旗があるか"}
    B -->|"あり"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subarachnoid hemorrhage'>くも膜下出血</span>・感染・静脈血栓<br>動脈解離・腫瘍などを緊急評価"]
    B -->|"なし"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duration'>持続時間</span>・頻度・性状<br>随伴症状・薬剤使用を記録"]
    D --> E["一次性頭痛として分類"]
    E --> F["急性期治療と、必要なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preventive treatment'>予防治療</span>"]

⚠️ 赤旗の枠組みとして広く使われているのが SNNOOP10 で、を示唆する15項目から成る1。下表はその15項目に、想定する病態を対応させたものである。

赤旗(SNNOOP10) 想定する病態
発熱を含む全身症状(・意識低下を伴えばとくに) 、、、血管炎
悪性腫瘍の既往 脳転移、
(意識低下を含む) 、、、脳炎
突然発症(雷鳴性=1分以内に最強) 、、、動脈解離
高齢での発症(65歳以降) 、腫瘍、
頭痛パターンの変化・新規発症 全般(既存の一次性頭痛があっても除外の根拠にならない)
体位で変化する 頭蓋内圧の亢進()と低下()の両方向
くしゃみ・咳嗽()・運動で誘発される 、病変
頭蓋内圧亢進、
進行性・な経過 腫瘍、
妊娠中・ 子癇、、
自律神経症状を伴う眼痛 ・下垂体部・の、
後の発症 外傷後頭痛、
免疫系の病態(など) 日和見感染、
の使用過多・頭痛発症時の新規薬剤 、薬剤の有害事象としての頭痛

💡 とは同じ重みではない。 SNNOOP10 の原著は red flag を「検査または経過観察を促す情報」、orange flag を「他の橙旗・赤旗と併存するときにだけ警戒を要する情報」と定義し、発熱が単独で存在する場合は橙旗に区分している1。1項目当たったら異常、という使い方をするではない。

⚠️ を一次性頭痛の一型と安易に分類しない。 「以前も同じ頭痛があった」という病歴があっても、今回が突然発症なら評価する。

⚠️ 自律神経症状を伴う眼痛は、典型的でも画像を省かない。 同側の・・鼻閉を伴う片側の眼窩部痛はなど三叉神経・自律神経性頭痛の典型像だが、・下垂体部・のが同じ像を作ることがあり、典型例であってもが背景にありうるため、この所見をもつ患者には画像検査を行うべきだとされている1。

⚠️ 咳・くしゃみ・・運動で誘発される頭痛はを見る。 二次性の咳嗽性頭痛の40%は(の下垂)に関連し、そのほかの病変が約15%を占める1。

⭐ 高齢者の新規頭痛ではを必ず考える。の圧痛、、視力症状、・上昇を確認する。視力喪失は不可逆なので、疑ったら治療開始を待たない(→ )。

一次性頭痛の3型

⭐ 分類の軸は痛みの性状ではなく、と随伴症状である。一次性頭痛のの正本は第3版(ICHD-3)で、下表の各項目はそこから採っている2(各型の全体像は片頭痛・)。

(反復性) 片頭痛(なし)
診断に要する回数 エピソード10回以上 発作5回以上 発作5回以上
30分〜7日 4〜72時間(未治療または治療がしない場合) 15〜180分(未治療)
部位 両側性 片側性が多い 片側の眼窩・眼窩上・
性状 圧迫・締め付け(非) 極めて強い
強度 軽〜中等度 中〜重度 重度または極めて重度
増悪しない 増悪する(または動作を避ける) —
部位・性状・強度・の扱い この4項目のうち2項目以上を満たせばよい この4項目のうち2項目以上を満たせばよい 選択式ではなく、部位・強度・が単一の必須要件として書かれている
随伴症状 悪心・嘔吐なし。かつかは多くても一方のみ 悪心および/または嘔吐、または+ 同側の・・鼻閉/・・/・前額と顔面の発汗のうち1つ以上、または落ち着きのなさ・興奮
発作中の行動 通常どおり動ける 暗く静かな場所で動かずにいたい 落ち着きなく動き回る
頻度 稀発は月1日未満、頻発は月1〜14日 — 隔日1回〜1日8回

💡 発作中の行動が鑑別に効く。 片頭痛の患者は動くと悪化するのでじっとしており、の患者は痛みで転げ回る。で「発作中どうしていますか」と聞くだけで方向が絞れる。

💡 では、落ち着きのなさは自律神経症状の「代わり」になる。 ICHD-3 のの基準Cは「同側の自律神経徴候が1つ以上」と「落ち着きのなさ・興奮」を either or both で並べており、どちらか一方だけでも満たす2。自律神経症状が乏しいことを理由にを外さない。

⚠️ 「回数」は基準の一部である。 片頭痛もも5回以上、反復性は10回以上のエピソードを要件にしている2。1〜数回の発作しか無い時点では確定診断はできず、これが「初発の頭痛を一次性と診断できない」ことの分類上の裏づけになっている。

片頭痛のは、通常5〜60分かけて徐々に展開する可逆性の視覚・感覚・状である(→ )。

⚠️ 突然完成する症状や持続する神経症状はではない。や脳卒中として評価する。「徐々に広がる」かどうかがになる。

薬剤使用過多頭痛

⚠️ の頻用そのものが頭痛を慢性化させる。頭痛が月15日以上ある患者では、必ずの使用日数を確認する。(MOH)はのなかで最も多い原因で、成人のは0.5〜7.2%と報告されている1。

ICHD-3 の 8.2「薬剤の使用過多による頭痛」は次の3項目で定義される2。

内容
A 既存の頭痛疾患をもつ患者(原文は a pre-existing headache disorder)で、頭痛が月15日以上に生じる
B 頭痛の急性期・対症治療に使いうる薬剤を、3か月を超えて定期的に使用過多している
C 他のICHD-3診断でよりよく説明されない

⚠️ 同じ 8.2 の中で、前提となる頭痛の呼び方が2通りある。 Aは「既存の頭痛疾患(a pre-existing headache disorder)」だが、節の冒頭の Description は「既存の一次性頭痛(a pre-existing primary headache)」と書いている2。基準どおりに運用すれば、前提の頭痛が一次性かどうかを問わずAを満たしうる。⭐ どちらを引いているかを言わずに片方だけを写さない——「一次性頭痛がある人にしか起きない」と読ませるのは Description 側の書き方である。

⭐ 使用過多の閾値はで違う。 ここを一律「月15日」で覚えると、トリプタンやオピオイドの使用過多を見逃す2。

使用過多となる日数
、トリプタン、オピオイド、複合 月10日以上
()、、その他の、その他の 月15日以上
個々には使用過多に当たらない複数クラスの併用 合計で月10日以上

💡 「複合」の定義は直感より狭い。 ICHD-3 がこの語を使うのは、鎮痛作用をもつ2クラス以上の薬(例:+)、または補助薬(例:)を組み合わせた製剤に対してであり、どうしの2剤配合(+など)は補助薬を含まなければ複合に当たらない(同じクラスとして扱う)2。ICHD-3 は複合について「頭痛をもつ人に広く使われており、にきわめて多く関与している」と述べ、そのために独立したコードを与えたとしている2。

⚠️ 患者はのを「薬」と認識していないことが多い。処方薬だけを数えると閾値を大きく下回って見える。⭐ 「何を」「何日」使っているかを、製剤の成分まで聞き取る——が入っているかどうかで、当てはめる閾値が月15日から月10日へ変わる。

⚠️ 月15日以上の頭痛を「」という単一の診断名で終わらせない。慢性片頭痛、慢性、などに分類する。分類が変われば治療が変わる。ICHD-3 は慢性片頭痛との基準を両方満たす患者に、両方の診断を付けるとしている2——どちらかを選ぶ問題ではない。

薬剤の有害事象としての頭痛

⚠️ と、薬そのものの有害事象としての頭痛は別物である。 前者はの頻用が既存の頭痛を慢性化させる病態、後者は頭痛とな適応で使う薬が新たに頭痛を起こす現象で、対処も逆向きになる——前者は薬を減らし、後者は必要なら薬を替える。

例として、喘息の生物学的製剤であるテゼペルマブは、日本の電子添文の成績で主な副作用の筆頭が頭痛である(重症喘息のNAVIGATOR試験で1.5%=8/528例、を伴うのWAYPOINT試験で3.0%=6/203例)3。一方、欧州のの副作用一覧に頭痛は入っていない4。

⭐ 逆に、3極の文書が揃って頭痛を挙げる薬もある。 に用いるでは、米国添付文書のCARDINAL試験の表(15%以上を採録、24例)に頭痛5例(21%)、のCADENZA試験パートAの表(10%以上かつ群間差5%超を採録)に頭痛5例(23%)対2例(10%)が載り5、の4.8は最も高頻度に報告された副作用の筆頭に頭痛を置いて頻度区分を very common としている6。国内の電子添文も「11.2 その他の副作用」の神経系障害の行で頭痛を10%以上に置く7。⚠️ ただしこの薬の頭痛は、の初期徴候としての頭痛と紛らわしい。 ではの感染リスクが上がるため、国内の電子添文は発熱・頭痛・などの初期徴候を観察するように置いている7——副作用の一覧に頭痛が載る薬ほど、発熱を伴う頭痛を「よくある副作用」で片づけない(→ )。

⭐ 血管拡張そのもので頭痛を起こす薬は、対処が「替える」ではなく「速度を落とす」になる。 の静注では、英国のが発現率10%の副作用の筆頭に頭痛を挙げ(・悪心・嘔吐・多汗と並ぶ。末梢動脈閉塞性疾患の病期III・IVとの患者3,325例の集計)、これらが治療開始時に量を決める増量の過程で起こりやすく、通常は減量で消失すると述べている8。同じ文書は用法の項で、頭痛・悪心や望まない血圧低下が出たら最適な量が見つかるまで注入速度を落とし、重ければを一時中断すると定めている8。

💡 同じ薬でも、読む文書と節が変われば頭痛の見え方が変わる。 日本の記載は各試験で「副作用」と判定された事象の内訳であってプラセボ群との比較ではなく、欧州の一覧は因果が認められた副作用を頻度区分つきで並べたものである。頻度表を1つ見ただけで因果を決めない——薬剤性を疑う根拠は、投与開始との時間的関係と、中止・再開に対する反応である。

治療の考え方

型 急性期 予防
または。過量使用に注意 頻回なら、運動・睡眠・ストレス管理
片頭痛 、トリプタン、、類を心血管リスクに応じ選択 、、、
100%酸素、皮下注または点鼻トリプタン (心電図監視下)、移行期の短期ステロイド、、⚠️ 米国では反復性に9

💡 にが向かないのは、発作が15〜180分と短く、内服が効き始める前に発作が終わるためである。だから酸素と皮下注・点鼻が選ばれる。

⚠️ をに使えるかは国で違う。 米国の添付文書(Revised: 6/2026)は、の適応を1.1 片頭痛の予防と1.2 成人の反復性の治療の2つとし、では群発期の始めに300 mg(100 mgを3回連続で皮下注)、以後は群発期が終わるまで月1回という片頭痛とは別の用量を定めている9。一方、日本の電子添文の効能又は効果は「片頭痛発作の」だけで、本文に群発の語は一度も出てこない(用法も初回240 mg・以降月1回120 mg)10。⭐ 「CGRP抗体はにも使える」と国を言わずに覚えない。

で発作日数、の使用、月経・睡眠との関係をする。予防薬は妊娠可能性、心血管疾患、、体重、腎肝機能を踏まえて選ぶ。

まとめ

  • 頭痛はまず二次性を除外する。初発の頭痛を一次性と診断することはできない。
  • 赤旗の枠組みは SNNOOP10 の15項目——全身症状(発熱)、悪性腫瘍の既往、、突然発症、65歳以降の発症、パターンの変化、体位性、くしゃみ・咳嗽・運動での誘発、、進行性・非典型、妊、自律神経症状を伴う眼痛、後、免疫系の病態、の使用過多・新規薬剤。
  • 赤旗は「1つ当たれば異常」ではない。単独の発熱は橙旗で、他の旗と併存するときに意味をもつ。
  • は既往があっても毎回評価する。自律神経症状を伴う眼痛は典型例でも画像を撮る。
  • 一次性頭痛は性状ではなくと随伴症状で分ける。の正本は ICHD-3。
  • ICHD-3 は発作回数も要件にする——片頭痛・は5回以上、反復性は10回以上。
  • 片頭痛はじっとしていたい、は動き回る。発作中の行動が鑑別に効く。では落ち着きのなさが自律神経症状の代わりになる。
  • は徐々に展開する。突然完成する症状はとして評価する。
  • 月15日以上の頭痛ではを必ず確認する。使用過多の閾値はで違い、・トリプタン・オピオイド・複合は月10日以上、単純は月15日以上。
  • 慢性片頭痛との基準を両方満たすなら、両方の診断を付ける。
  • ⚠️ ICHD-3 の 8.2 は、Aが「既存の頭痛疾患」、節冒頭の Description が「既存の一次性頭痛」と書いており、前提の語が文書の中で割れている。どちらを引いたかを言わずに片方だけを覚えない。
  • ⚠️ の予防で()を使えるのは米国の添付文書の適応で、日本の効能又は効果は片頭痛発作のだけである。
  • と、薬そのものの有害事象としての頭痛は分けて考える。前者は薬を減らし、後者は替える。
  • ⚠️ (など)では頭痛が3極の添付文書で高頻度の副作用として挙がるが、同じ薬がのリスクを上げる。発熱・を伴う頭痛は副作用で片づけない。

出典

  1. 1.Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice: SNNOOP10 list(Neurology(American Academy of Neurology)・2019)PMC6340385 の全文で確認した。SNNOOP10 は二次性頭痛を拾うための15項目で、(1)発熱を含む全身症状 (2)悪性腫瘍の既往 (3)神経脱落症状(意識低下を含む) (4)突然発症 (5)高齢発症(65歳以降の発症) (6)頭痛パターンの変化または新規発症 (7)体位性頭痛 (8)くしゃみ・咳嗽(Valsalva)・運動による誘発 (9)乳頭浮腫 (10)進行性の頭痛と非典型的な経過 (11)妊娠中・産褥期 (12)自律神経症状を伴う眼痛 (13)頭部外傷後の発症 (14)HIVなど免疫系の病態 (15)鎮痛薬の使用過多または頭痛発症時の新規薬剤、から成る。原著は red flag を「検査または経過観察を促す症状その他の情報」、orange flag を「他の orange/red flag と併存するときにだけ警戒を要する情報」と定義し、発熱が単独の場合は orange flag に区分するとしている。二次性の咳嗽性頭痛の40%がChiari I型奇形に関連し、そのほかの後頭蓋窩病変が約15%を占めること、自律神経症状を伴う眼痛は三叉神経・自律神経性頭痛の典型像であっても構造的病変によることがあるためMRIを行うべきとされること、薬剤の使用過多による頭痛が二次性頭痛の最多の原因で成人の有病率が0.5〜7.2%であることも同じ全文で確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3)(International Headache Society・2018)公式PDFの全文で確認した。1.1 前兆のない片頭痛は「基準B〜Dを満たす発作が5回以上」「未治療または治療が奏効しない場合の持続が4〜72時間」「片側性・拍動性・中等度以上の強度・日常的な身体活動で増悪する(または身体活動を避ける)の4項目中2項目以上」「発作中に悪心および/または嘔吐、あるいは光過敏と音過敏」「他のICHD-3診断でよりよく説明されない」の5項目で定義される。2.1/2.2 反復性緊張型頭痛はいずれも「エピソード10回以上」を要し、持続30分〜7日、両側性・圧迫性(非拍動性)・軽度〜中等度・日常的な身体活動で増悪しないの4項目中2項目以上、かつ「悪心も嘔吐も無い」「光過敏と音過敏は多くても一方のみ」の両方を満たす。3.1 群発頭痛は「発作5回以上」「重度または極めて重度の片側性の眼窩部・眼窩上部・側頭部の痛みが未治療で15〜180分」「同側の自律神経徴候(結膜充血および/または流涙、鼻閉および/または鼻漏、眼瞼浮腫、前額・顔面の発汗、縮瞳および/または眼瞼下垂)が1つ以上、あるいは落ち着きのなさ・興奮、のいずれか一方または両方」「頻度が隔日1回から1日8回の間」で定義される。8.2 薬剤の使用過多による頭痛の診断基準は3項目で、A は逐語で「Headache occurring on ≥15 days/month in a patient with a pre-existing headache disorder」=既存の頭痛疾患をもつ患者で月15日以上、B は「Regular overuse for >3 months of one or more drugs that can be taken for acute and/or symptomatic treatment of headache」、C は「Not better accounted for by another ICHD-3 diagnosis」である。⚠️ 同じ節の冒頭に置かれた Description は逐語で「Headache occurring on 15 or more days/month in a patient with a pre-existing primary headache and developing as a consequence of regular overuse …」となっており、基準Aに無い primary(一次性)が入っている。基準の文言と Description で前提の語が違うので、どちらを引いているかを示さずに片方だけを写さない。使用日数の閾値は薬剤クラスごとに異なり、8.2.1 エルゴタミン・8.2.2 トリプタン・8.2.4 オピオイド・8.2.5 複合鎮痛薬は月10日以上、8.2.3.1 パラセタモール・8.2.3.2 アセチルサリチル酸以外のNSAIDs・8.2.3.2.1 アセチルサリチル酸・8.2.3.3 その他の非オピオイド鎮痛薬は月15日以上、8.2.6 の「個々には使用過多に当たらない複数クラスの併用」は合計で月10日以上である。8.2.5 の注記は「複合鎮痛薬」を鎮痛作用をもつ2クラス以上の薬またはカフェインなどの補助薬を組み合わせた製剤に限り、補助薬を含まない非オピオイド鎮痛薬どうしの配合はICHD-3では同一クラスとして複合鎮痛薬に含めないと定め、Comments で複合鎮痛薬が頭痛患者に広く使われ薬剤使用過多頭痛にきわめて多く関与するため独立したコードを与えたと述べる。8.2 の Coded elsewhere は、1.3 慢性片頭痛と8.2 の基準を両方満たす患者には両方の診断を与えるとしている。閲覧 2026-09-08
  3. 3.テゼスパイア皮下注210mgシリンジ/210mgペン 電子添文(添付文書番号 2290403G1025_1_05、2026年2月改訂・第4版、効能変更・用法変更)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)電子添文・2026)「17.1 有効性及び安全性に関する試験」で、重症喘息のNAVIGATOR試験の本剤210mg Q4W群(528例)の副作用が8.7%(46/528例)、主な副作用が頭痛1.5%(8/528例)及び注射部位紅斑1.5%(8/528例)、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎のWAYPOINT試験の本剤210mg Q4W群(203例)の副作用が13.8%(28/203例)、主な副作用が頭痛3.0%(6/203例)・注射部位疼痛3.0%(6/203例)・疲労1.5%(3/203例)であることを逐語で確認した。いずれも副作用と判定された事象の内訳であってプラセボ群との比較ではない。閲覧 2026-09-07
  4. 4.Tezspire (tezepelumab) — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2025)「4.8 Undesirable effects」の副作用一覧が咽頭炎・過敏症(アナフィラキシー反応を含む)・発疹・関節痛・注射部位反応で構成され、頭痛と背部痛を含まないことを確認した。最も高頻度の副作用は喘息では関節痛3.8%・咽頭炎4.1%、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎では咽頭炎5.4%である。閲覧 2026-09-07
  5. 5.ENJAYMO (sutimlimab-jome) injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed。Labeler は Recordati Rare Diseases, Inc.)・2024)openFDAで同一SPL(set_id 0a25363a-…、labeler は Recordati Rare Diseases, Inc.、printed の改訂表示は逐語で "Revised: 11/2024")の 6 ADVERSE REACTIONS 全文を取得して確認した。CARDINAL試験(N=24)の表4は表題が "Adverse Reactions (≥15%) in Patients Receiving ENJAYMO in the CARDINAL Study" で、Headache 5 (21%) が入る。CADENZA試験パートAの表3は表題が "Adverse Reactions (≥10%) in Patients Who Received ENJAYMO with a Difference Between Arms of >5% Compared to Placebo" で、Headache 5 (23%) 対プラセボ 2 (10%) が全5項目の筆頭に挙がる。散文はCADENZAパートAの18%以上の副作用として鼻炎・頭痛・高血圧・肢端チアノーゼ・レイノー現象を挙げる。閲覧 2026-09-16
  6. 6.Enjaymo 50 mg/mL solution for infusion — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency(EPAR product information。販売承認取得者 Recordati Rare Diseases)・2025)EPAR製品情報(Annex I)のPDFを取得して確認した。4.8の冒頭が、CADENZA・CARDINAL試験で最も高頻度に報告された副作用として headache を筆頭に挙げ(以下 hypertension・urinary tract infection・upper respiratory tract infection・nasopharyngitis・nausea・abdominal pain・infusion-related reactions・cyanosis)、表2では Nervous system disorders の very common 欄が Headache の1語であることを確認した。⚠️ year の根拠は EMA 製品ページの Last updated(English (EN) の EPAR - Product Information が 2025-08-01)である。PDF本体の「10. DATE OF REVISION OF THE TEXT」は見出しだけで日付が印字されておらず、PDF の作成日は 2025-07-10 である。閲覧 2026-09-16
  7. 7.エジャイモ点滴静注1.1g 電子添文(医薬品医療機器総合機構(製造販売元:レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社)・2025)2025年6月改訂(第6版)の電子添文の全文(HTML)を取得して確認した。「11.2 その他の副作用」の表は10%以上と10%未満の2列で、神経系障害の行は10%以上の欄に頭痛が入る(10%未満の欄は空)。「1. 警告」1.1.1 は逐語で、本剤の投与に際しては髄膜炎菌等による感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、感染症が疑われた場合には直ちに診察し抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと、と定めている。閲覧 2026-09-16
  8. 8.Iloprost 100 micrograms/ml concentrate for solution for infusion — Summary of Product Characteristics (SmPC)(Colonis Pharma Limited(electronic medicines compendium, UK。10. Date of revision of the text は 12/08/2025)・2025)2026-09-17にブラウザUA付きcurlで全文を取得して確認した。4.8 は逐語で "The most common observed adverse events (≥ 10%) in patients receiving iloprost in clinical trials are headache, flushing, nausea, vomiting and hyperhidrosis." と述べ、Table 1 でも Headache は Nervous system disorders の Very common(≥1/10)の欄にある(頻度の母集団は末梢動脈閉塞性疾患の病期III・IVと閉塞性血栓血管炎の患者3,325例の累積データベース)。同じ節は続けて "These undesirable effects are likely to occur during the dose titration at the start of treatment to identify the best tolerable dose for the individual patient. Usually these undesirable effects resolve with dose reduction." と述べ、4.2 は "Depending on the occurrence of adverse effects such as headache and nausea or an undesired blood pressure drop, the infusion rate should be reduced until the optimal tolerated dose is found. If the adverse effects are severe, the infusion should be temporarily interrupted." と定めている。閲覧 2026-09-17
  9. 9.EMGALITY (galcanezumab-gnlm) injection, for subcutaneous use — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed。Labeler は Eli Lilly and Company)・2026)DailyMedの当該setid(spls.jsonでEMGALITYが返す唯一の製品、version 17、published Jun 18, 2026)のページをブラウザUA付きcurlで取得して確認した。Highlights末尾に印字された改訂表示は Revised: 6/2026。適応は1.1 成人の片頭痛の予防と1.2 成人の反復性群発頭痛の治療の2つで、逐語は "EMGALITY is indicated for the treatment of episodic cluster headache in adults."。用量は片頭痛が初回240 mg(120 mgを2回連続皮下注)・以降月1回120 mg、群発頭痛は "300 mg (three consecutive subcutaneous injections of 100 mg each) at the onset of the cluster period, and then monthly until the end of the cluster period" である。閲覧 2026-09-17
  10. 10.エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/エムガルティ皮下注120mgシリンジ 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)電子添文(日本イーライリリー株式会社)・2022)2022年5月改訂(第4版)の電子添文の本文(HTML)を取得して確認した。「4. 効能又は効果」は片頭痛発作の発症抑制のみで、全文に「群発」は0件である。「6. 用法及び用量」は成人に初回240mgを皮下投与し以降1ヵ月間隔で120mgを皮下投与とする。5.1 は前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上、あるいは慢性片頭痛であることを確認したうえで適用を考慮するとし、5.2 は非薬物療法と急性期治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている患者にのみ投与するとしている。PMDAの品目ページ(rdDetail)が現行版として示す版番号は _1_05 である。閲覧 2026-09-17